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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Powder

(1995)アメリカ
出演…ショーン・パトリック・フラナリー
メアリー・スティーンバージェン
ランス・ヘンリクセン
ジェフ・ゴールドブラム
監督…ヴィクター・サルヴァ 
★★★


〔ストーリー〕
 テキサス州イートンの郊外で、農家の老人が遺体で発見された。同居していた孫の少年は、怯えて地下に閉じこもったきり。青少年厚生施設のセラピスト・ジェシーの呼びかけでようやく姿をあらわした彼は、全身真っ白なアルビノだった… じつは、彼は胎児のときに母親が落雷に遭い、異質な能力を身につけてしまったのだった…


 ひさしぶりに観かえしたら、やっぱりうるるときてしまった「パウダー」です。
この作品、地味なんですけど、わりと出来がいいんですよねー。とくに、「無垢な魂の象徴」 ともいえる主演のショーン・パトリック・フラナリーの演技には注目です! 彼の澄んだ悲しい瞳を見ているだけでも、こっちまで切なくなってきてしまいます。
 
 さて、物語はいわゆる “超能力者の悲劇” なんですが、ネタばらししてしまいますと、趣旨はちょっとちがいます。ショーン演じるジェレミーは、落雷に遭って電解体質になってしまったために、体毛も生えず、かつ「白子」という人目を引かずにはいれない変わった容姿なんですが、反面すぐれたところもありました。それは、驚くべき記憶能力と、やさしい心、電解体質ゆえの不思議なパワーです。

 このパワー、スプーンをくるくるするだけで食堂のスプーン全部を集合させちゃったり、興奮するとガラスや電気が割れちゃったりと、まるでキャリーのようです。また、人の意識を読みとってしまうところなんか、『グリーン・マイル』 のようでもあります。でも、落ち着いて考えてみれば、脳の働き(= 感情)はすべて電気信号で成り立っているわけで、電解質の彼がそれに敏感になるのは納得の話。
 
 だけど、やはり科学だけでは片づけられない問題もありました… 
それはやっぱり、人(ジェレミー)の心。それまで他人と触れあったことにないジェレミーが、物理学教師のジェフ・ゴールドブラムに頭を撫で撫でされて泣き崩れてしまうシーンは、(ああ)、いま書いていても、目頭がジ~ンときてしまいます…

 人間というのは残酷な存在で、(人間にかぎったことではないんですけど)、自分たちよりすこしでもちがったヤツを見つけると、自己防衛本能から攻撃してしまう。無神経な視線やいじめっこの暴力に晒されるジェレミーが、ひたすら痛々しい。それでも彼は無抵抗で、運命のようにされるがままに受けとめる姿に、なんだかわたしたちのあさましさを描いているようで苦しくなってきます。

 結末は、それなりに感動的な雰囲気になっているんですけど、わたしにはどうしても、一種の悲劇に思えてなりません… 

 また、この映画には、印象的なセリフがたくさんあります。ジェレミーの「人は個別ではないんだよ」(← これ、かなり深いんです! くわしく知りたい方は、本編をぜひ!)や、ゴールドブラム先生の「人間性が技術を越えるかもしれない」、などなど… (ほんとにそんな日がくるんでしょうか…?)







家族にパウダーと呼ばれて
いた少年、ジェレミー。
ぎょっとするほど白いんです
が、石膏の彫像のように不
思議なうつくしさがあります。






「んふふふっ
なんだかとってもうれしそう
な、ゴールドブラムのドナル
ド先生。







そのドナルド先生の授業で、
たいへんなことに!










