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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Reazione a catena


(1971)イギリス/イタリア
出演…クローディーヌ・オージェ
ルイジ・ピスティリ
クラウディオ・カマソ
監督…マリオ・バーヴァ
★★☆


〔ストーリー〕
 ある嵐の晩、海辺の屋敷に暮らす資産家のドナーティ夫人が、夫のフィリッポに自殺に見せかけて殺害されてしまい… と思ったら、今度はフィリッポが何者かに殺されてしまう!! その後フィリッポは行方不明に、人々は彼が妻を殺害したのではないかと噂するが…
 フィリッポの娘で遺産相続人のレナータと夫のアルバートが屋敷にやってくると、隣人夫婦のパウロとアナ、ドナーティ夫人の私生児のサイモンと、なにやらみんなあやしく、隠しごとがある様子…? そして、土地開発をもくろむ建築家のフランクという、招かれざる客もやってくるのだが…


 とうとう観ちゃいました!! バーヴァ後期の作品、「血みどろの入江」です。英題では、「A Bay of Blood」になっていまーす。
 
 「血みどろの入り江」というと、すごく有名なお話ですが、「13金」の元ネタだったりします。ふーん、海辺でつぎつぎ殺人が起こる… まあ、そういう設定、たしかに似てますよね~ なんて、わたしなんか思ってましたが… じっさいに鑑賞してみますと、あらー!! まんまコピーじゃないですかっ! 驚いちゃいます。これはホント、ショッキング・シーンがそのまんまアメリカナイズされているわけですよ。

 わたしはバーヴァにそれほどくわしくないので、あれこれ書くことはできないのですが… 「La Maschera del demonio」「血ぬられた墓標」1960)を観ていただけたらわかるかと思いますが、超正当派のゴシックホラーを撮る方なんですよ。
 で、「Sei donne per l'assassino」「モデル連続殺人!」1964)なんかもそうですけど、アルジェントに影響を与えたのもよくわかる。アルジェントは世界的に大成功したけれど、師匠だったバーヴァのほうはというと、アルジェントのような華々しいハリウッド・デビューすることはできませんでした…

 でも、マカロニ・ホラーといって、日本人にはたいへんたいへん、人気のある大御所監督さんです。アルジェント、バーヴァ、フルチ、この3人はぜったい押さえておきましょうね。はい、これ必修です。

 話はもとにもどりますが、バーヴァというと超ゴシックホラーというイメージが強かったのですが… この作品を観て、だいぶ印象が変わりました。といいますか、もしかしてこれ、コメディじゃないですか…??

 物語は、海辺の屋敷に暮らす車椅子の老婦人、フェデリカ(イザ・ミランダ)の登場からはじまります。彼女は美人さんでして、若いころはきっと… という感じの、品のよい老婦人です。広い屋敷のなかを移動する彼女… 鏡に映った自分に失望して、明かりを消したり、溜息をついたり。そしてバックには、しんみりしたピアノ曲が流れています。

 なんだかうつくしくて悲しい場面ですね~… と思っていましたら、突然フェデリカ、首吊り自殺に見せかけて殺されちゃうじゃないですかー!!
 犯人はお約束の黒手袋をしていまして… と思ったら、顔がハッキリ映っちゃいます。老婦人より若いです。のちに、これが夫のフィリッポ(ジョバンニ・ヌボルッティ)と判明するのですが、ははーん、財産目当てに結婚したんだなと想像できます。

 フィリッポはご丁寧に遺書まで偽造して、まんまと完全犯罪をやってのけた! …と思っていましたら、今度はフィリッポが、何者かにグサグサ刺されて殺されちゃうじゃないですかー!! ひえーっ、いったいだれに??

 そして、真相は闇のなかに… 数日後、おそろしい二重殺人事件があったとは知らない男女4人の若者たちが、能天気にバカ騒ぎにやってくるのですが… それが恐怖の惨劇のはじまりだったのです…!!

