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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   Man som hatar
        kvinnor


(2009)スウェーデン/デンマーク/ドイツ/
ノルウェー
出演…ミカエル・ニクヴィスト
ノオミ・ラパス
スヴェン・バーティル・タウベ
監督…ニールス・アルデン・オプレウ
★★★☆

〔ストーリー〕
 〈ミレニアム〉誌の敏腕ジャーナリストのミカエルは、大物実業家の不正を暴いたことから名誉毀損で訴えられて、有罪判決をうけてしまう。
 そんな彼を拾ったのが、ヴァンゲル財閥のヘンリック。じつはミカエルが幼いころ、ヘンリックが暮らす孤島で父が働いていた時期があったのだ。ヘンリックは40年前に島から忽然と姿を消した、姪のハリエットの事件を打ち明ける。彼はハリエットがすでに殺害されていて、その犯人は一族の者だというのだが…
 そして、ミカエルの身元調査をしていたのは、天才ハッカーのリスベットという女だった…


 最近映画観る時間がないんですよー、すいません!!
そういえば、話題作だったのにうっかり見逃してしまったこの作品… 先日ようやく鑑賞しましたので、なんとなく覚え書きに残しておきます。「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」

 日本でも売れに売れまくっているようです、スティーヴ・ラーソンによる3部作ミステリーの一作目。
たぶん、原作をお読みになってる方も多いんじゃないかと思います。
かなりきわどいシーンもありまして、しかし、それを凌駕する圧倒的作品パワーがある。この出来を見るかぎりでは、続編も多いに期待できそうです!!

 えーと、タイトルにもなってる〈ミレニアム〉は、出版社の名前なのですね。そういえばむかし、サイコ事件ばかりを扱った「ミレニアム」というアメリカのドラマがありました… 地味だったんですけど、わたしはけっこう好きだったんですけどねー。

 話が逸れちゃましたが、この新聞社〈ミレニアム〉の敏腕記者ミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)が訴訟を起こされて、有罪判決されるところからはじまります。世間的にはミカエルは悪者あつかいですが、彼の無実をちゃーんと知ってる人がいました。その人物というのが、天才ハッカーのリスベット。

 お話はほんと、ミステリーの王道みたいなシチュエーション・謎解きものです。
出口を断たれた孤島から、40年前にひとりの美少女が姿を消す。ミカエルに調査を依頼した叔父のヘンリック(スヴェン・バーティル・タウベ)は、彼女を溺愛していたものだから、それはそれは悲しみに暮れるのですが… この苦しみ、40年間ずっとつづいています。というのも、彼の誕生日になると、必ず「押し花」が送られてくるのです。この「押し花」はハリエットがいたころ、彼に毎年プレゼントしてくれたものだったのです…

 ヘンリックは「押し花」を送りつづけるのは、ハリエットを殺害した犯人ではないかと確信しています。その犯人とは、自分の一族のひとりではないかというのですが…!! 

 謎めいたストーリー、ときどき挿入されるフラッシュバックも知的でかっこいい。
ミステリといっても、まあ、結末はよくあるタイプのものなんですけどね。でも、この作品の魅力はやはり、破天荒なヒロイン・リスベット(ノオミ・ラパス)にあるのでしょう。
パンキッシュなヘアスタイル、鼻ピアス、全身刺青だらけと、ずいぶん反社会的なんですが~!!

 最初は圧倒されちゃいますが、リスベットはすごい大天才でして、映像記憶能力とか、ハッカーの知識が半端ないのです。それに、レズビアンでもあるし、精神病院あがりだし、保護観察がついてるし、男性恐怖症気味らしいし… などと、問題点いっぱいなのですが、彼女の存在感が非常によいのです。たぶん、このヒロイン像だったからこそ、この小説もそれほどヒットしたんじゃないかなー、という感想です。

 なので、ミステリーを主体に見るよりも、ヒロイン・リスベットとミカエルのちぐはぐながら、徐々に心を通わせていく過程に注目していただきたいです。
このふたり、ついには一線を越えてしまうのですが、露骨なシーンのわりにぜんぜんヤラしくない。むしろ、感動的ですらあります。

 結末のえげつなさ(欧米ミステリにみられる、〇〇の秘密とか…)は、ちょっと受けつけないんですけど、キャラクターが個性的でとてもおもしろかったです。完全版はえらい長かったんですけど、これ、一応映画として公開されたんですよね?










