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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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  American Gothic


1988)イギリス/カナダ
出演…ロッド・スタイガー
イヴォンヌ・デ・カーロ
サラ・トーゴフ
ジャネット・ライト
監督…ジョン・ハフ
★★★


〔ストーリー〕
 自らの過失から、赤ん坊を死なせてしまったシンシア。夫のジェフと4人の友人らは彼女を励まそうと、セスナ機で旅に出ることに。ところが、エンジン・トラブルから離れ小島に不時着。その島には、1920年代のままときが止まったような暮らしを送る、奇妙な老夫婦が住んでいたのだが…


 思わぬ怪作にめぐり会ってしまいました、「アメリカン・ゴシック」です。
監督のジョン・ハフという人は、「Eyewitness」「小さな目撃者」1971)や、「The Legend Of Hell House」「ヘルハウス」1973)などといった、傑作を撮ってきた人です。
 
 イギリス映画で、タイトルが「アメリカン~」とくれば、どんな内容になるかはだいたい想像ついちゃいますね。まさしく想像とおり、全編ブラックユーモアの効いた不気味な作品に仕上がってます。

 本作品は、1930 年にグランド・ウッドというアメリカ人画家による同名の作品から、製作のヒントを得たとのこと。問題の絵画(↓)をご覧になっていただければわかるように、“家庭的な雰囲気” は微塵もありません。厳格なピューリタンですね。おそらく、信仰を失いかけた人々にたいする警鐘という意味で描かれたものなんでしょう。

 そんなウッドの絵画イメージそのままの老夫婦、やはり厳格で信心深いです。
(← といっても、完全にまちがった方向なんですが)。新しい変化をいっさい受け入れません。

 当然、対となる主人公の若者たちは、絵に描いたような傍若無人ぶりです。他人の家に勝手にあがりこんで、音楽があれば踊りだすし(…80年代の映画にはよくあるパターンですが、ほんとアホですねー)、私物をひっかきまわすし、食事のマナーも悪いし…
 こんな身勝手な感じなんで、夫婦に罰せられていくのも仕方ない気もするんですが、残酷な部分も妙~にコミカルな音楽に乗せて進みます。

 夫婦の子供たちとして登場するのが、ジャネット・ライト演じるファニーを筆頭にした、見た目完全に五十過ぎ(!!)の3人のガイキチさんたち。これがかなりのインパクトです。とくにファニー、老け顔とごつい身体に、ギンガムチェックのミニドレスに白い靴下で画面いっぱいにはしゃぎまわります。見るからにオソロシイですねー。おまけに、レースのネグリジェ姿も披露してくれます。これまたオソロシイ~!!

 説明不足なところがやや消化不足なんですが、このひねくれた感覚がイギリス特有のものなんだと思います。後味も非常に悪いです。







ロッド・スタイガーと、イヴォンヌ・デ・カーロ
演じる不気味な夫婦。




 
とりあえず、泊めてもらうことにしたの
ですが…




「そーれっ!!」と、ガイキチ兄妹たちに
思いっきりブランコを押されちゃって…





…落とされちゃいました!




友人の死体を発見して、
茫然とするシンシア。








だいの大人がピンクのドレスでフフフ 
って、コワいですねー!(隣のママン
も楽しそう)。









こちらがシカゴ美術館所有の
グラント・ウッド製作『アメリカン・ゴシック』
ポスターそのまんまですね。







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   30 Days Of Night


2007)ニュージーランド/アメリカ
出演…ジョシュ・ハーネット
メリッサ・ジョージ
ダニー・ヒューストン
ベン・フォスター
監督…デヴィット・スレイド
製作…サム・ライミ
★★★☆


〔ストーリー〕
 アラスカ最北の町、バーロウ。このあたりでは、一年に一度30日間太陽が昇らない。バーロウの警官エヴァンと妻のステラは、おなじ町に暮らしていながらも疎遠な関係になっていた。30日間の夜がはじまる前日のこと、町の住人が所有する橇用の犬が一匹残らず虐殺される。それが、長くおそろしい夜のはじまりだった…!


