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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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     Paranoid Park



    (2007)フランス/アメリカ
    出演…ケイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、
         ジェイク・ミラー、ローレン・マッキニー
    監督…ガス・ヴァン・サント
    ★★★


〔ストーリー〕
 オレゴン州ポートランドに暮らすアレックスは16才。はじめたばかりのスケードボードに夢中で、ある日友人のジャレッドに誘われて、スケーターの聖地の通称 〈パラノイドパーク〉 と呼ばれる公園にいくことに。しかし、初心者のアレックスたちがプレイできるわけもなく、それでも、プロ級の腕前の人たちのボードを見ているだけで楽しかった。その後アレックスはたびたび 〈パラノイドパーク〉に出かけるようになり、夜は危険といわれているにもかかわらず、ひとりで行ってしまう。そこで年上のスケーターと知り合いになるのだが…


 ホラーではないのですが、今期の外せない注目作ということで、レビューさせていただきます。ガス・ヴァン・サントの「パラノイドパーク」です。

 ガス・ヴァン・サント監督というと、インディペンデント映画を語るうえでは欠かせない最重要人物のひとりですよね。
 「マラノーチェ」(1985)「ドラッグストア・カウボーイ」(1989)「マイ・プライベート・アイダホ」(1991)のポートランド三部作、そして、話題となった「Elephant」「エレファント」2003 コロンバイン高校射殺事件を扱ったものと、「Last Days」「ラスト・デイズ」2005 カート・コバーンの最期の二日間を追ったもの…などなどといった、映画ファンには見逃せない作品を次々発表してきた方です。(…あと、「Psycho」「サイコ」1998)なんてのもありましたね!)

 今回は、ブレイク・ネルソンのヤングアダルトむけの同名小説を映画化しました。そして、「エレファント」と「ラスト・デイズ」の流れを汲みつつ、ガス・ヴァン・サントの映像美もここにきわまれり、ティーンを主人公にしたすばらしい作品に仕上がっています。

 アレックス(ゲイヴ・ネヴァンス)は、高校に通うごくフツーの少年。最近スケボーをはじめたばかり、ボーダーの聖地 〈パラノイドパーク〉で滑ることはクールなので、いってみたいのだけれど、薬の売人がいたり、だれかが刺されたと噂があったり… と、ごくフツーの少年がいくには勇気がいります。そこへ、友人のジャレッド(ジェイク・ミラー)から 「一緒にいってみない?」 と誘われて、出かけることに。当然、初日から滑れるはずもないのですが、他人のプレイを見ているだけでも楽しいのでした…
 
 …と、ここまでが物語のオープニングで、すっかり〈パラノイドパーク〉慣れしてしまったアレックス、夜中にひとりで出かけてしまい、そこで年上のスケーターと知り合って、ひょんなことからある事件に巻きこまれてしまいます。そして、その日を境に彼の日常がガラリと変わってしまうのです。

 アレックスを演じるゲイヴ・ネヴァンスがまた、まったくフツーの少年で、(演技というよりは)ものすごーく自然体なところが、余計に作品の悲劇度を高めています。ストーリーはショッキングで痛々しく、彼が孤立し、心理的に追いつめられていく様子を淡々と描いているのですが、作品自体は不思議と心地よく、むずかしいことを考えなくてもすんなり入っていけちゃう世界観です。
 また、内容はかなり痛々しいのですが、コミカルで愛嬌のあるシーンも多々あり、微笑ましくさえあります。(…でも、現実的に考えると、アレックスはこの先どうなっちゃうんだろう…? というところが、非常に切なーいのです!)

 多感な十代の心情に迫った、新たな傑作の1本だと思います。使われている音楽もかなりよし。個々のシーンの表現力も秀悦。(フツー映画の観点から見れば、描写力、テクニックなど、確実に★★★★です!)…それから、この原作は訳出されてほしいですね~











 カメラ慣れしていないところ(?)
 が、すごく魅力的なアレックス
 (ゲイヴ・ネヴァンス)。







 たいして、すっかりカメラ慣れして
 いる、ビッチなガールフレンド役
 のジェニファー(テイラー・モンセ
 ン)。興味は○○だけさ~!








 友人のジャレッド(ジェイク・ミ
 ラー)と、〈パラノイドパーク〉
 へやってくるのですが…









 深夜の〈パラノイドパーク〉で、
 いったいなにが…?







