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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    eXistenZ


(1999)カナダ/イギリス
出演…ジュード・ロウ
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウィレム・デフォー
イアン・ホルム
監督…デイヴィット・クロネンバーグ
★★★


〔ストーリー〕
 近未来のアメリカ。新作ゲーム「イグジステンズ」の発表会で、カリスマ的な人気を持つゲーム・デザイナーのアレグラをゲストに、一般のゲーム・ファンたちを数人集めてゲームを体感しようと企画する。ところが、ゲーム中に突然気味の悪い銃を持った若い男が乱入、アレグラは撃たれてしまう。警備員のテッドはとっさにアレグラをかばって、彼女を連れて車で逃げだすのだが…


 クロネンバーグの「イグジステンズ」です。

 なにしろテーマが 近未来の “ゲーム” ですから、この作品ももちろん、「バーチャル・リアリティ」 ものとなるわけですが、そんじょそこらのバーチャルなリアリティを想像してもらっては困ります! CG全盛期であろうとなかろうと、バーグ先生お得意の超~肉感的な、超~ド変態なアイテムで、これでもかと攻めていきます。「未来」 のことを描いておきながら、表現する方法は思いっきりアナログな感じがまた、非常におもしろい一作でもあります。

 さて、タイトルにもなっている 「イグジステンズ」 とは、新型体感ゲームの名前なんですが、このゲームをはじめる方法からして、まさにド変態。なんと、ゲーム愛好者のほとんどが脊髄に “ポート” (穴)を開けているという状態で、そこに直接ゲーム機を接続してしまうのです。

 このゲーム機がまた、突然変異の魚類と爬虫類の器官を利用して作った(なんじゃそりゃ!!)、いわば、“生きている” もの。見た目もムニムニ、ブヨブヨしています。すっごく気持ち悪そうでしょう? 映像で見ると、ほんとに気色悪いです。「人間て、快楽のためならここまでできちゃうのっ!」 と、妙に感心してしまうくらい、イヤ~な現実感が伴っているから、余計に不気味だったりするのです。

 そんなゲーム機と陰謀に翻弄されてしまうのが、ジュード・ロウ演じるテッドと、世界的な人気を誇るゲームデザイナーのアレグラ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。前述しましたとおり、脊髄に穴を開けて、そこに奇怪なゲーム機を接続するんですから、不潔な感じもするし、(じっさい病気になっている人もいるし)、卑猥だし、(じっさいそんな意味合いもこめられているんだと思います)。

 映像的には、こうした不快な場面や嫌悪感を伴う状況などが、延々とつづいていく… といった感じです。この作品を観終わってまず思ったことは、バーグ先生は 「いま」 という世界を的確にとらえているのですけど、そこになにかしら、「回答」なり 「未来」なりを見いだそうとは思っていないようです。ですから、シュールで不気味な映像が次々と目の前をよぎるのですけど、そこに哲学的な意味があったりとか、暴力的な示唆があったりとか、そういったことはぜんぜんないのです。

 ぜんぜんないのです!

 …えーと…?
バーグ先生、わたしの理解力が足りないだけですか…??(汗)

 たしかに、以前のバーグ先生とくらべると、パワーも迫力も落ちていることは確実ですが、はじめからシニカルにとらえていた、と思えば納得できました。陰謀を起こす方も、狙われる方も、傍観者(観客)からするとゲームの一種にしか見えないという、現代社会の本質が失われていくこわさ… これがほんとのテーマだったのでは?











命を狙われているアレグラ
(ジェニファー・ジェイソン・リー)。






小型ゲーム機が、勝手に
ニュルン!って!!
入ってっちゃった!!








新作「イグジステンズ」
発表会にて。








騒動から逃げだした
アレグラとテッドは…



 

 





ゲームの中(?)では、テッドは
不潔な工場に勤めているようで
すが…







 

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    Dark City


(1998)オーストラリア/アメリカ
出演…ルーファス・シーウェル
キーファー・サザーランド
ジェニファー・コネリー
ウィリアム・ハート
監督…アレックス・プロヤス
★★★☆


〔ストーリー〕
 見知らぬホテルの一室で目覚めたジョンは、記憶を失っていた。自分が何者なのかもわからず、不安と焦りに追われるなか、鳴りだした電話の相手が不可解なことを告げる… 「いますぐそこを逃げだすんだ。やつらに捕まってはいけない!」
時計が止まるたびに、街の住民すべてが奇妙な眠りについてしまう… そして、ジョンにつきまとう不気味な黒いコートの一団。やがてジョンは、思いもしない秘密に気づきはじめ…!!


