個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、
小説のレビューなどをポツポツと…
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Splinter
(2008)アメリカ
出演…シア・ウィグハム、パウロ・コスタンゾ、
ジル・ワグナー、レイチェル・カーブス
監督…トビー・ウィルキンス
★★☆
〔ストーリー〕
休日にキャンプに訪れていたセスとポリーの若いカップルは、突然道端から飛びだしてきた女性・レイシーに驚いて車を止める。すると、拳銃を構えた男・デニスが。デニスとレイシーにいわれるままに、彼らを乗せてふたたび車を運転するふたり。辺りは暗闇が落ちて、助けてくれそうな人影も車もない。 …と、ふいになにかを轢いてしまった衝撃に、4人は慌てふためくが…
もう、痛々しいの~~、トゲトゲしいのっっ!! な、新作の登場で~す♪
監督のトビー・ウィルキンスという方は、監督業はもちろん、視覚効果としても活躍している人。ライミ・プロデュースのミニ・TVドラマシリーズ「Devil's Trade」(2007)以来、すっかりホラーにはまってしまったようで(?)、今回はこんなに元気のいいモンスターホラーを発表してくれました。ちなみに、今後は「The Grudge 3」(2009)が控えているようです… (よせばいいのに~ …なんていいません、ええ、いいません!!)
ロスのホラー映画祭 〈スクリーム・フェスト〉 で、最優秀作品賞、監督賞、特殊効果賞… などなどを受賞したというこの作品。期待通りのグロいモンスターが登場します。 …といいますか、これはモンスター?? まあ、なんだかよくわかんないから、モンスターにしておきましょう!
さて、お約束の若いカップル、セス(パウロ・コスタンゾ)とポリー(ジル・ワグナー)が、能天気にキャンプに出かけるところから物語はスタートします。郊外! キャンプ! ウギャーな予感!!(←思いっきり偏見ですね♪)
そして、のっけから、だからいわんこっちゃない~ な、展開です。なんと、凶悪そうな男・デニス(シア・ウィグハム)と、その恋人・レイシーのふたり組の強盗に遭ってしまいます。
銃を突きつけられ、お金も奪われて、ヒヤヒヤしながら運転をつづけるポリー。なにも手が出せないセス。と、ここでアクシデントが! なにかを轢いちゃいました!! タイヤはパンク!
この “なにか” が最後までナゾなのですが、最悪なのは、こいつに襲われたあとの経過なんです。犠牲者たちは意識がある・ないにかかわらず、異様な物体に侵食されていきます。これが、ポスターにもあるようにトゲトゲしく、動きはカクカクしていて、容赦なく生きている人間を襲ってきます。つまり、(かなり暴力的に)身体を乗っとられてしまうんですねー。
運よくガソリンスタンドを見つけたと思ったのもつかの間、ここが “なにか” に最初に襲われた人間がいる場所でした… ということで、深夜の人通りのないスタンドに閉じこめられて、ムフフな恐怖がはじまっちゃうのです。
不気味なモンスターや殺戮場面がけっこう濃厚なんですが、「もうちょっと見たい!」 という気にさせて、動きがすばやくていくぶんわかりずらい。また、「エエー、そんな○○で○○するんですか?!」 という、かなり痛い場面も。(…でも、その後の描写が妙にぬるかったり、キャラが突然180度変わっちゃったりと、突っこみどころも満載なんですけど…)(笑)
スラッシャーに食傷気味だったわたしには、なかなか楽しめました。役者さんたちもそれぞれよかったです。だけど、人間には 「イマジネーション」 という最大の武器があるんですからね、もっとすごいモンスター、出てこーい!
エ? なになに? なんて、
犠牲者の見本のような
ふたりです。
深夜のスタンドに篭城…
窓ガラスに滴る血の
正体は?!
刺された指が、こんなに
なっちゃった!
うわあ、なんだよコレ、
なんだよ!!!
左から、セス(パウロ・コスタンゾ)、ポリー(ジル・ワグナー)、デニス(シア・ウィグ
ハム)。生物学者のセスは、なんとか “やつ” に気づかれずに脱出する方法は
ないかと探りますが…
(2008)アメリカ
出演…シア・ウィグハム、パウロ・コスタンゾ、
ジル・ワグナー、レイチェル・カーブス
監督…トビー・ウィルキンス
★★☆
〔ストーリー〕
休日にキャンプに訪れていたセスとポリーの若いカップルは、突然道端から飛びだしてきた女性・レイシーに驚いて車を止める。すると、拳銃を構えた男・デニスが。デニスとレイシーにいわれるままに、彼らを乗せてふたたび車を運転するふたり。辺りは暗闇が落ちて、助けてくれそうな人影も車もない。 …と、ふいになにかを轢いてしまった衝撃に、4人は慌てふためくが…
もう、痛々しいの~~、トゲトゲしいのっっ!! な、新作の登場で~す♪
監督のトビー・ウィルキンスという方は、監督業はもちろん、視覚効果としても活躍している人。ライミ・プロデュースのミニ・TVドラマシリーズ「Devil's Trade」(2007)以来、すっかりホラーにはまってしまったようで(?)、今回はこんなに元気のいいモンスターホラーを発表してくれました。ちなみに、今後は「The Grudge 3」(2009)が控えているようです… (よせばいいのに~ …なんていいません、ええ、いいません!!)
ロスのホラー映画祭 〈スクリーム・フェスト〉 で、最優秀作品賞、監督賞、特殊効果賞… などなどを受賞したというこの作品。期待通りのグロいモンスターが登場します。 …といいますか、これはモンスター?? まあ、なんだかよくわかんないから、モンスターにしておきましょう!