ヒロイン・リスベット。
続編ではさらに過激な
ファッションに!!









有罪判決をうけてしまった
ミカエル。







リスベット、危うし!!
どこにでもいるんです、
エロいオッサンて!!








ミカエルは編集長の
エリカと恋仲なのですが…







ミカエル、
ずいぶんうれしそうだな(笑)
でこぼこ探偵コンビ結成!







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   Winter's Bone



(2010)アメリカ
出演…ジェニファー・ローレンス
ジョン・ホークス
デイル・ディッキー
監督…デボラ・グラニク
★★★☆


〔ストーリー〕
 ミズーリ州の閑散とした山間に暮らす17歳の少女・リーは、世間的な17歳の生活とはまるで皆無。薬の売人だった父が多額の保釈金を約束しながら逃走し、リーはなんとか家族の面倒を見ていた。幼い弟と妹、母のソーニャは父が蒸発してからというもの、精神的な閉鎖状態に陥り会話も満足にできない。なんとか父の居所を知ろうと、父の知人のあいだを訪ね歩くのだが… リーは、自分たち家族がどれだけ疎まれているかを知るだけなのだった…


 ホラーではないんですが、雰囲気的にはそこらのホラーなんかよりずっとずっとこわいです。
サンダンス映画祭でも高い評価をうけたこの作品、わたしの評価はこんなですけど(なにぶんホラーではないので)、作品クオリティは異常に高いです。
 監督は、これが長編2作目なのだと聞いて、才能の有無を感じずにはいられない出来となっています。

 物語は、さびれた山間に暮らす少女リー(ジェニファー・ローレンス)の生活風景からはじまります。リーは17歳なのに、高校に通っていません。ヤクの売人だった父が多額の保釈金を残して蒸発してからというもの、彼女ひとりでなんとか家族の面倒を見ていたのです。

 まだ幼い弟、小さな妹。母親のソーニャは自分の世界にとじこもったきり、リーがすべての世話をしなくてはなりません。薪割りや家畜の世話、食事、弟妹たちの面倒と、やることがいっぱいなんです。そんな悲壮感ただようオープニングからスタート。

 そしてこの、健気な娘リーに降りかかる災難というのが、ちょっとやそっとのかわいそうというレベルではなく、わたしは最後までひやひやしながら観てしまいました。

 お話的にいうと、ごく狭い地域社会の軋轢、排斥される弱者の物語… といったところなんでしょうが、うーん、安全な日本にぬくぬく暮らしているわたしには、なぜ17歳の女の子がここまで苦労しなければいけないのか?? と、不憫でなりませんでした。

 舞台が山間に田舎町ということで、人口もすくなく、それがかえって殺伐的・狭量的社会を生みだすというのは、サンダンス映画祭っぽい内容なのかもしれませんが。

 しかーし!!
この映画のいちばんの特色は、ヒロイン・リーに降りかかる災難や周囲の人間模様を、かなりホラーっぽい、
おそろしい視点で演出にしている点にあるのです。

 アメリカの片田舎、狭い地域社会とくれば… うー、ホラー好きのみなさんならわかるかと思いますが、想像しただけでもこわいこわい!!
リーはどうにか父の居所を知ろうとするのですが、父の知人には門前払いを食らうばかり。立ちのきまで一週間と期限をつきつけられても、だれひとり、やさしい手をさしのべようとする大人はいないのです。

 それから、ヒロインのリー役の子の演技がまたすばらしい!
強気で弱い感情をあまり出さない女の子として、それが余計にリーたち一家の立場の弱さを強調していくのです。
 ほんとうは、彼女だってすっごくこわいはずなのに!! 17歳のいたいけな女の子なのに!! けして、こわいとはいえないんです。それが、どーうにもならない状況の堂々巡りなんです。

 しかしながら、唯一叔父のティアドロップ(ジョン・ホークス)だけは、リーに手を貸そうというそぶりを見せるのですが…?? はたして、その親切心の意味は…??