   
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     The Night Strangler


    (1973)アメリカ
    出演…ダレン・マクギャビン、サイモン・オーク
         ランド、ジョー・アン・フラッグ、
         ウォーリー・コックス
    監督…ダン・カーティス
    脚本…リチャード・マシスン
    ★★☆


〔ストーリー〕
 シアトルで若い女性ばかりを狙う連続絞殺事件が発生。犠牲者は怪力で喉の骨を粉々に砕かれていて、後頭部に微小の採決痕が残っていた。事件の異様さに注目した中年記者のコルチャックは、やがて21年前にも同様の手口の未解決事件があったことを突き止めるのだが…!


 懐かしいな~ とお思いの方、海外ドラマにくわしい方ですね!
じつはこれ、カルト的な人気を博したTVドラマシリーズ「事件記者コルチャック」(1974~75)のパイロット版のうちの一作なんです。邦題では「魔界記者コルチャック/脳髄液を盗む男」となっています。

 コルチャック・シリーズは非常に人気が高く、それというのも、たった20話しか製作されなかった(原作者とトラブってしまったため)という希少価値もあるんですが、正直なところ、TVシリーズのほうはそれほどでも… といった内容が多いです。ですが、こちらのパイロット版(…といいますか、もう完全に単発TV映画ですよね!)は、前作「The Night Stalker」「魔界記者コルチャック/ラス・ベガスの吸血鬼」1972)と同様、脚本がリチャード・マシスン。マシスンといえば、『地球最後の男』『縮みゆく人間の恐怖』『地獄の家』、そして、「ミステリー・ゾーン」(1959~65)! 内容も期待通りの、クラシックなホラーとなっています。

 コルチャック(ダレン・マクギャビン)は、愛すべき冴えない中年記者。一匹狼タイプで、いつも編集長のヴィンセント(サイモン・オークランド)と衝突しています。そこへ、女性を狙った絞殺事件が発生。コルチャックはそこに不穏な気配を嗅ぎとり、おなじ手口の事件が21年前にも起きていたことを突き止めます。これはもしや、同一犯による連続殺人事件では…? しかし、出版社はもとより、観光事業の阻害を心配するシアトル市警は、彼のことをまったく相手にしません。行き詰まったコルチャックは、友人を殺害されたダンサーのルイーズ(ジョー・アン・フラッグ)の協力を得て、犯人をおびきだそうとするのですが…

 まず、ストーリーの大半が犯人探し… ではなくて、中年男コルチャックの孤独な戦いになっています。「21年ごとに出現する絞殺魔」 なんてだれもまともに聞いてくれず、同僚のおばはんライターにからかわれて、ムキーッとなってタイプ原稿を破いちゃったり、逮捕されちゃったりと、さんざんな目に遭うんですが、この “真実を追究する”、“隠蔽体質と戦う” といった構図は、まんま「Xファイル」(1993~94)に受け継がれたパターンですよね。

 また、映像というメディアは時間の侵食されてしまうことが早いんですが、こちらはコルチャックのキャラクター、古きよきアメリカの雰囲気がかえって幸いしていて、さほどそういったことは感じません。火災によって放置されたシアトルの地下都市で、南北戦争以来生きつづけている不死身の怪物を追いつめていく… なんて、ストーリーを聞いただけでもワクワクしてしまいますよね。

 なお、2005年には「ナイトストーカー」のタイトルでリメイクが放映されています。前作「ナイトストーカー」を傑作に押す人も多く、興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょう。













 戦う中年男、コルチャック
 (ダレン・マクギャビン)!









 編集長のヴィンセント(サイモン・
 オークランド)。コルチャックとは
 ケンカばかりしています。










 夜道をゆく美女… 気をつけて
 くださいね~!








 目撃者の証言から、こんな
 奇怪な犯人像が浮かびあが
 りました!


 
とうとう真実に近づいたコルチャック!
たどりついた廃墟の地下街には、無数のミイラが…!!







