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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Blood River



(2009)アメリカ
出演…アンドリュー・ハワード
テス・パンザー
イアン・ダンカン
監督…アダム・メイスン
★★★

〔ストーリー〕
 コロラドの砂漠を横断中のカップル、サマーとクラーク。サマーは妊娠中で、ふたりは幸せいっぱい。途中、ヒッチハイクの男性を見かけるが、クラークは警戒して無視してしまう。そしてモーテルにたどりつくと、そこにはさっき追い越したはずのヒッチハイカーが。しかし、ふたりはそれに気づかず、不気味なヒッチハイカーはモーテルの女主人に近づくのだが…?


 最近快作つづきなので、ここらでちょっと冒険してみようかと思います。
まずは、ひそかなホラー界の新鋭(← 勝手に決めました!)、アダム・メイスンの新作スリラー。

 たぶん、ほとんどの方は知らないと思いますが、メイスン監督は「Broken」「JIGSAW/デッド・オア・アライブ」2006)「The Devil's Chair」「悪魔の椅子」2006)と、たてつづけにホラーを撮って、一部のマニアからチラチラ話題になりはじめているイギリス人監督さんです。で、今回は配給会社がアメリカ。メイスン監督、ちょっぴり出世しましたー、やったね

 「悪魔の椅子」 はそのブッ飛んだストーリーから、ホラー心をいっきにわしづかみされてしまう内容でした。で、「悪魔の椅子」 でも主演をつとめたアンドリュー・ハワードが、今作でも主演。このコンビ、ホントいい仕事するんですよ。

 ストーリーはいたって簡単。
とあるカップルが砂漠を横断して旅行中。妻のサマー(テス・パンザー)は妊娠中、クラーク(イアン・ダンカン)もゴキゲンで車を飛ばしています。と、そこへ謎のヒッチハイカーのハワード登場! ハワードの役名は「ジョセフ」、じつはこの名前にも深い意味があるんですねー。

 サマーは彼を乗せようとしますが、クラークは警戒して無視。そのまま走り去ってしまいます。そして途中で辿りついたモーテルには、追い越したはずのハイカーが??
 でも、ウキウキ気分のふたりはまったく気づきません。ハイカーのほうも、どうでもいい様子です。彼はモーテルの女主人を口説きはじめるのですが…

 翌日、モーテルの女主人は不在。不審に思いながらも、カウンターに鍵を置いて出発するクラークとサマー。と、ここで運命の歯車が狂いだしてしまうのですね~、見事に事故って、クラークは怪我をし、妊娠中だというのにサマーといっしょに炎天下のなかを歩きつづけることになります。

 やがて、見捨てられたゴーストタウンに到着。だれも住んでいないし、水もありません。パニックになって泣きだしてしまうサマー。「だいじょうぶ、ぼくを信じるんだ!」 と、なんの根拠もなく慰めるアホなクラーク。
 でも、そこにはじつは住人がいたのです。それがきのう無視した、ハイカーのジョセフでした。

 ジョセフはじつはけっこう親切な男で、サマーの身体を気づかい、とりあえずひと晩過ごして、翌日になったら車をとりにいこうという話になります。
 最初は警戒心満々のクラークでしたが、サマーはすっかり彼のことを気に入った様子。なんだか彼がお腹に手をかざしただけで、彼女の気分も爽快になってしまったのです! やがて3人は打ち解けた仲になります。そして、静かな夜が明けるころ…

 たぶん、かなーりひいき目入っちゃってるかと思います。でも、結論として、この監督さんはやっぱりイイ!!
 スリラーと書きましたが、ジョセフが直接暴力を振るうわけではなく、夫婦に心理ゲームをしかけるんですね。で、彼がなんでそんなことをしているのかというと…??

 「悪魔の椅子」でも、その迫力に一発でノックアウトされてしまったんですが、アンドリュー・ハワード、やっぱりいい役者さんです! とくべつハンサムでもないのに、どのシーンでも妙にきまっちゃうんですよ。ちょっと、若いころのイングランドおじさんに似ていますかね? でも、おじさんよりアクが強い方かもしれません。わたくし、ふだんは文学系美青年好きなんですけど、この方は表情ひとつとっても魅力的  とくに、カメラにむかって意識的に微笑むシーンなんか、

 惚れてまうやん~!!!

