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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    (2008)スウェーデン
    出演…カレ・ヘデブラント、リナ・リーンダーソン、
         ペル・ラグナル、ヘンリク・ダール
    監督…トーマス・アルフレッドソン
    ★★★☆


〔ストーリー〕
 12才の少年オスカーは、両親が別居していて、郊外の団地に母親とふたり暮らし。そのためか、クラスメイトたちから毎日のようにからかわれていた。ナイフを持ち歩き、それでいじめっこたちを脅すことを夢想し、殺人事件の切り抜きを集めて心を慰めるオスカー。だが、ある夜、彼の隣の部屋に謎めいた父娘が引っ越してきたことから、おそろしい事件が周辺で起こるようになって…


 トレイラーからかなり期待していたこの作品、いや~、待った甲斐がありました!!
原作は、同名のベストセラー小説だそうで、ジョン・アヴィデ・リンクイストというこの原作者、スウェーデンでは人気のホラー作家さんなんだそうです。うーん、ぜんぜん知りませんでした。

 トーマス・アルフレッドソンという監督さんも、正直よくわからないのですが、本作品で大注目された方です。9/11テロからニューヨークの復興を目指して設立されたトライベッカ映画祭で、最優秀賞を受賞、ほかにも数々の賞に輝いているもよう。英語タイトルでは、「Let the Right On In」になっています。

 吸血鬼映画というと、「30 Days of Night」(2007)の記憶も新しいですが、こちらは派手なことはいっさいなし、じっくり見せる神秘的なドラマ。12才の少年トーマスと、おなじく12才くらいに見える(?)少女エリの恋愛模様が軸となっています。

 オスカー(カレ・ヘデブラント)は夢見がちで孤独な少年。母と団地でふたり暮らし、頭も悪くないのですが、いつも学校でいじめられてしまいます。そこでナイフを上着に忍ばせて、鏡にむかってすごんでみせたり、夜中に団地の前の木を傷つけてみたりと、怒りを放出しています。すると、背後から女の子の声が。ジャングルジムに座るエリ(リナ・リーンダーソン)の登場です。

 吸血鬼というと、一般的なイメージは 「美男美女を求めて夜の街を颯爽と徘徊する…」、といったところなのでしょうが、こちらの吸血鬼はすこしちがいます。エリと父親にはつねに、“食糧問題” がつきまとっているのです。そのため、越してきてそれほど経たないうちから、父親は食糧集めに奔走します。

 この手段がまた、犠牲者を木に吊るして喉を掻き切る、というたいへんな重労働なので、「どうして吸血鬼なら、サッとできないんだろう?」 と、疑問が生じます。ここで、エリと彼の関係そのものが疑問となります。これが、のちに氷解するようになるのですが、彼らは永遠の命を得ると同時に、たいへんな宿命を背負っているのだとわかるようになるのです。

 郊外の雪景色がうつくしく幻想的で、登場する子供たちもどこかはかなげ、繊細で透明感のある雰囲気を漂わせています。主役のオスカーを演じるカレ・ヘデブラントはまるで女の子のようですし、ヴァンパイアを演じるリナ・リーンダーソンは、少女ながら、この世のものならぬを纏っています。いじめっこのコニー(パトリック・ライドマーク)でさえ、愛らしく、はかなげに見えてしまうほど。

 オスカーとエリは徐々に心を通わせるようになり、ジャングルジムでデートしたり、壁を叩いてモールス信号でやりとりしたりと、幼いながらも恋心を募らせていきます。
ですが、小説のようにうまくいかない吸血鬼の暮らしは、すこしずつ破綻を迎えて…

 アメリカではさっそくリメイクが決定したそうですが、他国のリメイクとなると、大切な雰囲気も味わいも霧散させてしまうのが米国製… 今回もそうならないことを祈ります。(…といいますか、たぶん観ないだろうな~!)
 12才の真っすぐな恋愛は、残酷でうつくしい。でも、それが永遠でないとわかっているから、余計に 「特別なもの」 として感じてしまうんですけどね。










 オスカー演じるカレ・ヘデブライト。
 傷つきやすく、うつろいやすい
 表情が魅力的です。








 母親とふたり暮らしのため、
 オスカーの異変にもなかなか
 気づきません。









 エリの父親を名乗る
 ナゾの男(ペル・ラグナー)。









 こんなドッキリ!!
 しちゃうシーンもあります









 エリ(リナ・リーンダーソン)
 の身になにが…?!








