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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   『テキサス・ナイト
     ランナーズ』


原題 『Texas Night Riders』
(1983)
ジョー・R・ランズデール:著
佐々田雅子:訳
文芸春秋文庫


〔ストーリー〕
 大学教授のモンゴメリーと高校教師のベッキーは、過去の傷を癒すために別荘にむかっていた。じつは、ベッキーは一年前に、教え子から暴行を受けていた。犯人は、罪の意識などまったく感じないクライドとブライアン、その仲間たち。だが、捕まったクライドは、拘置所の中で自殺を図ってしまう…


 今回は、ランズデールをご紹介します。
 
 ランズデールというと、ハップ&レナードもののでこぼこコンビが有名でしょうか… 
このシリーズで人気が爆発したんですけど、のちに、世紀末一大アンソロジー『999』 (1999)におさめられた短編、『狂犬の夏』 を長編に書きなおした 『ボトムズ』(2000)、こちらがまたまた大ヒット、純文学の域にまで達したともいわれて、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)の最優秀長編賞を受賞しています。

 南部出身の作家さんというと、ランズデールよりずっと苦労していない(笑)デビューの仕方をしたのが、ロバート・R・マキャモン。最近ようやく復活してくれましたね。でも、ちょっとまだおぼつかないですね。南部出身の作家さんの特色は、ずばり南部小説にあるわけなんですが、ランズデールの場合は、マキャモンなんかよりずっと口が悪いタイプです。お下品です。お下劣です!!

 …といっても、けして不真面目な人というわけではなく、この方はほんと~に、努力して作家になった方なんですよ。なんでも、「作家なんか食ってけるわけない!」なんていわれている中で、コツコツと作品を出版社に送りつづけて、その不採用通知が 「100通になったらあきらめよう!」 と、不屈の精神で希望を持ちつづけた方なんです。もちろん、作品はどれもおもしろいものばかり。それで、どうしてブレイクしなかったのか?というと、ジャンルの別なくオールマイティーに書きつづけていたために、出版社側も混乱しちゃったんでしょうね。

 ですから、アンソロジーというと必ず登場する方です。
そんな彼の長編、『テキサス・ナイトランダーズ』ですが、こちらは 「嫌悪のために途中で投げだしたらいいのか、笑いだしたらいいのかわからない」 とまで、ニューヨーク・レビューにいわしめた大変態小説。
ストーリーは、追うもの、追われるものの物語です。

 いわゆる十代の犯罪ものなのですが、これがほんとに、どーしようもない悪ガキばっかりです。自分たちの快楽のために女性を襲っては殺し、なんてひどいことをくりかえしていたんですが、ついに年貢の納めどきといいますか、女性教師のベッキーを襲ったときに逮捕されます。ところが、そのリーダーのクライドは、拘置所内で自殺しちゃう。(…どこまで悪あがきなんだか!!)当然、相棒のブライアンは気分よくありません。「あの女のせいで自殺したんだ!」 と思いこみ、復讐を決意するのです! おそろしいですね~!!

 もはや無軌道を通り越して、ひたすら俗っぽくて残虐で、まさしく嫌悪のためにやめちゃおうか、それとも、全部ジョークにしちゃおうか? というような内容です。標的にされてしまったベッキーとモンゴメリー、助かることはできるのでしょうか…??

 この小説のおもしろいところは、犯罪者たちが犯罪者なりの運命の出会い(?)らしきものを感じるシーンにあります。また、罪を犯す側の心理状態も不気味すぎてこわいです。いえ、おもしろいです。“カミソリの神” というのが出てくるんですが、『モンスター・ドライブ・イン』(1988)にも、似たようなものが登場します。やっぱり、似たような運命の出会いがあります。(…なんですが、こちらはあまりに破綻しすぎていますので、初心者にはオススメできません!) …わたしが感動してしまったのは、この破綻ぶりにもあります。だって、フツー、ここまでしっちゃかめっちゃかになっちゃったら、絶対途中で投げだしちゃいますよね~。。。

 とりあえず、一度読み出したら最後まで読まずにはいられなくなるくらい、パワーの溢れた野心作…かな?? ド変態作かな!!