 というくらい、妙にクセのあるカッコよさがあります。だれがなんというと、ステキな役者さんだと思います。もうですねー、このひとが出ているだけで、いい画面になってしまうからなんでもいい! そう思えるくらいの存在感があります。

 でも、一応ストーリーのほうも、しっかりしたものになってますよ。ストーリーがどうのこうのというより、この監督さんは、もともと気迫で見せる作品を作るのが得意なひとみたいです。よって、ハワードにつられて、テス・パンザーも、イアン・ダンカンも、かなり切迫した演技を見せてくれます。

 とてもクールでイカした映画でした。この作品も、レンタルになるといいんですけ
ど~、といっても、めったに置いてないレンタルになりそうですけど…
この調子だと、「Luster」(2009)も非常に楽しみです!








荒野をさまよう
カップル。







あれ?話してみると、
ジョセフはけっこう
いい男。






ジョセフの部屋には、
壁一面にナゾの
写真が…?






なあ奥さん、いいだろう!
と、いっているわけでは
ありません!








んで、キレちまったクラークは!!












素顔のハワード。
知的な雰囲気のひとなんですね。







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   The Disappeared


(2008)イギリス
出演…ハリー・トレッドウェイ
グレッグ・ワイズ
ロス・リーミング
監督…ジョニー・ケヴォーキアン
★★★


〔ストーリー〕
 更正施設からやっと自宅に帰ることを許された、青年マシュー。自宅には疲れた様子の父がひとりだけ。じつは、およそ一年前に彼らは幼い弟のトミーの行方を失っていた。監視カメラに自宅のアパート前の公園で遊ぶトムの姿が映っていたきり、彼は忽然と姿を消してしまっていた。罪悪感に駆られ、父親ともうまく接することができないマシュー。だが、父が録画していたトム捜索のテレビ番組を観ていると、突然トミーの呼びかける声が聞こえてきて…??


 これ、ずっと観たかったんですよー、超王道なシックスセンス・ホラー!

 なんだか、〈ハリポタ〉 のいじわるっ子(トム・フェルトンくん)が出演しているということで、話題になってるようなんですが、期待どおりのきっちりした映画でした。トレイラーからもわかるとおり、かなり丁寧に、実直に撮られている作品です。

 監督のジョニー・ケヴォーキアンは、これが長編第一作目となるようです。最近とみに思うんですけど、いまのひとって、ほんと器用な方が多い! なんだかんだいって、うまいこといい感じに撮れちゃうみたいです。

 冒頭、更正施設から帰宅するマシュー(ハリー・トレッドウェイ)のシーンからはじまります。

 マシューは父の待つアパートに帰るのですが、なんだか浮かない様子。じつは、彼には幼い弟のトム(ルイス・ランペルール・パルマー)がいたのですが、およそ1年前に行方不明になっていました。
手掛かりはなく、父はテレビ出演をしてトムの情報をよせてくれるよう訴えかけたり、いろいろな努力をしたのですが、結局見つかりませんでした。トムが消えた夜、マシューは自宅でパーティーをひらいていて、遊んでくれるようにせがんだトムを無視、そのためトムはひとりで外にいってしまったのです。

 そんな理由から罪悪感に悩まされて、素行も悪くなってしまったマシュー。父のジェイク(グレッグ・ワイズ)も表むきは冷静に振る舞ってますが、かなり焦燥しています。

 帰宅したその日、父の録画していたテレビ番組に目を通すマシュー。そこに映しだされるのは、公園でひとり遊ぶの映像… 悲しみがこみあげてきたそのとき、「マシュー!」と、トムの声が。なんだ? え? 幻覚? しかし、テープを巻きもどしてみると、やっぱりおなじ箇所で声が聞こえます。

 やがて、声ばかりでなく、姿も見えるようになってしまうマシュー。友人のサイモン(トム・フェルトン)、幼なじみのエイミー(ロス・リーミング)に相談したりして、自分はおかしいんだろうか? いや、もしかしたらトムはどこかに生きていて、自分に伝えたいことがあるんじゃないか…? そう考えるようになるのですが…