学校にいくときのジェレミー。
色素がないため、紫外線に弱いのです。



クラスメイトのアンナとキスしているところを父親に見つかって、
偏見あからさまにジェレミーを脅して傷つけるシーン。
(わからなくもないんですけど)、人の本能って、ほんとに醜いですねー(悲)。






 
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    Tooth And Nail



(2007)アメリカ
出演…二コール・ダポート
マイケル・マドセン
ヴィニー・ジョーンズ
監督…マーク・ヤング
★★


〔ストーリー〕
 2012年、資源不足により争いが絶えず、文明が崩壊した世紀末の世界。フィラデルフィアの廃病院で暮らす小規模な生存者グループは、ある日屈強な男に襲われている男女を発見する。男性はあえなく殺害されてしまうが、女性のほうは怪我を負っただけで助けることに成功。しかし、彼女を助けたことから、不気味な集団につけ狙われるようになり…


 「The Deaths Of Ian Stone」(2007)にひきつづき、〈AFTER DARK HORRORFEST〉の二本目です。さきにネタばらししてしまいますと、この不気味な集団というのは、“食人の習慣” を持ってしまった人たちなんですねー。オソロシイですねー。世紀末の生きるか死ぬかの戦い! あらすじだけ読むと、すっごくおもしろそうでしょう? 

 これが、じつはあんまり盛りあがらないんですよねー…

 アイデア自体もそうなんですけど、これは映画というより、ゲームっぽいです。そう思って見てみると、いかにもホラーゲームな展開や、アングル、キャラクターの登場なんかでストーリーは進みます。

 もともとゲームなノリのホラー映画って、わたしは大好きなんですけど、この作品にかぎっていえば、惜しい! な連続でした。それで、どの点が惜しかったのか、(…ふだんはあまりマイナス面は書かないようにしてるんですけど)、アイデアが気に入っていただけに、率直に挙げていこうかと思います。

*残念な点その1
 敵キャラがこわくない!

 …これ、ホラーゲームとしては(…だから、ゲームじゃないんですよね!)、いちばんいけませんよね~。だって、せっかくマイケル・マドセンや、ヴィニー・ジョーンズなんてイイ悪役をそろえてるのに、生かしきれてないんですもん。たしかに現実的ですよ。ふつうの人間ですから、モンスター並みの怪力なんか発揮しません。でも、いまいち迫力がないんですよね…

 唯一不気味だと思えた箇所は、錆びた斧や鶴嘴なんかで襲ってくるんですが、これが一撃では倒せないところです。ホラーってたいてい、こういうシーンではキレイに決まるんですが、(例を挙げますと、首を「スパーン」とか、ありえないところでは、頭からまっぷたつ~! なんて)、この映画では、そうは問屋が下ろしません! ですから、深手を負ってひいひい喘いでいるところを、何度もガツーン!(…あれ、まだ決まらないや)、じゃ、もう一回、ガツーン! といった調子でいくわけです… 残酷ですねえ。

*残念な点その2
 ヒロインの演技がけっこう残念!

…これ、ホラーとしていちばん避けなくてはいけないところですよね。だって、ヒロインがたいしてこわがってないんですもん。なんでそんな冷静なの? もうちょっと焦ってよ、っていうか、こわがってよ!! と、せっつきたくなるほどです。ヒロインがこんな調子ですから、観ているこちらも、ちーっとも焦りません。こわくありません。っていうか、それじゃダメじゃん!!

*残念な点その3
 ボスキャラが不在!

…いちばん驚いてしまったのが、コレでした… そうです、悲しいことに、いいところまで進ませておいて、いきなりエンド、みたいなあっけないゲームなんです。(…だから、ゲームじゃないんですよね)。ヒロインが最後にブチ切れて、インディアンの戦いの化粧みたいのを施して、敵地に乗りこむくだりはイイんですけど、(…なんだかんだありまして)、それで終わりですかっ!

 う~ん、意地悪な意見ばかり書いてしまいましたが、こういう映画は大好きなんです。念のために書いておきますが、けしてダメダメではありません。(たぶん)、基準点には達していると思います。ただ、大好きなだけに、工夫しだいでもう少しおもしろくなったんじゃないかナーと思うと、非常に残念!











男性陣はあっけなくやられて
いきます。隠れてないで、少
しは戦ってください!









食人グループのヴィニー・
ジョーンズ様登場!








捕まっちゃいました。
(…しかし、キレイすぎて
悲惨さがない…)








← ついにブチ切れちゃった
「ウラアァァ!!」
(ここでジョーンズ様と対決
してほしかったですね~!)