 結末は、一応安心できる作りになってますけど、ハッピーエンドとはいえません。リーがこの狭い社会に見切りをつけて、新しい世界に目をむける、その姿勢だけが唯一の救いとなっているのです。
最後までドキドキしどおしでした。すごい傑作です。











ヒロインの
ジェニファー・
ローレンス。
将来大物になる予感!







リーはまだ小さな
弟妹たちの面倒を
見ているのですが…








叔父のティアドロップ
だけ、リーの話に耳を
傾けようとします。








父の知人のオバチャン
のメラブ。
この人が文句なしに
おそろしいのです。








リーたち一家に、
はたして安泰は
訪れるのでしょうか…?









   My Super Psyco
      Sweet 16



(2009~10)アメリカ
出演…ローレン・マクナイト
クリス・ジルカ
マット・エンジェル
監督…ジェイコブ・ゲントリー
★★★

〔ストーリー〕
 ローラースケート場の経営者チャーリー・ロッターは客の若者たちに不満をもっていた。以前は、16歳の誕生日を迎えた常連客にパーティーを催して盛りあげていた。しかし、近ごろは、素行の悪い客ばかり。ある晩、16歳の誕生日を迎えた少年を祝ってやろうとすると… あろうことか、ケーキを投げ捨てられてバカにされてしまう。しかもその深夜、スケート場に忍びこんでやりたい放題。ついに我慢の限界と、パーティーの扮装で彼らを殺害してしまうチャーリー。それを警察に通報したのは、幼い娘のスカイだった…
 そして10年後。高校生になったスカイは、殺人鬼の娘というレッテルのなかで暮らしていたが…


 MTVに、16歳になる女の子を盛大なパーティーで祝っちゃおう!という、(いわゆるセレブ嗜好の)人気リアリティ番組があるんだそうです。これはその番組サイドが企画した、ハロウィンむけの単発ホラー。
前半・後半とわかれていて、やったら長いんですがまあまあの出来。
明るいノリでして、テレビ映画としてもなかなか楽しめます。

 物語は、ローラースケート場の経営者のチャーリー(アレックス・ヴァン)が、態度の悪いティーンエイジャーたちを殺害しちゃうところからはじまります。その現場を目撃して、警察に通報したのは娘のスカイ。そして、踏みこんだ警官たちが地下室におりてみると… あらまあ、ほかにもティーンの死体がごろごろしていました!!

 衝撃的な事件から10年後。
 高校生になったスカイ(ローレン・マクナイト)は、趣味で絵を描くのが好き。美人さんなのですが、暗い過去をひきずっているため、いまいちみんなのなかに入っていけません。一応、オタクくんの親友デレク(マット・エンジェル)もいるんですが、味方はすくないです。

 と、ここでナイト役のブリッグ(クリス・ジルカ)登場。スカイも彼のことが気に入っている様子で、なんかいい雰囲気です… ところが、元カノのマディソン(ジュリアナ・ギル)をはじめとするイジメ女子たちが、スカイとブリッグの仲を許さないのでした…!!

 前半のストーリーは主に、「キャリー」「スクリーム」のノリ。
アメリカ映画に見るいじめ(女子にかぎる)の構図って、たいがい決まってますよね。ヒロイン(黒髪・かわいい・マジメ・男うけがいい) ←いじめる女子(金髪・金持ち・ビッチ・取り巻きたくさん!)みたいな感じで~

 往年スラッシャーのパロディらしく、キャピキャピした雰囲気が楽しいです。もちろん、MTV仕様なので音楽がやたらかかっていて、若干中だるみの部分もありますが。でも、出演者たちが若い子ばっかりで、女の子は全員かわいいしで、なんとなく最後まで観れちゃう。