 邦題「ダーク・シティ」です。

 この作品も、じつは90年代に流行った「バーチャル・リアリティ」もののひとつ。そして、個人的にはとくにお気に入りの一作です 

 「バーチャル・リアリティ」 ものというと、アイデアばかりが先走って、いまいち内容の伝わりにくい(…といいますか、無理ありすぎ! なものが多かったのもたしかです…汗)、たとえばそれが、(…“キング原作” と謳い文句にしながら、のちにキング本人から「ナメんなよ!」と、提訴されちゃった、突っ走りすぎの「The Lawnmower Man」「バーチャル・ウォーズ」1992)とはいいませんが)、いいませんが!!

 こちらの作品はすっきりまとまっていて、アイデアも無理がなく、わかりやすく、なによりエンタテイメントしていて非常におもしろい! 良作となっています~。未見の人は、ぜひ手にとってみてくださいね♪

 監督のアレックス・プロヤスは、日本でもヒットしました、「The Crow」「クロウ/飛翔伝説」1998)を撮った方です。この映画も、非常にうまく作られていましたよねー。「クロウ」 を観たことがある人には、「ああ、わかる!」 と、共感してもらえると思うのですが、この方は、舞台の作り方がとくにうまいんです。さほどお金をかけているわけではないんですが、アイデアだって、突拍子もないものではないんですが、味わいがありまして、“古きよき時代の映画” に通じる叙情性、レトロちっくな感慨深さのようなものがこめられているのです。

 主人公のジョン・マードックは、色男のルーファス・シーウェルが演じています。その色男ジョンの恋女房役に、大人になったジェニファー・コネリー(役名エマ)。じつは、ジェニファーのファンの方は、すこしショックを受けてしまうかもしれません。だって、ジェニファーたん、いきなり登場したとたんに、「アタシが浮気したからね」「アタシの不倫が原因なのよね」 などと、爆弾発言攻撃!

 え?えええー?? と、これには観ているこっちも真っ青です。
だってジェニファーくらい、「浮気」とか 「不倫」なんて言葉が似合わない女優さんはいないじゃないですか!!「これ、もしかしてミス・キャストなんじゃない…? ジェニファー、清楚すぎるんじゃない?」 などとヒヤヒヤしながら観ていましたら、途中でちゃーんと納得できました。よかった

 ご覧のとおり、「The Matrix」「マトリックス」1999)より以前に撮られた作品ですが、内容はまったくひけをとりません。記憶喪失となったジョン、そのころ世間では、残虐な娼婦連続殺人が起こっていました。犯人は自分なのか? 電話の相手の正体は? 黒ずくめのコート軍団 “ストレンジャーズ” とは? (そして、ジェニファーたんの 「浮気発言」 の真相は…??)

 どうです、すっごくおもしろそうでしょう?

 一見すると、大作の影に隠れてしまうB級SFのように思われてしまいそうですが、独特の世界観と魅力的な町並みの雰囲気がセンスバツグン。あと、音楽もイイです。一度乗ってしまうと心地いいです。
この作品に共感してもらえるあなたは、きっと映画センスもステキなはず!!



    






すべての人が眠りについたころ、
キーファーさんと、“ストレンジャーズ”の
ナゾの集会がはじまります…
注射器の中身は??










主人公のジョンを演じる
ルーファス・シーウェル。
 







ジェニファーはいくつに
なってもキレイです







ジョンを執拗に追う
ストレンジャー!





ダークシティの象徴的
な建物の時計台。
針が止まると、なにか
が起こる…?



最後の決戦!!
ジョンはほんとうの
自分をとりもどせる
でしょうか?
それから、ほんとうの
○○とは??