 たぶん、あちこちの評なんかでネタバレしていると思われます。これは変則的なサスペンス… といっても、ジャーロではありません。といっても、「13金」のような、ひたすら殺戮場面をくりかえす! という創造性のかけらもないドライブイン・ホラーでも当然なし。(← あ、1作目はなかなかおもしろいと思いましたよ

 人がバッタバタ死んでいくのって、それだけでもなんかマンガっぽいし、欲に駆られた人間たちの愚かしさと悲しさをこれでもかと強調しているところがまた、おかしい。やっぱりこれはコメディですね。小説で申しわけないんですが、マイケル・マクダウェルの『アムレット』 みたいなお話です。

 このように、ストーリーはとってもおもしろいんですが、76分とかなり短い。わたしが観たのはカット・バージョンなんでしょうか? それゆえに編集も荒かったです。もうちょっと丁寧な構成だったら、すんごい傑作になったと思うんですけどねー。

 でも、変種ホラー? として名を残す、バーヴァの傑作だと思います。「13金」のスタッフがインスパイアされただけあって、殺害シーンはかなり残酷です。わたしはタコのシーンが好きですねえ…  何度も書いちゃいますが、これは必修ですよ!









建築家のフランク
(C・アブラム)、
愛人のローラ
(A・M・ロザーティ)。





フェデリカの私生児
というサイモン
(右C・カマソ)
と、隣人のパオロ
(R・トリエステ)。








パオロの妻のアナ
(ローラ・ベッティ)。







バカ騒ぎにきた若者は、
桟橋で見てはいけない
ものを見てしまい…!!





遺産目当てにやってきた
夫婦、レオーナ(クロー
ディーヌ・オージェ)、
アルバート(ルイジ・
ピスティリ)。







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    Mon seung




(2006)香港
出演…シャーリーン・チョイ
ショーン・ユー
イザベラ・リョン
監督…オキサイド・パン・チュン
★★☆



〔ストーリー〕
 ロン・ウィンナは孤独な女の子、以前は恋人のセンクワンがいたが、最近は連絡もとってくれない。食事を作って彼を待っても結局きてくれず、落ちこむウィンナ。友人のイーは、「彼のことは忘れて前進するべき」と慰めてくれるが、彼女はどうしてもあきらめきれない。そんなある日、センクワンの会社に押しかけて彼を待ち伏せしていると…人ちがいで、別の男性に声をかけてしまう。会社の受付に尋ねると、センクワンという社員はいないとのこと。彼はうそをついていたのだろうか? 途方に暮れるウィンナは、今度はセンクワンそっくりな男性目当てにその会社を訪れるが…

 
 オキサイド・パン・チュン監督といいますと、そうでーす、「パン兄弟」 でその名が通っていますよね。双子の弟さんのダニー・パンと組んで、いろいろな話題作をガンガン撮っていました… ええーと、わたしは「The Eye」「the EYE/アイ」2002)と、「Re-Cycl」「リサイクル/死界」2006)と、「The Messengers」「ゴースト・ハウス」2007)は観たんですよね。どれもけっこうな話題作になっていましたよね。

 で、話題作は一応、ちゃんと観ているんですけど… いまいち、まだ彼らの作風がわかっていないような…??

 …なんというんでしょう、わたしがちゃんと観ていなかっただけかもしれませんけど、いまいち味が薄いですよね? こういっちゃーなんですけど、時間がたっちゃうと、あれれ? ストーリーはしっかりおぼえてるんですけど、なんかどんな映画だったのか、すっかり感触がなくなっちゃうような…?

 いえ、たぶん、わたしが彼らの作品とあわなかっただけだと思うんですけど!!!!(← すっごく強調!!!)
 ですが、めげずにまたまた挑戦してみました。今回は未公開作品をチョイスしました。邦題では、「妄想/diary」になっています。

 出演者のところを見ればわかるかと思いますが、これだけかぎられたキャラクターと、心理劇なホラーとくると… いろいろ想像してしまうかと思いますが…
 な、なんと! ほんとに想像したとおりの結末になっていました。とほほ~、ですが、随所でおしい!といった作品なんですよ。まず、題材がステキなんです。みなさんも大好きなヤンデレなんですね~。

 ヒロインのウィンナ役には、なんか香港で有名なアイドルらしい、シャーリーン・チョイという女の子。小柄でキュートなタイプですね。こんな娘がヤンデレを演じてくれるのかと思うと、わくわくしますねー

 ウィンナは孤独な女の子、料理が得意で、日記と人形作りが趣味です。(← さっそくヤンデレしてますよね)。すこし前までセンクワンという恋人がいたのですが、なぜか最近避けられているよう。一生懸命食事を作って待っていても、きてくれません。
連絡もありません。