 



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    Rogue



(2007)オーストラリア/アメリカ
出演…ラダ・ミッチェル
マイケル・ヴァルダン
サム・ワシントン
監督…グレッグ・マクリーン
★★★


〔ストーリー〕
 アメリカ人のトラベルライター・ピートは、オーストラリアのカカドゥ国立公園で、ケイトが運転する船〈スーザン〉のリバー・クルーズに参加する。クルーズも終わりに近づいたころ、乗客のひとりがSOSを伝える煙があがっているのを発見。ケイトは参加者たちを説得して、通常のルートを外れて救助に向かうことにするのだが…


 心臓に悪い、アニマル・パニック映画の登場で~すっ

 監督のグレッグ・マクリーンは、「Wolf Creek」(2005)で、一躍その名を高めていましたね。(この作品、殺人鬼がごく “フツーのおっちゃん” というところが、妙~に現実感があって、逆にコワかったりした映画でした)。そして、さて次回作の本作品はというと、じつに単純なアニマル・パニックものなんですよね。

 アニマル・パニックものでまっさきに思いつくのが、いわずと知れた大傑作「Jaws」(1975)!!

 …これに勝る優秀作は、正直なかなかあらわれないでしょう… あまりに最強すぎて、いまのところ敵ナシといった感じです。そんなわけで、この分野の新作が出るたびに、「ジョーズ」と比較しまして、ここがよかったり、あそこが足りなかったり… などと、色眼鏡で観てしまうのですが、マクリーンのこの作品にかんしていえば、そんな中でもなかなか健闘していたと思います。ええ、夢中になって観ちゃいました!

 ヒロイン(ケイト)には、最近ホラー映画に定評のあるラダ・ミッチェル。
たいして、主人公のピートを演じるのは、ドラマ「エイリアス」で人気急上昇中のマイケル・ヴァルダン。最近、テレビ業界から映画の世界に進出する方が、多いですよねー。第2のジョージ・クルーニーは生まれるのか? どうなのか!!

 (話がちょっと逸れてしまいましたが~)、マイケル・ヴァルダン演じるシニカルな旅行ライターのピートが、ケイトのクルーズに参加するところから物語がスタートします。この作品のよいところは、余計な枝葉をいっさい省いているところです。そのため、ストーリーにブレがありません。のっけからいい緊張感を醸しだしています。

 前半はこの緊張感が痛いほどつづき、非常に心臓に悪し(笑)。びっくらかし系は苦手なんですかね~…、あと、動物がやられちゃうシーンなんかも、その手のドキュメンタリーを見ているようでした… (やっぱ、苦手かもしれません~)…

 ストーリー展開はお定まりのもので、突然アタックされたケイトたち、〈スーザン〉はエンジン故障を起こし、やむなく中州に避難したところで、自分たちが直面している恐怖に気づく、というパターンです。そうです、なんといっても、“水もの” ですから!! 中州に取り残されないと!! そこで、絶対絶命の危機に追いつめられないと!!

 「ジョーズ」の成功の一因は、偶然の賜物だったりしたわけですが、(…美術スタッフが作った模型が計算ちがいで水中に沈まなかったため、急遽すくない予算で頭だけ作りなおしたという話)、いまさらアレを意図的に模倣するわけにはいきません。アレというのはもちろん、姿は見せず、音楽とカメラだけで盛りあげる、という方法のことです。

 そのため、この作品の陰の主役のワニくんは、正攻法でアタックしていきます。いってみれば、その手法は「姿が見えた時点」でアウトになってしまうわけですが、さすがは「Wolf Creek」を撮った方だけありまして、そんな淋しいことにはなりませんでした。なんと、さらなる “モンスター描写” で盛りあげることに成功しているのです。もちろん、見た目のことをいっているのではありません。ここ、けっこう重要です。

 また、(ストーリーだけ聞くと)ありがちなB級映画のようですが、雰囲気があまりにも “高級感” を含んでいるので、慣れるまで違和感を覚えてしまいました。こちらも、ラストまで持続しています。(これこそ 「偶然の賜物?」 と思ったんですけど、エンドロールが狙いすぎ~な音楽でしたので、確信犯! だとわかりました)。

 …ということで、そうですね、ひとことでいったら、「安心して観れるアニマル・パニック映画」だと思います!!










