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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    The Box



(2009)アメリカ
出演…キャメロン・ディアス
ジェームズ・マースデン
フランク・ランジェラ
監督…リチャード・ケリー
★★★


〔ストーリー〕
 1976年、ヴァージニア。高校教師のノーマ、NASAの技術者のアーサーは、ひとり息子のウォルターと平和に暮らしていた。ある早朝、玄関チャイムを鳴らす音が。ノーマがしぶしぶ出てみると、走り去る黒のキャデラックと玄関前に置かれた箱を発見する。箱の中身は、中央に赤いスイッチがそなえつけられた、これまた木箱。なんだろう? 配達する家をまちがえたんだろうか?
 翌日、箱に入っていた手紙の送り主とおぼしき、顔の一部が欠けた男・スチュワートがやってくる。彼がいうには、これから24時間以内にスイッチを押せば、百万ドル進呈するという。しかし、その代わりに…


 「Donnie Darko」「ドニー・ダーコ」2001)のリチャード・ケリーの最新作~
原作は、リチャード・マシスンが脚本を書いた〈新トワイライトゾーン〉「欲望のボタン」。余談ですが、コーミアの 『フェイド』 は彼が監督することになりそうですね。

 えっと、あの、その、今回はずばり正直に感想からいいましょう!
期待しすぎた~~

 マシスンのドラマは未見なので、くらべることはできないのですが、内容はまったくちがう感じになっているようです。だって、もとは短編、こちらは例によって例のごとく、やたらと長いドラマになってますもん。ケリー監督は、「ドニー・ダーコ」 のときもそうだったのですが、好ききらいがはっきりわかれる監督さん。好きな方は、複雑な伏線の張り方、ナゾだらけのファンタジーという雰囲気が、たまらないかと。つまらないと感じてしまうひとは、「えー、そんだけの内容を、なぜここまでひっぱる?」 といったことになっちゃうんでしょうか。

 ちなみにわたしは、「ドニー・ダーコ」 は好きです。複雑な展開、ちょっと気持ち悪い(?)不可解さみたいなのが、十代の少年の心境とぴったりマッチしてました。
で、この作品もやっぱりおんなじように、不安定で不安で、複雑なナゾだらけ。

 ノーマ(キャメロン・ディアス)は高校教師。夫のアーサー(ジェームス・マースデン)は、NASAの研究員です。この、“NASAの研究員” というだけでも違和感アリアリなんですけど、いちばん違和感アリアリだったのは、ふたりが夫婦だということ~!

 オープニング、おなじベッドで寝てるシーンからはじまるんですが、ちがう意味でドキッとしちゃいましたよ。だって、どう見ても 「おねいさんとその弟」 にしか見えないんですもん! でなければ、どう見ても 「大女優さんとマネージャー」… (ファンの方がいたらごめんなさいね~)
 あきらかにキャスティング・ミスかと思われます。が、まあ、結末に近づくと、それほど違和感は感じなくなってきます。といいますか、見なれてきます!

 舞台が70年代だし、物語も70年代テイスト。ショートショートの枠組みに、いろんなナゾやドラマや神秘性をふくませて、それなりにひとつの長編として成立してはいるんですけど…
 
 ううーん、まず、内容がしごく単純すぎですよね。
ここにひとつの箱がありまして、箱の上にはボタンがあります。このボタンを押せば、一億円進呈しちゃいまーす!! ただし、どっかでひとり、だれかが死んじゃうんだけどねえ~

 全体的に不穏で不思議で、70年代のアメリカをファンタジックに描いているんですけど、今回はどーも、わざと観客を混乱させるために、いろんな不思議を絡めてきた! そんな印象を持っちゃいました… おかしいですねー? わりと好きな監督さんだったんですけど…

 評判のほうもずばり二極してまして、お好きな方は大絶賛、うけつけない方は、「え、たったそんだけ?」ってなことになっちゃってますが。
わたしはいまのところ、中立の立場にしておきます。
 マシスン原作ということで、期待しすぎてしまったんですかね? でも、いまさらこのオチは古いような気もしますが… というのは、気のせいでしょうかね、たぶん気のせいです!!

