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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   Must Love Death



(2009)ドイツ
出演…サミ・ロリス
マノン・カール
ジェフ・バーレル
監督…アンドレア・シャープ
★★★


〔ストーリー〕
 ギタリストのノーマンは、ただいま失恋中。元カノの職場のダンス教室に拳銃を持っておしかけ、「いまから自殺しちゃうから!」と、脅しても、ちっとも相手にされない。
 おなじころ、TVドラマのちょい役のジェニファーは、主演男性と熱愛中… かと思いきや、彼は彼女のことをぜんぜんわかってくれない。ジェニファーはデートの途中で抜け出して、車を飛ばしていると… ノーマンを轢いちゃった!! これが運命の出会いとなりましてー


 ホラーなんですけど、ロマンスが主体です。
 目先を変えてみると、こんなに新鮮で楽しくなっちゃう! という、いい例の映画ですー。

 監督はドイツの方でして、一応作品がたくさんあるんですが、今回はじめてアメリカ受けを意識した作品のようです。まず、タイトルからして、おっと思っちゃいますよね。このタイトルを裏切らない、ロマンティックでせつないラブストーリー… じゃなかった、ちょっとコミカルな拷問映画!

 簡単なストーリー説明をしますと~
 上記の説明だけでは、なにがなにやらわからないかと思います。主人公のノーマン(サミ・ロリス)とヒロインのジェニファー(マノン・カール)の出会いは、じつは過去のお話でして、この後、ノーマンは深く傷ついてしまうことになるのです。で、ネットで知りあった自殺願望の連中たちと、いっしょに死のう! という計画をたてるのですが…

 ノーマンが約束の山小屋にのこのこ出むいていくと、そこで待っていた連中は… じつは、人を殺してみたいという、アブノーマルな趣味の人たちだったのですよー!! といった、設定はなかなか刺激的なんです。

 ノーマン役のサミ・ロリスが、繊細すぎる男性を演じてまして、どうも、最近休業中のお笑いタレントの方とかぶってしまって仕方なかったです。あー、気のせいか、顔も似ているかもしれません!
 男性って、恋愛にはほんとに弱いんですねー。失恋に深く傷ついちゃって、銃を持ち歩くようになっちゃうノーマン。もちろん、暴力的な意思はなく、これは自殺願望のためなんですが、当然踏み切れません。

 そのころ、デートの途中で逃げだしてきたウェイトレス兼女優のジェニファー。ジェニファーはノーマンを車で轢いちゃうのですが、これがふたりの出会いとなって… 新たな恋がはじまっちゃうのです

 ロマンティックが主体ですが、ホラーの部分もしっかりありまして、拷問シーンはそれなりに痛いです。その拷問シーンよりもつらかったのは、動物は殺さないで~!!!!
 で、ノーマンを拉致した連中はというと…
冷酷なショーン(ジェフ・バーレル)、変態ゲアリー(ピーター・ファーカス)、美人のリサ(ルーシー・ポール)。

 そういえば、わが国でも実際に似たような事件がありましたよ。あ~、こわい。みなさんも、ネットでたやすく知りあったからって、のこのこ出かけていっちゃいけませんからね!!

 このほかにも、カーセックスしているカップルとか登場しまして、美人が出ているわりには、拷問シーンが足りないかな? と、不満はあるんですが。とりあえず、映画としては十二分に成功していておもしろいです。ノーマン役のサミ・ロリスの功労ですね。

 ときどき小ネタもはさんできて、(といっても、ホラー好きでなければあまりピンとこないかも?)コメディな部分もあるのですが… 全体的には、いたってきまじめなロマンティック・ホラー。

 痛々しい拷問あり、ハラハラ・ドキドキの死闘もあり、ハッピーなラブあり…
 (画像がすくないのが残念なのですが!)主人公がミュージシャンということもあって、全編流れている軽快な音楽も楽しかったです。これもオススメ!!












たそがれてます。
サミ・ロリス。









ジェニファーといい感じ
になるのも束の間…








サイコキラーに
拉致られちゃった!!








で、ネイルガンの正面
には、哀れな彼氏!!