    Phantasm


(1979)アメリカ
出演…マイケル・ボールドウィン
ビル・ソーンベリー
アンガス・スクリム
レジー・バニスター
監督…ドン・コスカレリ
★★★


〔ストーリー〕
 満月のある夜のこと、ひとりの男性が墓地で美女に刺し殺された。後日、殺害された男性トミーの葬儀が執り行われ、友人のジョディとレジーのただふたりだけが参列した。じつは、ジョディの両親も一年前に、この墓地に埋葬されていた。葬儀が終わったあと、弟のマイクが広い墓地内でバイク遊びをしていると、奇妙な光景を目撃する。葬儀の関係者とおぼしき背の高い男がやってくると、トミーが入れられた棺桶を軽々を持ちあげて、霊柩車の中に放りこんだのだ…!


 あまりの懐かしさにレビューしてしまいました、「ファンタズム」です。
 
 ドン・コスカレリ監督というと、ごく最近のものでは、〈マスター・オブ・ホラー〉「Incident on and Off a Mountain Road」「ムーンフェイス」2005)なんてありましたよね。うら淋しい夜道を車で走る美女が、ふとしたことから追突事故を起こし、ナゾの不気味な面相の殺人鬼に追われる、というようなストーリーです。コスカレリ監督らしいファンタジックな雰囲気がよく出ていて、光と影の使い方もうまく、非常におもしろかった短編のひとつです。

 そのコスカレリ監督、原点はこの「ファンタズム」にあるわけですが、2008年現在まで、なんと5作(!)の続編が作られています。でも、個人的には、それらの続編はなかったことに~ しておきましょう。いえ、それなりにおもしろいのですが、ストーリーの幅も1作目よりずっと出ていてサービス満点なのですが、いちばんの持ち味であったダークなファンタジー要素、曖昧模糊とした怪奇性が急速に失われてしまったのもたしか。

 …ということで、今回は初回の観客を混乱に巻きこんだこの作品に的を絞ってみたいと思います。

 「ファンタズム」 の成功の一因には、じつは主人公のマイクを演じるマイケル・ボールドウィンの存在も大きいと思います。彼はコスカレリ監督の「ボーイズ・ボーイズ/ケニーと仲間たち」(1976)にも出演していますが、こちらは爽やかな少年たちの友情ドラマ。「ファンタズム」 のリリカルな佇まいは、ここから出発していたんですね。

 一応あらすじらしきものを書いてみましたが、脈絡がなく、いきなり怪異な出来事がはじまったり、手掛かりを掴んだと思ったら投げだされちゃったりと、面食らって迷子になってしまいます。それもそのはず、なんとこの脚本は、コスカレリ自身の 「悪夢」 をそのまま書き写したものなんだそうです。一見すると難解な物語に思えますが、“不安定な状況に置かれた少年の困惑”をそのままあらわしているんだと思えば、けっこう納得。

 それから、“発想の転換” というのもありますね。
だって、だれだって、「死神が魂を集める」 のは理解できますけど、まさか 「それを○○にしている」 とは考えつかないですもんね~!!

 映像的にも不可思議で魅力的な場面が多く、たとえば、まぶしいくらい真っ白な大理石の霊安室、大豪邸みたいな葬儀屋の館、異常に背の高すぎるトールマン(アンガス・スクリム)も絵になっていますし、忘れちゃいけないのが、鉄球!! これ、いちばんの人気アイテムですよね この鉄球、「ウィーーン」ってメカニックな音を立てて空中を滑らかに飛びまわり、急に突起物が出てきて頭に「グサッ!」と刺さったり。

 結末の不可解で不気味な余韻も印象的。この後、この作品に少なからず影響を受けたと思われる作品が、続々と生まれることになるわけです。





ハリウッド・スターのお屋敷のような大豪邸ですね。
ここに、とてつもな~い秘密が隠されているわけです。






広い霊安室で迷子になっ
ちゃったジョディ(ビル・
ソーンベリー)を、いきなり
「ウルァ!!」と、捕まえる
トールマン。








襲いかかる鉄球!!








トールマンの指を切り
落としたら、オレンジの
!!







隠された小部屋の
不思議な支柱を
触ってみると…??