 なんだか、いい意味でも悪い意味でもハリウッド映画でした。わたしはゴリ押しな結末がどうしても苦手なので、「Knowing」「ノウイング」2009)とおなじ評価になっちゃいました~
 さて、みなさんの評価はいかに?

 









このボタン押すと、一億円
もらえるんだと!
(わたしなら速攻押す!)








キャメロン・ディアス、
すごく美人なんですけど、
夫婦という設定は…
姉さん女房ならいいか!









見るからにヤヴァイお顔の
オジサン。
(フランク・ランジェラ)









夫婦の決断が、この後思い
もしない展開に…??









ファンの方のためにもう
一枚。
今回は、ステキな笑顔は
封印されちゃってます。








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    Moon



(2009)イギリス
出演…サム・ロックウェル
ケヴィン・スペイシー(声のみ)
出演…ダンカン・ジョーンズ
★★★☆



〔ストーリー〕
 近未来、地球の資源は枯渇する一方で、なんとか手を打とうと考えた人類は、月の自然ガス 「ヘリウム3」 を利用することを思いつく。ガスの発生場所を探す会社 〈ルナー〉 に雇われたサムは、月面基地に3年間契約で、たったひとりで逗留していた。相棒は、ロボットのゲッティのみ。そして、そろそろその契約期間も終わり、愛する妻とまだ幼い娘に会えるというころ… ひとりきりのはずのサムは、何者かの気配を感じはじめるようになって…??


 ダンカン・ジョーンズというこの監督さん、なんと、デヴィット・ボウイの息子さんなんだそうですよ! へえ~、お父さんが有名人で、お家も超お金持ち、それに才能もあるだなんて… なんて憎たらしい~、じゃなかった、うらやましい!!
 そういえば、ボウイも〈スペース・オディティ〉なんてヒット曲がありましたよね。今回はずばり、極限状態に置かれた人間のスペース・ディメンシア(宇宙空間で起こる精神異常のこと)なんですよ…

 …と、書きたいところなんですが、これがぜんぜんちがいました。わたし、こういう映画に非常に弱いです。あの、あんまり書くとねたばらしになっちゃうので、書きませんが、これはせつないなあ~

 本作はサム・ロックウェル(役柄でもサム)のほぼひとり芝居状態、ケヴィン・スペイシーは彼の相棒のロボットの音声のみで出演しています。
 
 わたしはこの作品を観るまで、サム・ロックウェルという方がどんな役者さんなのか知らなかったんですよ。でも、どうも見おぼえがありまして、「The Green Miles」「グリーンマイル」1999)で殺人鬼を演じた方だったんですね。あと、「チャーリーズ・エンジェル」(2000)でも悪役を演じてらっしゃいました。なんか、“カメレオン俳優” なんて仇名がつけられているようですが、たしかに本作を観るかぎりでは、悪役の面影は微塵もありません。それで、このひとありきの映画にもなってます。

 サムは月面基地にたったひとりで滞在、3年間そこにとどまっていて、ヘリウムガスの発生地を探すという任務を負っていました。ひろい基地にたったひとりきり、ロボットのゲッティ(ケヴィン・スペイシーの声)だけが話し相手。たまに家族から映像レターが届きまして、ああ、会いたいなあ、愛娘はずいぶん大きくなったなあと、しんみりしたり。模型に熱中したり、植物を育てたりと、なんとか陽気に過ごしています。

 さて、そのさびしい任務もそろそろ終わり、やっと地球に帰れる! というころ。月面をスペースバギーで移動中に、彼はだれかの人影を見たように思います。んっ? なんだいまの?? あわてた拍子に、事故ってしまうサム。けれど、その気のせいはその後もどんどん強くなっていくのです…