 リアリティ番組のパロディでもありますから、当然イマドキの風俗なんかもありますね。といいますか、アメリカの十代の少女たちは、こういうものに憧れとか贅沢嗜好を刺激されているんだなあと、テレビの功罪といったところ。

 後半からは、行き場をなくしたスカイ、離婚した母のもとに身をよせるところからはじまります。そこには、父親ちがいの裕福な暮らしをする妹アレックスがいたのでした…

 前半のOPがチャーリー事件に沸き立つテレビ、後半はツイッターと、時代の流れも上手く描写されてます。結末近くになると、妙な家族の愛憎劇になっていっちゃうし。物語はあってないようなものなんですが、軽いノリが一般的にホラーうけがいいかもしれないです。

 ちょっとした難を挙げるとすると、殺人鬼チャーリーの存在理由がいまいちよくわからず~。なぜにそんなにティーンのパーティーにこだわるの? あれか? 「サマー・キャンプ・インフェルノ」シリーズの “レディ・ジェイソン” ことアンジェラみたく、ただただイベント好きなのか!? イベント強迫観念症なのか!!! と、つっこみどころも満載なのですが。

 で、一応一般うけしそうな青春スラッシャーなんですが、ホラー的な隠れたテーマとしましては、殺人鬼の娘・スカイの暴力に目覚めそうで、目覚めなさそうで、やっぱり目覚めそうで…  という、思春期の危うさにあります。
 だから、結末のオチもじわじわ効いてくるのです。つまり、そういうことー!!

 前編・後編と通して観ると、(ゴア部分さえごまかしていなければ)、そこらのホラー映画なんかよりずっと楽しいテレビ映画だと思います。










ヒロインのスカイ。
作品では黒髪です。
かわいいっすねー









いじめ女子がパーティーを
ひらくようですよ!









なんだかんだいって、
ブリッグといい雰囲気に








悪ノリした女友だちが、
プレゼントの車を
傷つけていると…








悪いこと嗅ぎつけて、
殺人鬼パパが登場
しちゃうよ!!








それから、
死んだ子の幽霊にも
憑りつかれちゃうし!!







   Road Train


(2010)オーストラリア
出演…ボブ・モーリー
ソフィー・ロウ
ハビエル・サミュエル
監督…ディーン・フランシス
★★☆


〔ストーリー〕
 ふた組のカップルで、車で荒野を横断中。すると、背後から巨大トラックがあらわれた。トラックはいきなり嫌がらせの追突をしてきて、彼らを追い越していく。運転手のクレイグは気がすまないとばかり、トラックを追い越して恋人のニナが罵声をあびせると… このトラック、今度は本気で追突してきた!! あっと思う間もなく、車は横転して道路をはじき出されてしまい…


 べつに狙ったわけじゃないんですけど、またまたオーストラリア映画です~。
前半は地味なんですけど、後半からじわじわおもしろくなってきます。
「The Loved Ones」(2009)のイケメン俳優、ハビエル・サミュエルくんも出演しています。(ほんとはコレ目的でしたの


 えーと、最初に断っておきますが、わたしの評価はこんなですが、これが邦画ホラーだったら、おもしろい監督さんが出てきたなあと思うところ。詳細はよくわからないのですが、内容がしっかりしているところからして、原作があるのかもしれません? とにかく、ストーリーはよいのです。ただ、盛りあげ方が足りず、工夫によっては佳作になったのではないかという、非情に惜しい一作。

 流通タイトルは「Road Kill」なんですが、これって、確実に “ロード・キラー” ものと勘ちがいされてしまうと思います。内容はぜんぜんちがくて、ダーク・ファンタジー色の濃い不条理スリラー。

 オープニング、クレイグ(ボブ・モーリー)とニナ(ソフィア・ロウ)のいちゃいちゃカップル、リズ(ジョージナ・ヘイグ)とマーカス(ハビエル・サミュエル)のやや倦怠期カップルの、珍道中からはじまります。彼らは車で旅行中、しかし突然、大型トラックの嫌がらせをうけてしまいます。なにもしてないのに、うしろからガツン!