    The Faculty



(1998)アメリカ
出演…イライジャ・ウッド
ジョシュ・ハートネット
ジョーダナ・ブリュースター
監督…ロバート・ロドリゲス
★★★


〔ストーリー〕
 理系の目立たない生徒・ケイシーは、ある日グラウンドで奇妙な生物を発見する。その生物を水槽に入れたとたん、奇怪な形に変形して攻撃的な本性をあらわにした。やがて、ケイシーの周囲でやたらと水を欲しがる人々が出現するようになり…


 このレビューを書くまで、監督がロドリゲスだったとは知りませんでした! 
邦題は「パラサイト」です。
 
 脚本を担当したのは、「Scream」「スクリーム」1996)でお馴染みのケヴィン・ウィリアムソン。90年当時、キャピキャピ学園ものホラーって、ほんとに流行りましたよねー。この作品もその流れに思いきり乗っかった、お気楽ティーン・ホラーです。当時若手として注目されていた俳優さんたちが、わんさと出演しています。でも、監督がロドリゲスですからね、そこはさすがにロドリゲス、スピード感溢れる強引な展開には、もう釘付けです。

 いちばんの見どころは、ジョシュ・ハートネット(“ポスト・ブラピ” と呼ばれていたんですよ!)と、イライジャ・ウッドの初々しい演技です。このふたりがこんな大物に成長するとは思わなかったですね~。(とくに、イライジャは近年、出演する作品を選んでいますよね!)

 ストーリーもいたってわかりやすく、「The Thing」「遊星からの物体X」1982)「Invation Of The Body Snatchers」「SF/ボディ・スナッチャー」1978)系の、いわゆるSF侵略サスペンス。ともすると、既視感に占領されてしまいそうな画面ですが、テンポのよい展開と、山あり谷ありの見せ場作りが功を奏して、かなり痛快なティーン・ホラーとなっています。

 侵略SFですから、“だれが寄生されているのかわからない” というサスペンスで、けっこうハラハラ盛りあがるところがミソ。

 優秀どころはやはり、音楽方面になるでしょうか。
〈ピンク・フロイド〉やアリス・クーパーのカバーを中心に、参加有名人には、〈アリス・イン・チェインズ〉のレイン・ステリー、〈レイジ~〉のトム・モレロ、元〈ポルノ・フォー・パイロス〉のマーティン・ルーブルとステファン・パーキンス、ついでに、〈エアロスミス〉のプロデューサーのマット・サーレティック… すんごい豪華メンバーですね!! 調べているうちから驚いてしまいました。(さすがは顔の広いロドリゲス監督ですね~)。

 ロドリゲス監督が大ヒットしているいま、再見に値する魅力がギュッと詰まった、良作のホラーだと思います。







大きな青い目がうるうる。。。
十年もまえの作品ですけど、
イライジャってほんと、変わり
ませんね。









わたしもシーッされたい!!
ジョシュはひとりでカッコよすぎ。








外は大雨、校内に立てこもる
生き残り組の運命や、いか
に…!?!








水もしたたるイイ男…♪♪







   Enduring Love


(2004)イギリス
出演…ダニエル・クレイグ
サマンサ・モートン
リス・エヴァンス
ビル・ナイ
監督…ロジャー・ミッシェル
★★★☆


〔ストーリー〕
 穏やかな陽気の午後、大学教授のジョーと恋人で彫刻家のクレアは、オクスフォード郊外の静かな丘でピクニックを楽しんでいた。そこへ、幼い子供を乗せたまま空に飛び立とうとする気球が流れてくる。ジョーと現場に居合わせた3人の男性は、とっさに走りよって助けようとした。が、子供を救出したとたん、ひとりの男性をロープにしがみつかせたまま、突風に煽られた気球はふたたび空へ。力つきた男性は、ついに地面に落下してしまい…


 ひきつづき、イギリス映画のご紹介です。邦題は「J の悲劇」です。今回はサスペンスなんですが、多分にアートな映画です。

 ロジャー・ミッシェル監督というと、「ノッティングヒルの恋人」(1999)という、大ヒットしたラブストーリーがありました。あの映画のおかげで、ノッティングヒルの土地の値段が跳ね上がったくらいなんですよ、映画効果ってすごいですねー。(当時ノッティングヒルに住んでいる人たちは、映画様々でした)…なんと、「ノッティング~」に出演していたリス・エヴァンスが、今回の物語の重要な役どころです。「ノッティング~」とは想像もつかないほどリアルでシリアスで、寒気がするほどこわく、哀れな映画でもあります…!