 デヴィット・スレイドという監督、これがデビュー作だそうです。これ以前には、インディペンデント系でスマッシュヒットを飛ばした「Hard Candy」「ハード・キャンディ」2006)のプロデューサーを務めた人だとか。
トレイラーはなかなかカッコよかったものの、吸血鬼ものというと、どうしてもいつもの危惧がつきまとうのですが、さて、本作の出来は…

 もともとアメコミが原作だそうですが、この吸血鬼集団、みんなおんなじ顔してます。“吸血鬼” という従来のイメージより、“別種の生きもの” って感じですね。しかも、かなりのスピード感! これは最近の傾向なんでしょうか? ゾンビや感染者が短距離ランナー並みに走るのなら、こっちはさらに強力です。足が速いうえに、ジャンプ力はあるし、車なんか簡単にひっくりかえしちゃうし。

 この吸血鬼さんたち、一種のバカンスのような感じでバーロウにやってきたんですね。30日間太陽が昇らないということで、「なーんだ、こんないい場所があったのか!」と、感激しまくりでやりたい放題。また、吸血鬼のなかにも古参者と新参者がいて、「人間と共存していきたい」という考えと、「人間はただのエサ」という考えがあります。ちょっとした葛藤なんかもあったりします。

 そんななかで、命からがら逃げのびた人々は、屋根裏に篭城してなんとか恐怖の30日間をやり過ごそうとしますが…

 …あのですね、新しいことをしようと努力してるのはわかるんですが、どうもキャラクターが弱いでしょうか…? 吸血鬼のほうも、リーダー格に迫力はあるものの、ほかは(みんなおなじ顔だし)、いまいち個性がないような… 
 ジョシュ・ハーネットもがんばってるんですが、前半は魅力を発揮しきれてません。残酷描写も間接撮影のみ。このままつづくのはちょっと苦しいかな、と思っていたら、
 
 あらあら、ここまでやりますかー!! というシーンに遭遇してぴっくり。
あまりの鮮明さに、これには腰を抜かしてしまいました。
サム・ライミが一枚噛んでると、こんなことになってしまうんですね…!

 最後に、ヴァンパイアに占拠されてしまった町で、エヴァンはとんでもない賭けに出ます。これもありそうに思えて、なかった発想だと思います。結末もかなり衝撃的。これはホラー映画好きのために作られた作品なんですね。

 万人受けするものではないかもしれませんが、総合してみるといい映画だったと思います。








 
ジョシュ・ハーネット演じる
警官エヴァン。







ベン・フォスターは今回は
浮浪者役です。






こちらがさすらいの吸血鬼軍団。
リーダーのマーロウ(D・ヒュー
ストン)の話す言葉も、当然英語
ではありません。





吸血鬼はみんな(リーダー以外は)
こんな顔。目がつりあがってます。







エヴァンの妻ステラ(メリッサ・ジョー
ジ)。次々と仲間を失っていくなかで、
生き残ることができるでしょうか…?







  Johnny Skidmarks


1998)アメリカ
出演…ピーター・ギャラガー
フランシス・マクドーマンド
ジョン・リスゴー
ジョン・カペロス
監督…ジョン・ラッフォ
★★★


〔ストーリー〕
 妻に先立たれてからというもの、孤独な生活を送る警察の犯罪カメラマンのジョニー。じつは彼には裏の顔があって、ヤクザ者数人でチームを組んで、実力者たちを罠に陥れ、その写真を撮ってゆするということをくりかえしていた。ある日、妻の兄ジェリーが経営するハンバーガーショップで、アリスという女性と出会い、彼女の淋しそうな横顔に惹かれて関係をもつ。だが、恐喝仲間が残忍な手段で殺されたことから、ジョニーに危険が迫りはじめて…


 邦題では、「モンタージュ/証拠死体」 になっていますね。
監督のジョン・ラッフォは、これがデビュー作だそうです。
ストーリーを読んでいただけるとわかると思いますが、ま、ありがちなサイコ・サスペンスです。そして、映画通ならなおかつわかってしまうと思いますが、犯人、思いっきりネタバレしてます。
 
 でも、いいのですよ~。
これはラストでびっくりする映画ではないのです。
ピーター・ギャラガーが精神的に追いつめられて、どんどん不安になっていく様子がメイン・テーマなのです。

 ギャラガー演じるジョニーは、犯罪カメラマンという傍ら、ろくでもない輩と手を組んで恐喝を行ってます。この恐喝チーム、けっこう組織化されてまして、おびきよせ役の若い女性なんかもいて、いってみれば美人局ですね。町の著名人・有名人を狙って、あられもない写真を撮っちゃうわけです。それで、血も涙もないたかりをはじめる。

 こう書くと、人の弱みにつけこんであぶく銭を手にする、とんでもない男のように思えるんですが、ギャラガーのナイーブな演技は見る者の同情を誘います。なにかが起こっている… (次に殺されるのは自分かもしれない)… でも、だれにも相談できない…!! こんなジレンマが、情に厚そうなギャラガーをどんどん哀れにさえ見せます。
 