さて、お約束の若いカップル、セス(パウロ・コスタンゾ)とポリー(ジル・ワグナー)が、能天気にキャンプに出かけるところから物語はスタートします。郊外! キャンプ! ウギャーな予感!!(←思いっきり偏見ですね♪)
そして、のっけから、だからいわんこっちゃない~ な、展開です。なんと、凶悪そうな男・デニス(シア・ウィグハム)と、その恋人・レイシーのふたり組の強盗に遭ってしまいます。
銃を突きつけられ、お金も奪われて、ヒヤヒヤしながら運転をつづけるポリー。なにも手が出せないセス。と、ここでアクシデントが! なにかを轢いちゃいました!! タイヤはパンク!
この “なにか” が最後までナゾなのですが、最悪なのは、こいつに襲われたあとの経過なんです。犠牲者たちは意識がある・ないにかかわらず、異様な物体に侵食されていきます。これが、ポスターにもあるようにトゲトゲしく、動きはカクカクしていて、容赦なく生きている人間を襲ってきます。つまり、(かなり暴力的に)身体を乗っとられてしまうんですねー。
運よくガソリンスタンドを見つけたと思ったのもつかの間、ここが “なにか” に最初に襲われた人間がいる場所でした… ということで、深夜の人通りのないスタンドに閉じこめられて、ムフフな恐怖がはじまっちゃうのです。
不気味なモンスターや殺戮場面がけっこう濃厚なんですが、「もうちょっと見たい!」 という気にさせて、動きがすばやくていくぶんわかりずらい。また、「エエー、そんな○○で○○するんですか?!」 という、かなり痛い場面も。(…でも、その後の描写が妙にぬるかったり、キャラが突然180度変わっちゃったりと、突っこみどころも満載なんですけど…)(笑)
スラッシャーに食傷気味だったわたしには、なかなか楽しめました。役者さんたちもそれぞれよかったです。だけど、人間には 「イマジネーション」 という最大の武器があるんですからね、もっとすごいモンスター、出てこーい!
エ? なになに? なんて、
犠牲者の見本のような
ふたりです。
深夜のスタンドに篭城…
窓ガラスに滴る血の
正体は?!
刺された指が、こんなに
なっちゃった!
うわあ、なんだよコレ、
なんだよ!!!
左から、セス(パウロ・コスタンゾ)、ポリー(ジル・ワグナー)、デニス(シア・ウィグ
ハム)。生物学者のセスは、なんとか “やつ” に気づかれずに脱出する方法は
ないかと探りますが…
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Lat den ratte
komma in
(2008)スウェーデン
出演…カレ・ヘデブラント、リナ・リーンダーソン、
ペル・ラグナル、ヘンリク・ダール
監督…トーマス・アルフレッドソン
★★★☆
〔ストーリー〕
12才の少年オスカーは、両親が別居していて、郊外の団地に母親とふたり暮らし。そのためか、クラスメイトたちから毎日のようにからかわれていた。ナイフを持ち歩き、それでいじめっこたちを脅すことを夢想し、殺人事件の切り抜きを集めて心を慰めるオスカー。だが、ある夜、彼の隣の部屋に謎めいた父娘が引っ越してきたことから、おそろしい事件が周辺で起こるようになって…
トレイラーからかなり期待していたこの作品、いや~、待った甲斐がありました!!
原作は、同名のベストセラー小説だそうで、ジョン・アヴィデ・リンクイストというこの原作者、スウェーデンでは人気のホラー作家さんなんだそうです。うーん、ぜんぜん知りませんでした。
トーマス・アルフレッドソンという監督さんも、正直よくわからないのですが、本作品で大注目された方です。9/11テロからニューヨークの復興を目指して設立されたトライベッカ映画祭で、最優秀賞を受賞、ほかにも数々の賞に輝いているもよう。英語タイトルでは、「Let the Right On In」になっています。
吸血鬼映画というと、「30 Days of Night」(2007)の記憶も新しいですが、こちらは派手なことはいっさいなし、じっくり見せる神秘的なドラマ。12才の少年トーマスと、おなじく12才くらいに見える(?)少女エリの恋愛模様が軸となっています。
オスカー(カレ・ヘデブラント)は夢見がちで孤独な少年。母と団地でふたり暮らし、頭も悪くないのですが、いつも学校でいじめられてしまいます。そこでナイフを上着に忍ばせて、鏡にむかってすごんでみせたり、夜中に団地の前の木を傷つけてみたりと、怒りを放出しています。すると、背後から女の子の声が。ジャングルジムに座るエリ(リナ・リーンダーソン)の登場です。
吸血鬼というと、一般的なイメージは 「美男美女を求めて夜の街を颯爽と徘徊する…」、といったところなのでしょうが、こちらの吸血鬼はすこしちがいます。エリと父親にはつねに、“食糧問題” がつきまとっているのです。そのため、越してきてそれほど経たないうちから、父親は食糧集めに奔走します。
この手段がまた、犠牲者を木に吊るして喉を掻き切る、というたいへんな重労働なので、「どうして吸血鬼なら、サッとできないんだろう?」 と、疑問が生じます。ここで、エリと彼の関係そのものが疑問となります。これが、のちに氷解するようになるのですが、彼らは永遠の命を得ると同時に、たいへんな宿命を背負っているのだとわかるようになるのです。
郊外の雪景色がうつくしく幻想的で、登場する子供たちもどこかはかなげ、繊細で透明感のある雰囲気を漂わせています。主役のオスカーを演じるカレ・ヘデブラントはまるで女の子のようですし、ヴァンパイアを演じるリナ・リーンダーソンは、少女ながら、この世のものならぬ美を纏っています。いじめっこのコニー(パトリック・ライドマーク)でさえ、愛らしく、はかなげに見えてしまうほど。
オスカーとエリは徐々に心を通わせるようになり、ジャングルジムでデートしたり、壁を叩いてモールス信号でやりとりしたりと、幼いながらも恋心を募らせていきます。
ですが、小説のようにうまくいかない吸血鬼の暮らしは、すこしずつ破綻を迎えて…
アメリカではさっそくリメイクが決定したそうですが、他国のリメイクとなると、大切な雰囲気も味わいも霧散させてしまうのが米国製… 今回もそうならないことを祈ります。(…といいますか、たぶん観ないだろうな~!)