 頭にきたクレイグ、トラックを追い越して、ニナとリズが罵声をあびせかけると… 今度はトラック、本気で追突してきちゃいます。やばーっ!! しかし、時すでに遅し。クレイグたちの車は道路をはじき飛ばされて横転、めちゃくちゃになり、運転手のクレイグは腕に負傷してしまいます…

 と、ここから不可解な展開へ。
 破損した車のそばで途方に暮れていると、なんと、さっきのトラックが目の前に停まっているではありませんか! マーカスとリズはトラックに近づき、ドアがあけっぱなしで、キーもつけっぱなしの状態なのを発見します。これはしめたとばかり、彼らはトラックをジャックして走りだすのですが… このトラック、「三頭の狼」 という妙なエンブレムがついていたのでした…

 お話はおもしろいんですけど、うーん、ホラーで物語を語ろうとした場合、テーマをはっきりさせないとむずかしいかもです。この場合、〇〇モノということで、悪者(いちばんの弱者でもある)に焦点をあてないといけないんですけど… ちょっと、ぼやけちゃってますかねー。

 あと、肝心かなめの主役でもある、トラックの不気味さがあまり伝わってこない。惜しいんですよねー、後部の架台にいったいなにが積まれているのか? っていう、興味をさほど掻きたてられないんですよ。スピルバーグの「Duel」「激突!」1971)は不気味だったでしょう? 「Maximum Overdrive」「地獄のデビル・トラック」1988)「Christine」「クリスティーン」1984)は… ええと、コメントを控えさせていただきますが。

 サミュエルくんですが、今回はあまり活躍しません。ですが、このコ、悲鳴のあげ方がイイんだよなあー(「カァーッ」って、枯れた声出すの!)… などと、わたしのなかで、なにか危ないものが目覚めそうになりました。

 でも、出来は悪くないです。結末ももっと寒々としていたほうが、印象に残ったかもしれないです。結局中途半端な演出になっちゃってるんですけど、女の子ふたりはかわいいし、男の子たちふたりも格好いいしで、絵としてまず成立しちゃってるし。

 オーストラリアって、最近ホラーに目覚めたんですかね?
とりあえず、サミュエルくんの今後の活躍に期待!










楽しい旅行になる
はずが…






巨大トラック出現!!








事故って途方に
暮れていると…






うぎゃー!!
なんなんですか、これ!








はひ~、
とんでもない状況に
なっちゃってますが!!











トラックを奪っちゃったマーカスたち。
が、これが悪夢の入り口になるとも知らず…!!!







   Damned By Dawn



(2009)オーストラリア
出演…レネー・ウィルナー
タリン・エヴァ
ダニー・アルダー
監督…ブレット・アンステイ
★★☆


〔ストーリー〕
 恋人のポールを連れて、実家に里帰りするクレア。広大な敷地にぽつんと建つその館に待っていたのは、父、身体が弱くて病気がちの母、妹弟たちと、予期せぬ嵐。テレビはノイズだらけで、奇妙な音声が混じっているような気がする。町まで買い出しに出かけたポール、クレアは母の面倒を見ていると… 彼女の言動が急におかしくなり? その夜、不気味な叫び声が荒野に響きわたった!!


 なんだか不思議な雰囲気のホラーです。
 ホラー… で、いいのかな??
演出は派手なんですけど、物語的にあんまり現代っぽくないところがホラーっぽくないです(笑)。おんなじオージー・ホラーでも、すこしまえに観た「The Loved Ones」(2009)はサイコーにおもしろかったんですけどね。

 けっこうトレイラーから飛ばしているので、(一部サム・ライミみたいだという感想あり)、てっきりわたしも、それ系の映画なのかなー、なんて、思ってたんですけど。。。

 オープニングから、古~っっ!! って感じのゴシック・ホラーです。ゴシックといっても、思いっきり泥臭いほうのね! それも、昔話タイプのね! 古しきゆかしき恐怖譚(ブラックバーンとか、アルジャノンとか)好きな方なら、それなりに楽しめるかと。
ストーリーのほうも、わかったようでよくわからんお話なのですよ。