    April Fool's Day


(2008)アメリカ
出演…テイラー・コール
ジョシュ・ヘンダーソン
サブリナ・エルドリッジ
監督…ミッシェル・アルティエリ/
フィル・フローレス
★★☆


〔ストーリー〕
 デザレイとブレインの富裕な姉弟が主催するパーティーで、女友達のミラノが死亡する事件が起きる。原因は、ミラノの麻薬摂取にあったようだが、彼女に常習癖はなく、真相はうやむやのまま事故として処理されてしまう。そして一年後、パーティー出席者たちにミラノから手紙が届く…


 ご存知の方も多いかと思いますが、「April Fool's Day」(1986)のリメイクです。このオリジナル作品は、まさにエイプリル・フール! なオチなだけに、賛否両論の映画でした。

 余談までに、どういう内容かといいますと、(わたしはけしてキライではなかったんですけど…)、とある孤島に若者たちが招待されまして、ひとり、またひとり殺されていくという、よくある食傷パターンです。殺害方法もいくぶん単調でして(量産されたスラッシャーなだけに)、意地悪な見方をすれば、中だるみっぽく、オチでその単調さや中だるみも回復されるんですが、ホラー映画の裏側を覗いてしまったような、いくぶん気まずい心地になる作品です…

 ということで、位置づけがちょっと微妙な「エイプリル・フール」のリメイク・バージョンなんですが、こちらはオリジナルの野暮ったさが一蹴されて、なかなかクールな映画となっています。

 ミッシェル・アルティエリとフィル・フローレスのコンビは、吸血鬼ファミリー映画「The Hamiltons」(2006)を撮った人たちだったんですね。この作品、わりとセンスがよくて、気に入っていました 今作も前作同様、ホラーというよりはドラマです。そして残酷描写は、ほぼなきに等しいです(笑)。

 オリジナルはまんま80' なスラッシャー・ムービーで進むんですが、こちらはミステリ色が強いです。ノーブルなパーティー会場から幕を開けます。フォーマル・スーツやドレスのパーティー・シーンはきらびやかです。う~ん、いかにも新本格な香りがしますね。

 女王さまのテイラー・コール(デザレイ)、「なんでもかんでも自分の思い通りにいかなきゃ、イヤー!!」という、傲慢困ったちゃんです。美人のミラノはさっそく目をつけられてしまいます。一方ミラノは、デザレイの弟のブレイン(ジョシュ・ヘンダーソン)といい雰囲気… 部屋でふたりきりになるんですが、デザレイの仕掛けたいたずらによって、予想もしない悲劇が起きてしまいます…

 はっきり申しあげまして、意外性はなにもありません!

 とくに、オリジナルを観たことがあるという方には、話の筋が簡単に読めてしまうと思います。そうです、そんな映画です。ですが、テンポもよく、むだなくトントン進んでいくので、結末まであっという間に終わってしまいます。何度も書いてしまいますが、これはホラーというより、ドラマですね。それも、かなりメロウな雰囲気の。

 いくらリメイクといっても、2008年バージョンですから、それなりに皮肉などんでん返しが待っています。そして、ラストのラストにニヤリとしましょう。(こういうオチは、大好きですよ~
役者さんたちが個性派揃いで、彼らの演じわけや、「ハミルトン一家」を撮った人たちらしい青春エピソードなんかが楽しいです。

 なお、エンドロールの途中にもおまけが入っているので、お見逃しなく!











ワガママ女王さま登場!
うしろにチラッと見えるのが、
 ↓







弟ブレイン役のジョシュ・ヘンダーソン。
(最近なにかと話題のようで…)









ミラノ役のサブリナ・エルドリッジ。
出番は少ないながらも、キレイな女優さんですね~。








トーランス(スカウト・テイラー・
コンプトン)は、ゾンビ版
「Halloween」(2007)
ヒロインだった女優さん!