 調べてみましたら、原作もあったのですね。ぜんぜん知りませんでした! 『黒い犬』 でブッカー賞を受賞した、イギリス人作家イアン・マキューアンの 『愛の続き』 という作品だそうです。この原作のタイトルもまた、“きます” よね~。本作を観終わったあとは、感慨深いことひとしおなんです。

 冒頭の気球の事故シーンがまず、驚くほどショッキングです。平和なピクニックが一転して悲劇に変わり、偶然その場に居あわせた人たちを思いもしない「運命」に巻きこんでしまいます。

 新ボンド(!)ことダニエル・クレイグ演じる大学教授のジョーは、知性的で理論的な思考を好む、非常に理屈っぽい人。同棲中の恋人クレア(サマンサ・モートン)と休日にピクニックを楽しんでいると、突然悲鳴が聞こえてきます。青々とした緑の丘と真っ赤な気球という組みあわせが、ハッとしちゃうほど鮮やかでもあり、不吉な予感を表現していて秀逸。まだ悲劇が起こっていないうちから見る者をハラハラさせて、なんともいえない動揺に襲わせていきます。

 気球というのは「熱力」で空に浮かびあがるものですが、「風」の役割がじつは重要なんです。大の男が4人で必死に降ろそうとしても、そう簡単に地面に着地させられるものではありません。気球が徐々に空に浮かびあがるにつれて、ひとり、またひとりと、危険を察してあきらめていく男たち。でも、ただひとりだけ、最後まであきらめようとしない男性がいました… その勇気と忍耐力が仇となって、彼は悲惨な死を迎えてしまいます。

 理屈人間のジョーはこの事実にすっかり打ちのめされて、事故のあとも落ちこんでしまいます。そこへ、おなじ“気球仲間” のジェッド(リス・エヴァンス)という若い男性がやってきて、「ぼくたちは話しあわなければならない」といいます。また、ジェッドは死んだ男性の名前が、「ジョン」であったことを、ジョーに告げます。

 …えーと、ですね。おおまかなあらすじを述べてしまいますと、これは○○のお話なのですが、よくある形だけの陳腐な○○ものとは百八十度ちがって、登場人物たちの心理状態をじつに丹念に、冷静に追っているので、重厚で知的なドラマといった雰囲気です。(…そのあたりのところは、おそらく、原作の負うところが大きいのでしょうけど)、豪華な役者さんたちの白熱した演技も見事です。それから、カメラワークもうつくしいですね! ヨーロッパ映画のカメラワークって、どうしてこんなにアートチックできれいなんでしょう。

 まだ未見の方のために、あまりくわしくは書けないのですが、(この作品は、まったくの予備知識なしで観ることをオススメします)、これは原作のタイトル通り、「愛」についての映画です。ラストの余韻がものすご~く深いのですけど、エンドロールのあとに挿入されるワンカットで、またゾゾゾ~…!!

 それから最後に、邦題となっている「J」はもちろん、主人公のジョー、ジェッド、亡くなったジョンの3人のことを指しています。











ダニエル・クレイグ演じる
ボンド、じゃない、ジョー!
理屈っぽい男性は好き
ですか?






恋人のクレア(サマンサ・
モートン)と。
「愛」は人知によってコント
ロールできると思っている、
理屈人間のジョーですが…






ナゾの男ジェッド(リス・エ
ヴァンス)登場!
「ノッティング~」のおバカ役
からは想像もつかないほど、
不気味です!








ジョーにつきまとうように
なったジェッドの狙いと
は…??











これは、いったい…??







