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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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  Victim



(2010)アメリカ
出演…スティーヴン・ウェイガンド
ボブ・バンクロフト
ブレンダン・ケリー
監督…マット・エスカンダリ/
マイケル・A・ピアス
★★☆


〔ストーリー〕
 クラブからの帰り道、駐車場で突然なにものかに拉致されてしまった男性。その日から、恐怖の監禁生活がはじまった!! 捕らえられた場所は地下室、目の前にはドクター・ヴォルクを名乗る男と、彼の助手のジョージ。ふたりは手はじめに指紋を焼き、さまざまな拷問をくわえつづける… そのさきにある、驚愕の結末とは??


 キョーレツなポスターに惹かれてしまった、下品なわたしです。
ちょっと変わり種の拷問ホラー。

 わたしはわりと楽しめたんですけど、imdbの評価は低いですね! やっぱり、内容が下品だから…? たしかに下品ですけど、映画としてはちゃんと成り立っていると思います。

 内容は簡単です。
主人公の男性(スティーヴン・ウェイガンド)がクラブの駐車場で拉致されて、目ざめるとどこかの地下室。そこには気むずかしい学者然とした、ドクター・ヴォルク(ボブ・バンクロフト)と、彼の助手の怪力男のジョージ(ブレンダン・ケリー)がいました。

 ふたりは理不尽な暴行をくわえて、主人公を責めさいなみます。指紋を焼いて、「ほーら、きみの証明がなくなっちゃった!」、頭に強い電気ショックをくわえて、「ほーら、もう記憶も曖昧になってきちゃった…!」
で、彼らはなんでそんなことをするのか? 変態なのか? いえいえ、そこには深ーい理由があったのでした… というお話です。

 拷問といっても、じっさいたいしたことありません。自我の喪失の描写じたいも、たいしたことない。でも、ごくフツーの男性が、こういう責め苦によってどんどん変化していく過程… そこに見どころがあるみたいです。わたしは余裕で見れちゃったんですけど、これは男性が見たら、どんな反応をしめすものなんでしょう? なんか、見てはいけないものを見てしまったような、複雑な気持ちになりました。

 低予算だし、役者さんの数も知れているけど、わりと最後まで観れちゃう出来。ネタばらししてしまいますと、あの傑作サスペンス「〇〇」の、個人的な復讐バージョンになっているのです。

 ラストでもうひとひねりあると、もっとおもしろくなったかと思います。まあ、いうほど下品ではないですよ!












捕まっちゃいました!!






不気味な医師が…







助手が…






毎日、毎日、
いぢめるんです!!






そして、
彼にある変化が…??







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  Baby Shower



(2011)チリ
出演…イングリット・イゼンセー
クラウディア・バリ
パトリシア・ロペス
監督…パブロ・イラネス
★★☆



〔ストーリー〕
 双子の赤ちゃんを妊娠したアンヘラ、仲のいい女友だちを家に招いて、“ベイビー・シャワー” のパーティーをすることに。しかし、彼女が友人たちを招いたのには、べつの思惑があった… その思惑とはべつのところで、彼女たちを狙う人物もいて…??


 これまた、妙なテンションのチリ・ホラーです。
あと、「The Descent」「ディセント」2005)以来の女同士のドロドロした諍いとか、見れますー

 “ベイビー・シャワー” というのは、身内に妊娠した女性がいると、それをみんなで祝ってあげるホームパーティーのことです。女だらけでどーのこーのって、雲行きがあやしくなってしまう確立が高いようですね。ちなみに、この監督(&脚本)は男性の方です。ということで、男性が想像する女同士のごたごたなのだ~

 ヒロインのアンヘラ(イングリット・イゼンセー)は、双子を妊娠している女性。郊外の家にひっこんで、きょうは友人たちを招いてベイビー・シャワーの予定。そこへ、約束していた仲よしグループがやってきます。「クイーン・ビッチ」 とか呼ばれてるオリヴィア(クラウディア・バリ)、いさましいマニエラ(キキ・ポージョ)、金髪のクラウディア(フランチェスカ・メリノ)、あと、おまけのイヴァーナ(ソフィア・ガルシア)。(← よーするに、とばっちり!!)