 恐喝仲間が残酷な拷問のすえ、次々殺されていくんですが、このあたりは 「Se7en」 (1995)の影響が色濃くみられます。手口もエスカレートしていくあたり、スリリングですね。とくに、砂漠のク
レーターのど真ん中に放置された死体のショットは、ショッキングでやたら不気味です。文字通り、ジョニーを震えあがらせちゃいます。わたしも震えあがっちゃいました。

 犯人がわかってからもまた、新たなドラマが展開します。悪行の報いといいますか、ジョニー自身にもとんでもないことが起こるんですが (痛みに弱い方は注意!)、結末でちょっと救われたりなんかして。

 被害者が、いつの間にか加害者に。虐げられる側になって、はじめて人の痛みを知る。どちらも、人間の弱さを根本にしているようです。 











ひよってる役がけっこう似合う(?)、
ピーター・ギャラガー。






ジョニーの友人で、刑事のジョン・
リスゴー。あれ? (いつもと)なに
かがちがう… と気づいた方、
いってはいけません~!!





ジョニーの義兄のジェリーを演じる
ジャック・ブラック。「The School
 Of Rock」
(2003)
の熱血先生と
いったほうがわかりやすいかな。






ジョニーはアリス(フランシス・マク
ドーマンド)に興味をもちはじめて…







    It


1990)アメリカ
出演…リチャード・トーマス
ハリー・アンダーソン
デニス・クリストファー
アネット・オトール
監督…トミー・リー・ウォレス
★★★★


〔ストーリー〕
 メイン州デリーの町で起こった不可解な子供の連続殺人事件。デリー図書館の司書のマイクの脳裡に、かつての6人の仲間とともに体験した身も凍る恐怖が甦る。マイクは震えながら6人の幼馴染みたちと連絡をとって、彼らを呼びもどす。「“イット”(あいつ)が帰ってきたから、約束を果たしてほしい」 と…


 みなさんも大好きな「イット」です!
これはテレビ映画なんですが、リストにはずせない重要な作品ということで、あらためてご紹介します。前編、後編とわかれて、約3時間(!)の超大作になんですが、これがおもしろくて、あっという間にときが過ぎてしまいました~。

 キング作品といえば、テレビ映画でも優秀なものが非常に多いですね。テレビ映画は、原作をあまりいじらない(?)という傾向が見られるようです。「The langoliers」「ランゴリアーズ」1995)なんか、ほんとまんまでしたもんね。
 さて、ホラー小説史上最大級のメタフィクショナル怪作を、あまりいじらずに映像化できるのか?
でもこれが、けっこう成功してるんですよね。

 まず、ティム・カリー演じるペニーワイズ、やたらめったらコエ~! てか、すんごいインパクトです!! 「凶暴ピエロ」のキャラクターって(活字で読んでもじゅうぶんコワいですけど)、映像で観ると、泣く子も黙る強烈さなのがわかります。(バカ殿のような)白塗りの顔! オレンジ色の髪!(おでこがやけに広い!)  ド派手な衣装! 原作でも小道具として使われていたボンボン!

 原作の 『イット』 は、じつは 『セイラムズ・ロット』 がはじまりです。『セイラム
ズ~』 に影響を受けたストラウブが 『ゴースト・ストーリー』 を書いて、それに影響を受けたキングが、今度は本作を書いたというわけ。才能ある人同士で影響しあって、なんだかとってもおもしろうそうですねー。そんなわけで、この3作品は構成が非常に似ています。恐怖と対面した登場人物が過去を物語るというゴシックなかたちで、どの作品にも “不滅の怪物” が登場します。

 数々の名作を生みだした第一期黄金期にちょこちょこ書かれたということもあって、少年時代が「Stand By Me」「スタンド・バイ・ミー」1986)の雰囲気そっくりです。じつをいうと、少年時代のほうが圧倒的におもしろいです。主人公7人の子供たちの家庭も、 “アメリカの影の象徴” のようで、あちこち問題だらけ。片親だったり、ネグレクトだったり、マザコンだったり、虐待があったり…。

 でも、そんななかでも彼らは素直に育つんですねー。それというのも、「仲間」という強烈な武器があるからです。この明朗で善なるメッセージがイヤミなく前面に打ちだされて、映画のほうも愛と希望に満ちています。恐怖が存在する一方で、愛や希望も存在する。

 う~ん、すばらしいですね!!!
 
