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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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     Surveillance


    (2008)アメリカ/ドイツ
    出演…ジュリア・オーモンド、ビル・プルマン、
         ぺール・ジェームズ、ライアン・シンプ
         キンス、ケント・ハーパー
    監督…ジェニファー・チェンバーズ・リンチ
    ★★★☆


〔ストーリー〕
 残酷な連続殺人事件が多発する田舎町に、FBI捜査官のエリザベスとサムがやってくる。ふたりの目的は、この一連の事件の最新の生存者で重要な目撃者と思われる、少女のステファニー、麻薬常習者で放蕩娘のボビー、右手に負傷した警官のジャックらの証言。彼らをひとりずつ部屋に入れて個別に尋問し、その様子をビデオカメラにおさめながら、事件の核心に迫ろうとする。やがて、事件の異様な全貌が明らかになってくるにつれて…


 デヴィット・リンチ監督の娘さんの、ジェニファー・チェンバーズ・リンチ監督の最新作です。

 ジェニファー・チェンバーズ・リンチというと、「Boxing Helena」「ボクシング・ヘレナ」1993)。あいにく未見なのですが、マドンナが出演を断ったり、キム・ベイシンガーが途中降板して多額の訴訟問題になったりと、なにかと話題になった作品のようです。内容はというと… うーん? 父親譲りの不条理感と倒錯愛は感じられるようですが、ラジー賞でワースト監督賞(!)を受賞しちゃったりと、これまた本人の意向とはちがうところで注目されてしまったようですね。
 そんな彼女の、映画化作品では15年ぶりとなる新作がこちら。さて、名誉挽回となりますでしょうか?
 
 オープニングは、とあるモーテルでカップルが謎の覆面犯に襲撃されるところからはじまります。犯人の容赦ない攻撃、血みどろのカット、悲鳴をあげつづける女性… と、かな~り不気味で理不尽でショッキングで、これはいい雰囲気です。テンションも上がります。いやがうえでも期待してしまいます!

 そして場面は変わって、男女のFBI捜査官の登場。エリザベス役にはイギリス人女優のジュリア・オーモンド、相棒のサムには「Lost Highway」「ロスト・ハイウェイ」1997)にも出演していました、ビル・プルマン。ふたりともどちらかというと、地味で(ごめんなさい~)おとなしげな、よくいえばどんな役にも違和感なく溶けこめてしまうタイプの俳優さんなのですが、この作品に出演したことは、彼らにとっても明らかにプラスになった様子。

 (!! …ここで正直に書いてしまいますけど、察しのいい人にはわかってしまう結末の映画なんです。ご丁寧にささやかなヒントなどもあります)。ですが、それでもラストまで惹きつけられてしまう、ちょっと複雑な構成が見事ですばらしいんです。

 集められた目撃者は、いたいけな少女のステファニー(ライアン・シンプキンス)、しこたまヘロインでラリっていたボビー(ぺール・ジェームズ)、負傷した警官のジャック(ケント・ハーパー)の3人。彼らがひとりずつ証言し、その回想が挿入されて物語が進むという構成です。そして、3人の証言がパズルのピースが埋まるように構築されていくにつれて、事件の内容も明らかになっていきます…

 ストーリーとしては非常にシンプルで、深読みする箇所もないのですが、「事件の内容を知りたい、真実を知りたい!」 という、知的興奮を煽る手法がうまい。結末がわかっていても、構成しだいではこんなに吸引力があるんだなと、ちょっと感動してしまいました。

 サムとエリザベスは二転三転する彼らの証言から、真実にたどりつくことができるでしょうか…?
 この手の映画はそれこそネタが出つくしちゃった感があるんですが、こんなアプローチの仕方も残っていたんですね。(…それから、署長役にマイケル・アイアンサイド(「Scanners」「スキャナーズ」1981)の悪役の人)が出演しています。ひさしぶりに見れてうれしかったです。アイアンサイド・ファンは要チェック!) 
監督、今回はいい仕事をしていますよー






FBI捜査官のサム(ビル・プルマン)と、エリザベス(ジュリア・オーモンド)。
問題の町に颯爽と乗りこんでくるのですが…








 ボビー役のペール・ジェーム
 ズ。彼氏と呑気にラリっている
 はずが…









 家族旅行中だったステファニー
 (ライアン・シンプキンス)。








 偶然現場に居合わせたジャック
 (左ケント・ハーパー)と同僚の
 ジム(フレンチ・スチュワート)。





 







 さて、いけない時間にいけない場所に
 居合わせてしまった、不運な彼らに
 いったいなにが起こったんでしょう?