 一応スリラーということになってるんですけど、これは特異な状況に置かれたとき人間はどう反応するか? そもそも、人間の根本とはなにか? そんなことを問いかけてくる、シンプルなように見えて、じつに複雑で奥深ーいお話。サム・ロックウェル、いままでよく知らなかったんですか、じつにいい役者さんだと思います! この作品を観て、いっぺんで好きになってしまいました。
 あの、ちょっと哀しげで滑稽な表情が、ほんといい味を出してくれるんですよ~。

 人間はだれしもひとりじゃ生きられない。地球から遠く離れた場所で、いつしか彼は、自分はいったい何者なんだろう? という、シリアスな問題に直面しなければならなくなってきてしまいます… ううーん、これはかなりキツイ。この手のSFって、母なる地球から遠く離れているということに、わたしはいちばん恐怖を感じてしまうんです。

 サムのおかしくて、ときに悲しい自然な演技と、ロボット声のスペイシーのやりとりがおもしろかったです。でも、だんだんロボットもなにを考えてるのかわからなってきちゃって、疑心暗鬼が生まれちゃったりしてね。

 このように、ほとんどサム・ロックウェルの演技力のみで構成されてるんですけど、スタッフもかなりスペシャリストなひとたちを集めたんだろうな、というのが作品の完成度の高さからわかります。あと、音楽もいいです。さすがボウイの息子さん! なかなか盛りあがらせてくれますよ。

 デビュー作でここまでオリジナリティがあって、世間の注目を集めちゃうとは、これはかなりの期待の新人さんになるようです。やはり蛙のお子さんは蛙ですね~、うらやましいっっ!!












ん?だれかいた?!









…だって、だれかいる気が
するんだもん!








やっぱりだれか
いるよう!!!














あれっ? うしろにいるのは…??
(右端にいるのがゲッティです)







    Tell Tale



(2009)イギリス・アメリカ
出演…ジョシュ・ルーカス
レナ・へデイ
ブライ アン・コックス
監督…マイケル・クエスタ
★★★


〔ストーリー〕
 シングルファーザーのテリーは心臓疾患のため、移植手術をうける。テリーの愛娘のアンジェラも先天性の病気をかかえていて、担当する小児科医のエリザベスとはじつは恋仲。
 テリーの手術は成功、術後の経過も順調に思えたころ… ある男の姿を目撃したとたん、不可解な胸の痛みと鼓動、奇妙な幻覚が見えはじめた。これはいったいなんなのか? テリーはしだいにドナーの過去を調べはじめるのだが…


 監督のマイケル・クエスタは、TV界で活躍していた方みたいです。テル・テイル、つまりポーの 『告げ口心臓』 をもとに、このストーリーを思いついたそうです。みなさんもご存知かと思われますが、心臓は記憶する部分があるのです… もっといってしまえば、人間の身体のあらゆる部位は記憶する能力があるのでは? と、最近の進んだ研究者たちは考えているようです。

 物語は、シングルファーザーのテリー(ジョシュ・ルーカス)が心臓の移植手術をうけることからはじまります。テリーのひとり娘も先天性のむずかしい病気をかかえていて、担当する医師のエリザベス(レナ・へデイ)とはひそかにいい雰囲気。テリーはシングルファーザーでもいい男なので、美人の女医さんから好意をもたれちゃうんですね。

 術後の経過も順調、ときどき病院に通う日々がつづくのですが、ある朝のこと。急患がやってくる騒ぎの場に居合わせて、そこに駆けつけたひとりの警備員を目にすると… 心臓がドキドキと脈打ちはじめ、激しい痛みに襲われ、不可解な光景が見えるようになってしまいます。
 直感的にあの男には見おぼえがある、知っている(?!?)と感じたテリーは、その後何度か男に接触するのですが… そのたびに、尋常ないくらい心臓が高鳴り、恐怖をおぼえてしまいます。

 気になったテリー、さっそく医師に相談するのですが、よくあることだととりあってもらえません。医師が席をはずしたすきに、ドナー記録を盗み見ると、相手は女性だったということがわかります。しかもこの女性、殺害されていたのでした…!!