    Evil Aliens



(2005)イギリス
出演…ジェイミー・ハニーブーア
エミリー・ブース
ジョディ・ショウ
監督…ジェイク・ウェスト
★★★


〔ストーリー〕
 マイナーなミステリー番組のリポーター・ミシェルは、次回の番組ネタにいきづまっていた。そんなとき、「エイリアンに妊娠させられた!」 と、訴える女性の記事が。興味をおぼえたミシェルは、さっそく撮影クルーやUFO研究家のギャビンをひき連れて現場に乗りこむ。しかし、再現ドラマを撮影するうちに、ほんとうにエイリアンがあらわれてしまい… !


 ジャケット、かなりホラーな雰囲気ですね。
たしかにホラーな内容なんですが、それ以上にお下品で、めちゃ楽しい映画です!

 邦題は「エイリアンズ」。オリジナルのタイトルのほうも、いやにベタな雰囲気です。これで、かなりの人が引くかと思われますが、中身のほうは抱腹絶倒エイリアン戦争となっています。

 オープニングから、お下品モードの全開です。
イギリスのウェールズ。だだっ広い田舎な風景に、不思議なストーンサークルがあります。この中心で、深夜、とあるカップルが×××に励んでいますと、怪しげな人影が…!

 あっという間にふたりは拉致されちゃいます。
そして、男性には×××(← 自粛)ドリルがっ!!
女性には、エイリアンの子供がっっ!!

 ここで登場するエイリアン、「エ~… ほんとにエイリアン…?」 というような格好してます。妙なフォルムのマスクで呼吸しているんですが(エイリアンは、地球の大気が苦手らしいです)、ちょっとプレデター仕様です。といいますか、かなりひいき目で見ると! ひいき目なしで見ると、どう見ても羊頭で、いやに悪魔チックでもあります。このあたりが、イーブルたるゆえんでしょうか。

 この悪魔エイリアン、見た目通りに凶悪です。超残虐です。家畜や人間をバッサバッサと殺していきます。ここで「ウギャー!!」という展開になるかと思いきや、さすがはイギリスのおバカホラー、強力なライバル出現です。極悪エイリアン V.S ブチ切れ地球人で、ファイト!!

 冒頭の露骨な表現にショックを受ける方もいるかと思われますが、この映画のいいところは、お下劣さも、グロテスクさも、ものすごく健康的で明快に撮っている点です。(…例をあげますと、女優さんたちはうまい具合に隠しています… あ、期待を削いでしまいましたか?)だから、どちらもそれほど不愉快に感じられないんですねー。

 軽快なハジケっぷりとやけくそっぷりに、「Braindead」(1992)に似ているという声があがっているようですが、どちらかというと、話の進行とともにエスカレートしていくというよりは、ベタな演出の連続。それでも飽きないのは、細部がけっこう凝っているからでしょうか。

 ミシェル役のエミリー・ブース(つねに胸の谷間を強調するオネエさん)、イカしたファイトを披露してくれるキャンディ役のジョディ・ショウ(ミニスカのオネエさん)と、女優さんたちが妙に生き生きしててカッコイイ

 ちょっとネタばらししてしまいますと、エイリアン萌え? と、思わせて、あ、ブチ切れコマンドー萌え?と、思わせて、ちがう、女コマンドー萌え?と、思わせて、なーんだ、UFOオタク萌えか(…そっちか!)、という、なんとも忙しくて目が離せない展開です。
ラストには、思わずニンマリしちゃうオチもありますよ。





「うわ~い、ウフフフ…」と、ミステリーサークルにはしゃぐUFOオタクっこの
ギャビン(ジェイミー・ハニーブーア)。







エイリアン登場です。
強いのか弱いのか、
わかりません!








薬莢くわえて、キャー、ステ
キ~!! このショットだけで
も、鑑賞意欲がそそられ!









捕まっちゃったミシェル
の運命は…!