 正直に申しあげまして、簡単に結末が読めてしまうお話。
それでも最後まで飽きさせないのは、マシュー青年の内面がしっかり描かれているから。

 マシュー演じるハリーくんの表情もいいんですが、イギリスのごくフツーの若者像が描かれていて、とても感情移入しやすいです。たとえば、なんにもない退屈な町だったり、低所得者むけの巨大アパートだったり、いじめっ子軍団だったり(…このいじめっ子軍団がまた、万国共通の憎たらしさでムカつきますよ~)、おなじように退屈している友人、日曜の教会通い… ああ、こういうのって、ほんとにイギリス青年の等身大の生活なんだろうなと、思ってしまいます。ストーリーも骨子がしっかりしていて、結末までひっぱります。

 ほんとうは職探しして、新しい人生をはじめなければいけないのに、トムの事件からなかなか前に進めなくなっているマシュー… 父親とのぎこちない会話シーンもよいですね。

 簡単に予想がついちゃう結末ですが、最後の最後、中盤のとあるシーンが納得できるようになってまして、「ああ、あれってそういうことだったのかー!」と、せつなくなったり。
それから、犯人の動機ですが、物語に登場するある象徴、古い写真などから… なんとなーくですけど、チラリとその理由をほのめかしています。いやな動機だなあ。

 これはよい映画!!
結末がなんともいえない、せつなくてやるせない気持ちになっちゃいます。









マシュー演じるハリー・
トレッドウェイ。








いじめっこ!!
いじめっこ!!








父との会話も気まずい
です…








地下のランドリー室で、
トムの亡霊を目撃!!









エイミーだけは彼の話を
信じてくれるのですが…







    Sauna



(2009)フィンランド・チェコ
出演…トミー・アロネン
ヴィレ・ヴィルタネン
ヴィクター・クリメンコ
監督…アンティ・ユーシ・アニラ
★★★☆


〔ストーリー〕
 ロシア・スウェーデン戦争の終戦間近の1595年。4人のロシア人兵士、クヌートとエリックの兄弟、ロゴジン、ムスコたちは国境を越えようと、湿地帯をさまよっていた。途中で足休めに立ちよった農家の小屋で、ひとりの少女と出会う。小屋のなかにプロテスタント信仰の象徴が隠されていたことに、エリックは激怒。少女を穴のなかに生き埋めにして、そのまま立ち去ってしまう。
 以来、彼女の亡霊にとりつかれてしまうエリック。やがて彼らは辺境の村にたどりつき、そこですべての罪を洗い流すことができるという、サウナの話を聞くのだが…


 言語がわからないうえに、難解なストーリーでして、この解釈ではたしてあっているのかどうか、いささか自信がないのですが…(汗汗)、
 とりあえず、イマジネーションが冴えまくっていておもしろかったので! どうにかむりやりレビューしちゃいます。

 フィンランドですよ、フィンランド。もしかして、フィンランド産ホラーははじめてかもしれないです。〈トロント〉でもかなり話題になったようでして、全米公開権も獲得しました。監督さんがまた若い。わたしはよく知らないんですが、一部のマニアのあいだじゃ大ウケしたらしい、フィンランド産の武術映画(!)「Jade Warrior」(2006)の監督さんだそうです。で、これが二作目になるんですが。

 ヨーロッパ映画って、どうもこう、青とか暗い色が基調の、ジメジメっとした寒い風景が特徴なんですけど、こういうの、好きな人にはとかくたまりませんよね~
 サウナでホラーと聞くと、「とじこめられちゃって、まあ、たいへん!」 的な、単純でアホな内容しか浮かばないわたしですが、こちらはかなり上質。文学臭のただよう高尚なホラー・ドラマとなっております。
 
 (内容確認があやふやなため、これであっているかどうか自信がないのですが)、16世紀末に起こったロシアとスウェーデン間の戦争が背景になっているようです。この後、何度もこのふたつの国家は戦争をくりかえすんですが、原因はカトリックを推し進めたいロシアと、プロテスタント国家のスウェーデンの覇権争いですね。ふう、宗教ってやつはこれだから… (イエイエ、個人的な主張ははさみません~!)