 こういう内容って、ぜったいつぎは犯人探しがくると思いますでしょう?
これ、ちがうんですよ。そこがちょっと新しいかなと思いました。ドナーの心臓はテリーの心臓でもあるから、彼女の痛み、恐怖も共有してしまうんですね。その結果、起こる悲劇とは…??

 どうも見おぼえのある女優さんだなーと、思ってましたら、エリザベス役のレナ・へデイは「ターミネーター/SCR」の母親を演じていた方でした。それから、テリーが相談する刑事さんはブライアン・コックスが演じています。

 結末に賛否両論があるようなんですが、わたしはこういう展開は新しくておもしろいかなと思いました。
 あと、ラストの拷問シーンはうひゃあ~ ということになっています。こういうシーンって、なんでもはっきり見えちゃえばいいってもんでもないんですよ! 見えないからよけい、想像しすぎてこわくなっちゃう… 最近どうも、こわがりになってますかね?
 地味ながらも良作です。


 









テリーとエリザベス。










なんでおかしなものが
見えるんだ??











刑事のヴァン役のブライアン・コックス。










たいへんなことが起きて
いるんだよ!!










ついには殺人事件が起きて
しまいます。







    The Collector


(2009)アメリカ
出演…ジョシュ・スチュアート
アンドレア・ロス
監督…マーカス・ダンスタン
脚本…パトリック・メルトン
マーカス・ダンスタン
★★★☆



〔ストーリー〕
 前科者のアーキンは妻と別居、ひとり娘のハンナが恋しくてたまらない。しかし、娘をひきとるためには金が必要。思いあまったアーキンは親切な上司マイケルの家に侵入して、盗みを働こうとするが… しかし、そこには先客がいて、家のなかにはありとあらゆる危険な罠が仕掛けられていた!!


 こ~れ~は~~
とーんでもなくおもしろい… じゃなくて、こわすぎた!!!
わたし、こんなこわい思いをしたのはひさしぶりです。
いまだにドキドキなトラウマがつづいています。

 マーカス・ダンスタン、パトリック・メルトンはともに「ソウ」シリーズの脚本をつとめていて、「フィースト」三部作も書いた方たちです。で、ダンスタンが今回満を持してメガフォンをとったわけなんですが、これがシャレにならないほどこわい出来になってまして、とにかくびっくりしました。

 まず、タイトルがありきたりですよね。日ごろからあまりチェックしているほうではないので、あやうくスルーしそうになったのですが、よく見たらこれ、「ソウ」 コンビじゃん…! ということで、これはひょっとすると、ひょっとすると~? などと、期待しながら観たのですが…

 期待以上の出来にひいひいいいっぱなし! たぶんこれ、大衆むきでないかもです。「ソウ」 がおもしろかったから、またあんなスリルが味わいたいの… なんて思ってる方には、ぜったい無理かと思われます。それ以上のスリルどころじゃない残虐性、悪意がありまして、いや~、ほんとこわかった!

 ストーリーはとっても簡単、ケチな小悪党のアーキン(ジョシュ・スチュアート)がいろいろと追いつめられて、とうとう自暴自棄になって上司の家に盗みに入っちゃう! しかーし、そこには彼が想像もしないほどおそろしい先客がいたのです… そんなお話。
 
 トレイラーをご覧になっている方も多いと思うんですけど、屋敷じゅうにいろんな仕掛けが施されていまして、おっ、やっぱり 「ソウ」 っぽい? なんて印象をうけるんですが。あのー、「ソウ」のときは、よくそんな仕掛け考えついたな~、あらあら、すごーいって、感心したり、そりゃ無茶!! と、苦笑いしたりする現実離れしたパターンだったんですけど、こっちはそんな生やさしいものではないです。

 とにかく痛い! そして、激しすぎる!!