さ~て、
エイリアン狩り
開始ー♪♪







    Turistas



2006)アメリカ
出演…ジョシュ・ダーマル
メリッサ・ジョージ
オリヴィア・ワイルド
監督…ジョン・ストックウェル
★★★


〔ストーリー〕
 ブラジルの奥地を旅行中のアメリカ人のマイクと、妹のベア、ベアの親友のアミィは、バスの転落事故に遭遇してしまう。運よく事なきを得て、同乗していた白人の男女三人と意気投合、つぎのバスがくるまでのあいだ、ビーチで寛ぐことに。だが、酒を飲んで夜を明かしてしまい、気づいたときには、身ぐるみ剥がされていた。途方にくれる彼らのまえに、親切にも手を貸そうという現地の青年があらわれるのだが…


 邦題「ツーリスタス」です。
さあ、旅行者です。浮かれ騒ぐ若者たちの受難です。ある意味、お約束の展開なんですが、スリリングな演出に重点が置かれていて、けっこうハラハラドキドキ楽しめました!

 設定が似ているということで、「Hostel」(2006)と比較されることが多い作品のようなんですが、あちらが秘密のザ・拷問クラブだったのにたいして、こちらは商利用、臓器売買目的です。それゆえ、「ホステル」よりもリアリティのある恐怖という定評だったのですが、わたしの感想からいいますと、

 … あ… んまり、現実的ではないでしょうか…?

 オープニングから、あらら、まさかの展開です。がさつな運転手の無謀運転のために、バスが転落しちゃいます。外国の運転手って(← 車にかぎりませんけど…)荒っぽくてこわいですよね~。そんな絵に描いたようなハプニングから幕を開けるんですが、さすが舞台が南国ということもありまして、若者たち、めげません。おとなしく待っていればいいものを、ビーチに降りてバカ騒ぎです。

 このバカ騒ぎも、ほどほどにしておけばいいんですが、ノリノリで踊りまくりです。バスのことなんか、完全に忘れちゃってます。酔いつぶれるほど飲みまくります。アホです! はっきりいって、ここで殺されちゃっても仕方ないような、アホさかげんだと思います(笑)。で、翌朝浜辺で目を覚ますと、案の定、お金も貴重品も、荷物も盗られていました…(あたりまえだってば!)。

 こんな無防備な旅行者ですから、当然臓器売買グループのターゲットになっちゃいます。ここで、吹いてしまったのが、さきに2名ほど捕まるんですが、木の枝に人喰い人種みたいに手足をくくりつけられて、山道を 「エッホ、エッホ!」 って…(??)

 (フツーに車でつれてけばいいと思うんですけどね)、それに、…ん? 山道…? 
よく考えてみたら、臓器移植って、摘出してからは時間との勝負なんですよね。こんな辺鄙な場所で… しかも、衛生環境もちょっと…

 ということで、リアリティのある設定を狙ったがために、微妙にリアリティを失ってしまった、微妙に(?)不思議な映画です。
といいましても、クライム・サスペンスとしての出来はかなりのものです。追いつ追われつの脱出劇は手に汗握る展開で、猛烈に興奮(!)しますし、水中洞窟のシーンなんて、息苦しさのあまり、まともに見ていられませんでした!(やっぱり洞窟系は、コワいですね~)。。。

 旅ネタ・ホラーは小説ではけっこうあるんですけど、不運な旅行者がうんぬん… の都市伝説は、「一度、殺してみたかったから…」のほうが、なぜか説得力があるようです。
だって、人が事件に巻きこまれるのはやっぱり、意味なんかないほうがずっと不気味ですもんね…





「せっかくここまできたんだもん! 思うぞんぶん、楽しまなくちゃね」と、
まだまだ余裕の彼らですが…
 






ビーチパーティーで、ハプ
ニングも忘れるほど浮かれ
ちゃって…






「エッホ、エッホ♪」
このシーン、何度見ても
笑えます!(絶対ふつう
に運べばいいと思うんで
すけど…)








水面からやっと顔が出せる
ところで、必死の息つぎ!
(ここはハンパじゃなくおっ
かなかった~!)