 ペニーワイズの登場シーンなんですが、けっこうすごいことになってます。シャワー室の排水溝から出てくるシーンは興奮ものですし、神出鬼没のイカレっぷりには鬼気迫るものがあります。なにより、アノ顔がイイ! (というか、コワい!) 冗談じゃなく、ティム・カリー、人間に見えません。世にもおそろしいバケモノです。洗面台で血のつまった風船が破裂するシーンは、気が効いていてかなり盛りあがります。

 後半戦の大人になってからの冒険も、息をつかせぬ展開です。
ただ、ラストの “イット” の正体で賛否両論に別れるようですが、いえ、あれは、〇〇ではないのですよ。ほんというと、〇〇なのですよ! でも、〇〇にするには〇〇が〇〇だし…〇〇だって、〇〇だし…(って、なに書いてるのか、ぜんぜんわかんないですねー!)。

 ホントの “イット” の正体を知りたい方は、ぜひ原作を読んでみてください。目からウロコになりますよ。
 







排水溝からウフフ と、登場する
ペニーワイズ。ドナルドそっくりです
が、連続殺人鬼のジョン・ウェイン・
ゲイシーという話も。



(左から)、物真似リッチー(セス・グリーン)、太っちょベン(ブランドン・クレーン)、
喘息持ちのエディ(アダム・フリースル)、ユダヤ人で鳥博士のスタン(ベン・へラー)、
かわいいべヴァリー(エミリー・パーキンス)、主人公のビル(ジョナサン・ブランディス)。







 うわ、グロいですねー!
子供の恐怖心をそのまま
表現してますね。








このシーンもお見事です。
質素ながら“ガツン”ときますね。






「エ? なになに?」と、みんなで
本を読んでいると、挿絵が
動きだして…







ジャ、ジャ、ジャーン、と、登場!
(ものすっごく)なんかいいたそうに
近づいてきて…






 
ハウリング!!!







  The Butterfly Effect


2003)アメリカ
出演…アシュトン・カッチャー
エイミー・スマート
ウィリアム・リー・スコット
監督…エリック・ブレス
ラッキー・J・ブラザー
★★★★


〔ストーリー〕
 幼いころからたびたび記憶に空白のあるエヴァンは、治療のために日記をつけはじめる。13才のころ、幼馴染みのケリーたちといたずらで大事故を起こしてしまうが、そのときの記憶もなかった。やがてエヴァンは引っ越すことになり、ケリーに「迎えにくる」と約束して別れる。
 数年が経ち、大学生になったエヴァンは、ごくふつうの生活を送っていた。だが、むかしの日記を見つけたことから、不思議なことが起こりはじめ…


 「バタフライ・エフェクト」です。
この作品のアイデアをなにかの記事で読んだとき、ひどく気に入ったのを憶えています。タイトルもイイですよねー。まさしく期待通りの傑作でした! 「着想の勝利」を絵に描いたような作品です。

 タイムリープものもホラーには欠かせない要素ですが、料理の仕方が非常にスマートですね。最初からルールはなにもないんですが、無理なく話に頭入できるような自然な展開になってます。

 “過去を変えるたびに破滅する” というアイデアが、とにかく結末まで目が離せないです。ちょっと修正→ 「どかん!」 もうちょっと修正 →「さらにどかん!」 という不幸のくりかえしって、だんだん快感になってくるから不思議です…  悲惨な結末の永遠のメビウスって、人を惹きつける暗い魅力があるんでしょうか? 
 
 主役のエヴァンを演じるアシュトン・カッチャー、じゅうぶんセクシーで魅力的なんですが、ケリー役のエイミー・スマートの七変化には目を見はります。ハッピーなときはとてもキュート だし、不幸なときはほんとに人生のどん底… といった感じで、とてもおなじ人には見えません。

 当然修正結果はほかの人にも響きますから、脇役陣の変化を見るのも楽しいです。「ああ、つぎはこうきたか!」 と、意表を突かれるのもまた、余興。個人的には、エヴァンのルームメイトが大変身していたときには笑っちゃいました。

 巧みに張られた伏線が収束するあたりは、パズルのピースが埋まっていくようで気持ちいいです。エンディングでオアシスが流れるところが、いくぶん狙いすぎ(?)のようにも感じるんですが、これくらい王道を突き通してくれると、かえって堂々としていてすばらしいですね。