 物語は終戦間近の国境付近の湿地帯からはじまります。
 狡猾そうな兄クヌート(トミー・アロネン)を筆頭に、弟のエリック(ヴィレ・ヴィルタネン)、ロゴジン(レイン・トーク)、ムスコ(カリ・ケトネン)の4人は国境越えを目指します。しかし、彼らの手はあらゆる血で汚れ、おまけにひとりの少女を生き埋めにして見捨ててきたばかりでした… そのため、エリックは少女の亡霊につかれまくっちゃってます。

 越境の途中、立ちよった辺鄙な村で、すべの罪を洗い流すことができるというサウナの話を聞きます。すると、たしかにそんな建物が。亡霊につきまとわれているエリックは始終挙動不審、ムスコの様子までおかしくなってきて、クヌートは怯える弟を叱咤するのですが…

 …はあ、この内容であっているといいんですけど。
 最初にトレイラーを見たとき、アートっぽい映画なのかな、フィンランドの民間伝承が入っているのかな? などと思ったりしたのですが、ちがいましたね。リロ・クートナーという方の脚本でして、格調高い雰囲気が魅力の、しっとりとした、しかし最後には仰天サプライズが待ち受けている!! そんな、最近にしてはめずらしい、なかなかのオリジナル映画でした。

 物語に出てくるサウナですけど、みなさんが想像するような、あったか~い、湯気ほっかほか… そんな気持ちのいいもんじゃありません。すーごく寒そうです。やたらめったら! 寒々しいです。だって、ただの湿地帯のまんなかに、白い建物がぽつーんと建ってるだけですからっ!

 このサウナが “すべての罪を洗い流せて、きれいになれる” というよりは、断罪の意味がこめられてまして、そこからもわかるように、兄弟たちは罪まみれなんですね。だから、少女の亡霊も恨みつらみの具現化ではなくて、エリックの罪そのものだと。

 ちょっと雰囲気的に、むかしTVでも放映されてました、マーク・マクシェーンの 『雨の午後の降霊術会』 のドラマ化作品(…役所広司さん、吹風ジュンさんが出演されてました)みたいです。少女の亡霊がちょうどそんな感じなんですよ。物語も非常に文学系でして、最後に彼らの罪が白日のもとにさらされるとき… あっと驚くラストになっちゃうんですよ。

 内容がよくわからなくても、こんなにおもしろかったんですから~。これは日本語版が出たら、ぜひもう一度観たい作品です。(そのときに、解釈がまったく変わってたらどうしよう…??)
 これは観ておいたほうがいい映画です。フィンランド、レベル高いなー!!!









クヌート役のトミー・
アロネン。
「眼鏡、眼鏡…!」 と、
探すシーンが妙に
かわいそだったです。








エリック役のヴィレ・
ヴィルタネン。
兄とくらべると、
頼りない感じ…?










辺鄙な場所にとり残され
ちゃった兵士たち…









兄弟の愛憎なども
あったり。















サウナのなかには、なにが待ちうけている…?!?







    Long Weekend




(2008)オーストラリア
出演…ジェイムズ・カヴィーゼル
クローディア・カーヴァン
監督…ジェイミー・ブランクス
★★★


〔ストーリー〕
 倦怠期のカップル、ピーターとカーラは愛犬のクリケットを連れて、人気のないビーチへキャンプにむかう。そこでのんびり休日を過ごすはずが、ふたりはささいなことからケンカばかり。おまけに、そこは都会人の彼らには理解できない、不気味な力が存在していた…!!


 母なる大自然が牙をむく!!
都会人・能天気カップルを襲う恐怖の正体は??

 えーと、「Fortress」「リトルソルジャー/奇跡の砦」1986)「Razorback」「レイザーバック」1984)などで知られる、エヴェレット・デ・ロッシュの作品のリメイクです。
 監督は、「Storm Warning」「ストーム・ワーニング」2007)のジェイミー・ブランクス。

 内容説明に困ってしまうのですが、都会人のカップルが自然のおそろしさも知らないまま、キャンプに出かけて痛い目に遭う! そんなお話です。で、襲いかかる恐怖のほうなんですが、これがなんとも、説明不能といいますか、すごく漠然とした、なんだかよくわらない気持ち悪い雰囲気、ということで。

 オリジナルはもうずいぶんむかしに観たので、どんな作品だったのか、残念ながらおぼえていないのですが… ちょっと変わったホラーだったな、という印象があります。
で、リメイクのほうなんですが、これもやっぱり変わっている。地味な内容になるかと見えて、わりとおもしろかたです。