     Eskalofrio



    (2008)スペイン
    出演…フニオ・バルベルデ、ブランカ・スワレス、
         ジミー・バルナタン、マール・ソデュープ
    監督…イシドロ・オルティス
    ★★★



〔ストーリー〕
 サンティ少年は紫外線ダメージを直接肌に受けてしまうという、特異体質。そのため「ドラキュラ」 と仇名をつけられていじめられ、精神的に参ってしまっていた。サンティのために太陽のあまり当たらない場所で新生活をはじめようと、母のジュリアは郊外に引っ越すことを決断する。ふたりは緑豊かな山奥に一軒家を借りるが、越してきたその晩から、「何者かに見られている」 という奇妙な感覚がサンティにつきまとう。折りしもそのころ、町では家畜のヤギが無惨に噛み殺され、血を吸われるという事件が起こっていた…!

 
 独自の進化をつづけているスペイン・ホラーの、いかにもそれらし~い、期待の新作の登場です。

 …スペイン・ホラーといいますと、これはまったく個人的な感想なんですが、すこしアジアン・ホラーと似通ったところがあると思います。それは 「流行に左右されない」 という意味で、無邪気に幽霊を出現させてしまったり、夢オチにしてしまったりと、それはそれで日本人ウケするのですけど(当然、ホラー大国アメリカにも)、ぶっちゃけ強力にアピールする力が足りないというか、熱狂的なファンを掴むというところまではいっていません。(…でも、その “のんびりさ” がよかったりするのですけどね~)

 今回は、そんなスペイン・ホラーの注目株が、満を持して登場! 英語のタイトルは「Shiver」、邦題では「悪魔の棲む森」となっています。

 紫外線ダメージを大幅に受けてしまう病気を 「羞明症」 というそうなのですが、サンティ少年(フニオ・バルベルデ)はまさしくそれ。肌が青白く、虚弱体質っぽくてそばかすで、いつもフードにサングラスをかけています。そのため、心ない少年たちから 「ドラキュラ」 呼ばわりされて、いじめられてしまいます。
 すっかり参ってしまったサンティのために、母ジュリア(マール・ソデュープ)は一大決心。すべてを捨てて、山間の辺鄙な町に居住を移すことにします。
 
 さてさて、転校初日は… (ちょっとドキドキ~)、今度は自分を受け入れてくれるかな… かな? なんと、超カワイイ女の子・アンジェラ(ブランカ・スワレス)とお近づきになっちゃいます。ちなみにアンジェラのお父さんは刑事さんだったりします。そして帰り道には、ティトという少年が「方向がおなじだから」と、一緒に帰ってくれることに。

 なんだかすべてが好転しそうに思えだした矢先に、ある事件が。家畜のヤギが襲われて、森の中を “得体の知れないものが潜んでいる” というのです。そして、翌日にはティトが、「サンティと別れた直後に、不気味なものに追いかけられた!」 と訴えるようになります…

 新参者であることにくわえて、特異体質であるために 「アウトサイダー」 となって孤立してしまうサンティを、フニオ・バルベルデが繊細に好演しています。「自分はほんとうにヴァンパイアなのかもしれない…!」 という不安なんかも、十代の不安定さとあいまっていて、唯一心を許せる相手がペットのトカゲというのもかなりよし。このトカゲはサンティの 「孤独」と「病」 の象徴でもあるし、のちに○○の○○ともなります。これは見事な青春ホラーに仕上がったかも~、かも~… と、期待させておいて、けっこう早くにネタが割れてしまうんですよねー、残・念…!

 ですが、TVドラマを撮ってきた監督さんらしく、わかりやすくて丁寧な伏線が観ていてとてもよかったです。ヨーロッパ映画に共通する、湿っぽい雰囲気もイイと思います。いちばんの押しは、若手俳優さんたちの多彩な表情でしょうか。サンティ、アンジェラをはじめ、前の学校でただひとりの友人だったレオ(ジミー・バルナタン)が、ブサ・キュートで注目! スペイン・ホラーの未来を象徴しているようでもありました。









 日光浴することができない、
 そばかす美少年サンティ
 (フニオ・バルベルデ)。







 母親のジュリア
 (マール・ソデュープ)。





 イイ男な刑事さん、アントニオ
 (ロベルト・エンリケス)。
 …お母さん、ときめいてる場合
 じゃありませんよ!