 基本ラブストーリーなんですが、ホント、せつなくて胸がキュンキュンしまくっちゃう映画です。









「そういえば、こんなことあった
なあ…!」と、過去の日記を
読みかえしだすと…






 
(左から)少年時代のエ
ヴァン、ケリー、レニー、
ケリーの兄のトミー。







もっと幼いころのエヴァン。
ブラックアウトもひんぱんに
起きてしまいます。








どうやっても、ケリーを幸せに
することができないエヴァンは…







   Necronomicon

1993)フランス/アメリカ
出演…ブルース・ペイン
リチャード・リンチ
べリンダ・バウアー
監督…クリストフ・ガンズ/金子修介
ブライアン・ユズナ
製作総指揮…一瀬隆重
★★★


〔ストーリー〕
 ラブクラフトの原作を元にした、三話のオムニバス。
「The Drawned」
 ニューイングランドの古びたホテルを相続したエドワード。かつてこの場所で、叔父が死者を甦らせる儀式を行ったことを知る。エドワードは事故で亡くした妻子を呼びもどそうと、『ネクロノミカン』 と呼ばれる本を探すが…
「The Cold」
 新聞記者デイルは、骨髄液が抜きとられるという猟奇事件を追っていた。事件が多発する近くのアパートを訪ねると、管理人の若い女性エイミーが彼を招きいれる。そこは冷蔵庫のように冷えきっていた…
「Whisper」
 パトカーで犯人を追跡中に、事故を起こした女性警官のサラ。同乗していた相棒が何者かに連れ去られるのを目撃して、急いであとを追う。入り組んだ路地裏で彼らを見失い、奇妙な夫婦に出会う。夫婦がいうには、この場所には “ブッチャー” と呼ばれる魔物が棲んでいるというのだが…


 仏・日・米の監督がそれぞれ製作したラブクラフト映画、「ネクロノミカン」です。
三話構成なんですが、プロローグとエピローグにラブクラフト自身が登場します。このオリジナル・エピソード、「The Library」 もユズナが担当したんですが、ユズナといえば、ジェフリー・コムズ! 本編を観て驚いちゃったんですが、ラブクラフトそっく
り~! ウェストくん、じつは素からラブクラフト顔だったのですね。彼が 『ネクロノミカン』 を一話読むごとに、彼自身の身にも危険が迫ってくるという設定です。

 一話目の 「ザ・ドラウンド」は、『壁の中の鼠』 をベースにして、ほかにも数編のラブクラフト・エッセンスが混じっているようです。オーソドックスな怪物譚なんですが、妻子を失ったエドワードの悲哀が描かれていて、しんみりします。海岸沿いに建つ古めかしいゴシック建築の雰囲気もイイ。モンスターの登場の仕方も驚きはないものの、あっぱれでした。

 二話目の 「ザ・コールド」は、『冷気』 をもとにしたもの。原作自体が地味な話なので、ストーリーも淡々と進みます。ありがちな展開で、結末も最初から予想できるものですが、丁寧なドラマとして描かれているのでゆっくり堪能することができます。
ラストのオチも控えめながら、心に残ります。

 三話目の 「ウィスパー」は、『闇に囁くもの』 を基本にしてるんだと思いますが、原典がどんな内容だったのか忘れてしまうほど(?)、大胆に脚色されてます。とにかく、画面全体が真っ赤 ほとんど赤!! ストーリーのほうも、あってないようなものです。“ブッチャー” に食べられてしまった相棒警官のポール、これは、スタッフが手動で操作するダミー人形なんですが、人形とわかっていても、すんごく気持ち悪い! 悪趣味!! 内臓系もここまでくると、気色悪がっていいものやら、笑っていいものやら…(汗)。 ある意味、ユズナのすごさが実感できる問題作だと思います。

 …という感じで、ラブクラフト好きにも、そうでない人にも、なかなか楽しめる内容になってます。これまでにもラブクラフト映画って、たくさんありましたけど、ここまでマニア魂を発揮している作品はなかったと思います。全体としてみるとちょっとバランスが悪いんですが、独特の世界観がよくわかりますよね。つなぎのエピソードもおもしろいです。

 それにしても、ウェストくん(…じゃなくて、ジェフリー・コムズ!)、ほんとにラヴクラフトそっくりですね~。













『ネクロノミカン』を手にしたラブクラフト。
本人がこの映画を観たら、さぞかし
喜んだでしょうね!








壁の隠し戸棚から禁忌の
書物、『ネクロノミカン』を
発見するエドワード。






 
帰ってきた妻は、
怪物だった…!





エイミーの母親エミリーは、
不老不死の研究をするマデン
博士との恋を芽生えさせ
はじめますが…







でも、博士には、人にいえない
秘密がありました…!!







見るからにアブなそうな夫婦です。
と、思っていたら、






 
…やっぱり騙されて、穴の中に
落とされちゃいました!!







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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