 ヒロインのクレア(レネー・ウィルナー)は、恋人のポール(ダニー・アルダー)を連れて実家に帰ります。そこは田舎もド田舎、広い敷地に大きなお屋敷がぽつーんと建ってるだけで、お隣さんに会いにいくには車で数十分はかかるといったところ。父親は元気なのですが、母親のほうは病気がち。妹のジェンに弟(…だったかな? あんましおぼえてません、すいません!!)のビルもいます。とりあえず、母のことが心配で彼女に会いにきたんですね。

 恋人を紹介すると、喜ぶ母。食事を作って話し相手をしていると、彼女の言動が急におかしくなります。歌う女がどうとか、宿命がどうとか。その夜は嵐が近づいていて、テレビも映りません。町まで買い物に出かけたポールは、帰り道に奇妙な人影を目撃します。
 そして、その夜。風音にまじって、おそろしい女の悲鳴が聞こえてきたのですが??!!

 オープニングがこんな感じです。
この叫ぶ女、ようするに〇〇なんですけど、そうと知らずにビビったあまり、クレアがバルコニーから突き飛ばしちゃう。おなじころ、悲鳴の主をさがそうと荒野を歩きまわっていた(役立たずの)男3人は、不気味な穴を発見して…??

 うーんと、けっこう派手な演出で攻めてるんですけどね。いかんせん、内容がやっぱり古いです(笑ごめんちゃい)。この後、〇〇が出てきたり、〇〇の集団に襲われたりと、けっこう見どころはあります。でも、しょせんこけ脅しなんですよー。まあ、なんにもない平原に、〇〇がぽかーんと浮かんでいるところなんか、原始的な恐怖をあおる不思議なシーンでもありますが。

 派手派手で攻めてるわりには、ストーリーと演出が噛みあっていないというか、妙なズレ感(?)があります。そのため、どうも乗りきれない。やっぱりこれは、ホラーじゃないんですよね~、ファンタジーなんですよね。

 ただ、このよくわかんない空気とか、不思議な雰囲気とかは、見ようによっては不気味でもあります。
 ゴシック・ホラーで攻めるんだったら、すくなくとも現代的なアレンジとか展開がないと、ちょっと苦しい。あと、ゴア描写も手ぬるいです。こんだけ派手な演出にしたんだから、もっと思いっきりやんなきゃダメー!!

 勝手なことばかり書きまして、あいすみません。でも、オージー・ホラーって、わたしは「Undead」「アンデッド」2003)の印象がやたら強いんですよ。よって、〇〇の浮遊集団は、ぜったいその影響をうけていると思われます。
深夜にボーっと観るぶんには、ままこわいのかな?















風音かと思ったら、
ほんとに女が叫んでた!!














ヒロインのクレア。







…このとおり、
演出は派手なんです
けどねー。







あ、こんなのも
出てきます。
シンドバッドの冒険?









…こればっかだな!
とりあえず、
こわいオバチャン~






   The Ghost Writer




(2010)フランス/ドイツ/イギリス
出演…ユアン・マクレガー
ピアース・ブロスナン
オリヴィア・ウィリアムズ
監督…ロマン・ポランスキー
★★★★

〔ストーリー〕
 イギリス元首相ラングの回顧録のゴーストライターを担当することになった、青年(ユアン・マクレガー)。彼の別荘があるアメリカ東海岸の島に渡り、仕事をはじめることになるのだが… じつは、回顧録のほとんどはすでに完成されていて、前任者の跡を引き継ぐかたちとなっていた。この前任者、謎の失踪をとげているらしいと、ゴーストライターの青年は気づくことになるのだが…


 おもしろい、おもしろいと評判だったので、つい。
ほんとにおもいろいです。あまりの緊張感に、心臓が痛くなっちゃう映画です。
あの傑作サスペンス「Chinatown」「チャイナタウン」1974)にもひけをとらない、一級ミステリだと思います。

 たぶん、ほとんどの方はご存知かと思いますが~
 この作品は現実の政治問題とシンクロしています。元英国首相のあの方ですが、作中のラングとおなじように、戦争犯罪裁判問題がもちあがっています。そこへタイムリーなこの作品、完成までには道のりもやや(?)険しかったみたいです。でも、期待どおりの極上サスペンスとなっております!