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   Dark House



(2009)アメリカ
出演…ジェフリー・コムス
ミーガン・オリー
ダイアン・サリンジャー
監督…ダリン・スコット
★★★


〔ストーリー〕
 演劇学科の授業中に、ウェルストンという男性があらわれる。彼は以前、悲惨な殺人事件があった館〈ダーク・ハウス〉を買いとり、新世代のお化け屋敷としてはじめたいという。そのお披露目ショーに、演劇科の生徒たちに協力してもらいたい。しかも、ひと晩三百ドルという高額な報酬で。
 学生たちは当然承諾、翌日〈ダーク・ハウス〉を訪れるが… ひとり、クレアだけは忌まわしい思い出をかかえ、恐怖にふるえていたのだった…!!


 あ、これも〈FrightFest〉参加作品なんですね。
 ジェフリー・コムスのご機嫌な演技が楽しい 賑やかなお化け屋敷ホラーです。

 コムスさんは、それこそもう、いろんなホラー作品に出演されているわけですが… ぶっちゃけピンからキリまで、なかにはアチャーという作品もあるわけです。なんですが、今回、またまたアタリが出てしまいましたよ!
  これはとってもおもしろかったですー

 物語は、3人の少女がいわくつきの館へ探検にむかうところからはじまります。仲間は尻ごみしちゃうのですが、ひとりの少女だけ、意地をはって館のなかへ。そして、そこで目にした恐怖の光景は…!!

 それから14年後。
 演劇科の学生クレア(ミーガン・オリー)たちのもとへ、なんか異常にテンションの高いオジサン(ジェフリー・コムス)があらわれます。コムスさんいわく、「おれ、すんごいお化け屋敷作っちゃったんだよね!!」 「どうせだから、ド派手に打ちあげたいんだよね!!」 「それで、おまえら暇な学生、協力しろ!!(あ、もちろん、金も払うから!)」 といった内容です。

 高額な報酬につられて、学生たちはのこのこ〈ダーク・ハウス〉にむかっちまいます。

 この、コムスさんの宣伝文句はダテではなくて、えらい進化したお化け屋敷になってます。3Dホログラムを多用していまして、コンピューターに入っているお化けの種類はなんと、二千種! ホログラム装置が館のあちこちに仕掛けられていて、これがリアルなお化けを作りだしちゃう、とのこと。ようは、〈ねずみランド〉の「なんちゃらマンション」のグレードアップ版ですかね?

 お化けの種類が多いのが、まず楽しいです。
 コムスさんも、ほんとに楽しそう(!)に演じてらっしゃいまして、観ているこっちも、なぜかニコニコ しちゃいます。
 でも、この館にはシャレにならないくらい、おっそろしい過去がありまして… クレアだけが、その秘密を知っていたのです。それから、ほんとにほんとに本物の亡霊も巣くっていましたのよねー!! という、まあ、ありがちなお話なんですが。

 わりとチープっぽい、賑やかなテンションのストーリー展開でして、このままお気楽で楽しいホラーでいくのかな~と、思ってましたら…
 後半からあらら、シリアス路線に入ります。んで、冒頭のいろんなシーンがきっちり集約されていきまして、結末もなかなかキレイです。うーん、ここでもうひとひねりあったなら、かなり飛躍できちゃったんですけど!! と、一応、なにものねだりをしてみたり!!

 でも、非常に楽しいホラー映画だと思います。後半から、シリアスな展開なのですけどね。

 これは〇〇好きにもオススメ! …って、書いたら、ネタバレしそうなので、みなさんにオススメ!! ということにしておきましょう。
 あと、コムスさんのご機嫌演技もよかったのですが、見どころはなんといっても、お化け役のダイアン・サリンジャー(ポスターの女の人)!! あんた、がんばりすぎだよ! というくらい、狂っちゃってマス。


















なにも知らない、学生たちは…




今週のお気に画像!
「ね?ね?
おれ、超すごくね?」








たしかにすごいです。
キシャー!!









ヒャッハー!!









なぜか窓があきません!













このへんは
まだ、余裕の
表情ですが…







   Hunger



(2009)アメリカ
出演…ロリ・ホーリング
ジョー・イゲンダー
ローラ・アルビン
監督…スティーヴン・ヘンジェス
★★☆


〔ストーリー〕
 ジョーダンが目覚めると、そこは暗闇。近くから女の叫び声、男の声もする。恐怖にふるえるジョーダンはやがて、声の主たちと接触すると…明かりが点灯、そこはどことも知れない穴蔵だった。ジョーダンとおなじく、ほかの四人も気がついたらこの場所にとじこめられていたのだ!
 穴蔵の隣にはべつの空間があり、そこにはドラム缶にたっぷり汲まれた水が。おそろしい実験がはじまろうとしていた…!!!