ケイト演じるラダ・ミッチェル。
こんな美人なのに、薄幸な役
が多いですよね~。









ピートを演じるマイケル・
ヴァルダン(もちろん、左)。









乗客のひとりは、絶壁に奇怪
な壁画を発見しますが…







ひえ、急いでー!!
グズってると、あっという間
バクッといっちゃいます!







「キャアアァァァ!!」
なんて、叫んでる場合
じゃありません!!








サービス・ショット!!
ワニくんをチラッと披露







 
   片腕マシンガール


(2007)日本/アメリカ
出演…八代みなせ
亜沙美、穂花
島津健太郎
デモ田中、諏訪太郎
監督…井口昇
★★★


〔ストーリー〕
 女子高生のアミは、両親が自殺したために、弟のユウとふたり暮らし。ユウはヤクザのひとり息子を中心とするいじめグループから金をたかられており、ある日、友人のタカシと反撃したために、窓から突き落とされて殺害されてしまう。しかし、警察はふたりを自殺として処理した。納得のいかないアミは、“殺したいヤツ”とリストされたノートを発見。そこに書かれた名前をもとに、ユウをいじめていた同級生に復讐しようと決意するのだが…!!


 すっごくおもしろかったのー!! な新作をご紹介。英語のタイトルは、「The Machine Girl」になっています。一応日本映画なんですけど、ノリはもろアメリカです。製作は〈フィーバー・ドリームズ〉だとか。もちろん、ゴアゴアでノリノリです。こんな楽しい作品だとは思いませんでした。

 冒頭、とある廃ビル内で、陰湿ないじめをする少年グループたち。そこへ、“片腕マシンガール” こと、左腕にマシンガンを装着した少女アミが登場します。アミは「必殺仕置き人」のようなキャラにいるわけですが、どうしてそんなふうになったのか、過去にさかのぼって、とある悲劇と殺戮のストーリーが語られます。

 とにかく、殺戮、殺戮! のオンパレードで、血糊が噴水のように飛び散るシーンばっかりです。とりあえず、「ブシューッ」とやっとけ! って感じです。ゴアものが苦手な人には、ちょっと驚いて引いちゃうかと思われますが(汗)、テンポがよく、ストーリーも単純明快、肝心の血糊や切り株なんかも、見るからに「作りもの」しているので、けっこう安心して観れる快作です。

 わたしはこういう物語を「水戸黄門」と勝手に名づけているんですが、勧善懲悪の二次元構造がとにかくわかりやすい。この作品もそんな例に漏れず、悪人はどこまでもいやらし~く悪人してまして、これでもか! と憎ったらしく(笑)、そこがまた快感だったりするのですが、この作品の場合はそこにさらに輪をかけまして、信じられないくらい残虐非道です。レザーフェイスも真っ青です。ホイト保安官と気があいそうです。

 アミの弟のユウをいじめるグループのリーダーは、なんとヤクザのひとり息子なんですが、ただのヤクザではありません。じつは、忍者の血筋を引いていたのです!! 
 ということで、バトル・シーンはもちろん、手裏剣なんかがビシバシ飛んできます。当然刀で戦います。こんなふうに、はなから海外における “日本の曲解されたイメージ” をとことん強調していくんですが、不思議とバカバカしさを突き抜けて、むしろ爽快でさえあります。

 片腕を失った代わりにマシンガンや電ノコを装着するところなんかは、「Planet Terror」(2007)、もしくはアッシュを連想させますが、なぜ? なに?と疑問を挟む余地もなく、トントン物語が進んでいくので気持ちいいです。
 変わりダネでは、ドリル・ブラなんてのもありました。あと、てんぷらで戦ったりもしていました。ここ、すっごく笑えるので、期待して観ていてください。

 まるでマンガの世界をそのまんま実写にしたような感触ですが、おふざけやゴア度もここまで吹っ切れてしまえば、貫徹した世界観を築けるんですね。結末がわかっているぶん、ハラハラ感はあまりないんですが、無条件に燃えてしまいます。

 ヒロインのアミを演じる八代みなせちゃんが、カワイくて強い! きりっとした眼差しにうっとりしてしまいます。体当たりの演技もポイント高いですね~。

 監督本人によると、「男子ウケする映画なんだけど、できれば女子に観てもらいたい」 みたいなことをおっしゃっていたそうです。わたしもぜひ、女子に観てもらいたいと思います









片腕マシンガールこと、アミ
(八代みなせ)。
背後の首チョンパの
ブシューッ噴水はお約束!