 大親友レオ(ジミー・バルナ
 タン)も交えて、アンジェラ
 (ブランカ・スワレス)と3人で、
 自分にかけられた疑いを晴ら
 そうとしますが…










怪事件続出! 森の中で彼らが発見したものは…?!
(ジミーたん、カワユス~







     Gothic



    (1986)イギリス
    出演…ガブリエル・バーン、ジュリアン・サンズ、
         ナターシャ・リチャードソン、ティモシー・
         スポール、ミリアム・シル
    監督…ケン・ラッセル
    ★★☆


〔ストーリー〕
 1816年6月のスイス。レマン湖のほとりの別荘、〈ディオダディの館〉 に滞在するバイロン卿を訪ねた、詩人のシェリー、彼の愛人のメアリ、メアリの従妹で当時バイロン卿と親密な仲にあったクレア。バイロン卿の主治医ポリドリ博士も交えて、5人は怪奇小説を読みあげるゲームに夢中になり、ついには自分たちで 「幽霊を創造しよう」 といいだす。ホラー史に燦然と輝く二大スーパーモンスター、「吸血鬼」 と 「フランケンシュタイン」 が生みだされた歴史的な夜、ほんとうは彼らになにが起こったのか…?



 “一度見たら忘れられないポスター”というと、わたしは必ずこの作品を思い浮かべてしまいます。ケン・ラッセルの「ゴシック」です。


 スイス人画家ヨハン・ハインリヒ・ヒュースリーの代表作、『夢魔』 を忠実に再現したと思われるこのポスター、レンタル店でもホラーに分類されていることが多いので、おそらくほとんどの人がB級な作品と勘違いしているのでは?
  じつは、歴史的にもとっても貴重な夜を、ラッセルらしい悪魔的な、かぎりなく背徳的でうつくしい映像で描いた正統派ゴーストストーリーなのです。

 ホラー界の三大モンスターというと、ヴァンパイアフランケンシュタイン、そしてですよね! この作品は、そのうちのふたつがおなじ夜に触発されて生みだされたという、まぎれもない事実を交えながら、そこにもしかしたら、「人知を超えた外的な力」 が働いたのかもしれない…? という、作家たちの複雑な内面に迫った意欲作品でもあります。

 6月のレマン湖というと、霧がたちこめていて、どこかこの世のものならぬ雰囲気があるようなんです。そこに当時スキャンダルまみれでオカルト趣味のあったバイロン卿が、友人たちを招いてパーティーをひらこうとします。セレブ、パーティー、なにやら退廃的ですよね~ そして、不穏な予感!!

 若き詩人のシェリーを演じるのは、ジュリアン・サンズ。そしてシェリーの愛人で、やはり若くて才能のあるメアリを演じるのは、なんとおなじくラッセルの傑作 「The Devils」「肉体の悪魔」1971)で怪演を見せた、バネッサ・レッドグローブの実の娘のナターシャ・リチャードソン。
 「フランケンシュタイン」 誕生の秘話にはいろいろな逸話がありますが、メアリは女だてらに博識の持主です。父親はアナーキズムの先駆者と呼ばれるウィリアム・ゴドウィン、知識人らと親交も深く、やがてシェリーと知りあうようになります。(…当時シェリーには妻がいたのですが、彼女はのちに入水自殺をしてしまいます。それが “メアリの罪” となって、その後さまざまな 「死のイメージ」 が彼女につきまとうようになるのです)。

 ブラム・ストーカーの 『吸血鬼ドラキュラ』、メアリ・シェリーの 『フランケンシュタイン』。(…前者はもちろんバイロン卿・その他の作家たちの 「吸血鬼小説」 を元に書かれたもの、後者は 「SFの祖」 と呼ばれるようになります)、どちらも20世紀のホラーの方向性を決めたといっても過言ではない、二大傑作が世に生みだされるきっかけとなった夜に、ほんとうはなにが起こったのか?
 (…また一説には、このときバイロン卿がポリドリ博士の短編 『早すぎた埋葬』 をパクったために、ふたりの仲はこじれてしまったという話です)。

 楽器を奏でるオートマタ(自動人形)やホルマリン浸けのグロテスクな標本、人体解剖模型など、映画マニアには垂涎のキッチェな小道具が盛りだくさん! 鮮やかな光景とゴシックさに目移りしてしまいます。さて、彼らの狂気と官能の夜がいきつくさきにはなにが…??









 ボートを楽しむ3人。
 今夜、悪夢が待ちうけて
 いようとは…?






 当時悪い噂が絶えなかった、
 ゴスっ子ド変態のバイロン卿
 (ガブリエル・バーン)。










 ゴシック建築に甲冑は
 欠かせないですよね!