 物語は、主人公の青年(ユアン・マクレガー)が、引退した前英国首相ラングの回顧録のゴーストライターをひきうけるところから、はじまります。そこで、ラングが現在生活の拠点としている、アメリカ東海岸の小さな島に渡り、そこで執筆活動をはじめることになるのですが…

 じつは、前任者のゴーストライターがいたのです。ユアンはセカンドでした。それで、前任者の残した原稿をもとに、あれこれ調査、勉強をすすめていくんですが… 数日前に、島の海岸で遺体があがったことを知り、それが前任者ではないかと疑うようになります。ついでにユアン、余計なことまで知ってしまい、トラブルに巻きこまれてしまう~!! というもの。

 政治的な内容と聞いて、わたしにもちゃんと理解できるかなーと、心配だったんですけど… そんなことはありませんでした。だれにでも理解できる、単純明快なミステリです。まず、俳優陣の演技がすばらしいのです。

 元首相ラングのピアース・ブロスナンが、ほんとにはまり役です。画面を通して、政治家っぽい貫禄が出てきちゃうから、あら不思議! ついでに、彼の秘書のアリスに「セックス・アンド・ザ・シティ」のキム・キャトラル。わたしはこのドラマ、一度も観たことはないんですが、テレビ出身の女優さんでも、ムービースターたちと対等に渡りあえちゃうんだなーと、ちょっと感動しました。

 ラングの妻ルース役には、オリヴィア・ウィリアムズ。この役柄には、もうこの方以外に考えられませんー!! それはたぶん、見ればわかるのです~

 主人公のユアン・マクレガーなんですが、名前がないんですよね。一応自己紹介するときにも、「あなたのゴーストです」なんて。わたしはユアン・マクレガーって、よく知らないときには、なんでこの人が「スター・ウォーズ」に抜擢されたんだろう? と、不思議だったんですけど…

 無知ですいませんでした~~っっ!!! この方、見るたびに魅力が増すステキな役者さんだと思います。殺し屋に恋しちゃう元FBI捜査官だっけ? から、すっかりファンになりました。彼の表情が、とにかくいいのです! それで全体がぐっと引き締まり、痛いほどのリアル感が生みだされています。

 この一流の俳優さんたちのたしかな演技と、巧みな演出、最後まで持続する緊張感! なんでしょうねー、この全体をただよう上品な緊張感は!!

 結末は、まあ、ある程度政治に敏感な人なら、予想がついちゃうかと思いますが… でも、ちょっと展開が斬新でおもしろいです。わたしはここ、いちばんポランスキー監督らしいかなと思いました。「チャイナタウン」のあの、ラストで残酷な事実をドン! と突きつける衝撃、とまではいきませんが… ですが、それに比肩しうるすばらしい構成です。

 あんまり内容を書かないほうがいいかと思いますので、このへんで~

 それで、完成に多少なりとも苦労を要したようなんですけど、だれだって三十ン年前の淫行事件が、なんで急に持ちあがってきたんだろう?? って、疑問に思いますよねー。わたしも不思議でした!! 現実の陰謀のほうが、もっとずっと複雑怪奇でおっかないことになっているのかもしれません…









役者の資質は、
表情でキマる!
ただのハンサムじゃない
ところが好き!








こんなに首相っぽい人
だと思わなかった(笑)
ピアース・ブロスナン。









妻のオリヴィア・
ウィリアムズ。









ユアンは聡明すぎ
ちゃったため…









余計なことに首を
突っこんでしまい…!!







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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