 うわぁ、これまたイヤ~な映画です。(褒めてます!)
 ありきたりなタイトルなんですけど、なかなか不気味な一作でした。

 ええと、Youtubeに新作ホラーのレビューをUpしている、筋金入りのホラーオタクなオジサンがいまして、(「Midnight Spookshow」とか、いったかな?)、その方のレビューを見ていたら、なんとなく気になった作品です。

 「Hunger」とくると、吸血鬼モノかなー とか一瞬思っちゃうんですけど、こちらはそのまんま、“飢餓感” がテーマです。
 で、とじこめられ系、飢餓感とくると、思い出しちゃうのはMyトラウマ小説、ガイ・バートの 『体験のあと』
 いやー、これほんっと、気持ち悪かったです。たぶん映画より、百倍気持ち悪いと思います。(← って、映画観てませんけど!)

 こういう、人間の生身の本性が出てきちゃう心理系(もちろんグロあり)は、ひたすら気色悪いだけなんですが、ホラーとしてのテンションがけっこうあったりして、素直におもしろかったです。
 簡単ながら、ストーリー説明から。

 ジョーダン(ロリ・ホーリング)が目覚めると、そこは真っ暗闇です。すぐ近くからは、女性の悲鳴が聞こえます。ほかにも、パニクっちゃってる男性の声、あわあわしちゃってる声… ようするに、ジョーダンたち男女5人は拉致されちゃって、よくわかんない場所に監禁されてしまったのですね。まあ、「CUBE」みたいなオープニングだと思っていいでしょう。

 で、明かりが点灯すると… そこは地下室っぽい、いや、地下室というより穴蔵で、細い通路を進むと、もうひとつべつの穴蔵に出ます。そこには、ドラム缶四つに水がたっぷり溜められていて、ステンレスのコップも人数ぶんの5つ。
 もとの穴蔵には、30刻みのタイマーのようなものが。これ、24時間経過するごとに、ひとつずつカシャン、カシャンと、移動していくわけです。よーするに、30日間水だけで耐えてみろと!!!

 ポスターの文句によりますと 、「健康な人間は、水さえあれば30日は耐えられる」 んだとかなんとか… ほんまかいな!
 イエイエー、ぜったい無理っす!!! わたしだったら、確実に二週間で死ぬと思います!!

 で、この極限状態ですこしずつ壊れていく彼らを観察しようと、モニタチェックしている男性がいます。おっそろしいですねえ。悪趣味ですねえ。あー、こういう映画って、ほんときしょい! (でも、好きなんですけどね!)

 文章にすると、やたらシリアスな感じですが、最初はそんな悲壮感はないんですよ。といいますか、30日もとじこめられちゃってるわりには、5人ともけっこう健康的(?)に見えます。
 …なんですが、現実感はあんましないのかな? と、思っていると… いきなり悲壮感バリバリになっちゃったり、おっそろしいことになっちゃいます! わりと波に変動がありますね。一貫してシリアスに撮っていたら、もうすこし話題を集めたのかも。

 犯人も最初から顔が出ちゃってるので、不気味さを欠くという致命的な短所があります。まあ、この犯人、たんなるKittyGuyではなく、知的な学者さん風に描かれているので、これはこれでアリかもしれません。結末間近になると、なぜか親近感が湧いてきちゃうという、妙な作用もあったりしてね。

 正直ラストがもうひと盛りあがりほしかったところですが、低予算をうまく利用したホラーだと思いました。映画はやっぱり、お金じゃなくて構成なんですよ!

 あと、〈FrightFest〉というイギリスのFilm4フェスというのを、はじめて知りました。ほかにもおもしろそうな作品がいっぱいありそうなので、おいおい観ていきたいなと思います。











ヒロインのジョーダン。











なんとか脱出しようと
がんばるのですが…









事故った少年が手に
するものは…???









あー、
なんで赤いの、
なんで赤いのようっ!!









だから、なんでそんな
口が赤いのようっ!!!
こあいよ~!!!