美少女と血糊。
うつくしいですねえ










今夜の食事は指おすし~








ヤクザ忍者のお父ちゃん。
必殺アイテムは、鎖首刈
り!!









たいして、ビッチ・ママンの
最強アイテムドリル・ブラ!!
悪人な息子は、いじめられっ
こたちの陰に隠れてま~す










 まっぷたつ!!
 きれいに入りました!!







    eXistenZ


(1999)カナダ/イギリス
出演…ジュード・ロウ
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウィレム・デフォー
イアン・ホルム
監督…デイヴィット・クロネンバーグ
★★★


〔ストーリー〕
 近未来のアメリカ。新作ゲーム「イグジステンズ」の発表会で、カリスマ的な人気を持つゲーム・デザイナーのアレグラをゲストに、一般のゲーム・ファンたちを数人集めてゲームを体感しようと企画する。ところが、ゲーム中に突然気味の悪い銃を持った若い男が乱入、アレグラは撃たれてしまう。警備員のテッドはとっさにアレグラをかばって、彼女を連れて車で逃げだすのだが…


 クロネンバーグの「イグジステンズ」です。

 なにしろテーマが 近未来の “ゲーム” ですから、この作品ももちろん、「バーチャル・リアリティ」 ものとなるわけですが、そんじょそこらのバーチャルなリアリティを想像してもらっては困ります! CG全盛期であろうとなかろうと、バーグ先生お得意の超~肉感的な、超~ド変態なアイテムで、これでもかと攻めていきます。「未来」 のことを描いておきながら、表現する方法は思いっきりアナログな感じがまた、非常におもしろい一作でもあります。

 さて、タイトルにもなっている 「イグジステンズ」 とは、新型体感ゲームの名前なんですが、このゲームをはじめる方法からして、まさにド変態。なんと、ゲーム愛好者のほとんどが脊髄に “ポート” (穴)を開けているという状態で、そこに直接ゲーム機を接続してしまうのです。

 このゲーム機がまた、突然変異の魚類と爬虫類の器官を利用して作った(なんじゃそりゃ!!)、いわば、“生きている” もの。見た目もムニムニ、ブヨブヨしています。すっごく気持ち悪そうでしょう? 映像で見ると、ほんとに気色悪いです。「人間て、快楽のためならここまでできちゃうのっ!」 と、妙に感心してしまうくらい、イヤ~な現実感が伴っているから、余計に不気味だったりするのです。

 そんなゲーム機と陰謀に翻弄されてしまうのが、ジュード・ロウ演じるテッドと、世界的な人気を誇るゲームデザイナーのアレグラ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。前述しましたとおり、脊髄に穴を開けて、そこに奇怪なゲーム機を接続するんですから、不潔な感じもするし、(じっさい病気になっている人もいるし)、卑猥だし、(じっさいそんな意味合いもこめられているんだと思います)。

 映像的には、こうした不快な場面や嫌悪感を伴う状況などが、延々とつづいていく… といった感じです。この作品を観終わってまず思ったことは、バーグ先生は 「いま」 という世界を的確にとらえているのですけど、そこになにかしら、「回答」なり 「未来」なりを見いだそうとは思っていないようです。ですから、シュールで不気味な映像が次々と目の前をよぎるのですけど、そこに哲学的な意味があったりとか、暴力的な示唆があったりとか、そういったことはぜんぜんないのです。

 ぜんぜんないのです!

 …えーと…?
バーグ先生、わたしの理解力が足りないだけですか…??(汗)

 たしかに、以前のバーグ先生とくらべると、パワーも迫力も落ちていることは確実ですが、はじめからシニカルにとらえていた、と思えば納得できました。陰謀を起こす方も、狙われる方も、傍観者(観客)からするとゲームの一種にしか見えないという、現代社会の本質が失われていくこわさ… これがほんとのテーマだったのでは?











命を狙われているアレグラ
(ジェニファー・ジェイソン・リー)。






小型ゲーム機が、勝手に
ニュルン!って!!
入ってっちゃった!!