12才の真っすぐな恋愛は、残酷でうつくしい。でも、それが永遠でないとわかっているから、余計に 「特別なもの」 として感じてしまうんですけどね。
オスカー演じるカレ・ヘデブライト。
傷つきやすく、うつろいやすい
表情が魅力的です。
母親とふたり暮らしのため、
オスカーの異変にもなかなか
気づきません。
エリの父親を名乗る
ナゾの男(ペル・ラグナー)。
こんなドッキリ!!
しちゃうシーンもあります♪
エリ(リナ・リーンダーソン)
の身になにが…?!
komma in
(2008)スウェーデン
出演…カレ・ヘデブラント、リナ・リーンダーソン、
ペル・ラグナル、ヘンリク・ダール
監督…トーマス・アルフレッドソン
★★★☆
〔ストーリー〕
12才の少年オスカーは、両親が別居していて、郊外の団地に母親とふたり暮らし。そのためか、クラスメイトたちから毎日のようにからかわれていた。ナイフを持ち歩き、それでいじめっこたちを脅すことを夢想し、殺人事件の切り抜きを集めて心を慰めるオスカー。だが、ある夜、彼の隣の部屋に謎めいた父娘が引っ越してきたことから、おそろしい事件が周辺で起こるようになって…
トレイラーからかなり期待していたこの作品、いや~、待った甲斐がありました!!
原作は、同名のベストセラー小説だそうで、ジョン・アヴィデ・リンクイストというこの原作者、スウェーデンでは人気のホラー作家さんなんだそうです。うーん、ぜんぜん知りませんでした。
トーマス・アルフレッドソンという監督さんも、正直よくわからないのですが、本作品で大注目された方です。9/11テロからニューヨークの復興を目指して設立されたトライベッカ映画祭で、最優秀賞を受賞、ほかにも数々の賞に輝いているもよう。英語タイトルでは、「Let the Right On In」になっています。
吸血鬼映画というと、「30 Days of Night」(2007)の記憶も新しいですが、こちらは派手なことはいっさいなし、じっくり見せる神秘的なドラマ。12才の少年トーマスと、おなじく12才くらいに見える(?)少女エリの恋愛模様が軸となっています。
オスカー(カレ・ヘデブラント)は夢見がちで孤独な少年。母と団地でふたり暮らし、頭も悪くないのですが、いつも学校でいじめられてしまいます。そこでナイフを上着に忍ばせて、鏡にむかってすごんでみせたり、夜中に団地の前の木を傷つけてみたりと、怒りを放出しています。すると、背後から女の子の声が。ジャングルジムに座るエリ(リナ・リーンダーソン)の登場です。
吸血鬼というと、一般的なイメージは 「美男美女を求めて夜の街を颯爽と徘徊する…」、といったところなのでしょうが、こちらの吸血鬼はすこしちがいます。エリと父親にはつねに、“食糧問題” がつきまとっているのです。そのため、越してきてそれほど経たないうちから、父親は食糧集めに奔走します。
この手段がまた、犠牲者を木に吊るして喉を掻き切る、というたいへんな重労働なので、「どうして吸血鬼なら、サッとできないんだろう?」 と、疑問が生じます。ここで、エリと彼の関係そのものが疑問となります。これが、のちに氷解するようになるのですが、彼らは永遠の命を得ると同時に、たいへんな宿命を背負っているのだとわかるようになるのです。
郊外の雪景色がうつくしく幻想的で、登場する子供たちもどこかはかなげ、繊細で透明感のある雰囲気を漂わせています。主役のオスカーを演じるカレ・ヘデブラントはまるで女の子のようですし、ヴァンパイアを演じるリナ・リーンダーソンは、少女ながら、この世のものならぬ美を纏っています。いじめっこのコニー(パトリック・ライドマーク)でさえ、愛らしく、はかなげに見えてしまうほど。
オスカーとエリは徐々に心を通わせるようになり、ジャングルジムでデートしたり、壁を叩いてモールス信号でやりとりしたりと、幼いながらも恋心を募らせていきます。
ですが、小説のようにうまくいかない吸血鬼の暮らしは、すこしずつ破綻を迎えて…
アメリカではさっそくリメイクが決定したそうですが、他国のリメイクとなると、大切な雰囲気も味わいも霧散させてしまうのが米国製… 今回もそうならないことを祈ります。(…といいますか、たぶん観ないだろうな~!)
12才の真っすぐな恋愛は、残酷でうつくしい。でも、それが永遠でないとわかっているから、余計に 「特別なもの」 として感じてしまうんですけどね。
オスカー演じるカレ・ヘデブライト。
傷つきやすく、うつろいやすい
表情が魅力的です。
母親とふたり暮らしのため、
オスカーの異変にもなかなか
気づきません。
エリの父親を名乗る
ナゾの男(ペル・ラグナー)。
こんなドッキリ!!
しちゃうシーンもあります♪
エリ(リナ・リーンダーソン)
の身になにが…?!
Dead Space:
Downfall
(2008)アメリカ
監督…チャック・パットン
脚本…ジャスティン・グレイ、ジミー・パルミオッリ
★★☆
〔ストーリー〕
地球の資源が枯渇し、宇宙開拓へと人類が乗りだした500年後の遥かな未来。〈USGイシムラ〉という日本企業の鉱石採掘船は、“惑星割り”と呼ばれる星の土地の一部を引き上げる大掛かりな作業と同時に、不思議な古代建造物を発見する。だが、永い宇宙の旅のためか、殺人や自殺を図る乗組員が続出。しかし、彼らをおそう恐怖はそれだけではなかった…!!