 ピーター(ジェイムズ・カヴィーゼル)は妻のカーラ(クローディア・カーヴァン)を誘って、人がめったに訪れない静かなビーチへキャンプに出かけます。ピーターのほうは銃やボウガンを用意したりと、なにかとはしゃいでいるんですが、カーラのほうは乗り気じゃありません。このカップル、倦怠期から離婚の危機に瀕しているんですね。

 愛犬のクリケットも連れて、真夜中の出発。途中でバーに立ちよって、ビーチの場所を訊いたりして、バーテンダーは首をかしげる始末。ピーターが出ていくと、客と馬鹿笑いしたり。もうこの時点で、そんな場所にいくべきじゃないんだと、観客にはわかるようになっています。

 登場人物がこのふたりのみ、あと、大自然の景色、野生動物たち、昆虫… そういったものがにぎやかに登場するんですが、リゾート気分を味わえる作品ではないです。全編不穏な音楽が鳴り響いてまして、とりあえず、「なんか起こる!なんかくる!!」 という気持ちにはなります。

 が、前半なにかが起こりそうにひっぱって、結局なにも起こらず。そのあいだえんえん醜悪な夫婦ゲンカを見せられまして、ちょっとウンザリしはじめたころ… ようやくホラーになってきました、盛りあがってまいりましたよ!!

 ピーターとカーラを襲う恐怖なんですが、ビーチに到着した時点で、ピーターが無意味に鳥にむけて銃をぶっぱなしたり、木の幹にボウガンを刺したりと、まるでアホな小学生のような傍若無人ぶりを発揮するので、そのせいでマザー・ネイチャーの怒りを買っちゃったんだな、というのがわかります。

 わりとおどろおどろしく演出されてまして、でも、正直笑える話ですね… あ、ゲラゲラ笑えるんですけど、わりとこわい! そんな作品ですね。

 ピーターのバカっぷり、カーラのヒステリックぶり、んで、ふたりに連れてこられちゃったかわいそうなワンコ… ワンコ!! ワンコだけは助けてあげてぇー!! えと、ネタばらしするとつまらなくなっちゃうと思いますので、あまり書きませんけど、これはなかなか盛りあげ方がよろしい。テイスト的にいうと、「BUG」「バグ」2007)みたいなイヤーな自滅感、焦燥感みたいなのがあります。

 わたしはこれ、スーパーナチュラルなホラーにしてもよいなと思ったんですけど、監督もエヴェレット本人も、オリジナルのなんともつかみどころのない雰囲気を優先したかったようです。
 よって、結末をむかえても、ふたりに襲いかかったものがなんだったのか? まったく解明されずに終わります。解明されないんですけど、自然てこわいな、とは思います… かな? たぶん!

 退屈な作品になりそうでいて、しっかり起承転結もできていて、これはわりと多くのひとがおもしろいと感じるんじゃないですかね?
 あまり書かないと申しあげましたが、最後にひとつ、これだけはいわせてください…

 ジュゴンがあんなにこわいものだとは、知らなんだなー!!!








出発当初から浮かない
雰囲気ですが…






ささっ、とりあえず、
コーヒーでも飲んで!
 





どうも会話がうまく
進みません。








でも、楽しむんだもん!
と、はりきってみました
が…










無人のビーチでふたりが
発見したものとは…??








    Offspring



(2009)アメリカ
出演…エイミー・ハーグリーブス
アナ・テスラー
トミー・ネルソン
監督…アンドリュー・ヴァン・デン・ホーテン
★★☆


〔ストーリー〕
 静かな場所で仕事に専念するために、海辺の別荘にやってきたエイミーとデイヴィット。その日はDV夫と離婚調停中の友人・クレアが息子のルーク、まだ赤ん坊のメリッサを連れてやってくる。しかし、その場所は11年前に凄惨な食人一家による事件があった…その朝、デイヴィットは家の前で全裸の若い女性を目撃するのだが?


 とうとう映画化されちゃいました~、第二弾、なんとJ・ケッチャムの 『オフスプリング』 です!!