 左から、クレア(ミリアム・
 シル)、シェリー(ジュリアン・
 サンズ)、メアリ(ナターシャ・
 リチャードソン)。




こちらが、ヨハン・ハインリヒ・ヒュースリー作の『夢魔』(1781)
ポスターのナターシャは人形のようにうつくしいですね~







     Basket Case



    (1983)アメリカ
    出演…ケビン・ヴァン・ヘンテンリック、テリー・
         スーザン・スミス、ビヴァリー・ボナー
    監督…フランク・へネンロッター
    ★★★



〔ストーリー〕
 シャム双生児のドゥエインとベリアルは、ベリアルがあまりにも醜い奇形だったため、父親に嫌悪されて無理やり外科手術により引き離されてしまう。だが、ふたりには切っても切れない感応能力があり、精神の奥深いところで繋がっていた。切り離したベリアルをゴミ捨て場に打ち捨てた医者たちに復讐しようと、大人になった彼らは乗りだすのだが…


 「Dead Ringers」「戦慄の絆」1988)に引きつづき、双子つながりということで、「バスケットケース」です。

 …この作品、ちょっと苦い思い出がありまして、いわずと知れたカルト作なんですが、かなりの人気作品ですよね。といいますか、超有名ですよね。じつは、以前とあるレンタル店でやっと見つけたとき、「うわーい これでへネンロッターの怪作が観れるっ!」 と、ルンルン気分でレジに持っていこうとしたわたしの目に留まったものは… パッケージの裏の注意書き、〈この商品は、レンタル料1000円です〉。

 えええ~~???
…これにはびっくりしてしまいましたよ。忘れもしない、そんなボッタクリ店の思い出…

 とまあ、話がだいぶずれてしまいましたが(笑)、あらためて観かえしてみると、ホントにとんでもなく奇妙な映画だと思います。テーマが 「シャム双生児」 というだけでも、かなりアヤシくてアブナイ雰囲気なのに、このシャム兄ちゃんが滑稽なほど、超~グロテスクな怪物くんです。安っぽいです。(ラテックスゴム製?) でも、その安っぽさのなかに、なんともいえない哀愁がこめられていて(?)、怪物くんなりの悲しい宿命もあり、そう簡単にはバカにできないのです。
 それが、いわずと知れたカルト作となったゆえんなのでしょう。
 
 へネンロッター監督というと、「Brain Damage」「ブレインダメージ」1988)とか「Frankenhooker」「フランケンフッカー」1990)とかいった、とにかくヘンな映画を撮ってきた方、というイメージが強いですよね。映像もひたすらチープ、チープにひらきなおっていて、でも、そのチープさがやけにキュートに見えてしまったりと、B級映画ファンにはたまらない独特の味を出しています。フリークスかげんも、ちょっと “古きよきお下劣アメコミ” に通じるものがありますよね。
 怪物もわかりやすい造形だし、子供にウケそうなキャラクター(ベリアルは「悪魔」)だし、そして、ストーリーはすこーし日陰よりという、泣かせる体質なんかも…

 妙~なバスケットケースを抱えた青年の、奇怪な復讐劇とその顛末は…?
双子たちの愛憎とベリアルの破天荒な(バチ当たりな?)暴れっぷりが見どころなんですが、ニューヨークの街角の雰囲気もいいと思います。その雰囲気も、チープさのなせるわざなんでしょうけど、さびれた裏通りや夜景に佇む人々といった絵は、やはりしんみりしてしまいます。











 父の意向で10才のとき、ふたり
 は無理やり引き剥がされてしま
 います。








 気弱な弟・ドゥエイン(ケビン・
 ヴァン・ヘンテンリック)。
 「さ~あ、ご飯の時間だよ~








 受付嬢のシャロン(テリー・
 スーザン・スミス)と仲よく
 なるドゥエインですが…









 「アーッッ!!!」
 怪物くん、反撃開始!









 ドゥエインの中にも、
 そしてベリアルの中にも、
 お互いが存在するのです!