 アンヘラはひとり暮らしだけど、手伝いにリカルド(パブロ・クローク)という男性がいます。あと、ナチュラリストに傾倒していて、妙なサークル活動にも参加しています。そのサークルのリーダーの女性が、ソルダット(パトリシア・ロペス)といって、まるで時代遅れのヒッピーのよう。

 ここから、女性同士の争いがはじまって、うんぬん~… と、そこへ殺人鬼もあらわれちゃいてまして、まあー、たいへん!!
一応、こんな感じの内容なんですが。

 まず、アメリカっぽくない演出なので、即物的じゃないといいますか、ポカーンとしてしまう場面がやたら多かったです。

 女同士のドロドロはいいとしても、殺人鬼が登場するあたり… も、そう悪くないんですが、この殺人鬼、いきなり正体がバレバレてしまいます。そっか、そういう映画じゃないんだ… と、思っていると、今度は、「とあるキャラ」 の変貌ぶりに驚かされます。で、なんかよく感情移入もできないままに、わりと残酷な場面が挿入されるんですが… これまた、けっこうやってる(?)わりには、そう過激でもないし、スケベでもないし、ドキドキもしないし…

 あ・れれれ?
なんかへんです!! へんですよ!!

 このへんさ、(というか、おさまりの悪さ)みたいなものは、結局最後まで持続してしまい… うーん、ラストでまた、最大のポカーンが待っています… もしかして、わ、わたしの理解力が足りなかっただけですか?!!

 けしてつまらなくはないんですけど、じゃあ、どこがおもしろかったのと訊かれると、非常に判断に迷う… といいますか、評価がワカラナイ!! そんな映画なのです。

 なにかに似ていると思ったら、〇〇なんですよ。(← これはじっさいにあった事件です)
わたしはこの方面は勉強不足なので、ナチュラリストとか、スピリチュアリズムとか、時代に関係なく熱心な方々がいるんですかねー、そのへんのところも曖昧なため、いまいち理解できず…

 どうせなら、鬼畜ホラーの「〇〇」みたいにしてほしかった。そのほうが感情論で筋通っているもの、なんていったら、完全ネタバレですね。あー、不思議なモヤモヤ感が味わえますので、そのへんに興味のある方なら…










ヒロインのアンヘラ。








仲よしグループ
(+おまけ)の登場。









楽しいパーティーに
なるはずが…








あんなことや!!








こんなことや!!








こおーんなことに!!!







  Cropsey




(2009)アメリカ
監督…バーバラ・ブランカッシオ
ジョシュア・ゼマン
脚本…ジョシュア・ゼマン
★★★


〔ストーリー〕
 都市伝説のモチーフとなった、ニューヨークを騒がせた連続児童失踪事件のドキュメンタリー。いまだに多くの不明な点が残されている、不可解な事件です。


 解けない謎ほど、不気味なものはないのです…

 タイトルになっている “クロプシー” は、NYスタテン島で都市伝説になっている殺人鬼の名前。サマーキャンプにいくと、必ずこの話が出てきて、キャーキャー騒ぐっていう。内容的にも、よくあるフォークロアです。精神病院出のクロプシー、(妻を殺したとか、母親を殺したとか)、フック、またはナイフを持って、若者たち(あるいは子供たち)を殺しまくるという…

 で、これがまったく作り話かというと、そうじゃなくて、じっさいにそんな事件があったのだそうです。スタテン島は湾の右下のほうにあって、64年に橋が開通しました。以来人がどっと入ってきて、ゴミ捨て場になったり、強制施設みたいのが建設されたり… つまりは、市にとってやっかいなものの捨て場所になっていたのですね。

 クロプシーの精神病院のもととなったのは、ここに建設された〈ウィロー・ブロック公立学校〉のこと。40年代後半から70年代まで、ちゃんと運用されていたそうです。ですが、学校なんて名前がついてますが、じっさいには精神遅滞児とか老人を収容する、精神病院でした。劣悪な環境で、満足に世話もしてもらえず、ついには人体実験までおこなわれるようになってしまう…

 注: この病院で人体実験被害に遭った子供の数は、なんと、800人以上にもおよぶんだとか!!!

 また、後日談ですが、この実験をおこなった非人道的な研究チームの指導者は、のちに小児学会会長に就任、医学会から最高公益賞を得たというんですから、あきれてものもいえません。。。

 そんな悲劇と陰残さが残る廃屋に、ホームレスが住みついたり、若者たちの悪ふざけの場所になっていたり…
そして、87年にある事件が起きます。13歳のジェニファーというダウン症少女が行方不明になり、数日後、流れ者のホームレス、アンドレ・ランド(47歳)という男が逮捕されるのですが…

 ランドが逮捕されたことによって、スタテン島ではそれ以前にも、72~85年にかけて、4人もの児童(青年もいる)が行方不明になっていることが注目されます。
これらの失踪事件はすべて、ランドの仕業でしょうか?  ほんとうに、彼が犯人なのでしょうか?