    Carrie



(1976)アメリカ
出演…シシー・スペイクス
パイパー・ロウリー
エイミー・アーヴィング
監督…ブライアン・デ・パルマ
★★★★


〔ストーリー〕
 狂信的な母親とふたり暮らしのキャリーは、いつも学校でいじめられていた。ある日、体育の授業後のシャワー中に初潮をむかえてパニックとなり、いじめっこたちを巻きこんで大騒ぎに。体育教師のデジャルダンの登場でなんとか騒ぎはおさまるが、それでもからかいが消えることはなかった。だが、いじめっこたちには知らない事実があった。なんとキャリーは、テレキネシス(念動力者)だったのだ…


 ついに登場させてしまいました、デ・パルマ監督の「キャリー」です。
原作はもちろん、アノ人! じつをいいますと、わたしはこの原作が大好きで、「シャイニング」とおなじくらい大々好きで、表紙がボロボロになっちゃって、いったい何回読みかえしたんだー! と、いうくらい、読みかえしてます。

 一般的には “実験的な作品だ” なんていわれてますけど、そんな批評家っぽいことをいう以前に、とんでもなくおもしろい作品ですよね。

 まず、キャラクター造形が抜群にすばらしい!
 
 いじめられっこキャリーがなにゆえいじめられっこなのか、原作ではこと細かに説明してくれるんですが、
(たといえば、…教会でひざまづいたら、スカートが縫い目にそって「バリッ」と音を立てて裂けちゃったキャリー、同級生のボビーにラブレターを書いたら、そのコピーをみんなに読まれちゃったキャリー、うっかり昼寝してたら、髪にバターを塗られちゃったキャリー、ダンスの時間につんのめって転んで前歯を折ったキャリー… などなど、超カワイソ~ なエピソードが延々とつづきます!)

 さすがシシー・スペイクス、見るからにいじめられっこ特有の哀れさ&滑稽さ&不気味さ&見ていてイラッとさせる表情で、キャリーになりきっています。と、いいますか、スクリーンの中では完全にキャリーが存在しちゃってますよね!

 公開当時から、これはホラーというより青春映画という意見が多かったようですが、わたしもその通りだと思います。ストーリーは単純に「いじめられっこの復讐譚」なんですが、そこにいきつくまでの経緯で、多くの人々が共感をおぼえるシーンが多々あって、それゆえに支持されているんじゃないかと思います。

 だって、パーティーに出たいのだけれど、着ていく服(ドレス)がないから、せっせと手作り… なんて、泣かせるじゃないですか~。
自分も変わりたいと思っているのに、周囲がそれを許してくれない… そんなキャリーのもどかしい想いも、手にとるように伝わってきちゃいます。

 思春期の少女が、心と身体にある変化をむかえて超能力パワーも開花させてしまう。キャリーは最後までモンスター扱いなのだけれど、こんなに人間的なモンスターはほかにいませんよね。
ブッ飛んでる母親役のパイパー・ロウリーの演技もすばらしいです。
「Dressed To Kill」「殺しのドレス」1980)でも書きましたが、この作品によってスターダムの道を歩みはじめた役者さんたちの初々しい姿を見ることができます。

 それにしましても、デ・パルマ監督の荒業オンパレード(スローモーション、360度カメラパン、スプリットスクリーン…  クライマックスのコマ割りのことです!)で、(すぐれた)映画って、こんなふうに撮るものなんだ!! と、ひどく感銘を受けた一作でもあります。
キング原作の映画化では、これがいちばんの出来では…?








授業中のキャリー。(手前が
イイヤツ・トミー)。ふだんか
ら、あまり目立たないように
しています。







母親のマーガレットは、かな
り変わった宗教観を持って
います!







いじめっこ・クリス役のナン
シー・アレンと、恋人の
ビリー(トラボルタ)。



すっごく幸せそうなキャリーと(スーの彼氏の)トミー(ウィリアム・カット)。
このまま終わったら、(たぶん、スーから略奪しちゃって)、ハッピーで爽やかな
シンデレラ・ストーリーになってました… が…






怒りの炎で、すべてを焼き
つくす~!!!
正直にいいます、カッコイイ
です、ハイ!







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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