勢いで載せた、
監督のスティーヴン・ヘンジェス。
(ほんとはこれを載せたくて、レビューした
のでした~、ちゃん、ちゃん







   Black Death



(2010)イギリス/ドイツ
出演…エディ・レッドメイン
ショーン・ビーン
カリス・ファン・ハウテン
監督…クリストファー・スミス
★★★☆


〔ストーリー〕
 ペストが大流行していた中世イギリス。町中のいたるところに死者の山が積まれ、絶望に暮れるなか… とある、ひと筋の希望の話を司祭たちは聞く。それは、黒死病にまったく影響されない奇跡の村があるという。この村を探索するため、修道士のオズモンドは騎士ウルリック、彼の傭兵部隊といっしょに旅に出る。しかし混迷する国内には、さまざまなおそろしいできごとが待っていた…!!!


 ホラー界の超希望の星! いま、ノリにノリまくってるC・スミス監督の最新作!!
 エディ・レッドメインファンも要注目です~!!

 ふう~、なんとスミス監督、今回は中世が舞台なんですよ。で、あんまりホラーっぽくない内容にくわえて、ホラー要素もそれほど多くなく… だいじょうぶかなーと、心配していたんですが、この監督に関していえば、まったく無用だったようです。

 ストーリーを簡単に説明しますと、ペスト大流行時の14世紀のイギリス。中世ヨーロッパというと、暗黒時代ですよね。魔女狩りが、とくに黒歴史なんでしょうか。そんな混迷時に、自分たちもいつ死ぬかわからないとおびえる日々… そこへ、希望をいだいてもいいお話が舞いこんでくるのです。それは、ペストにまったく影響されない奇跡の村があると。

 事態を重くみていた大司教は、この村に探索をむかわせることにします。若き修道士のオズモンド(エディ・レッドメイン)を擁護するのは、騎士ウルリック(ショーン・ビーン)とその仲間たち。なにも知らないオズモンドはウルリックにビビりますが、とりあえず、命を護ってくれそうな強そうな人たちです!

 まず、ショーン・ビーンは甲冑が似あいます。もともと強面なので、こういう役がぴったりなのかもしれません。
 エディくんも非常によいのですが、声だけ残念! あのー、こんなかわいい顔してるのに、かすれているうえに妙に耳障り?(…ファンの方、ごめんなさ~い!)なので、エディくんがしゃべりだすと、え? だれしゃべってんの? と、馴れるまでに多少時間がかかります。

 傭兵部隊の面々も個性派ぞろいで、彼らは奇跡の村の探索に出るのですが… その旅は、けっしてなまやさしいものではなかったのです…!!!

 えーと、てっきりゴシック・ホラーになっていくのかなと思ってましたら、そこは現代ホラーばかり撮ってきたスミス監督、やはり現代に通じる不滅の人間テーマでした。
 で、すごく重いです!! 重いな~、映画じたいも重厚な作りでして、そういう雰囲気に惑わされがちですが、これって人類の歴史そのものなんだな、といった内容です。あんまりネタバレしないほうがいいですかね。

 カリス・ファン・ハウテンの妖しい魅力も健在、結末はひたすら痛々しい。あと、語りがだれなのかも注目しながら観てください。そのへんのところ、ドラマ作りがほんとうまくできているなと、またまた感心しちゃいました。

 かなりイイ内容なんですけど、これはもしかしたら、ホラーとして観ないほうが適切な映画だと思うんですけど…? これだけ褒めてるにもかかわらず、なぜか評価がいつもといっしょです… (あり??)

 うーん、なんていったらいいんでしょう、スミス監督はわたしも大ファンなので、つい期待してしまうんですよ。で、この方の才能だったら、もっと! すごいものが撮れるはず!! と、勝手に思いこんじゃうのかもしれません。(…ですから、あまり参考にしないでください!)

 ボーっとしながら観れるホラーも楽しいですけど、いまの時代は、それだけじゃみんな満足できないんでしょうね。最近のホラーはストーリーが骨太な傾向なので、演じる側の役者さんたちにも張りあいがありそうです。











ペストの兆候は、
腋下の血瘤!!









オズモンドには、
恋人の少女が…








一応うちとけた、
オズモンドとウルリック。









戦闘シーンも、
迫力満点!!