 容疑者が逮捕されたというニュースから、マスコミは 「悪魔」、「子供誘拐犯」と、刺激的なトップを書きたてます。島の人々は恐怖におののき、警察は必死に捜査をつづけるのですが…

 ドキュメンタリーは中立の立場で事件を追うこと、これがまず鉄則なんですが。この作品を観たかぎり、事件の真相なんて当然わかりっこありません!!
それなのですが、それでも真実を追究しようとするバーバラ、ジョシュアのまえに、いろいろな憶測が聞こえてきて… それまでとは、ちがう側面が見えるようになってきて??

 公正に、両方の立場から意見が聞かされてしまうと、ランドが犯人だったのかどうかも疑わしく思えてくるから、こわいです。
事実、マスコミが怪しいと騒ぎたてれば、潜在的な(← 誤解を覚悟で!)目撃者だって、当然増えてしまうでしょう。日本でも、そういう悲劇は多々ありました。

 彼はブギーマンだったのか、警察のスケープゴートだったのか?
クロプシーははたして、どこに消えたのか…??

 現在のスタテン島の若者たちは、クロプシーは知っていても、ランドのことは知らないようです。ましてや、そこに複数の犠牲者たちがいることも…
未解決事件はどうしてこんなにも、人を暗く惹きつけてしまうんでしょうね。興味のある方には、ぜひともオススメしておきます。











製作者のバーバラ、
ジョシュア。










ランドが逮捕されたときの
映像から。








7人の児童が行方不明に
なっているんです…









この青年の失踪事件も、
とても不気味でした…










当時はたいへんな騒ぎに
なっていたようです。





牛乳パックに不明児童の
写真が載るようになった
のは、たしか、写真家の
ひとり息子が誘拐されて
から。







  Husk



(2011)アメリカ
出演…デヴォン・グレイ
ウェス・チェザム
J・C・トーマソン
監督…ブレット・サイモンス
★★☆


〔ストーリー〕
 男女5人で車で移動中、突然窓ガラスにカラスがぶつかってくる。そのショックで、車は道をはずれてエンジン故障。そこはとうもろこし畑のどまんなか。途方にくれていると、仲間のひとり、ジョニーの姿がふいに見えなくなってしまう。心配したスコットとブライアンは、ナタリーとクリスを置いてあたりを歩きまわるが…


 前回がそうとうキツイ内容でしたので、軽いホラーでリセットしたかったんです。

 〈アフター・ダーク〉フィルムなんですけど、フェス参加作品ではないみたいです。てっきり、もうそんな時期かぁー、(…今度で5弾めでしたっけ?) ラインナップをさがしたんですけど、まだ発表されてないようです。今回も、楽しいホラーを期待したいですよね

 えっと、この作品の内容をざっくばらんにいってしまいますと、とうもろこし畑で案山子に襲われる映画!!

 …いや、ほんと、それだけなんですって。
なんでしょう、柳にユーレイ、みたいな感じで、とうもろこし畑にモンスターってのが、アメリカの片田舎だと定番なんでしょうか。評価的には、可もなく不可もなく。フツーのホラーです。フツーのホラーらしく、ゴアフツー、ストーリーフツー、役者さんたちもいたってフツー…

 …って、あんまり書くことがなくなってしまいました!
とりあえず、OPの説明から。

 メガネ男子のスコット(デヴォン・グレイ)、イケメン・クリス(J・C・トーマソン)、ブライアン(ウェス・チェザム)、GFのナタリー(タミン・サーソク)、ジョニー(ベン・イースター)の5人組が、車で田舎町を横断中。そこへ突然、フロントガラスにカラスがぶつかってきて割れちゃう。驚いたブライアンはハンドル操作を誤って、道をはずれて路肩のなかへ。

 ここで車が動かなくなっちゃって、周囲はどこを見わたしてもとうもろこし畑だけ。困ったー、助けを呼ぼうにも、人がいないし! ってときに、ジョニーがふらふら~っと、どこかにいっちゃう。どこまで世話焼かせるんだと、ブライアンは舎弟のスコットをひきつれて、畑のなかに踏み入っていきますが…