 すっかり落ちこみ、ストーカーと化していくウィンナ。彼の仕事先を訪れて待ち伏せしていると… センクワンそっくりな男性に声をかけてしまいます。おまけに、センクワンはその会社には勤めていなかったことが判明します。

 悩むウィンナに、親切な女友だちのイー(イザベラ・リョン)は、「なにか新しいことをはじめたら?」と、提案するのですが… どうしても前進できないウィンナは、ふたたびおなじ会社を訪問。今度は、センクワンそっくりの青年ワイホウ(ショーン・ユー)に声をかけ、彼と一緒に喫茶店に入ることになるのですが… 

 ある程度映画や本に接している人には、簡単に結末が読めてしまうお話… なんですが、途中、病んでるウィンナの世界が再現されたときには、「おおっ!」 とした興奮があります。この病んでる世界観、もっともっと再現してくれていたら、たぶんすんごくおもしろい感じになったと思うんですが。
 
 パン兄弟、じつに悪くないんですけど、ある意味王道なんですけど、この、あと一歩の踏みこみがいつも足りないのよね… なんて、生意気な感想を書いてみました。非常に非常に非常に、すみません。。。
 
 でも、おもしろい作品だと思います。ミステリ好きにはたまらない? 内容でしょうか、わたしも好きです。欲をいえば、もっとシャーリーン・チョイちゃんに壊れてほしかったですね。こういう映画はおおげさなほうがおもしろいですよね?









ウィンナ役のシャーリーン・チョイ。
こんな娘がストーカーで病的で
ヤンデレで!!









友人のイー役のイザベラ・リョン。
えらいべっぴんさんですね~、
この人がストーカーでもいいですね。












ワイホウ役のショーン・ユー。
パン兄弟作品ではお馴染みですね。






人形作りが趣味の
ウィンナ。
この人形、ぜんぜん
かわいくありません!












ひとりで食事しても、
楽しくないよね…











元彼そっくりの
ワイホウと、だんだん
親しくなるのですが…







    Deadgirl

(2008)アメリカ
出演…シャイロ・フェルナンデス
ノア・セガン
キャンディス・アコーラ
監督…マーシャル・サルミエント
ガディ・ハレル
★★★


〔ストーリー〕
 高校生のリッキーは、悪友JTとつるむ日々。クラスメイトのジョアンに好意を抱いているけれど、彼女にはボーイフレンドのジョニーがいた。ある日、学校をさぼって近所の廃病院に忍びこむリッキーとJT 。酒を飲み、バカ騒ぎして遊んでいると… 突然獰猛な犬に襲いかかられてしまう! あわてて逃げこんだ部屋には、なんと女性の遺体がベッドにくくりつけられていた…!!


 まぎらわしいタイトルが非常に多いのですが、こちらは 〈トロント映画祭〉 でかなりの好評を得たホラー作品。ティーンズ・ホラーなんていうから、ゴキゲンなスプラッタかと思ってましたら… ぜんぜんちがうじゃないですか~っっ!!

 …なんというんでしょう、無軌道な若者たちの暴力と性衝動が、ちょっとケッチャムの 『隣の家の少女』 を彷彿させるんですよ。といっても、あれほど冷酷でも無慈悲でもなく、たしかにショッキングな内容なんですけど、これが驚くほど青春映画していまして、これはすごいな! と、素直に感動してしまいました。

 監督のマーセル・サルミエントとガディ・ハレル、画像検索すればわかると思いますが、かなり若いです。どうりでこんな瑞々しい青春ホラーが撮れちゃうわけでして… ちなみに、役者さんとしても通用しそうなルックスをしています。女子の人気を集めそうですねー

 上記の説明だけでは、いったいどんな内容なのか想像つきにくいかと思われますが… この作品にかんしていえば、わかっていても、わからなくても、たぶんどっちもおなじだと思います。とりあえず、すごく先が読みにくい映画です。それゆえに、新味があってすばらしいのです。

 主人公のリッキーを演じるのは、シャイロ・フェルナンデス。JT(ノア・セガン)という友人がいて、同級生のジョアン(キャンディス・アコーラ)にほのかな恋心を抱いています。そんなごくフツーの退屈な高校生たちが、ある日授業をさぼって、近所の廃病院に忍びこんでいると…ちょっとしたアクシデントから、女性の死体を発見してしまうではないですか!!

