個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、
小説のレビューなどをポツポツと…
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『ブラック・ダリア』
原題 『The Black Dahlia』
(1987)
ジェイムズ・エルロイ:著
吉野美恵子:訳
文春文庫
〔ストーリー〕
1940年代のハリウッド。「ファイア&アイス」と間逆の関係にたとえられた元ボク
サーの刑事、バッキー・ブライチャートとリー・ブランチャード。名前は似ているが、外見も性格も異なる彼らは、やがて無二の相棒となり、リーの恋人ケイトと危うい三角関係を築きながら、全米を震撼させた“ブラック・ダリア事件”の渦中に飲みこまれていく… エルロイの出世作にして、〈暗黒のL.A四部作〉の第一弾!
ついに登場させてしまいました、わたしの大々々好きな作家さんのひとり~、J・エルロイの『ブラック・ダリア』です。
この作品を読んだときの衝撃は、いまでも忘れられません。
それまでにも、エルロイという人の作品は2、3読んでいました。これが、ありていにいってしまえば、よくある犯罪小説でして、キャラクターも構成もプロットもごくありふれた感じの、いわば大量生産された“刑事もの” の域を出ないものでした。ただひとつ気になった点が、主人公につきまとう「暗い影」の存在。これが作者の心の状態を示しているようで、妙に引っかかっていたのですが…
…が、こんなに早く化けてしまうなんて、いったいだれに想像できたでしょう!!
『ホワイト・ジャズ』のあとがきを担当した、馳星周さんのお言葉をそっくりそのまま借りてみますと、エルロイはこの作品から「とちくるった」んだそうです。わたしもこの表現、まさしくぴったりだと思います。「エルロイは『ブラック・ダリア』からとちくるった」。どういうことなのか、すこし説明させてくださいね。
エルロイという人ほど、劇的な人生を歩んできた作家さんはいないと思います。
彼は幼いころ、“母親を殺害される” という信じられない悲劇に見舞われてしまいます。犯人は不明のまま、事件は未解決。この母親は、あとからエルロイにも理解できるようになるのですが、ウェイトレスの傍ら、売春まがいのことをしていました。のちに、この事件とむきあう勇気と知性を備えた彼は、『わが母なる暗黒』という手記も生みだします。(…おそるべき作家の執念ですね~。興味のある方は、ぜひ書店で手にとってみてください!)
その後の彼の人生は、落伍者そのもの。学校もドロップアウト、定職にもつかず、
ホームレスとなって昼間から安酒をあおる日々。こんなダメ人間がワールド・ワイドな超売れっ子大作家になるなんて、まさしくアメリカン・ドリームじゃないですかっ!!
ブラック・ダリア事件は、ご存知の方も多いと思いますが、1947年1月15日にロスでじっさいに起こった事件です。被害者はエリザベス・ショートという女優志願の若い女性で、ハリウッド関係者の目にとまるように、いつも黒ずくめの格好をしていたため、「ブラック・ダリア」と呼ばれていました。
察しのいい方にはもう歴然としてしまいますが、エルロイにとって「ブラック・ダリア」とは、殺害された母親なのですね。そして、この物語のふたりの主人公、バッキーとリーはもちろん、エルロイ本人。(…作中、しだいに事件にのめりこんでしまうリーが、壁一面にブラック・ダリア関連の記事を貼りつけるところは、背筋が寒くなってしまいます… エルロイの本名はリー・アール・エルロイ、つまり、自分のことを書いちゃったのですね!)
作家本人の執念が大噴出しているのですから、傑作にならないわけがないですね。そしてエルロイのすごいところは、この才能はほんもので、その後もなにかに憑りつかれたように、常人には真似できない作品群を次々発表していくのです…
とくに、『ビッグ・ノーウェア』、『LAコンフィデンシャル』、『ホワイト・ジャズ』 は、どれも必読です!
こんな大傑作を放出することができるのなら、一度でいいから「とちくるって」みたい…♪ そう思っちゃうのは、わたしだけではないと思うんですけど…!!