新作「イグジステンズ」
発表会にて。








騒動から逃げだした
アレグラとテッドは…



 

 





ゲームの中(?)では、テッドは
不潔な工場に勤めているようで
すが…







 

    Dark City


(1998)オーストラリア/アメリカ
出演…ルーファス・シーウェル
キーファー・サザーランド
ジェニファー・コネリー
ウィリアム・ハート
監督…アレックス・プロヤス
★★★☆


〔ストーリー〕
 見知らぬホテルの一室で目覚めたジョンは、記憶を失っていた。自分が何者なのかもわからず、不安と焦りに追われるなか、鳴りだした電話の相手が不可解なことを告げる… 「いますぐそこを逃げだすんだ。やつらに捕まってはいけない!」
時計が止まるたびに、街の住民すべてが奇妙な眠りについてしまう… そして、ジョンにつきまとう不気味な黒いコートの一団。やがてジョンは、思いもしない秘密に気づきはじめ…!!


 邦題「ダーク・シティ」です。

 この作品も、じつは90年代に流行った「バーチャル・リアリティ」もののひとつ。そして、個人的にはとくにお気に入りの一作です 

 「バーチャル・リアリティ」 ものというと、アイデアばかりが先走って、いまいち内容の伝わりにくい(…といいますか、無理ありすぎ! なものが多かったのもたしかです…汗)、たとえばそれが、(…“キング原作” と謳い文句にしながら、のちにキング本人から「ナメんなよ!」と、提訴されちゃった、突っ走りすぎの「The Lawnmower Man」「バーチャル・ウォーズ」1992)とはいいませんが)、いいませんが!!

 こちらの作品はすっきりまとまっていて、アイデアも無理がなく、わかりやすく、なによりエンタテイメントしていて非常におもしろい! 良作となっています~。未見の人は、ぜひ手にとってみてくださいね♪

 監督のアレックス・プロヤスは、日本でもヒットしました、「The Crow」「クロウ/飛翔伝説」1998)を撮った方です。この映画も、非常にうまく作られていましたよねー。「クロウ」 を観たことがある人には、「ああ、わかる!」 と、共感してもらえると思うのですが、この方は、舞台の作り方がとくにうまいんです。さほどお金をかけているわけではないんですが、アイデアだって、突拍子もないものではないんですが、味わいがありまして、“古きよき時代の映画” に通じる叙情性、レトロちっくな感慨深さのようなものがこめられているのです。

 主人公のジョン・マードックは、色男のルーファス・シーウェルが演じています。その色男ジョンの恋女房役に、大人になったジェニファー・コネリー(役名エマ)。じつは、ジェニファーのファンの方は、すこしショックを受けてしまうかもしれません。だって、ジェニファーたん、いきなり登場したとたんに、「アタシが浮気したからね」「アタシの不倫が原因なのよね」 などと、爆弾発言攻撃!

 え?えええー?? と、これには観ているこっちも真っ青です。
だってジェニファーくらい、「浮気」とか 「不倫」なんて言葉が似合わない女優さんはいないじゃないですか!!「これ、もしかしてミス・キャストなんじゃない…? ジェニファー、清楚すぎるんじゃない?」 などとヒヤヒヤしながら観ていましたら、途中でちゃーんと納得できました。よかった

 ご覧のとおり、「The Matrix」「マトリックス」1999)より以前に撮られた作品ですが、内容はまったくひけをとりません。記憶喪失となったジョン、そのころ世間では、残虐な娼婦連続殺人が起こっていました。犯人は自分なのか? 電話の相手の正体は? 黒ずくめのコート軍団 “ストレンジャーズ” とは? (そして、ジェニファーたんの 「浮気発言」 の真相は…??)

 どうです、すっごくおもしろそうでしょう?

 一見すると、大作の影に隠れてしまうB級SFのように思われてしまいそうですが、独特の世界観と魅力的な町並みの雰囲気がセンスバツグン。あと、音楽もイイです。一度乗ってしまうと心地いいです。
この作品に共感してもらえるあなたは、きっと映画センスもステキなはず!!



    






すべての人が眠りについたころ、
キーファーさんと、“ストレンジャーズ”の
ナゾの集会がはじまります…
注射器の中身は??










主人公のジョンを演じる
ルーファス・シーウェル。
 







ジェニファーはいくつに
なってもキレイです







ジョンを執拗に追う
ストレンジャー!





ダークシティの象徴的
な建物の時計台。
針が止まると、なにか
が起こる…?