 なんか、TV映画みたいにそつない内容です。
描写がもの足りないなと感じたのは、まず案山子がさほど不気味じゃない。この案山子、登場しょっぱなから、なかに死体でも入ってるでしょ? と、みえみえなのですが、そういう気持ち悪さが伝わってきません。もっと気色悪くてもいいのに。

 これとおんなじことが、ストーリーの随所随所で見うけられます。うーん、ギャーギャーわめいてるわりに、殺害方法とか… ループの場面とか。回想シーンを使ったなら、ミステリ要素もほしかった。

 どうも、失敗しないようにきまじめに、守りに入って作っちゃったあまり、突出する部分がなくなっちゃって、数ある似たようなホラーに埋もれてしまった、そんな感じです。もうちょっと、がんばってください!

 ほかにも、気になっているB級、C級ものがいくつかあるんですが。余裕があったら、おいおい観ていきたいなと思っています… って、え? 決めつけちゃダメですて?(笑)











とうもろこし畑というと、
まずキングの短編かな。








かわいい女の子が
ひとりだけ…








きゃー、
カラスの襲撃です!









あら、
不気味ですね~









あらあら、
さ~、どうしましょ?







  Red White & Blue



(2010)アメリカ
出演…ノア・タイラー
アマンダ・フラー
マーク・センター
監督…サイモン・ラムレイ
★★★☆


〔ストーリー〕
 昼は皿洗いのパートタイム、夜な夜なシングルバーで男たちを漁るエリカ。その日暮らしの自堕落な生活を送っているが、心のなかは空っぽ…
ある日、仕事をクビになってしまったエリカは、職探しにむかうと… おなじアパートに住むおせっかいの男性ネイトと働くことに。最初は反発するエリカだが、ネイトの辛抱強い態度にしだいに心をひらきだす。ふたりはそのまま、友人関係になれそうな雰囲気だったのだが…


 すごくすごくこわい映画ですので、軽い気持ちで暇つぶしで観てはいけません…!
じわじわあたたまってくる狂気は、だれにも止められないのです!!

 ガツンとくる映画って、しばらく心にひっかかって、あとあとまでひきずっちゃうものなんですが… ふー、こんな複雑な思いはひさしぶり。この作品は文字どおり、ガッツーン!! とくる映画です。覚悟してかからないと、簡単に飲みこまれてしまいます。

 物語は、堕落的な生活を送るエリカ(アマンダ・フラー)の日常からはじまります。エリカは夜な夜なバーにくりだして、気に入った男性を見つけては、一夜かぎりの関係をつづけている。ときに数人、ときにひと晩中。本人はそれで、さびしさを埋めているつもりなんでしょうが… こんな生活、精神的にいいはずありません。彼女はしだいに内側から、ボロボロになっていってしまいます。

 ある日、度重なる遅刻を理由に仕事をクビになってしまう。途方にくれたエリカが職探しにむかうと… おなじアパートに住む、なにかとおせっかい(?)を焼いてくる、やはり孤独な男性ネイト(ノア・タイラー)とおなじ職場で働くことになります。
ネイトはなぜか、エリカにたいして保護者のように振る舞いたがります。「だいじょうぶ?」とか、しょっちゅうやさしい声をかけてきたり。

 孤独な人間同士、たぶん、彼にはエリカが傷ついてるちっちゃな女の子に見えたのですね。そして、ある事件をきっかけに、エリカは彼に心をひらくことに。といっても、恋愛関係になるわけじゃありません。お互いに、信頼できる相手をほしかったのです。

 しだいに仲良くなっていくふたり。このまま、いい友人関係になれるんじゃない? …そう、期待しちゃった矢先にーーー、
恐怖の崩壊の序曲がはじまっちゃうのです!!! 残酷すぎる!!!

 前半、主要人物たちの描写(エリカ、ネイト、あともうひとり登場します)が結構長くて、もうすこし縮められたんじゃない? とか、思ってたんですけど。最終的な凶悪事件が発生するにあたって、これくらいじっくり描くのも必要だと思いなおしました。この後、彼らは信じられない悪夢に突入してしまうんですが… でも、世間的に見てみれば、よくある事件なのかも。それだけに、被害者と加害者をじっくり描くのって、必要なんですね。

 思うに、人間の価値観なんて、その本人にしかわからないもの。だから、事件の核心じたいも第三者にはとてもじゃないけど、理解しがたいものなのかも。
人は結局、本能で動いてしまうものなんです! 加害者に同情してしまうのは、その衝動作用が共感できるからじゃないですか?