『オフスプリング』を知らない方のために~
 泣く子も黙る鬼畜系ホラー作家、ジャック・ケッチャムの悪名を世に知らしめた、『オフシーズン』 の続編です。ケッチャムはなんだか現実の事件に興味があるらしく、『隣の家の少女』 (美少女を死ぬまで虐待!)、『地下室の箱』 (妊婦さんを誘拐して惨殺!)でも、じっさいにあったものを題材にとっていました。
 それで、これもモデルがいるんですね。ソニー・ビーン一家といって、そのあたりの好事家にとっては超有名な一家でもあります。

 『オフシーズン』はその食人一家の記念すべき初登場作、誕生秘話なども描かれておりまして、けっこうキツイ描写がつづきます。で、その続編が映像化されたんですが、あんまり評判になっていないため、たいして期待せずに観たのですが…

 わりと、しっかり原作どおりの内容になっていました。いやー、よかった。オープニングの切り株具合がまた、景気いい感じになっています。

 エイミー(エイミー・ハーグリーヴス)とデイヴィット(アンドリュー・エルヴィス・ミラー)夫妻は、海辺の町の別荘にやってきます。そこは自然に囲まれていて、仕事に集中するには最適。その日は友人クレア(アナ・テスラー)も遊びにくることになっていて、彼女にはスティーヴン(エリック・カステル)という暴力夫もいました。
 その朝、玄関でコーヒーを飲んでいたデイヴィットは、なぜか全裸の若い女を発見! 「うわ、なに?」と、思う間もなく、彼女は森のなかに消えてしまいます。

 そのころ、町のべつの場所では、ある一家がとんでもなく残酷な方法で殺害されるという、おそろしい事件が起きていました。それは11年前に起きた、“アノ事件” と酷似しています。地元の警察は引退した刑事(アート・ヒンドル)の協力をあおいで、捜査を進めるのですが…

 …とまあ、こんな感じで、エイミーさん夫婦と遊びにきていたクレア、クレアを追ってやってきたスティーヴンが一緒くたに襲われちゃって、血祭りにあげられる、そんな感じのお話しです。

 思ってたほど悪くなかったんですけど、淡々と進むうえに、なんだか説明不足のままストーリーがどんどん進んでいっちゃう感じなので、原作を知らない人には 「??」 と感じる部分も多いんじゃないかなー? などと、思ってしまいました。
でも、一応原作のポイントはふまえているんですよ。
 
 食人一家はウーマン(ポリアンナ・マクリントッシュ)が采配を振るってまして、わりと美人系の格下なんかは、いたる場面で意地悪されてます。子供たちもかわいい顔して、えらいこっちゃになってますよ。子供にこんな演技させていいの? というくらい、初見の人は驚いちゃうかも。
 あと、金属の歯を装着して噛みつきまくる、あのシーンもちゃんとありますよー。暴力夫のスティーヴンもストーリーのいいメリハリになってますかね。

 原作どおり、一応残酷描写もそれなりにあるんですけど、気がついたら終わっちゃってた、そんな感じの軽い作品でした。きのうバーカーの 『腐肉の晩餐』 をナイスに映画化した作品に出会ったばかりだったので、ちょっとばかりもの足りなさを感じてしまいました… うーん? なにがいけなかったんでしょうね?

 ですが、この手のファンにとっては一応満足のいく内容なんじゃないでしょうか。
結論としては、やっぱりケッチャム作品は映像化がむずかしい!

 原作とちがっていると、「えー、こんなんじゃないのに!」 と、文句たれてみたり、逆に原作どおりだと、「なんかつまんない…」 などと、不満いってみたり。ほんと、観てるほうは勝手なことばかりいって困ったもんです、ワガママですみません。











OPから見事な切り株!!
でも、見るからに作りものって感じ
ですね(笑)。












デイヴィットとエイミー夫妻。










食人一家の長のウーマン。
なんか、きびしいしきたり
があるみたいです。










ルークは森のなかで
ツリーハウスを発見!








    Dread



(2009)イギリス
出演…ジャクソン・ラスボーン
ショーン・エヴァンス
ハンネ・スティーン
監督…アンソニー・ディブラシ
★★★


〔ストーリー〕
 大学生のスティーヴンはカリスマ的な魅力のある、クウェードと知りあう。彼は “恐怖の研究” につかれていて、彼の話にひきこまれ、いつしかガールフレンドのシェリルと協力することに。ボランティアで研究対象となってくれる人たちをつのり、カメラの前で悲惨な体験、もっともおそろしいできごとを語らせる。しかし、クウェード自身に他人にはとても話せない、恐怖のトラウマ体験があった…


 祝!! バーカーの 『腐肉の晩餐』 の映画化です!!