 アーキンが盗みに入った家は上司のマイケル(マイケル・ライリー・バーク)、妻のヴィクトリア(アンドレア・ロス)、十代の先妻の娘のジル(マデリーン・ジーマ)、幼いシンディ(ハーレイ・パロス)の4人暮らし。シンディはひとなつこくてかわいくて、ちょうどおなじ歳ごろのひとり娘ハンナ(カーリー・スコット・コリンズ)を思い出し、憂鬱になっちゃうアーキン。別れた妻のリサ(ダニエラ・アロンソ)とは一応連絡をとりあっているものの、復縁できる見こみはなさそうです。なにより、この現状を変えるためには金が必要なのダー!

 そんな簡単な思考経路から盗みに入っちゃうんですが、そこは一度入ったら二度と出られない、恐怖のお屋敷になっていました~、ひい~

 これだけでもう、にわかホラー・ファンがくいつきそうな内容ですけど、新感覚のスリラーどころじゃなく、ハンパなくこわいんですよ。あの、オープニングから、どうも様子がおかしいぞ? とは思ってたんですけど、たとえるなら、ハネケ監督の「Funny Game」「ファニーゲーム」1997)(← オリジナルのほうね)みたいなテンションになってます。
 内容はぜんぜんちがうんですけどね。テイストもまるきりちがうんですけど。でも、残酷性とか、観客を挑発しているところとか、似ているかなと思います。あと、悪意要素もたっぷりふくまれております。猛毒注意!

 すっごくおもしろいし、はじまったら最後まで緊張しまくり、かたときも息がつけない快作なんですけど、正直これはこわすぎた…! もうちょっと得点を高くしてもよかったんですけどね~、あのー、わたし小心者ですから…
 なんですが、この監督さんは2作目もぜひホラーを撮ってほしいなと思います。だってわたし、悪趣味ですから!!










ホラー史上最大の
超不幸男、
アーキン!!









OPに挿入される
意味深シーン。
これはいったい…??








はれ?
なんか様子がおかしいよ?









窓が割れないのです
よー、ひい~










つかまっちゃうと、
えんらい目に遭わされてしまいます!!
とにかく逃げてー!!
 


 



    The Hills Run Red



(2008)アメリカ
出演…タッド・ヒルゲンブリンク
ソフィー・モンク
ジャネット・モンゴメリー
監督…デイヴ・パーカー
★★☆

〔ストーリー〕
 スラッシャー・ムービーの伝説の名監督・コンキャノンは、「ヒルズ・ラン・レッド」 という作品を撮影中に、出演者ともども行方不明になる。映画は未完のままフィルムも消失、予告編だけが残り、コアなホラーファンのあいだで話題になっていた。映画学科の学生タイラーは、友人のラロ、セリナとともに、「ヒルズ・ラン・レッド」 の真実に迫ろうとする。そして、監督のひとり娘のアレクサの居所をつきとめるのだが…


 ごく凡庸なよくあるスラッシャー… のはずでしたのに、困ったことに、これが思いのほかおもしろかったんです 〈ダーク・キャッスル〉史上、もっとも過激で残酷なホラーなんて文句がつけられておりますが。

 そういえば、わたしは 〈ダーク・キャッスル〉 作品をすべて観ているわけではありません。未公開作品もけっこうありまして、でも、一応大手ですから、作品基準はそれなりに高い。ですから、こんなありきたりのストーリーでもスプラッタに力が入っていたりして、なかなか見ごたえがありました。ぜったい飽きちゃうかと思ったんですけど、いったん観はじめたらあっという間に終わっちゃったです。

 物語は、映画学科の学生タイラー(タッド・ヒルゲンブルグ)が伝説のホラー映画 「ヒルズ・ラン・レッド」 の予告編を発見するところからはじまります。この映画、撮影途中で監督や出演者が不可解な失踪をとげてしまい、未完のままフィルムも行方不明になっていました。で、その予告編だけが残されていて、コアなホラー・マニアのあいだでは話題になっていたんですね。ネットの動画サイトにあちこちアップされて、タイラーはすっかり心を奪われてしまいます。

 この問題の映画の中身なんですが、“ベビー・フェイス” という殺人鬼がとにかく老若男女を殺しまくる!! という、これまた単純明快ストーリー。皹の入ったお面をかぶってまして、すっごく不気味です。つまり、いかにもホラー映画のモンスターらしい殺人鬼なのです。