   The Cottage



(2008)フランス/イギリス
出演…リース・シェアスミス
アンディ・サーキス
ジェニファー・エリソン
監督…ポール・アンドリュー・ウィリアムス
★★☆


〔ストーリー〕
 デイヴィットとピーターの兄弟は、知人のアンドリューと3人で共謀して、マフィアのドンの娘を誘拐、彼女の父親から身代金をせしめようと計画する。しかし、マフィアの追っ手はすぐそこに迫って、いまにも報復が行われようとした、そのとき…!! 追っ手よりも凶悪な、第三の人物がいたのでーす…!!!


 イギリス製です、ええ、イギリス製なんです。

 イギリス産のホラー映画というと、わたしはすぐに「Severance」(2006)を思い浮かべてしまうんですが(…それくらい、こってりイギリスしていましたから)、最近になって思うことは、イギリス人だったら、だれでもこれくらいのハイなレベルのホラー映画を撮れちゃうんじゃないのかなー? ということです。(…たぶん、だれでもってことはないと思いますが…)

 すこし以前に、「Botched」(2007)という新作を観たんですが、ストーリーといい、芸達者な役者さんたちといい、コミカルで小気味いいテンポといい、場ちがいなクラシック音楽といい(流行り?)、非常によく似ています。といいますか、やっぱりイギリス人はみんな、こんな映画が撮れちゃうんだと思います! すごいですね、イギリス!!

 話がだいぶ逸れてしまいましたが、お国柄のユーモア・センスなのか、本作品を担当したポール・アンドリュー・ウィリアムスにしてみても、とことん「自虐的な笑い」を追求するあたりが非常にうまいです。ホラーを撮ったのはこれが初めてのようなんですが、以前からやったことがあるかのように、じつにこなれています。…といいますか、やはりイギリスでは、日常茶飯事でこんな黒い笑いが横行しているのではないでしょうかね!(…Mr.ビーンにしてみても、ブラックなユーモアが活躍する回がけっこうありましたからね~)

 デイヴィット(アンディ・サーキス)とピーター(リース・シェアスミス)のでこぼこ兄弟が、友人を巻きこんで誘拐を企てるんですが、しょっぱなから危ういミスばかりです。
マフィアのボスの娘を誘拐してくるんですが、この娘、かわいらしい外見やアニメな声とは裏腹に、かなりのファイティング・ガールです。このファイティング・ガールのトレイシーを、ジェニファー・エリソンが演じているんですが、ちょっとだけ(いまの)ブリたんに似ています。

  …でも、気合の入っている写真を見ると、とても同一人物とは思えないような美女に変身しています。(女はコワいですねー、みなさんも騙されないように、気をつけましょうね
 
 いちばんの見どころは、ぼこ担当のピーターの七変化でしょう。この方、本国では有名な演劇青年でして、老人から少女(!!)まで演じわけることのできる、すぐれた役者さんなんだそうです。本作品でも、そんな彼の多才ぶりの一端を垣間見ることができます。トレイシーにボコられるピーター!! デイヴィットに怒られるピーター!! おののくピーター!! 殺人鬼を前にして、女の子みたいに悲鳴をあげつづけるピーター… って、ダメダメなパターンばっかりですね~、すいません(笑)。

 オープニングからラスト(…っていうかな?)までだれずに、楽しいノリでけっこうなスプラッタをしていきます。コミカルなホラーの場合、「笑い」と 「グロテスク」の強弱が大切だと思うんですけど、そういうことにかけては職人肌といいますか、危なげなところがひとつもありません。日本人の監督さんも、ぜひ見習ってほしいですね。
次回作もぜひ(ホラーで)撮ってほしい、期待の新人さんのひとりだと思います










「ひ~…!!」 
ぼこ担当、ピーター(リース・シェア
スミス)の危機一髪!!







「あっ、あれは?!」
でこ担当、デイヴィッド(アンディ・
サーキス)が納屋で発見したものは??







暴力娘のトレイシー
(ジェニファー・エリソン)!
ブリ似だなーと、思ってたら…











やっぱり似てました!
(いろんな意味で!)
こちら、気合入れ後仕様。
女は化けるんですよ~、
みなさんも、ご注意を 




さんざん殴られちゃって、
鼻血まみれのピーター。
「はひ~、
(冷蔵庫にあった)冷たい
お豆さんが気持ちイイ…」







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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
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女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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