このメンバーで、探索にむかうわけです。
(…あら、右から二番目がかっこいいじゃない






   La Campana del
       inflerno

(1973)スペイン/フランス
出演…ルノー・ベルレー
ヴィヴェカ・リンドフォース
マリベル・マーチン
監督…クラウディオ・ゲリン
ファン・アントニオ・バルデム
★★☆

〔ストーリー〕
 精神病院から自宅に帰ることを許された、青年ジュアン。故郷にバイクを飛ばす彼の胸には、ある想いが… 幼いころに両親を亡くしたジュアンは、伯母のマルタと彼女の娘たちとともに、幸福な子供時代を送っていた。それも、彼が物心つくまでのこと。欲に目がくらんだマルタはジュアンの遺産を横どりしようと、無理やり精神病にして刑務所のような病院に入れてしまう。そして、晴れて自由の身となったジュアンの目的は、もちろん…


 カルト映画なのですが、日本ではほとんど知られていないみたいです。邦題は「地獄へ誘う鐘」

 海外ではかなり評価がよくって、気になって観ちゃったのですが、これはたしかにクオリティ高しです。70’では、さすがにスペイン映画はあまり日本に紹介されていなかったように思います。そんななかで埋もれてしまったスリラーなのですが、ドラマ性がなかなかすばらしい。役者さんも監督さんも、まったく勉強不足なのでわからないのですが、いわくつきの作品でもあるようです。

 まるで刑務所のような精神病院から、やっと退院を許された青年ジュアン(ルノー・ベルレー)。彼はいたって理知的な青年でして、こんな彼がどうして??

 それもそのはず、ジュアンの両親は遠いむかしに亡くなっており、残された遺産めあてに伯母マルタ(ヴィヴェカ・リンドフォース)のたくらみにより、精神病人あつかいされてしまったのです。マルタはジュアンが孤立無援なのをいいことに、そのまま遺産を手に入れてしまおうともくろんでいました。

 故郷に帰るジュアンは複雑な思いです。しかし、彼にもある計画が… それは、伯母と彼女の娘の三姉妹たちに復讐をしてやろう!! というもの。自宅にもどったジュアンは復讐の準備を着々とはじめ、なにも知らない伯母と三姉妹を家に招くのですが…

 最初にことわっておきますが、残酷描写はいっさいナシです。が、スリラーとしての物語性は上質。とくに、ジュアン青年の屈折した心理描写がすばらしく、たんなる復讐譚になっていないところもいいかなと思いました。

 ジュアンには歳上の知人女性がいるのですが、ひさしぶりに再会した彼女から、「わたし、結婚したの」。ここで一瞬間が空いちゃうところなんか、あー、少年時代はこの女性に恋心をいだいていたんだな、というのがわかります。で、歳上女性にたいする思慕の根底にあるものは… もうおわかりですよね。そーなんです、愛していたからこそ、裏切られたときの恨みは深ーーーく、ぜったい許せないのです!!!

 この作品がいわくつきになっている理由は、監督のクラウディオ・ゲリンが撮影終了間近というときに、ストーリーでも象徴的役割をはたす教会から転落、死亡してしまったとのこと。そこで、ファン・アントニオ・バルデムが彼の仕事をうけついだんだそうです。

 全体的にも情感たっぷり、しかし、けして主張しすぎない、品のよさと泥くささがうまく調和した一作。結末の曖昧さがまた、不思議な余韻を残します。で、観ているこっちが想像するしかないのですが… うーん、たぶんあーいうことがあったから、こーなったんだな? うん、きっとそうだ!! そうなの!!

 で、結局スリラーなのか? 質の高いドラマなのか?
 両方だと思います。観終わったあともなんとなく、哀しい? うれしい? やっぱりせつない…???
 とにかく不思議な印象が残る映画です。これほどの出来なんですから、あらためて紹介されてもいいような気がしますが…









屈折した心理の
ジュアン青年。







なにも知らない
伯母&三姉妹が
やってきましたよ!!







あらー、、、
ステキな器具も用意
しておきます








あぎゃー!!!
(残酷描写ナシって
いったじゃない~!!)






次女のエッシャーとは
こんな関係。
(ほのかなエロスもまた、
Good!!)