 タイラーは友人のラロ(アレックス・ウェインダム)、ラロの恋人のセリナ(ジャネット・モンゴメリー)に協力を頼んで、監督のひとり娘アレクサ(ソフィー・モンク)に接近を試みます。アレクサはストリップダンサーでして、麻薬中毒者でもありました。タイラーは無理やり彼女をベッドに縛りつけて、彼女の薬抜きの手助けをするかわりに、「ヒルズ・ラン・レッド」 のことを聞かせてほしいと頼むのです。そして4人は、映画が撮影されていた森へ出かけるのですが…

 もうここまでで、ほとんどの方はつぎの展開がわかっちゃうかと思います… はい、そうでーす。そのまんま、なんのひねりもありません!

 ですが、途中からやたらテンポがよくなっちゃいまして、ゴアもいい感じにゴアゴアしてますよー “ベビーフェイス” が気持ち悪くって、ステレオタイプの誇張されたモンスターになっているのもいいですね。オープニングがなかなか不気味でショッキングです。あと、セリナとアレクサが美人でして、ふたりのヒイヒイこわがる顔もよかったです。やっぱり美女はヒイヒイいわないと! 殺害方法もえげつないんですよねえ。

 えっと、あんまり書くことはない作品なんですけど、とりあえずおもしろかった! ということです。でも、ラストがほんとそのまんまなのは、芸がないというか、尻きれとんぼというか… まあ、ゴアとモンスターを楽しむスラッシャーだからいいか!!
 ホラー・ファンなら観て損のない出来だと思います。



 









メイキングに残る、
監督の最後の姿。










そのひとり娘のアレクサ(ソフィー・
モンク)。
じつは、素顔のほうがかわいかったり。









タイラーは友人を誘い、
ドキュメンタリー制作を
試みるのですが…









ほんとに出ちゃった!!
これがベビーフェイス!


 






 
なにやらすてきな貯蔵室
になっておりますが。






   
    Bakjwi



(2009)韓国
出演…ソン・ガンホ
キム・オクビン
キム・ハソク
監督…パク・チャヌク
★★★


〔ストーリー〕
 敬虔な神父のユン・サンヒュンは、信仰によってひとびとを救済することに自信をなくしはじめていた。世界に役立ちたいという犠牲的精神から、アフリカで秘密裏におこなわれていたワクチン開発の実験台になる。そこで正体不明の血液を輸血され、身体中がただれてくるという奇病に冒された。吐血が止まらなくなり、とうとう命が燃えつきたと思えたとき…
 半年後、病を克服して歩く神父の姿が。「奇跡のひと」 とあがめられ、彼にお祈りをしてもらえばたちどころに病が治ると噂がひろがる。ある日、癌の息子のために祈ってほしいという母親があらわれた。彼女のそばには、薄幸そうな娘テジュがいた…


 なんだこれ~!!
 ふつうの吸血鬼を想像していたのに、昼メロみたいなドロドロ愛憎劇の、摩訶不思議なヴァンパイア映画でした! 英タイトルは「Thirst」


 わたくしこれ、ポスターから、真面目な神父さんがセクシー・ヴァンパイアにいいよられて、さあ、困った困った!! 的な内容かと思ってたんですけど… ぜんっぜんちがいました。
 いやにドロドロ愛憎劇が入りまじった、昼ドラみたいなヴァンパイアでした。監督さんは、「Oldboy」「オールドボーイ」2003)のパク・チャヌク。そこからなんだか想像つきそうですよね。はい! 想像どおり、なかなか気持ち悪い内容になっています。

 韓国にカトリック信者がどれくらいいるか知りませんが、主人公のガンホを演じるサンヒュンはきまじめな神父という設定。この神父さん、きまじめすぎちゃいまして、「世界のために自分になにができるだろう?」 とか、真剣に考えちゃって、なぜか知りませんが、アフリカの僻地でおこなわれている秘密の人体実験の犠牲になることを決意します。そこで血液を輸血されて、おかしな奇病にかかってしまいます。