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     Senseless



    (2008)イギリス
    出演…ジェイソン・ベア、エマ・キャシャーウッド、
         ジョー・フェラーラ、トビー・マーロウ
    監督…サイモン・ハインド
    ★★☆



〔ストーリー〕
 通産省に勤めるアメリカ人エリートビジネスマンのエリオットは、ブリュッセルに滞在中に何者かのグループに拉致されてしまう。目覚めるとそこは、白い壁に囲まれた部屋。寝室に浴室、水のペットボトルと、彼が生活するための環境が用意され、部屋のあちこちにはカメラが仕掛けられていた。やがて、犯行グループがエリオットに接触する。そして彼らのおそろしい計画を聞いたエリオットは、必死に脱出を試みようとするのだが…!!


 スリラーに分類されている作品なんですが、これはもう、完全にホラーですね。
ストーリーを簡単に要約しますと、イイ男を拉致・監禁! はじめは紳士的な態度でやさしくするかと見せかけて、いきなり残虐非道な拷問を決行! この拷問、徐々にエスカレートしていきます…(ひいぃぃぃ)、ほんと、かなり救いようのないお話なんです。

 …と、まあ、のっけから脅してしまいましたが、ストーナ・フィッチという作者による同名小説を元に、サイモン・ハインドが映画化しました。主役のエリオットには、以前「The Tattooist」(2007)で紹介しました、人気急上昇中のジェイソン・ベア。FOXの新ドラマにも大抜擢されたようですね。彼がいじめられると聞いただけでも、「エー、かわいそう!!」と、女子の嘆く声が聞こえてきそうなんですが。

 じつは、わたしもはじめはたかをくくっていました。だって、なんといってもジェイソン・ベアですし、犯行グループにはなぜか美人(エマ・キャシャーウッド)が混じっているしで、「ま~、それっぽいソリッド・シチュエーション? たまに心理劇が入っちゃう?」 みたいなものかなーと、勝手に思っていたんですが…

 …と・んでもないですよ、コレは!

 この拷問というのが、見るからにおそろしいんです。かわいそう。もうやめて。だれか助けてあげて! というくらい、ひどいもの。ですから、ジェイソン・ベア目当てにこの作品を選んだ方は、たぶん痛い目に遭うと思います。要注意!
 エリオットは富裕なビジネスマン、仕事でブリュッセルに滞在中、翌日には帰国、というときに誘拐されてしまいます。これが、身代金目的の外国人誘拐事件ならまた話が変わってくるんですが、なんと、EU(ヨーロッパの経済統合)に反対する政治目的のグループでした。そして、エリオットをいたぶる様子をインターネットに配信して、“エリオット解放基金” なる名目の下に、世界中からお金を集めようという算段なんです。

 内容だけ見ると、かなり陰残で過酷な作品のようですが、他者の悪意や暴力をいっしんに背負ってしまうエリオット視点で語られているので、素直に好感が持てます。監禁日数は総じて40日間(!)。タイトルにもあるように、彼はひとつずつ感覚を奪われていくのですが… となると、結末がなんとなーく、(イヤイヤながら)想像がついてしまいますよね。ひいぃぃぃ、ひどいよー!!

 暴力によって肉体・精神を徐々に蝕まれていくエリオットは悲惨としかいいようがないのですが、それでも耐えるしかない、耐えてしまう、人間の強さと弱さがうまく表現されています。監禁されている身なので、当然彼の思考は内側にむかっていきます。また、「思想」や「宗教」を盾に他者を平気で傷つける人間の冷酷さ、愚鈍さというのは、まさに鳥肌もの。仮面を被った犯行グループに人間性はなく、観客はエリオットに共感してくのですが…

 題材が衝撃的でかなり深い世界観を描けたかと思うと、すこーしばかりもの足りないのが残念でした。でも、ジェイソン・ベアはがんばっていたと思います。ラストで一応救われたような気分になるんですが、現実の世界では、ここから再生していくということがいちばん大変なことなんでしょうね。










 囚われの身となってしまった
 エリオット(ジェイソン・ベア)!