   After Life



(2009)アメリカ
出演…クリスティーナ・リッチ
リーアム・ニーソン
ジャスティン・ロング
監督…アニエシュカ・ヴォイトヴィッチ・
ヴォスルー
★★★


〔ストーリー〕
 小学校教師のアナには、長いつきあいの恋人のポールがいる。ある晩、ささいなことから口論となり、彼女は泣きながらレストランを飛びだしてしまう。どしゃぶりのなか、車を飛ばすアナは事故に遭ってしまい…そして目覚めたときには、葬儀場の冷たいベッドの上だった…!!!


 まあまあよかったかなという作品です。監督さんは女性の方なんですよね。リーアム・ニーソンがとにかく不気味(!)でして、おもしろかったです。

 小学校教師のアナ(クリスティーナ・リッチ)には、そろそろ将来のことを考えてもいい恋人のポール(ジャスティン・ロング)がいます。ジャスティン・ロングってだれ? という方のために。「Drag Me to Hell」「スペル」2009)で恋人役を演じていた方ですよ。この人って、穏和な顔立ちがこういう役柄がぴったりなんですかねー(笑)。たまにはちがう役も見てみたい気もしますが~

 ポールは仕事の関係で、シカゴに移ることになります。で、当然アナを連れていこうと、レストランを予約して婚約指輪を用意していたのですが… なにも話を聞いていなかったアナは大激怒。「だからあなたって、自分勝手なのよ!」 と、みんなが見ている前で大ゲンカをしてしまいます。
 アナはそのまま泣きながら車へ。ポールはすぐに追ってきて謝ろうとするのですが、興奮した彼女は聞きいれません。そのまま車を発進、どしゃぶりのなかを飛ばしていると… まんまと事故っちまいます。

 そして、目覚めたときには…
 そこはもう、葬儀場の簡易ベッドの上。目の前には管理人のエリオット(リーアム・ニーソン)がいたのでした… という、これまたちょっとなつかしい感じのする、シチュエーション・スリラーです。

 葬儀場、スリラーとくると、わたしは「Phantasm」「ファンタズム」1979)を思い出してしまうんですが、たしかにそれっぽい雰囲気あるかもです。たぶん、この監督さんは “生と死の曖昧さ” を描きたかったんだと思います。で、他人ごとではない恐怖をひりひり感じつつも、ストーリーは全体的に現実味薄め。だから、残酷なおとぎ話といったむきもあるようです。

 クリスティーナ・リッチはまた、いい女優さんになりましたよねー!!
 子役は大成しないというジンクスがありますが、彼女って、いちばん出世頭になってるんじゃないですかね? わたしもこんな美人に成長するとは思いませんでした。子供っぽい顔、子供っぽい体型にもかかわらず、存在感アリアリ。ニーソンといい勝負をしています。(あと、彼女は気が強いのですよね! 気の強い女の子、わたしは大好きです

 葬儀場責任者のリーアム・ニーソンは、登場したときから不気味、途中で見てもやっぱり不気味、最後まで見てもすごく不気味! あの、抑えた演技の感じとか、もの哀しい雰囲気とか、うまい具合に不気味さとミックスされていて、かなり忘れがたい役どころになってます。お話じたいも印象的ですかね。

 ストーリーは単純でして、この後アナは 「家に帰してくれ」 と頼みますが、エリオットは聞きいれません。「だってきみ、死んでるんだよ。ぼくはこういう仕事をしているうちに、死者と会話できるようになってしまったんだよ」
 はたしてアナは、ほんとうに死んでしまったのでしょうか? それともこれは、生と死の曖昧な境界世界なのでしょうか? という謎でひっぱりつつ、スリリングに盛りあげていきます。

 ありがちな展開ながらけっこうおもしろくて、結末もショッキングなんですが… エンディングでいきなりレディオへが流れてきたときには、びっくりを通りこして興ざめですよ。…へ? なんでレディオへ??
 いえ、べつに悪くないんですけどね!! でも、この内容にレディオへはないんじゃないかな~ と、ケチをつけるのはやめましょうか… やめておきますね。

 終わってみると、いたって単純な映画ですが、観て損のない良作だと思います。
 あと、書き忘れるところでしたが、見どころはリーアム・ニーソンの不気味さと、なぜかセクシーに見えない(?)クリスティーナ・リッチのヌード!!










やあ、
こんにちは








きみねえ、
死んでるんだよ。











ね? 死んでるって
いったでしょう? 









ほら、ここが
きみの場所だよ








そのころ、
悲嘆に暮れるポールは…









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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
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自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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