 派手に吐血して、意識を失い、研究所の人間もあきらめかけたころ…

 半年後、なぜかサンヒュンは元気に復活。身体じゅうにへんな水泡ができて、ただれちゃうんですけど、日に日に治っていっちゃいます。「彼は奇跡のひとだ!」 と、祖国に帰るとあがめられちゃうサンヒュン。自分の病気を治してほしいと頼まれて、仕方なくお祈りすると… 不思議なことに、彼らはたちどころに元気に! ようするに、アレですよ、アレ。プラシーボ効果ってやつですね。

 でも、サンヒュン自身は自分が治したわけではないとわかっているから、どうも居心地が悪いです。癌にかかった息子を治してくれと、洋品店を営むラ夫人(キム・ハソク)がやってきます。そこには息子のカン・ウ(シン・ハギュン)の妻、テジュ(キム・オクビン)という娘がおりました。

 テジュは不幸な娘でして、洋品店に間借りしていた両親が夜逃げしてしまい、そのまま育てられてカン・ウの嫁にされてしまったのです。そんなですから、ラ夫人にいいようにこき使われているし、夢も希望もない。

 サンヒュンは神父さんですから、彼女に紳士的に接します。やさしくされた経験がないテジュは、これでいっきに燃えあがっちゃう! ふたりの関係はどんどん親密になりますが…

 えっと、2時間以上もある作品でして、あらすじだけ書いてたらきりないかもしれません。ようするに、ヴァンパイアな神父が人妻とできちゃって、あーだこーだ! 思うんですけど、アジアン映画って妙に生々しくて、ともすると気持ち悪くなっちゃうことが多々あります。(← 褒めてます!)それにしても、ヴァンパイアで、人妻とロマンスで、生々しくて、監督がパク・チャヌクとくると…

 いやらしい!! も~う、いやらしいっ!!!

 意識的に口愛シーンが多く、とーってもいやらしゅうございました。いちばん新鮮だったのは、サンヒュンが恥ずかしがって、男のくせに膝をとじちゃうシーンですかね。お好きなひとにはたまらないかと。わたしも好きです。ああ、でもこれがもっとイイ男だったらかなり(ry

 サンヒュン神父はいつまでも偽善者ぶってて煮えきらないですが、テジュを演じるキム・オクビン吹っきれててがよかったです。かわいい顔していろんなことしてくれますよー うそ泣きするシーンがグッときました。そのあとの豹変ぶりもいいです!
 
 「オールドボーイ」 のときも気持ち悪い映画撮るひとだなあと、思ってたんですけど(← でもこれ、日本の漫画が原作なんですよね?)、こちらはさらに輪をかけまして、気持ち悪いことになっています。一応ジョークも入ってますけど、わたしはちっとも笑えませんでした。これ、英語圏のひとが観たらどんな感想をもつんでしょう? 興味あります。

 このとおり、途中まではドロドロ・ドラマでたいへんおもしろく観れるんですけど、結末になって、急に “ふにゃ~” っと脱力しちゃいます。どっかで見たような、そんなありきたりの結末ですか… それでいいんですか。フツー、ここまできたら、ひらきなおるのが人間じゃないかと思(ry

 でも、いままでにないドラマ性を持ったおもしろいヴァンパイア映画でした。サンヒュン神父のいい子ぶりっ子にはやきもきしますが、テジュのキレかかった演技がよかったです。
 冗長さとラストの脱力さえなかったら、傑作の部類に入っていたかもしれません… 非常に惜しい!












煮えきらない神父の
サンヒュン。








かわいい顔して、かなりの
悪女!! 人妻テジュ。 










夫のカン・ウは、
おバカで純粋。















この図の詳細は、本作を観てのお楽しみということで~
でも、これよりもっと露骨なシーンもあるんですよ。
わたしはぜんぜん笑えませんでした… 生々しすぎるっ!







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
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女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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