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相互リンクのお願い
はじめまして。貞子と申します。怖い映画が大好きで遊びに参りました。よかったら、相互リンクを
お願い出来ませんでしょうか。
私からは
http://www2.plala.or.jp/ivjkiz/ax/
から、リンクを貼らせていただきました。
ご検討を頂けましたら幸いです。

貞子の心霊写真館
http://www2.plala.or.jp/ivjkiz/sada/
貞子 URL 2008/11/03(Mon)20:57:55 編集
貞子さん♪
こちらこそ、はじめましてです。
コワい映画好きな方、いつでも大歓迎です!
相互リンクですが、もちろんOKですよ♪ こちらもさっそくリンクしてしまいました。
サイトを拝見したのですが、これはまた、なかなか貴重な写真を集めていますねー。コンテンツも豊富で、なんだかおもしろげ♪です。
こちらはつたない映画レビューブログですが、よろしければいつでも遊びにきてくださいね!
ななみ 2008/11/04(Tue)19:44:20 編集
ありがとう!
こんばんは!貞子です。
早速の相互リンクをどうもありがとうございます!
とぉおっっっても、嬉しいです!
ななみさん、今後とも
末永くよろしくお願い致します。
貞子 URL 2008/11/04(Tue)21:40:29 編集
こちらこそ
>貞子さん
どうもありがとうございます!
こわいもの好きの仲間が増えてうれしいです~♪
こちらからも、末永くよろしくお願いしますね。
ななみ 2008/11/06(Thu)13:24:52 編集
無題
「アンデッド」を撮ったスピリエッグ兄弟が今度は
デイブレイカーズという吸血鬼映画を引っさげて
ハリウッドデビューするそうですね。
これは完全に吸血鬼が多数を占めた吸血鬼仕様
の世界観の映画だそうです。こんな世界だったら
エリも食糧確保に苦労することは無いのに。
奈良の亀母 2010/01/19(Tue)20:21:39 編集
知らなかった…
>亀母さん
ええー、「デイブレイカーズ」って、「アンデッド」の監督さんだったんですか!!
まったく知りませんでした、ずいぶん出世しましたよねー。といいますか、「アンデッド」のときはほとんどギャグだったのに…!!
情報がおそくてすみません。
でも、「デイブレイカーズ」は近いうちにチェックしたいと思います!
吸血鬼映画って、古いように思えて、まだまだ新しい可能性がたくさん残されているテーマですよね。いちばん魅力的なモンスターかもしれません。
ななみ 2010/01/20(Wed)20:37:35 編集
無題
はじめまして。
原作読みました。
エリが実は●の子(そういえば、映画でもあんな場面やあんなセリフが)だったり(それなのにオスカーとあんなことやこんなこと…)、ホーカン(エリの父親を名乗る男)のゾンビ化(?)など、驚きの連続でした。
ハイミー 2010/03/09(Tue)14:10:14 編集
ハイミーさん♪
初コメありがとうございます!!
この作品は原作からして、すばらしいですよね~。
吸血鬼の物語をこんなにやさしく、情感豊かに描いた小説ははじめてかもしれません。
エリもオスカーも純粋すぎちゃう!
もうリメイクが発表されたようですけど、出来のほうはどうなんでしょう…?
あ、こちらの映画化作品は、原作の雰囲気を壊さないステキな映画でしたよ。
ななみ 2010/03/10(Wed)22:53:16 編集
原作、読了なさいましたか?
映像を観ていないもので、原作について話したくて
たまりません。ななみ様は最後まで読まれたんですよね?訳があまりこなれていないという話ですが、
原書で読めないし・・・。紀行番組で見るストックホルムは美しいけれど、この作品の中では色々な社会
問題を抱えているとわかりました。
奈良の亀母 2010/03/13(Sat)01:02:01 編集
横から失礼します
邦訳でしたら、私はとても読み易かったです。
言葉に敏感な人にしてみれば違う意見かもしれませんが、個人的にはAmazonのレビューは難癖としか思えませんでした。
ただ英語からの重訳ということで、原文から遠くなっているであろうことは残念ですが。
エリの正体に関連してネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、英語等では配慮不要な人称の問題、主語を略しても通じるという日本語の特性を逆手にとって、ギリギリまで出さないという小憎い配慮。
特にセリフ回しが各々のキャラに良く合っていて、訳者がこの人で良かったと私は思います。

ところでスウェーデン版の原書ですが、装幀が素晴らしく(英語版よりずっといい!)、読めなくとも是非手に入れたいと思っています。
でもAmazon等では扱ってないんですよね。
ハイミー 2010/03/15(Mon)10:28:42 編集
なかなかの佳作
>亀母さん
はい、先日やっと読みました!
感触だと、質の高いヤングアダルトといった雰囲気でした。でも、ページ数からすると、じゅうぶん大人むけですよね。
訳がこなれていないという話でしたが、わたしはあまり気になりませんでした。すいすい読めちゃいましたし。
外国の小説って、生活や情景なんかが新鮮でおもしろいですよね。最後のほうにはじわじわきちゃいましたよ~。ホーカンがかわいそうだったですね…