原題 『The Black Dahlia』
(1987)
ジェイムズ・エルロイ:著
吉野美恵子:訳
文春文庫
〔ストーリー〕
1940年代のハリウッド。「ファイア&アイス」と間逆の関係にたとえられた元ボク
サーの刑事、バッキー・ブライチャートとリー・ブランチャード。名前は似ているが、外見も性格も異なる彼らは、やがて無二の相棒となり、リーの恋人ケイトと危うい三角関係を築きながら、全米を震撼させた“ブラック・ダリア事件”の渦中に飲みこまれていく… エルロイの出世作にして、〈暗黒のL.A四部作〉の第一弾!
ついに登場させてしまいました、わたしの大々々好きな作家さんのひとり~、J・エルロイの『ブラック・ダリア』です。
この作品を読んだときの衝撃は、いまでも忘れられません。
それまでにも、エルロイという人の作品は2、3読んでいました。これが、ありていにいってしまえば、よくある犯罪小説でして、キャラクターも構成もプロットもごくありふれた感じの、いわば大量生産された“刑事もの” の域を出ないものでした。ただひとつ気になった点が、主人公につきまとう「暗い影」の存在。これが作者の心の状態を示しているようで、妙に引っかかっていたのですが…
…が、こんなに早く化けてしまうなんて、いったいだれに想像できたでしょう!!
『ホワイト・ジャズ』のあとがきを担当した、馳星周さんのお言葉をそっくりそのまま借りてみますと、エルロイはこの作品から「とちくるった」んだそうです。わたしもこの表現、まさしくぴったりだと思います。「エルロイは『ブラック・ダリア』からとちくるった」。どういうことなのか、すこし説明させてくださいね。
エルロイという人ほど、劇的な人生を歩んできた作家さんはいないと思います。
彼は幼いころ、“母親を殺害される” という信じられない悲劇に見舞われてしまいます。犯人は不明のまま、事件は未解決。この母親は、あとからエルロイにも理解できるようになるのですが、ウェイトレスの傍ら、売春まがいのことをしていました。のちに、この事件とむきあう勇気と知性を備えた彼は、『わが母なる暗黒』という手記も生みだします。(…おそるべき作家の執念ですね~。興味のある方は、ぜひ書店で手にとってみてください!)
その後の彼の人生は、落伍者そのもの。学校もドロップアウト、定職にもつかず、
ホームレスとなって昼間から安酒をあおる日々。こんなダメ人間がワールド・ワイドな超売れっ子大作家になるなんて、まさしくアメリカン・ドリームじゃないですかっ!!
ブラック・ダリア事件は、ご存知の方も多いと思いますが、1947年1月15日にロスでじっさいに起こった事件です。被害者はエリザベス・ショートという女優志願の若い女性で、ハリウッド関係者の目にとまるように、いつも黒ずくめの格好をしていたため、「ブラック・ダリア」と呼ばれていました。
察しのいい方にはもう歴然としてしまいますが、エルロイにとって「ブラック・ダリア」とは、殺害された母親なのですね。そして、この物語のふたりの主人公、バッキーとリーはもちろん、エルロイ本人。(…作中、しだいに事件にのめりこんでしまうリーが、壁一面にブラック・ダリア関連の記事を貼りつけるところは、背筋が寒くなってしまいます… エルロイの本名はリー・アール・エルロイ、つまり、自分のことを書いちゃったのですね!)
作家本人の執念が大噴出しているのですから、傑作にならないわけがないですね。そしてエルロイのすごいところは、この才能はほんもので、その後もなにかに憑りつかれたように、常人には真似できない作品群を次々発表していくのです…
とくに、『ビッグ・ノーウェア』、『LAコンフィデンシャル』、『ホワイト・ジャズ』 は、どれも必読です!
こんな大傑作を放出することができるのなら、一度でいいから「とちくるって」みたい…♪ そう思っちゃうのは、わたしだけではないと思うんですけど…!!
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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:
独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
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かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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