 グロテスク表現が苦手な人には、きっと無理だと思います。でも、できたらいろんな方に観ていただきたい。映画の質もたいへん高いと思います。

 加害者に同調する気持ちもあるけれど… 最終的には、軟弱な理性が邪魔をする。
弱い人間でよかった!










自堕落な暮らしをする
エリカ。








ネイトはなぜか、
彼女におせっかい。








彼の孤独は
どこからくるんでしょう?








マザコンのギタリスト、
フランク。








ネイトがむこう側に
いってしまった原因は…







  Los ojos de Julia


(2010)スペイン
出演…べレン・エルダ
リュイス・ホーマー
パブロ・デルキ
監督…ギレム・モラレス
製作…ギレルモ・デル・トロ
★★★☆


〔ストーリー〕
 講演中に、突然ストールが首に巻きついて倒れてしまったジュリア。妙な胸さわぎをおぼえた彼女は、唯一の肉親である双子の妹サラのもとへ、夫のイサックとともにむかう。だが、サラは自宅の地下室で首を吊っていた。
サラは徐々に視力を失っていく病に冒されていたため、未来を悲観した自殺だろうと、警察に処理される。だが、ジュリアは妹が自殺するはずないと、疑念を抱くのだが…


 期待どおりの優秀作品。
たんなるサスペンスかと思って観ると、びっくりします。

 スペイン映画って、いまいち情報が入ってこなくて、正直よくわかんないんですよ。でも、ホラー・ミステリ関係の映画はやたらと優秀な作品が多いです。ギレルモ製作と聞いて、期待しちゃってたんですけど、これはそうとういいと思います!  おそらく、映画製作の環境がすごくいいんだろうかと思われます。

 物語は、盲目の女性サラ(べレン・エルダのふた役)が自殺するところからはじまります。彼女は目が見えないはずなのですが、暗闇をおびえ、その暗闇になにかが潜んでいるとこわがっています… そして、彼女がこと切れた瞬間、双子のジュリアがそれに感応、なにかが起こったと悟り、夫のイサック(リュイス・ホーマー)とともに急いで駆けつけるのですが…

 独身のサラは将来を悲観しての自殺と、警察は捜査を終了。しかし、ジュリアにはどうしても、妹が自殺したとは思えない。ちょうどそのあたり一帯は停電になっていて、電気が通った瞬間、ステレオから音楽が… この音楽、サラが大っ嫌いな曲でした。やっぱりサラは、自殺なんかじゃない!

 こうしてジュリアは、妹サラの身辺をさぐりだそうとするのですが… 現実的な夫のイサックは、妻が被害妄想に陥っているといい顔をしません。ですが、サラにはどうやら恋人がいたようなのです。その恋人をもとめて、ふたりが泊まっていたというホテルにむかうのですが…

 この作品は、「ブラインド」がテーマ。だから、事実 “見えない人” というのがたくさん登場します。
ふつう、“見えない人” っていうのは、孤独だったり、自己の内側にひきこもっていたり、存在を軽視されていたり… けれども、ジュリアが追いもとめる “見えない人” は、「邪悪」なのですよね。ホテルの従業員のおじいさんが、この「見えない邪悪」について説くシーンは、ぞくぞくきちゃいます~

 前半、先がまったく読めなくて、後半からまったり… あーらら、やっぱり標準の着地点に落ちちゃうのかな? と思ってますと、あとからグイグイいきますからー!! ここからラストまで、いっきに息つくひまなくスリリングです。殺人鬼も存在感があって、じゅうぶんこわい!

 それほど(ストーリーに)意外性はないんですが、スペイン映画らしい、緻密な構成と暗く不気味な雰囲気が世界観を手堅く構成してます。「El orfanato」「永遠のこどもたち」2007)と似ているなと思っていたら、そういえば、ヒロインはおなじ女優さんでした! あと、(語られない部分で)犯人の強迫観念を浮き彫りにするところなんかも、腕に技あり! と思います。

 そして、ラストはせつなく感動的… とりあえず、ここまででいうことなし!!
スペインホラー、大好きです。











しだいに疑念を募らせる、
ジュリア。








夫のイサックはなぜか、
非協力的ですが…?








いいシーンだな~
地下道って絵になります!








ハッ!!
ジュリアが見ちゃった
ものは??










暗闇のなかで、
「邪悪」との戦い!!







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(いちおう)プロフィールです
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自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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