 この女性、裸でベッドにくくりつけられていまして、ビニールがかぶせられています。あわてるリッキーは、「放っておこう!」 と、すぐさま逃げ腰に。「きっと殺人鬼の隠れ家なんだ! 早くここから出ようよ~!!」

 しかし、JTがおそるおそる触れてみると、この女性、なんとまだ息があるではないですか… そして、JTのつぎの危険なひとことが…「彼女、きれいだと思わないか?」

 こうして、異常事態を発見したにもかかわらず、彼らは自分たちだけの秘密にしてしまうのです。そして、JTはしだいにその女性に興味をおぼえるようになり…

 …うーん、つづきを書きたいんですけど、書くわけにはいきませんよね!!

 これだけの説明でも、かなりな陰険&意地悪ストーリーのように思われますが、中身はびっくりするほどそうじゃありません。まず、リッキーとJTの人物造形がリアルで、すごく身近に感じられます。高校生なんて、しょせん学校と自宅の往復の世界、同世代の友人たちしかいないわけですよ。そんな狭い世界で、不調をきたす事態がすこしずつ起こりはじめて…でも、なぜか実感が湧かず、自分の力でどうすることもできない。あああ、なんて青春なの!!

 “デッドガール” の正体なんですが、はじめからわかっていても、きっと楽しめるかと。そうすると、彼女の存在自体が、なんとリッキーたちの現状でもあるんだな~と、理解できちゃうんですねー。

 かなりおもしろい作品なんですけど、このもどかしさ、思いどおりにならない自己嫌悪や無軌道さなんかがまた、なんともいえないビタースウィートでせつなくなるんですけど、結末のオチだけはないほうがよかったような…?

 もしかしたら好みの問題かもしれませんが、そのままきれいに完結していたほうが、衝撃度と余韻が強かったのではないかと思うんです… なんていうのは、やはりわたしの独断と偏見ですね、すみません。











リッキー役のシャイロ・
フェルナンデス。







JT役のノア・セガン。











ジョアン役のキャンディス・
アコーラ。








デッドガールの運命
は…?!?









衝撃の結末は…!!!







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(1988)カナダ
出演…デイヴィット・ヒューレット
シンシア・プレストン
テリー・オクィーン
監督…サンドール・スターン
★★★


〔ストーリー〕
 医師の父、継母と四人で暮らす裕福な家庭の幼い兄妹、レオンとアーシュラ。父親は診療室に 「ピン」 という名の人体模型を持っていて、腹話術を使い、やってくる子供たちをこわがらせないように工夫していた。レオンとアーシュラも 「ピン」 とときどき会話をするが、妹のアーシュラは、父が声音を使ってピンを演じていると気づいていた… しかし、継母とうまくいかず、友人もいないレオンのほうは、全面的にピンを信じるようになっていき…


 最近になって、再評価の動きが高まっているようなので、それに乗ってわたしもレ
ビューしてみました。邦題では、「サイコ・シンドローム/僕だけを見て」 になっています… うーん、この邦題がまた、なんか泣かせますよねー。

 “人形に心を奪われてしまうホラー” というと、似たようなもので、アンソニー・ホプキンスの「Magic」「マジック」1978)が、まず有名ではないかと思います。あれは腹話術でしたが、こちらは人体模型。おなじく、等身大タイプの人形ホラーというと、「The Fear」「ザ・フィアー」1995)なんてのもありました… まあ、この作品は、人形の不気味さというより、あまりに “人間が演じすぎ” ていて、だんだん悲しくなってしまうダメダメ・ホラーなんですが…。。。

 監督のサンドール・スターンは、くわしいことはよくわからないのですが、なんだか「悪魔の棲む家」シリーズにずっとかかわっている方のようです。ほかにも、TVドラマやミステリ、サスペンスなど、幅ひろくB級映画を撮っている方です。

 わたしはこのレビューを書くにあたってはじめて知ったのですが、なんとこれ、原作があったのですね~。アンドリュー・ネイダーマンといったら、「The Devil's Advocate」「ディアボロス/悪魔の扉」1997)の原作も書いた人ではないですかっ! 今度ぜひチェックしたいと思います。
 