>ハイミーさん
ハイミーさんもベタ褒めですね!
わたしはそれほど問題なかったんですが、でも訳文に敏感な人からすると、ちょっとわかりにくいところもあるんでしょうかね。
青春小説かと思わせて、なかなかの力作でしたよね。盛り上げ方も王道で、個々のキャラクターが魅力的でした。
スウェーデン版の原書を手に入れてしまうのですか??
わたくし、キングの原書を読もうとがんばって、途中で挫折したクチです…
でも、原書って表紙がかっこいいですよね!
ななみ 2010/03/15(Mon)22:21:20 編集
原作本の話が出来て嬉しい!
ななみ様、ハイミー様、こんばんわ。
そうか、日本語だからエリの正体をギリギリまで
隠しておく事ができたんですね。
ラスト、骨董品のようなトランクを持って去って行く
少年の描写も余韻がありました。
エリクソンって世界最大の携帯通信会社でも
ありますね。ロマンもへったくれも無いとお叱りを
受けるかもしれませんが、安全かつ新鮮な血液を
安定供給するには、医療関係者を仲間にして
治験のためと称して健康な若者を集め採血すれば
良いのでは・・・。ホーカンの涙ぐましい苦労は危険
が大きすぎます。
奈良の亀母 2010/03/16(Tue)00:30:39 編集
モールス
>亀母さん
亀母さんも大絶賛しまくりですね!!
↑この提案、かなり能率的ですね。といいますか、じっさいに吸血鬼がいたら、この方法でひっそりと生活していると思います。
現代は、モンスターが生きにくい世界なんですよ。トランシルヴァニア伯爵の時代とはぜんぜんちがいます。
エリの異質なアウトサイダーが、ドラマをひき起こしちゃう…ううーん、しんみりとした、いい作品でした。
でも、やさしくてうつくしいお話でしたよね。
ななみ 2010/03/18(Thu)20:36:46 編集
無題
「ぼくのエリ 200歳の少女」という邦題で劇場公開
されるそうです。題でネタバレしとるがな。
でもこれでレンタルにもなる希望がわきました。
週刊スパで高橋ヨシキさんが大絶賛しておられます。オスカル・エリクソンだから、オスカルもエリなんですよね。
奈良の亀母 2010/07/08(Thu)23:25:04 編集
200歳の少女
>亀母さん
タイトルで完全ねたばれですね!
でも、もともとこれは「やさしい吸血鬼映画」という売りこみだったので、まあ、そんな支障はないかと思います。
わたしの得点はこんな(↑)ですけど、映画好きの方が観たら、それこそパーフェクト映画なんじゃないでしょうかねー。
やはりみなさん、絶賛されてますね♪
オスカルくんもすごくよかったですよ!!亀母さんにもご覧になっていただきたいです。
ななみ 2010/07/14(Wed)21:19:05 編集
静かな作品ながら・・
ストックホルムの雪景色もいい感じで・・・
なかなか面白かったです。
ラストも巧くまとまっていた気がします。
原作を読みたくなりました。
クロケット URL 2010/07/21(Wed)19:36:40 編集
じんとくる
>クロケットさん
これは原作もオススメですよー!!
この壊れそうでせつない心象が、かなり印象的でしたよね。子供たちもみんなよかったです。胸キュン映画ですよね♪
おなじ雪モノ(?)で、「Frozen」という作品を期待しているのですが、これは近々観たいと思います!!夏はこういう映画が最適だと思います~(夏に弱いんです…)
ななみ 2010/07/30(Fri)00:41:42 編集
白い世界、透き通るような子供達。
やっとレンタルできました。待ったかいがありました。
声変わり前のオスカーの声の方がエリの声より高くて少年ぽいです。エリの方がハスキーな低音なんですね。「私を受け入れて、少しでいいから理解して。」
エリの魂の叫びが胸をうちます。ラストのプールの場面の美しいこと!水から顔を出したオスカーの微笑み、見つめるエリのブルーグレイの瞳・・・。
奈良の亀母 2011/07/13(Wed)21:33:29 編集
氷の世界
>亀母さん
やっとレンタルできたんですね、よかったですー!!
この世界観は、ぜひとも亀母さんのご感想を聞きたかったのです。うつくしいですよね、登場人物がみんな、なんだか透き通って見えます。
プールのシーンはすばらしかった!!結局エリが本気を出したところは一度も見れなかったですが、強いんでしょうね。強くてうつくしい。
この作品はリメイクとか必要なかったと思います。ああ、暑いこの季節にぴったりの映画ですね!
ななみ 2011/07/17(Sun)22:18:39 編集
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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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