 幼少時代のいじめられた
 思い出…






 犯行グループのひとり
 (ジョー・フェラーラ)。
 ふざけたお面を被っています。







 恐怖の拷問ショーのはじまり!
 (…エーン、ひどいよおぅぅ!





 肉体的に、精神的にボロボロに
 なってしまうエリオット…
 はたして彼に救いは訪れるの
 でしょうか…?!







     Twilight



    (2008)アメリカ
    出演…クリステン・スチュワート、ロバート・パ
         ティンソン、ビリー・バーク、テイラー・
         ロートナー、アシュリー・グリーン
    監督…キャサリン・ハードウィック
    ★★★



〔ストーリー〕
 高校生のイザベラは母親の再婚を機に、実父が暮らすフォークスへと引っ越してきた。“雨と霧の町” のフォークスは、それまで暮らしていたアリゾナ州フェニックスとは正反対の場所。そして、新しい学校に転校したとたん、男子学生から好意をよせられるようになってとまどう日々。そんななか、校内でも異質な存在のカレン一家を食堂で目にする。カレン家の末息子のエドワードは、ベラになぜか敵意の眼差しをむけ、彼女のことを避けようとするのだった…


 「トワイライト/初恋」です。
 ステファニー・メイヤーのデビュー長編 『トワイライト』 映画化作品なんですが、このシリーズ、現在でも完結していないんですね。そして本国アメリカでは、『ハリーポッター』 リーズについだ売り上げを樹立しているという、ティーンに圧倒的な人気を誇る小説なんだそうです。

 ストーリーはとりあえず、人間の少女と美形ヴァンパイアの道ならぬ恋… と、一応ホラーでファンタジーな要素が入っているんですが、ま~、ぶっちゃけこれは、ただのラブストーリーですね。それも、お子ちゃまむけの!
こちらの映画化作品もじつにそつのないラノベでして、たいして書くこともないんですが、日本人として意外だなーと感じたことは、海外では 「吸血鬼」 というテーマがいまだに支持されること、歓迎されること!
 (…そういえば、レスリー・H・ホウィットンの 『毒蛇の末裔』 は、ページ数の大半が不可解な事件に費やして、しかし、カバーは見るからに 「吸血鬼」 という、あまりにおマヌケで陳腐な戦術ながら、なぜか売れてましたもんねー…)、

 アン・ライスにしろ、ナンシー・コリンズにしろ、ポピー・Z・ブライトにしろ、ヴァンパイアというと必ず美形、なにやら倒錯的なイメージがつきまとうようなんですが、これは吸血鬼自体が “性のメタファー” であって、時間も超越するという、人類の憧れでもあるからです。また、噛みつく行為はまんま○○の代用だし、噛みつかれた相手がおなじくヴァンパイアになってしまうというのも、性病(エイズ)を連想させますよね。
 …とまあ、なんとなく吸血鬼論みたいなものを書いてみましたが、この作品にかぎっていえば、そういう背景はあんまり関係ないようです。お子ちゃまの理想通りに、とことん都合のいいように、ひたすら甘く、ロマンチックに物語は進行します。

 ヒロインのベラには「Panic Room」「パニック・ルーム」2002)でジョディ・フォスターの娘役を演じ、「The Messengers」「ゴースト・ハウス」2007)で見事に成長した姿を見せてくれたクリスティン・スチュアート。ちょっと見ない間に、またまたうつくしさに磨きがかかったようです。
 そして、エドワード役には「ハリーポッター」シリーズでセドリックを演じた、ロバート・パティンソン。
 ベラは地味でおとなしめの女の子、保安官の父・チャーリー(ビリー・バーク)と、他人に干渉されない静かな生活を望んでいたのですが、なぜか新しい高校に入ったとたん、モテモテ状態に。都会の子が田舎の学校に転校すると、急に羨望の的となってしまう、というアレでしょうか。

 と、そこへ、校内でも浮きまくっているカレン一家が登場。カレン家の人間は血の繋がりがなく、しかし、なぜか揃って美形ばかりで、父親のカーライル(ピーター・ファシネリー)は地元でも信頼の厚い外科医。(…この父親がまた、見るからに吸血鬼顔なので笑えます)。彼らの周囲にはなんとなく近よりがたい雰囲気が漂ってます。そして末っ子のエドワードは、なぜかベラを挑発、意味深な視線攻撃、「エ? 気があるの…?」と、思わせておいて、あからさまに避けてみたり。