 

     Eden Lake


    (2008)アメリカ
    出演…ケリー・ライリー、マイケル・ファスベン
         ダー、ジャック・オコネル、ジェームズ・
         バロウズ
    監督…ジェイムズ・ワトキンス
    ★★★


〔ストーリー〕
 小学校教師のジェニーは、恋人のスティーヴとのんびり休暇を過ごすことに。ふたりが選んだのは、壮大な自然に囲まれた、あまり人に知られていないエデン湖。しかし、湖畔で寛いでいるふたりの前に、粗野な若者集団がやってくる。犬を放し飼いにし、ラジカセのボリュームをあげて傍若無人に振る舞う彼らに、大人のスティーヴは注意しようとするのだが…


 海外ではやたら評価が高かったので、じゃあ、観てみようかな~ なんて、ふとした遊び心を起こしたのが失敗でした。こんなに残酷な映画、はじめて観ました… はじめて観ました…… いえ、これは誇張じゃないです。あまりのショッキングさに、ちょっと立ち直れません。。。orz
 
 …なんて、最初に脅してしまいましたが、あらすじを読んでいただけるとわかるかと思いますが、まあ、最近やけに増えている題材ですね。“少年犯罪” を扱った内容なんですが、「Ils」「THEM/ゼム」2006)にしろ、「The Strangers」(2008)にしろ、「現代殺人」 にクローズアップした、リアリティ重視の作品でした。たいして、こちらはよりドラマしています。どのようにして事件が起こったか、キャラクターたちの心情、行動などを、ぐっと細密に描写していくので、よけいタチが悪いです。しかし、91分という時間があっという間に過ぎてしまうほど、オソロシクて息もつけませんでした。

 ヒロインのジェニーは、小学校の先生。学校から解放された彼女は、さっそく恋人のスティーヴとキャンプに出かけます。ここで、エデン湖に着く途中でも、さまざまな子供(と、彼らの立場)などが挿入されます。かなり意識的に “十代の潜在犯罪” を示唆していますね。また、その背景にある 「要因」 なども匂わせています。

 目的地に着いた彼らは、水着に着替えてウッキウキ。だれもいない湖畔で、空を見上げて横になって… ロマンチックですね~ うらやましい…、と、ここで不良少年団の登場です。これがまた、見るからに不愉快なの、下品なの、頭悪いヤツラなのっ!!

 はじめにドラマ仕立てと書きましたが、これはけして、初心者にはオススメできる内容ではありません。スティーヴにたいする虐待は反吐が出ちゃいそうなほどひどすぎるし、人格をまったく無視しているし、「製作陣は、どうしてこんな不愉快な映画を撮ったんだろう?」 と、疑問視してしまうほど。(←たぶん、こんな気持ちにさせたかったんだと思います)。
 でも、「Funny Games」「ファニーゲーム」1997)のミヒャエル・ハネケ監督のように、はなから観客を挑発しているという姿勢はなく、ごくフツーの映画を装っているところが、さらに始末が悪いのです。

 犠牲者たちが虐げられても生き生きしているのにくらべて、加害者の少年たち(リーダーのブレットを除いて)は生気がないのが、おそらく偶然の産物なんでしょうけど、現実的です。まるでロボットのように、不快な表情を浮かべながらも、結局はブレットのいいなりになる姿は、じっさいの犯罪現場を見ているような暗澹たる気持ちになります。そして、彼らはどこにでもいる少年なんですね。

 作品としてはかなりおもしろく作ってはいるんですが、う~ん、ただ 「不愉快さ」 だけを追求した映画っていうのも、どうなんでしょう…? (ついでに、こういうのを喜んで観ているわたしたちってのも、どうなんでしょう!!)
 余談ですが、これより評価を低くしてしまった「Splinter」(2008)のほうが、ずっと良質なエンタテイメントをしています。よって、やはりこれは万人にはオススメできる代物ではありません。
 
 「現代の危機の警鐘」 を装ってはいますけど、たんなる悪趣味なホラー作品ですね。けなしたり、けなしたり~ してしまいましたが(笑)、ラストの、ブレット少年(ジャック・オコネル)の表情はなにを語る…?
 









 ジェニー(ケリー・ライリー)と、
 スティーヴ(マイケル・ファス
 ベンダー)。ロマンチックな
 キャンプ旅行になるはずが…









 悪ガキどもに車を盗まれた!









 キレる少年とナイフ。これほど
 危険な組みあわせはありませ
 ん。







 泥だらけになったジェニー、
 必死に助けを呼ぼうとしま
 すが…!








 愛する人を守るためなら、
 女性はどこまでも強くな
 れるのです!







 
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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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