 …さてさて、サイコもの、テリー・オクィーン出演ホラー(「The Stepfather」「W ダブル/ステップファーザー」1988)もチェック!)ということで、この作品も知名度は低いですが、じつは隠れた一品なのです。
 ストーリーは、孤独な少年が父の腹話術で人体模型を友人と思いこみ、ついには生涯のパートナー(ヘンな意味じゃないですよ!)としてしまう… そんな奇怪なお話なのですが、これがじつに、丁寧につくられているドラマでして、ラストが近づくにつれてしんみり泣かせるんですね~。

 医師のフレッド(テリー・オクィーン)は前妻を亡くし、いまは後妻と息子のレオン(スティーヴン・べドナスキ)、アーシュラ(ケイティ・シングラー)の四人で暮らしています。オクィーンの演じる医師は厳格なパパ、ときどき 「ピン」 という人体模型を使い、幼い兄妹ふたりに道理を示そうとします。

 この人体模型の 「ピン」 というのが、理科室によく置いてあるのとはちょっとちがう、えーと、なんといいますか、半透明のプラスティックに覆われているお人形さん… ということで、ちょっと “ぬめっとしてる” といいますか(笑)、表情も悲しく見えたり、ときには笑ってるように見えたり、なんか不気味。でも、人形なの。でも、人みたいなの! という、まさにうってつけの人体模型さんなのです。

 子供が純真でなにごとも信じやすいという特質にくわえて、レオンはねじくれた性格でもあって… という、サイコお決まりのパターンなのですが、そこに至ってしまうまでの経緯が悲しい。家族がおかしくなってしまうのに、なにが原因かって、やっぱり 「コミュニケーション不足」 がいちばんじゃないですか!!

 この作品も、青年に成長したレオン(デイヴィット・ヒューレット)と、美人になったアーシュラ(シンシア・プレストン)の複雑な愛情、葛藤劇が中心となっています。アーシュラは外の世界に羽ばたこうとするのだけれど、いつまでも子供の世界にとじこもっていたいレオンは、どんどん 「ピン」 に依存するようになってしまい…

 しだいに狂気に冒されていくデイヴィット・ヒューレットの演技がかなり膚寒いです。それから、アーシュラ役のシンシア・プレストンも、ツンとした美人さんタイプで、非常に魅力的でかわいらしい♪  地味ながら、じっくり見せてくれるドラマになっています。

 なかなか手に入りにくい作品のようですが、一見の価値があると思いますので、見かけたらぜひどうぞ。でも、すごく悲しいお話なんですよ。











人体模型の「ピン」。
この通り、ぬめっとしてます!







医師のパパのテリー・
オクィーン。




幼いころのレオンと
アーシュラ。
レオンは 「ピン」 と会話
していると思っている
ようですが…






ショック!!
看護婦さんが、「ピン」を
使って…?!?!






大人になったレオン
(デイヴィット・
ヒューレット)。






とうとう食卓の席に
まで、「ピン」を
座らせるようになって…!!






 
    Ryeong



(2004)韓国
出演…キム・ハヌル
リュ・ジン
ナム・サンミ
監督…キム・テギョン
★★★


〔ストーリー〕
 大学生のジウォンは裕福な家庭だが、父親を事故で亡くし、母は失意に暮れる日々。おまけに、彼女自身記憶喪失というハンデを抱えていた。ボーイフレンドのジュノの励ましを頼りに、記憶をとりもどそうと治療をつづけるジウォン。そんなある日、彼女のまえに高校の同級生だったというユンソがあらわれる。彼女はジウォンの恵まれた暮らしを、「新しい生活を用意してもらったのね」と、皮肉をいい、おなじく同級生だった少女の死を告げる。だが、別れた直後、今度はユンソが不可解な溺死をしたと知らされて…??