最後の決戦!!
ジョンはほんとうの
自分をとりもどせる
でしょうか?
それから、ほんとうの
○○とは??







    Phantasm


(1979)アメリカ
出演…マイケル・ボールドウィン
ビル・ソーンベリー
アンガス・スクリム
レジー・バニスター
監督…ドン・コスカレリ
★★★


〔ストーリー〕
 満月のある夜のこと、ひとりの男性が墓地で美女に刺し殺された。後日、殺害された男性トミーの葬儀が執り行われ、友人のジョディとレジーのただふたりだけが参列した。じつは、ジョディの両親も一年前に、この墓地に埋葬されていた。葬儀が終わったあと、弟のマイクが広い墓地内でバイク遊びをしていると、奇妙な光景を目撃する。葬儀の関係者とおぼしき背の高い男がやってくると、トミーが入れられた棺桶を軽々を持ちあげて、霊柩車の中に放りこんだのだ…!


 あまりの懐かしさにレビューしてしまいました、「ファンタズム」です。
 
 ドン・コスカレリ監督というと、ごく最近のものでは、〈マスター・オブ・ホラー〉「Incident on and Off a Mountain Road」「ムーンフェイス」2005)なんてありましたよね。うら淋しい夜道を車で走る美女が、ふとしたことから追突事故を起こし、ナゾの不気味な面相の殺人鬼に追われる、というようなストーリーです。コスカレリ監督らしいファンタジックな雰囲気がよく出ていて、光と影の使い方もうまく、非常におもしろかった短編のひとつです。

 そのコスカレリ監督、原点はこの「ファンタズム」にあるわけですが、2008年現在まで、なんと5作(!)の続編が作られています。でも、個人的には、それらの続編はなかったことに~ しておきましょう。いえ、それなりにおもしろいのですが、ストーリーの幅も1作目よりずっと出ていてサービス満点なのですが、いちばんの持ち味であったダークなファンタジー要素、曖昧模糊とした怪奇性が急速に失われてしまったのもたしか。

 …ということで、今回は初回の観客を混乱に巻きこんだこの作品に的を絞ってみたいと思います。

 「ファンタズム」 の成功の一因には、じつは主人公のマイクを演じるマイケル・ボールドウィンの存在も大きいと思います。彼はコスカレリ監督の「ボーイズ・ボーイズ/ケニーと仲間たち」(1976)にも出演していますが、こちらは爽やかな少年たちの友情ドラマ。「ファンタズム」 のリリカルな佇まいは、ここから出発していたんですね。

 一応あらすじらしきものを書いてみましたが、脈絡がなく、いきなり怪異な出来事がはじまったり、手掛かりを掴んだと思ったら投げだされちゃったりと、面食らって迷子になってしまいます。それもそのはず、なんとこの脚本は、コスカレリ自身の 「悪夢」 をそのまま書き写したものなんだそうです。一見すると難解な物語に思えますが、“不安定な状況に置かれた少年の困惑”をそのままあらわしているんだと思えば、けっこう納得。

 それから、“発想の転換” というのもありますね。
だって、だれだって、「死神が魂を集める」 のは理解できますけど、まさか 「それを○○にしている」 とは考えつかないですもんね~!!

 映像的にも不可思議で魅力的な場面が多く、たとえば、まぶしいくらい真っ白な大理石の霊安室、大豪邸みたいな葬儀屋の館、異常に背の高すぎるトールマン(アンガス・スクリム)も絵になっていますし、忘れちゃいけないのが、鉄球!! これ、いちばんの人気アイテムですよね この鉄球、「ウィーーン」ってメカニックな音を立てて空中を滑らかに飛びまわり、急に突起物が出てきて頭に「グサッ!」と刺さったり。

 結末の不可解で不気味な余韻も印象的。この後、この作品に少なからず影響を受けたと思われる作品が、続々と生まれることになるわけです。





ハリウッド・スターのお屋敷のような大豪邸ですね。
ここに、とてつもな~い秘密が隠されているわけです。






広い霊安室で迷子になっ
ちゃったジョディ(ビル・
ソーンベリー)を、いきなり
「ウルァ!!」と、捕まえる
トールマン。








襲いかかる鉄球!!








トールマンの指を切り
落としたら、オレンジの
!!







隠された小部屋の
不思議な支柱を
触ってみると…??







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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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