この作品、日本では発売禁止となったEA社のSFサバイバル・ゲーム、「Dead Space」のアニメーション版なんだそうです。わかりやすいマーケティングの一部なんですが、これがなかなか、わかりやすいSFホラーをしていておもしろかったです。
ファンの方もたぶん、チェックされている人が多いのでは。
ゲームのことはよくわからないのですが、近年のゲームの進化には凄まじいものがありますよね。グラフィックだし、ストーリーも細部までかなり凝っているし、なにより、臨場感は映画とひけをとらないかもしれません。この作品も、いわゆる欧米ゲーム社が得意とする「バイオハザード」系なのですが、解説を読んでみると、日本のホラー映画の影響を強く受けたんだとか。そのため、雰囲気がすぐれている様子です。あちこちで映像が出まわっているので、興味のある方はこちらなどをご覧になってみてください。
物語も、これといってめずらしいことは見られません。孤立した宇宙船内で 「未知の恐怖」 がはびこって、ウギャー!! なお約束展開です。ここではさまざまなエイリアンが乗組員たちに襲いかかってくるのですが、これが数種類いまして、純粋なエイリアン(…鳥みたいにバタバタ浮遊して、エイみたいな形のもの)から、ゾンビ型、エイリアンに改造されちゃった型、突然変異型(スペース・ミュータント?)など、さまざま。アニメーションだからといって、あなどるなかれ。これがけっこう、スプラッタしています。残酷です。そして、スリリングに見せるツボも心得ています。
欧米のアニメーションというと、洗練されたキャラクター、シュールな世界観が特徴ですが、これが日本人にはいまいち馴染みにくかったり、感情移入しにくかったりします。その点、このアニメ映画自体も日本のアニメーションよりの映像なので、ふつうに見やすいです。
エイリアンたちがなぜ人間を襲うのか? 古代遺跡の正体はなんなのか? …などなど、ナゾが多い終わり方をするのですが、(ゲームのほうでおいおい明かされていくようです)、これ、実写版になったら、きっと文句なしにおもしろいんだろうなあ。
冒頭、「自分の血は汚れてしまった」と、
突然自殺を図る女性!
なんか知らないけど、牙が!!
なんか知らないけど、いっぱい
襲ってきた~!!
ヒィ~ なんて、怯えてる場合
じゃありません!
あっ、あそこにも!!
もちろん、お約束のクルー同士の
醜い争いもありますよ♪
Downfall
(2008)アメリカ
監督…チャック・パットン
脚本…ジャスティン・グレイ、ジミー・パルミオッリ
★★☆
〔ストーリー〕
地球の資源が枯渇し、宇宙開拓へと人類が乗りだした500年後の遥かな未来。〈USGイシムラ〉という日本企業の鉱石採掘船は、“惑星割り”と呼ばれる星の土地の一部を引き上げる大掛かりな作業と同時に、不思議な古代建造物を発見する。だが、永い宇宙の旅のためか、殺人や自殺を図る乗組員が続出。しかし、彼らをおそう恐怖はそれだけではなかった…!!
この作品、日本では発売禁止となったEA社のSFサバイバル・ゲーム、「Dead Space」のアニメーション版なんだそうです。わかりやすいマーケティングの一部なんですが、これがなかなか、わかりやすいSFホラーをしていておもしろかったです。
ファンの方もたぶん、チェックされている人が多いのでは。
ゲームのことはよくわからないのですが、近年のゲームの進化には凄まじいものがありますよね。グラフィックだし、ストーリーも細部までかなり凝っているし、なにより、臨場感は映画とひけをとらないかもしれません。この作品も、いわゆる欧米ゲーム社が得意とする「バイオハザード」系なのですが、解説を読んでみると、日本のホラー映画の影響を強く受けたんだとか。そのため、雰囲気がすぐれている様子です。あちこちで映像が出まわっているので、興味のある方はこちらなどをご覧になってみてください。
物語も、これといってめずらしいことは見られません。孤立した宇宙船内で 「未知の恐怖」 がはびこって、ウギャー!! なお約束展開です。ここではさまざまなエイリアンが乗組員たちに襲いかかってくるのですが、これが数種類いまして、純粋なエイリアン(…鳥みたいにバタバタ浮遊して、エイみたいな形のもの)から、ゾンビ型、エイリアンに改造されちゃった型、突然変異型(スペース・ミュータント?)など、さまざま。アニメーションだからといって、あなどるなかれ。これがけっこう、スプラッタしています。残酷です。そして、スリリングに見せるツボも心得ています。
欧米のアニメーションというと、洗練されたキャラクター、シュールな世界観が特徴ですが、これが日本人にはいまいち馴染みにくかったり、感情移入しにくかったりします。その点、このアニメ映画自体も日本のアニメーションよりの映像なので、ふつうに見やすいです。
エイリアンたちがなぜ人間を襲うのか? 古代遺跡の正体はなんなのか? …などなど、ナゾが多い終わり方をするのですが、(ゲームのほうでおいおい明かされていくようです)、これ、実写版になったら、きっと文句なしにおもしろいんだろうなあ。
冒頭、「自分の血は汚れてしまった」と、
突然自殺を図る女性!
なんか知らないけど、牙が!!
なんか知らないけど、いっぱい
襲ってきた~!!
ヒィ~ なんて、怯えてる場合
じゃありません!
あっ、あそこにも!!
もちろん、お約束のクルー同士の
醜い争いもありますよ♪
『スワン・ソング』
原題 『Swan Song』
(1987)
ロバート・R・マキャモン:著
加藤洋子:訳
福武文庫/上・下巻
〔ストーリー〕
ときは1980年代後半、第三次世界大戦が勃発。植物と心を通わせることができる不思議な力を持つ少女、スー・ワンダと元レスラーのジョシュは、ガソリンスタンドの地下室に閉じこもっていたために奇跡的に命を救われる。そして、べつの場所では、バックレイディの 「シスター」 が生き残った人々を導いていた。
荒廃した世界、放射能障害、“核の冬” という極寒のなかで、なんとか生き延びようとする人たち。はたして世界は再生することができるのだろうか? そして、スワンたちに課せられた使命とは…??