 韓国ホラーって、ふだんはなんとなく敬遠してしまうんですけど、なんとなーく、和製ホラーっぽいなとか思ってしまうんですけど、これはなかなかおもしろかったです。2004年の作品なんですよね。そして、アメリカでのリメイクも決定しましたそうで。

 監督さんのキム・テギョンは、これがデビュー作になるようです。デビュー作なんですけど、驚くほどよく出来ています。別タイトルで「Dead Friend」、邦題では「霊/リョン」となっています。

 偏見かもしれませんが、アジアン・ホラーというと、「こわがらせてやる~!!」 という狙いばかりが先走りしすぎちゃって、肝心の内容があぼーんになってしまうことが多いですよね… それでなんとなく、わたしはアジアン・ホラーが苦手だったりするんですが。

 ですが、この作品はお話もしっかりしていておもしろい。非常にドラマチックです。ラストで、あらー、そういうことだったのね~ と、妙に納得してしまいます。アメリカがリメイクに飛びつくのもわかる気がします。

 ストーリーは、ヒロインのジウォン(キム・ハヌル)のやや不安定な生活からはじまります。ジウォンはお金持ちの家のひとり娘、大学では歳上のボーイフレンドのジュノ(リュ・ジン)というやさしい男の子がいます。が、じつは父親を事故で亡くしたばかり。そのショックからか、母(キム・ハサク)は気分屋になってしまい、明かりも点けない部屋でじっとしていて、ジウォンが遅く帰ってくると、「どうしてわたしをひとりにするのよ! わたしをなんだと思ってるの??」 と、責められてしまいます。

 おまけに、ジウォン自身も記憶喪失という深刻な問題を抱えていました。原因はまだはっきりしていないのですが、おそらく父の死から、自己防衛のために記憶を封印しているのでは…? そう考えられていて、医師の治療を根気よくつづけています。
 リフレッシュは、プールで泳ぐこと。右腕に傷跡が2本あるのですが、これがいつ、どうやってついたのかも、彼女は思い出すことができません。

 そんなある日、彼女の通う大学に見知らぬ女性がやってきます。
 彼女はユンソ(ビン)と名乗り、ジウォンとは高校時代の同級生だというのですが… なぜか再会を喜ぶでもなく、おなじく同級生だった友人が死亡したことを告げます。そして、なにかに怯えているようなのですが…??

 ユンソとはそのまま別れるのですが、その直後に、今度は彼女が不可解な状況下で溺死したという報せをうけてしまいます…!!
 彼女の死を皮切りに、悪夢にうなされ、少女の幻を見るようになるジウォン。自分の過去に、いったいなにがあったのか? 知りたいけど、知りたくない… こうしてジウォンは、死亡したという同級生の家を訪ねてみることにするのですが…

 …とまあ、ざっくばらんに説明してしまいますと、こんなお話なんですが。
Jホラーお得意の 「呪いの連鎖系」 です。ですが、その手のホラー作品よりもちゃんとしたドラマになっていまして、ストーリーも明確でおもしろいです。

 記憶喪失のヒロインが過去に怯えながら、真実をつきとめていく… そこに、ときどき 「貞子さん」 のような呪いが入りまして、薄気味悪い盛りあげ方もよろしい。結末近くでは、不覚にも涙ぐんでしまうシーンもあります。ですがっ! それだけでは終わらないんですねー、それが、この作品のいいところ ちょっとだけネタばらししてしまいますと、これはホラーとミステリの融合作品なんですね。

 こんなにおもしろいのに、レンタルには置いてないみたいです。リメイクの出来も気になるところですが、まずはオリジナルを観ていただきたいなー、というのが、わたしの本音です。
 あと、幽霊がさほど誇張されていないのが、個人的にはよかったですね。この程度の自然さが、いちばん気持ち悪いと思うんですが。











ジュノ(リュ・ジン)と
ジウォン(キム・ハヌル)。







ジウォンは奇妙な幻覚を
見るようになり…









かつての仲良しグループ
のひとりは、精神病院に
いた!!







ひいぃぃ、
とんでもない
ことに~!!









ヒイ~ッ!!!
なんか出てきた!!








水にまつわる、
ジウォンの忌まわし
い記憶とは…?!







    Drag Me To Hell



(2009)アメリカ
出演…アリソン・ローマン
ジャスティン・ロング
ローナ・レイヴァー
監督…サム・ライミ
★★★☆


〔ストーリー〕
 銀行の融資係として働くクリスティンは美人で性格もよく、成績も優秀。おなじ銀行員の恋人のクレイは御曹司で、身分のちがいが唯一の悩みだった… そんなある日、彼女の受付窓口にミセス・ガナッシュという老婆がやってくる。老婆はローンの返済期限の延長を頼みこんできて、あまりに必死な様子に、クリスティンは一度は検討してみると答えるが… 上司に相談して、結局は断ることに。しかし、このことが老婆の怒りを買ってしまい…!!


