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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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     『殺戮のキャンパス』



    原題 『Flesh』
    (1987)
    リチャード・レイモン:著
    山口緑:訳
    扶桑文庫



〔ストーリー〕
 サイクリング中の女子学生をつけ狙う、不気味な一台の車。これは無差別殺人なのか、それとも…? 担当刑事のジェイクは、事故現場にそう遠くない場所で老夫婦が無惨に殺害されたことを知る。事件のあまりの異常さから、ジェイクは犯人の精神状態を疑うが…
 一方、魅力的な女子大生のアリソンは、恋人の教授エヴァンとの関係に悩んでいた…


 リチャード・レイモンの登場です。
どうせレイモンをとりあげるなら、なぜ『殺戮の野獣館』(&『逆襲の野獣館』)にしないっ!! というお叱りの声をいただきそうですが、好きなんです、こういうテイスト。これが訳出された当時、「うわーい、これからどんどんレイモンが読める」と、期待にワクワクしていたんですけどねー…

 リチャード・レイモンというと、軽妙なノリ、お下品、お下劣の三拍子がそろった、B級テイスト満載のホラー作家です。“スプラッタ・パンク” を語るうえでも、欠かせない作家のひとりとなっています。まだ長編の邦訳が出ていなかったころ、ちらほらといろんなアンソロジーで短編を見かけるたび、「この人、すごくセンスいい!大好きかも…」と、思ってました。レイ・ガートンとおなじくらい、期待しちゃっていたかなあ。

 レイモンはもともと小学校教師だったのですが、娘の友だちにせがまれてコワいお話を即興でつくったところ、これが大好評。その気になって小説にしてみたところ、あっという間に人気が出ちゃって、作家としても大成してしまいました。きっと、お話好きのオチャメなパパだったんでしょうね。

 レイモンのおもしろさは、映画やコミックスや雑誌なんかのサブカル一般、それと伝承(…デート中のカップルが片手がフックの殺人鬼に襲われかける話とか)のいいとこどりをして、非常に軽いノリですいすい読めてしまう作品に仕上げたところ。この軽さが、キングの重厚感にちょっと飽きてきた読者層の心を一気につかんでしまったようなのです。

 本作品も美人の女子学生アリソンを中心に、お下品・お下劣きわまりない殺戮がくりひろげられます。レイモンの登場人物というと、女性は必ずセクシーな美人! セクシー場面も多数あり! それから、青春! バッググラウンドなんて関係ないさー、どんどんいきます! という、テンションのよさ。でも、このお約束な展開が、お約束なホラー映画を観ているみたいで非常にワクワクしてしまうんですよね。

 『殺戮の野獣館』は、その異常な(…珍奇な?)結末にかなり注目が集まったようですが、(もちろん、〈野獣館〉シリーズも大好きなんですけど)、こういう単品も捨てがたいです。捨てがたいといえば、まだまだ訳出されてもいいような作品がたくさんあるんですよね。
 たとえば、遊園地ものの 『Funland』、変わり種吸血鬼ものの 『The Stake』、地震後の人々の争いを描いた『Quake』、もちろん、忘れちゃいけないのが〈野獣館〉シリーズの続編 『The Midnight tour』

 こんなに期待していたのに、これからレイモン人気がいっきに高まる! と思っていた矢先だったのに… 2001年2月14日、心筋梗塞で亡くなってしまいました。享年54才。あまりに早すぎる死です。わたしはショックのあまり、20日間ほどチョコ断ちしてしまいましたほど。結局長編訳出はいまのところ、上記にあげた三作のみです。埋もれさせるには、あまりに惜しい才能です…!!






 
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夭折は辛いです。
これから活躍が期待された作家や俳優の方が
早くに亡くなると悲しいですね。なんでよりによって
あれ程の人材が、と落ち込んでしまいます。
レイモン氏は「殺戮の野獣館」をブクオフで立ち読み
して鬼畜ペド野郎の夫にゲンナリし、ラストそんなの
ありかいな!とドッと疲れて、その一冊で挫折。
野獣より人間の方がよっぽどキテますわ。
なんかケッチャムよりダメージが大きい。
奈良の亀母 2009/02/22(Sun)21:40:03 編集
ほんとに残念です
>亀母さん
う~ん、どうも〈野獣館〉シリーズのアクの強さゆえか、拒絶反応を起こしちゃう人が多いようですね。
基本的には、軽いノリのワクワクホラーなんですけどね~…
↑ あ、でもこの作品は、鬼畜ロリコン男も出てこないし、淫獣も出てきませんし、ちゃんとした結末です(← どういう説明の仕方?)。亀母さんにも安心してオススメできると思います!B級ホラーのようなストーリーも楽しいですよ。
わたしはレイモンというと、若者、キャーキャーホラーというイメージが強いです。大好きな作家さんだったので、亡くなられたときはほんとうに悲しかったです。
ななみ 2009/02/24(Tue)23:40:11 編集
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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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