今回はマキャモンの 『スワン・ソング』 をご紹介します。
この作品、なんと現在絶版になっているそうです。「信じられなーい!」 とお嘆きのアナタ、もちろん読了していますよね。ほんと、こんなにクオリティの高い超娯楽大作が絶版だなんて、最近の出版業界はどうなっているんでしょう!
…話が少し逸れてしまいましたが、最初にネタばらししてしまいますと、これはキングの終末超々大作 『スタンド』 のオマージュです。…といいますか、真似っこです。…といいますか、マキャモンは全作家人生を通して、「キング大好き♪♪♪超~キング憧れる!」 という方なのです。だから、いくらプロットが見たことあろうと、キャラが似通っていようと、そんなことは問題にならないのです。だって、おもしろいですから! ついでにいってしまいますと、『スタンド』 よりも読みやすいですから!! エンタに徹していますから!!!
ストーリーは核戦争後の凄惨きわまる世界で、3つのグループにわかれて展開していきます。少女スワンと彼女の守護神のようなジョシュ、元バックレイディの 「シス
ター」、そして、ベトナム帰還兵のマクリン大佐とゲームおたく少年のローランド。
ここに、「真紅の眼を持つ邪悪な男」 が登場することによって、物語はさらに複雑に入り組んでいきます。
前半は、焦土と化した世界で必死に生き延びようとする人々の悲惨さや醜さなどがこれでもかと描写されますが、マキャモンの根底にあるのは、いつも 「善」や「希望」。そのため、キングが徹底的に人の裏側を描こうとするなら、彼の場合は温かみがある、といった感じです。(…また、クーンツのような職業作家的な 「善」 ではないため、なぜか素直に共感できてしまうのです)。
不思議な力を持つ少女・スワンが世界再生の鍵を握るわけですが、彼女にはさまざまな困難が立ちはだかります。そして、マクリン大佐とローランド少年は、狂った方向に突っ走ってしまいます。そして、核戦争を引き起こした張本人(!)も登場します。そしてそして、なぜかスワンをおそれる 「紅い眼の男」 の正体は…??
物語の展開がスピーディーで、随所に楽しいエピソードがあり、ページをめくる手を止めさせません。(…キングの 『スタンド』 が壮大な一大叙事詩なら、こちらはより軽い娯楽小説といったところ)。キャラクターもベタなものが多いのですが、はっきりいって、こういうのは大好きです。とくに、なにがあってもスワンを守ろうとするジョシュがステキ!! ついでに、スワンに恋してしまう不良少年といった、これまたベタな展開も大好きです~♪
マキャモンはまた、キャラクターを大事にする人らしく、退場させるにしても涙なくして読ませない技を心得ています。(ベタ~な展開には馴れているわたしですが、さすがに○○の退場シーンは… 涙ぐんでしまいました!)結末も当然のことながら、非常に非常に、感動的です。
この作品でマキャモンの認知度があがったことはいうまでもないのですが、超能力少年の成長を描いた『ミステリー・ウォーク』 も超オススメ! こちらは、インディアンの血を引く少年ビリーが主人公で、なんと死者を見る能力を持っており、南部のうつくしい風景が印象的。父子の葛藤あり、善と悪の戦いありで、すばらしい青春ホラーだと思います。タイトルの意味は、おなじ能力を持つ母親の言葉、「神秘の道を歩きなさい」 からきています。
原題 『Swan Song』
(1987)
ロバート・R・マキャモン:著
加藤洋子:訳
福武文庫/上・下巻
〔ストーリー〕
ときは1980年代後半、第三次世界大戦が勃発。植物と心を通わせることができる不思議な力を持つ少女、スー・ワンダと元レスラーのジョシュは、ガソリンスタンドの地下室に閉じこもっていたために奇跡的に命を救われる。そして、べつの場所では、バックレイディの 「シスター」 が生き残った人々を導いていた。
荒廃した世界、放射能障害、“核の冬” という極寒のなかで、なんとか生き延びようとする人たち。はたして世界は再生することができるのだろうか? そして、スワンたちに課せられた使命とは…??
今回はマキャモンの 『スワン・ソング』 をご紹介します。
この作品、なんと現在絶版になっているそうです。「信じられなーい!」 とお嘆きのアナタ、もちろん読了していますよね。ほんと、こんなにクオリティの高い超娯楽大作が絶版だなんて、最近の出版業界はどうなっているんでしょう!
…話が少し逸れてしまいましたが、最初にネタばらししてしまいますと、これはキングの終末超々大作 『スタンド』 のオマージュです。…といいますか、真似っこです。…といいますか、マキャモンは全作家人生を通して、「キング大好き♪♪♪超~キング憧れる!」 という方なのです。だから、いくらプロットが見たことあろうと、キャラが似通っていようと、そんなことは問題にならないのです。だって、おもしろいですから! ついでにいってしまいますと、『スタンド』 よりも読みやすいですから!! エンタに徹していますから!!!
ストーリーは核戦争後の凄惨きわまる世界で、3つのグループにわかれて展開していきます。少女スワンと彼女の守護神のようなジョシュ、元バックレイディの 「シス
ター」、そして、ベトナム帰還兵のマクリン大佐とゲームおたく少年のローランド。
ここに、「真紅の眼を持つ邪悪な男」 が登場することによって、物語はさらに複雑に入り組んでいきます。
前半は、焦土と化した世界で必死に生き延びようとする人々の悲惨さや醜さなどがこれでもかと描写されますが、マキャモンの根底にあるのは、いつも 「善」や「希望」。そのため、キングが徹底的に人の裏側を描こうとするなら、彼の場合は温かみがある、といった感じです。(…また、クーンツのような職業作家的な 「善」 ではないため、なぜか素直に共感できてしまうのです)。
不思議な力を持つ少女・スワンが世界再生の鍵を握るわけですが、彼女にはさまざまな困難が立ちはだかります。そして、マクリン大佐とローランド少年は、狂った方向に突っ走ってしまいます。そして、核戦争を引き起こした張本人(!)も登場します。そしてそして、なぜかスワンをおそれる 「紅い眼の男」 の正体は…??