 なにがこわいって~、逆恨みほど、おそろしいものはないわけでして~!!
サム・ライミの新作です。かなりこわいんですけど、妙に笑えるホラーです。

 サム・ライミが原点回帰して撮ったホラーということですが… なんというんでしょう、思っていたよりも、ずっとまともな映画でした。
 えーと、テーマが 「呪い」 というと、まっさきに思いつくのが、キングの 『痩せゆく男』。設定とキャラが変わっただけで、こちらの作品もおなじように進みます。海外の呪いって、こういうイメージなんでしょうかね? それとも、キングの影響力がよほど強いのか。

 ストーリーは、銀行の融資係として働くクリスティン(アリソン・ローマン)のもとに、醜悪な老婆(ローナ・レイヴァー)がやってくるところからはじまります。このローナ・レイヴァー演じるミセス・ガナッシュが、とにかくキチャない! ばっちい! とんでもない理由で逆恨みするうえに、やたらめったら強い!!

 老婆はお金に困っている様子で、ローンの返済期限を延ばしてほしいと、クリスティンに頼みます。彼女の必死な様子に、クリスティンは心を動かされて、上司に相談してみるのですが… でも、結局は断ることに。すると、今度は土下座までしちゃって、スカートにキスしてくるではないですか!! ひえー、「やめてください!」 びっくりして、思わず守衛を呼んでしまうと、老婆は呆然としながら、「よくも恥をかかせたわね…」(← って、自分から土下座したんじゃないですか~!)

 こういうことって、現実にもよくありますよねー。とくに客商売なんかは、こんな理不尽な理由から恨みを買ってしまうことが多々あるわけでして… 
 クリスティンの場合も、この事件が原因で、とーんでもなくおっそろしい呪いをかけられちゃうわけです。この呪いというのが、すごく強力でして、じっさいにこんな目に遭ったら、確実にチビッちゃうと思います。それくらいこわいです。ですが、その呪い以上にこわいのが、やはり老婆!

 どんな容態なのか簡単に説明してみますと、片目が白内障にかかってまして、入れ歯のはずなのにガタガタの歯並びで、デモンズみたいな黄色い爪を伸ばしてて、見るからに邪悪なオーラがただよってます。それで、力も強いし、打たれ強い! 不死身なんじゃない? というくらい、何度でも起きあがってきます… あ、呪いをかける以前に、こんなプロレスシーンがあるんですね。というのも、呪いをかけるのに、「ある必要なこと」 があるんですが… あ、んまり書かないほうがいいですか。
 
 ヒロインのクリスティンを演じるアリソン・ローマンが、かわいくて美人で性格もよくて、不運な災難が降りかかってしまうキャラがよく似合っています。恋人のクレイに
ジャスティン・ロング、クリスティンに力を貸す占い師のラムにディリープ・ラオ。

 さすがライミ監督、映画としての完成度が高いです。きっちりしてます。オープニングもショッキングだし、盛りあげ方もうまいし、クライマックスもそれなりに興奮するんですけど… でも、なぜにこんなに笑えちゃうのか? やはりライミ監督だからか!

 …まあ、とりあえず、みなさんもご覧になって判断してみてください。このバアさん、ほんとすごいんですよ。こんな強かったら、お金がなくても暮らしていけそうですが… それをいっちゃおしまいですか。それから、交霊術のシーンに登場する〇〇がまた、笑えます。でも、かなりこわいお話ですよ。



 
 







クリスティンを演じるアリソン・ローマン。
美人薄命といいますが…







ひいぃぃ、これ以上大きな
画像を載せられません。
すみません。
ごめんなさい。
こっち見ないで。







あーっと、
ガナッシュ選手、
うしろをとった!









今度はガナッシュ、
寝起きを襲います!!










恋人のクレイと。
やさしく相談に
乗ってくれますが…



占い師のラム。クリスティンの手相から、なにを知るのか…??







                

おひさしぶりです、ライミ監督。
もっとホラー撮ってください。
あ、コメディでもかまいません!  






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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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