 バーカー作品て、映像化するとションボリしたことになってしまうのが多いんですが、これはイイ!! なかなかの上出来作だったので、今後の活躍が期待大の監督さんのひとりになるんじゃないでしょうか。

 アンソニー・ディブラシ監督、「The Plague」「ヘルゾンビ」2006)「The Midnight Meat Train」「ミッドナイト・ミート・トレイン」2008)「Book of Blood」(2008)のプロデューサーと、バーカー作品にばかりかかわってきた人のようです。で、今回満を持して、『腐肉の晩餐』を自らの手で撮ったわけなんですが、これが思いのほかよくできてます。あの短編をここまでの映画にしたなんて、かなりのセンスがあるとみました。

 一応、内容をよく知らない方のために。
 『腐肉の晩餐』 は〈血の本〉シリーズの表題作になっているひとつでして、ベジタリアンの女性を監禁して、生肉を食わす! そんな無茶な実験を決行する物語であります。

 これだけだったら、長編映画にするにはきびしいかな? と、思えますけど、そこはディブラシ監督、カッコイイ青春映画に撮ってくれました。ホラー度はやや低めかもしれませんが(バーカー原作にしてはね)、痛々しい青春ドラマになってまして、結末もオリジナル。テンポもよく、やたらコマーシャルで、今風の映画に仕上がっているんですよ。

 主人公の青年スティーヴンを演じるのは、ジャクソン・ラスボーン。喪女が盛りあがっているようです。クウェード役にはショーン・エヴァンス。これだけでも絵になっちゃうのに、登場人物のほとんどが美男美女というステキな設定です。あと、オリジナルのキャラクターも登場します。

 スティーヴンは幼いころに交通事故に遭い、家族を失っていました。(あれ? と、思った方、そうなんですよ~、耳が聞こえないトラウマを抱えているのは、彼ではないんですね!)
 そして、クウェードもまた、だれにもいえない深刻なトラウマが。幼いころに目の前で両親を斧で惨殺されるという、シャレにならない過去を隠しもっておりました。

 クウェードは暗い過去を克服するために、恐怖の研究をはじめます。適当に被験者を募集して、カメラにむかってトラウマ、いままで体験したもっともおそろしいできごとを語らせるというもの。
 スティーヴン自身も暗い過去をかかえていますから、クウェードの研究に魅せられ、協力するようになります。協力者はほかに、ガールフレンドのシェリル(ハンネ・スティーン)、同級生のジョシュア(ジョナサン・リードウィン)。

 オリジナルのキャラは、大学構内の本屋で働くアビー(ローラ・ドネリー)という女性です。彼女はとてもいい娘なんですが、顔の半分が醜い痣でおおわれていました。

 イギリス人特有のハイセンスな映像、スピード感、音楽にくわえて、役者さんたちも迫真の熱演。クウェード役のショーン・エヴァンスは、原作ほど変態でも個性的でもないんですけど、冷酷で悩める青年に仕上がっていて、主役のジャクソン・ラスボーンに負けず劣らずイイ男

 物語の大部分は苦い青春ドラマ、ラスト20分を切って、ようやく 「腐肉」 が出てくるといった構成なんですが、それでもなんでしょう、やけに真新しさを感じました。原作を知っていても、これは意表をつかれるラストなんじゃないですかね?
 
 …この結末、じつは賛否両論あるようなんですが、原作を知っていても、知らなくても、じゅうぶん楽しめると思います。あ、やっぱりわりとホラー度あるほうですかね。前半はスティーヴンに感情移入して、なぜか後半からクウェード派に?

 美男美女がそろっていても、容赦しませんよ!
ラスト、こっちが真正のラストなんじゃないかっていうくらい、ホラーしています。











 
スティーヴン役のジャクソン・ラスボーン。
いい目の保養でしょ







クウェード役のショーン・エヴァンス。
こっちも捨てがたいの!








クウェードはカリスマに
暗い蔭を背負う男です。







スティーヴンは彼の話に
ひかれ、研究を協力する
ことになるのですが…








シェリル役のハンネ・
スティーン。










アビー役のローラ・
ドネリー。








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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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