物語の展開がスピーディーで、随所に楽しいエピソードがあり、ページをめくる手を止めさせません。(…キングの 『スタンド』 が壮大な一大叙事詩なら、こちらはより軽い娯楽小説といったところ)。キャラクターもベタなものが多いのですが、はっきりいって、こういうのは大好きです。とくに、なにがあってもスワンを守ろうとするジョシュがステキ!! ついでに、スワンに恋してしまう不良少年といった、これまたベタな展開も大好きです~♪
マキャモンはまた、キャラクターを大事にする人らしく、退場させるにしても涙なくして読ませない技を心得ています。(ベタ~な展開には馴れているわたしですが、さすがに○○の退場シーンは… 涙ぐんでしまいました!)結末も当然のことながら、非常に非常に、感動的です。
この作品でマキャモンの認知度があがったことはいうまでもないのですが、超能力少年の成長を描いた『ミステリー・ウォーク』 も超オススメ! こちらは、インディアンの血を引く少年ビリーが主人公で、なんと死者を見る能力を持っており、南部のうつくしい風景が印象的。父子の葛藤あり、善と悪の戦いありで、すばらしい青春ホラーだと思います。タイトルの意味は、おなじ能力を持つ母親の言葉、「神秘の道を歩きなさい」 からきています。
Blindness
(2008)カナダ/ブラジル/日本
出演…ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、
ガエル・ガルシア・ベルナル、アリス・
ブラガ、伊勢谷友介、木村佳乃
監督…フェルナンド・メイレレス
★★★
〔ストーリー〕
とある都市で、ひとりの日本人青年が運転中に突然目が見えなくなってしまう。それは視界が白くぼやけるもので、これまでにない目の病の症状だった。やがて、おなじ症状を抱えた人々が続々と出現するようになる。彼らの診察にあたっていた眼科医は、翌日目覚めると、まったくおなじ状態に。なにかの伝染病ではないかと考えた彼は、妻を寄せつけまいと慌てふためくが、妻はなんとか彼をなだめて病院に連れていくが…
…まるでジョン・ウィンダムの 『トリフィド時代』 のようなオープニングですが、これはホラーではありません。ましてや、世紀末サバイバルでも、特異な状況に置かれた人間ドラマでもありません。原作は、ポルトガル人ノーベル文学賞作家・ジョゼ・サラマーゴの 『白い闇』 という作品で、(残念ながら未読なのですが)、共産主義者で無神論者という彼らしい、非常に寓話的な物語となっています。
監督のフェルナンド・メイレレスは、「シティ・オブ・ゴッド」(2002)、「ナイロビの蜂」(2005)で一気にアカデミー賞常連となってしまった実力派監督。(「ナイロビの蜂」のヒロインのレイチェル・ワイズは、ほんとに魅力的でしたよねー♪)、その彼が、この作品をどうしても映像化してみたかったんだとか。
ストーリーは、伊勢谷友介さん演じる日本人青年が、突然盲目になってしまうところからはじまります。彼はその後なぜか家に帰ってしまって(…アレ? 病院に行かないの?)、妻の木村佳乃さんに付き添ってもらい、ようやく眼科医にかかることに。舞台も架空の都市なら、登場人物たちも名前を持たないという、どこか現実味のない設定です。(…これは、共産主義の人らしい考えで、職業で相手を判断するという民主主義の傾向を批判しているんだそうです)。
やがて、“白い闇” の盲目現象は爆発的に拡大、マーク・ラファロ演じる眼科医もおなじ病にかかってしまいます。事態をおそれた政府は、彼らを廃病院に強制的に隔離。そしてそこには、なぜか感染しないひとりの女性・眼科医の妻(ジュリアン・ムーア)が…
こうして盲目の人たちの集団生活がはじまるのですが、当然ちゃんとした設備も物資もないわけですから、すさんでいきいます。眼科医の妻はそんななかでも献身的に彼らを支え、まるで天使のような存在で、希望の光の象徴。
盲目状態をいかに表現するかということで、白っぽくぼやけた映像が何度も出てきます。また、音も特徴的で、シーンとは関係のないところでべつの物音が突然割りこんでくる、といった具合。ゴミや排泄物だらけの病棟が痛ましいほどで、ここに “第三病棟の王” (!)を名乗る青年(ガエル・ガルシア・ベルナル)が登場することによって、いきつくところまでいってしまうという、悲惨なことに…!!
…ですが、さきにも述べましたように、現実味が薄く、まるでお伽話のような感覚なので、ひどいシーンも通り過ぎてしまえば、まるでなかったことのように(?)ストーリーが進んでいきます。人間の愚かさを描くという趣旨はほとんどなく、ただ、「人は盲目なったとき、どんな行動をとるか?」 という純粋な疑問と、それにたいする答えのようなものでしょうか。
思えば、“見えている” 状態は一種の 「信頼している世界」 を持っていることですが、その信頼(=信仰)を失ったとき、はたして人は再生できるのか…? いえ、もしかしたら、その信頼・信仰は、「ニセモノ」 かもしれない…! というメッセージが自ずと浮かびあがってきます。また、女性たちが男性にくらべて過酷な状況に順応しやすい、というのも原作者の皮肉なのかもしれません。
木村佳乃さんと伊勢谷友介さんが思っていた以上に活躍されていて、日本人としてはうれしいかぎりです。
閉じこめられてしまった眼科
医(マーク・ラファロ)と、その
妻(ジュリアン・ムーア)…!
不思議な魅力の黒い眼帯の
黒人男性
(ダニー・グローヴァー)。
娼婦役のアリス・ブラガ。
“第三病棟の王”、ガエル・
ガルシア・ベルナル!
健全者の妻を先頭に、
街中へ出てみるのですが…
(2008)カナダ/ブラジル/日本
出演…ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、
ガエル・ガルシア・ベルナル、アリス・
ブラガ、伊勢谷友介、木村佳乃
監督…フェルナンド・メイレレス
★★★
〔ストーリー〕
とある都市で、ひとりの日本人青年が運転中に突然目が見えなくなってしまう。それは視界が白くぼやけるもので、これまでにない目の病の症状だった。やがて、おなじ症状を抱えた人々が続々と出現するようになる。彼らの診察にあたっていた眼科医は、翌日目覚めると、まったくおなじ状態に。なにかの伝染病ではないかと考えた彼は、妻を寄せつけまいと慌てふためくが、妻はなんとか彼をなだめて病院に連れていくが…
…まるでジョン・ウィンダムの 『トリフィド時代』 のようなオープニングですが、これはホラーではありません。ましてや、世紀末サバイバルでも、特異な状況に置かれた人間ドラマでもありません。原作は、ポルトガル人ノーベル文学賞作家・ジョゼ・サラマーゴの 『白い闇』 という作品で、(残念ながら未読なのですが)、共産主義者で無神論者という彼らしい、非常に寓話的な物語となっています。
監督のフェルナンド・メイレレスは、「シティ・オブ・ゴッド」(2002)、「ナイロビの蜂」(2005)で一気にアカデミー賞常連となってしまった実力派監督。(「ナイロビの蜂」のヒロインのレイチェル・ワイズは、ほんとに魅力的でしたよねー♪)、その彼が、この作品をどうしても映像化してみたかったんだとか。
ストーリーは、伊勢谷友介さん演じる日本人青年が、突然盲目になってしまうところからはじまります。彼はその後なぜか家に帰ってしまって(…アレ? 病院に行かないの?)、妻の木村佳乃さんに付き添ってもらい、ようやく眼科医にかかることに。舞台も架空の都市なら、登場人物たちも名前を持たないという、どこか現実味のない設定です。(…これは、共産主義の人らしい考えで、職業で相手を判断するという民主主義の傾向を批判しているんだそうです)。
やがて、“白い闇” の盲目現象は爆発的に拡大、マーク・ラファロ演じる眼科医もおなじ病にかかってしまいます。事態をおそれた政府は、彼らを廃病院に強制的に隔離。そしてそこには、なぜか感染しないひとりの女性・眼科医の妻(ジュリアン・ムーア)が…
こうして盲目の人たちの集団生活がはじまるのですが、当然ちゃんとした設備も物資もないわけですから、すさんでいきいます。眼科医の妻はそんななかでも献身的に彼らを支え、まるで天使のような存在で、希望の光の象徴。
盲目状態をいかに表現するかということで、白っぽくぼやけた映像が何度も出てきます。また、音も特徴的で、シーンとは関係のないところでべつの物音が突然割りこんでくる、といった具合。ゴミや排泄物だらけの病棟が痛ましいほどで、ここに “第三病棟の王” (!)を名乗る青年(ガエル・ガルシア・ベルナル)が登場することによって、いきつくところまでいってしまうという、悲惨なことに…!!
…ですが、さきにも述べましたように、現実味が薄く、まるでお伽話のような感覚なので、ひどいシーンも通り過ぎてしまえば、まるでなかったことのように(?)ストーリーが進んでいきます。人間の愚かさを描くという趣旨はほとんどなく、ただ、「人は盲目なったとき、どんな行動をとるか?」 という純粋な疑問と、それにたいする答えのようなものでしょうか。
思えば、“見えている” 状態は一種の 「信頼している世界」 を持っていることですが、その信頼(=信仰)を失ったとき、はたして人は再生できるのか…? いえ、もしかしたら、その信頼・信仰は、「ニセモノ」 かもしれない…! というメッセージが自ずと浮かびあがってきます。また、女性たちが男性にくらべて過酷な状況に順応しやすい、というのも原作者の皮肉なのかもしれません。
木村佳乃さんと伊勢谷友介さんが思っていた以上に活躍されていて、日本人としてはうれしいかぎりです。
閉じこめられてしまった眼科
医(マーク・ラファロ)と、その
妻(ジュリアン・ムーア)…!
不思議な魅力の黒い眼帯の
黒人男性
(ダニー・グローヴァー)。
娼婦役のアリス・ブラガ。
“第三病棟の王”、ガエル・
ガルシア・ベルナル!
健全者の妻を先頭に、
街中へ出てみるのですが…
They Live
(1988)アメリカ
出演…ロディ・パイパー、キース・デイヴィット、
メグ・フォスター、ジョージ・バック・
フラワー
監督…ジョン・カーペンター
★★★
〔ストーリー〕
失業中で宿なしのネイダ。ロスに流れてきた彼はようやく工事現場の職にありつき、同僚のフランクとも親しくなり、フランクの紹介でボランティアを施す教会のテントで寝起きするようになる。その地区では毎晩のようにTVジャックが流れ、「やつらは我々を洗脳している。ここはやつらが作ったニセモノの社会にすぎない!」という、謎のメッセージが。ある日、ふとした好奇心から、ネイダは昼間の教会を覗いてみる。すると、賛美歌のコーラスはテープのもので、集まった人々はべつの目的でそこにいた…!
カーペンター監督の「ゼイリブ」、別名 “狂乱のスコッチ” こと、ロディ・パイパーのプロレス映画~(!!)の登場です。
カーペンター監督は、ホラー・ファンでなくても安心して観ることのできる作品を次々発表してきたレベルの高い方ですが、この作品は、そんななかでも風変わりな作品です。風刺の効いた内容に、この作品をカーペンターの第二の作品(…第一はもちろん、「The Thing」(「遊星からの物体X」1982)ですよね~)に挙げる人が多いようです。
ストーリーは異星人の侵略ものなんですが、本作では、すでに侵略されちゃっています。そして、人類はいいように利用されて搾取されているというのに、大部分の人がそれに気づかない。
重要アイテム 「魔法のサングラス」 は、ドラえもんの四次元ポケットから出てきそうですが、また、それをかけると 「真実の世界」 が見えるようになるという、これまた単純なアイデアですが、愛と自由のために戦うゴリ押しのエイリアン映画なんかより、はるかにおもしろいのです。
この作品のエイリアンたちを資本主義か、市民を操る政府か、外国からの経済勢力かと捉えるのは、観た人それぞれの自由です。(たぶん、監督自身もそれほど政治的な意味はこめていないと思います)。ですが、じつは社会のエリート階級をエイリアンが占めていて、社会は彼らのサブリミナル・メッセージでいっぱい(!)なんて、ちょっと現実にありそうでコワいお話です。「気づかないうちに洗脳されている」という恐怖は、80年代もいまもあまり変わっていないですよね。
ノルマを果たしたエイリアンたちがスーツケースをぶら下げて、宇宙に飛び立っていくというビジネスライクな姿も新鮮なら、彼らに対抗するネイダとフランクが、薄汚れた社会の低層部の人間という対比もおもしろいです。
ネイダを演じるロディ・パイパーは、元レスラーながらいい演技をしています。そのネイダとフランク(キース・デイヴィット)の、サングラスをかけろ、かけないでの延々10分間(!)もの乱闘シーンは、映画史上にも残るちょっとした破綻っぷり。でも、じっさい洗脳を解くのって、そうは容易なことじゃありませんもんねー。
小粒ながら、冴えたストーリーテリングと演出が光る佳作です。ホラー・ファンなら、絶対押さえておきたいところ。
…エ? エエ? なにコレ!!
ネイダが覗いた世界は…
…こういうこと!
「テレビ観ろ!」「服従しろ!」
「寝ろ…?」
紙幣に書かれた文字は、
「これはお前の神だ!」
ホリー役のメグ・フォスター。
いつ見ても、ミステリアスな
女優さんですねえ…
噂の格闘シーン!
終わったと思ったら、また
はじまっちゃいます。
(1988)アメリカ
出演…ロディ・パイパー、キース・デイヴィット、
メグ・フォスター、ジョージ・バック・
フラワー
監督…ジョン・カーペンター
★★★
〔ストーリー〕
失業中で宿なしのネイダ。ロスに流れてきた彼はようやく工事現場の職にありつき、同僚のフランクとも親しくなり、フランクの紹介でボランティアを施す教会のテントで寝起きするようになる。その地区では毎晩のようにTVジャックが流れ、「やつらは我々を洗脳している。ここはやつらが作ったニセモノの社会にすぎない!」という、謎のメッセージが。ある日、ふとした好奇心から、ネイダは昼間の教会を覗いてみる。すると、賛美歌のコーラスはテープのもので、集まった人々はべつの目的でそこにいた…!
カーペンター監督の「ゼイリブ」、別名 “狂乱のスコッチ” こと、ロディ・パイパーのプロレス映画~(!!)の登場です。
カーペンター監督は、ホラー・ファンでなくても安心して観ることのできる作品を次々発表してきたレベルの高い方ですが、この作品は、そんななかでも風変わりな作品です。風刺の効いた内容に、この作品をカーペンターの第二の作品(…第一はもちろん、「The Thing」(「遊星からの物体X」1982)ですよね~)に挙げる人が多いようです。
ストーリーは異星人の侵略ものなんですが、本作では、すでに侵略されちゃっています。そして、人類はいいように利用されて搾取されているというのに、大部分の人がそれに気づかない。
重要アイテム 「魔法のサングラス」 は、ドラえもんの四次元ポケットから出てきそうですが、また、それをかけると 「真実の世界」 が見えるようになるという、これまた単純なアイデアですが、愛と自由のために戦うゴリ押しのエイリアン映画なんかより、はるかにおもしろいのです。
この作品のエイリアンたちを資本主義か、市民を操る政府か、外国からの経済勢力かと捉えるのは、観た人それぞれの自由です。(たぶん、監督自身もそれほど政治的な意味はこめていないと思います)。ですが、じつは社会のエリート階級をエイリアンが占めていて、社会は彼らのサブリミナル・メッセージでいっぱい(!)なんて、ちょっと現実にありそうでコワいお話です。「気づかないうちに洗脳されている」という恐怖は、80年代もいまもあまり変わっていないですよね。
ノルマを果たしたエイリアンたちがスーツケースをぶら下げて、宇宙に飛び立っていくというビジネスライクな姿も新鮮なら、彼らに対抗するネイダとフランクが、薄汚れた社会の低層部の人間という対比もおもしろいです。
ネイダを演じるロディ・パイパーは、元レスラーながらいい演技をしています。そのネイダとフランク(キース・デイヴィット)の、サングラスをかけろ、かけないでの延々10分間(!)もの乱闘シーンは、映画史上にも残るちょっとした破綻っぷり。でも、じっさい洗脳を解くのって、そうは容易なことじゃありませんもんねー。
小粒ながら、冴えたストーリーテリングと演出が光る佳作です。ホラー・ファンなら、絶対押さえておきたいところ。
…エ? エエ? なにコレ!!
ネイダが覗いた世界は…
…こういうこと!
「テレビ観ろ!」「服従しろ!」
「寝ろ…?」
紙幣に書かれた文字は、
「これはお前の神だ!」
ホリー役のメグ・フォスター。
いつ見ても、ミステリアスな
女優さんですねえ…
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HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:
独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
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