 おなじく吸血鬼と人間の恋物語、「Lat den ratte komma in」(2008)とくらべると、内容はほとんどなきに等しいです。一般ウケしそうな映画なのでこの評価ですけど、わたしのブログを好んで訪問してくださる方からすると、なんでしょうね~、美男美女のもどかしい恋愛劇というのも…
 世のお嬢ちゃんどもはこういう世界に憧れを抱くものなのかーと、ふだんはあまり触れてないサブカルに触れてみるのも一興ですか。それから、原作にある伏線がそのまま盛りこまれているところを見ると、もしかしたら続編が作られる可能性があるかもしれません… が、正直どうでもいいし~、コレを映画化するなら、べつの吸血鬼小説を映画化してほしい… なんていいませんけど、ええー、いいませんけど!!














 すっかり大人な雰囲気になった、
 クリスティン・スチュアート。









 噂のカレン一家。
 いちばん手前がエドワード
 (ロバート・パティンソン)です。









 まあ~、
 全編こんな感じですよ。











 …こんな感じ。










 …こんな感じ。







 あ、たまにこんなのも登場しま
 す。このコも見るからに吸血顔
 してますね~







     Damien: Omen Ⅱ



    (1978)アメリカ
    出演…ジョナサン・スコット・テイラー、ウィリア
         ム・ホールデン、リー・グラント、ルーカス・
        ドナット、ニコラス・プライア
    監督…ドン・テイラー
    ★★★


〔ストーリー〕
 悪魔の申し子ダミアンは、孤児となってロバート(亡父)の弟リチャードに引きとられていた。そして7年後、リチャードと後妻アンのもとで、リチャードの実子マークとともに陸軍学校に通う日々を送っていた。しかし、過去の悲劇に疑惑を持つ人間があらわれて、叔母のマリオンはダミアンを毛嫌いする。ダミアンは自分が何者かもわからないまま、闇の運命に導かれていく…!!


 「オーメン2/ダミアン」です。
 物語は前作「The Omen」「オーメン」1976)から7年後、13才のダミアンが主人公となっています。ちょうど多感な時期ですよねー。ちなみに、オープニングに前作でロバート(グレゴリー・ペック)に力を貸した、エクソシスト兼考古学者のブーゲンハーゲンが登場するんですが、例によって例のごとく、悪魔の逆鱗に触れてあらら~ なことになってしまいます… 悪魔パワー、おそるべし!

 作品は前作の流れにそのまま乗った雰囲気で、ダミアンの養父となったリチャード(ウィリアム・ホールデン)は工業会社社長、セレブですね~、専任のドライバーつきですね~、なに不自由ない暮らしですよ~! そして、前作よりもオカルト色を強め、よりドラマチックに、青春ホラーとしての味わいもある興味深い内容になっています。

 ダミアンを演じるのは、ジョナサン・スコット・テイラー。美少年です。カワイイです。美少年でカワイくて悪魔、という設定だけでも、これは観る価値アリですよね ダミアンは従兄のマーク(ルーカス・ドナット)と兄弟のように育てられて、いまは陸軍学校に通っています。養父のリチャードもアン(リー・グラント)も、わけへだてなく彼を愛してくれています。ただひとり、叔母のマリオンは、彼に疑惑の目をむけるのでした… そして、彼女以外にも、ダミアンの秘密を嗅ぎつけてしまった人たちがいたのです…!!

 ダミアンの秘密を暴こうとする人間に次々災難が降りかかる、というパターンもきれいに踏襲されています。1作目ではそれほど感じなかった “死に方博覧会” も、ここまでくるとバラエティに富んでいて、「次はなにがくるか? お次はなんだっ!」と、おおいに期待してしまいます。うーん、「ファイナル・デスティネーション」シリーズの原点は、こんなところにあったのですね。

 また、前作では悪魔の使いは 「野犬」 でしたが、今回は 「カラス」 となっています。個人的には野犬のほうがコワそうですけど、カラスに襲われる記者の場面といったら… かなりおそろしいです。といいますか、イヤ~なことになっていますね!

 自分が悪魔であることに気づいて苦悩するダミアンと、彼のいちばんの親友兼大切な人・マークの関係が見どころなんですが、あのショッキングさ、映画としての完成度を考えると、やはり前作には及びませんか…
 でも、好きな作品です。聞くところによると、この作品の売り上げが悪くて 「ダミアンの青年期」 は作られなかったという話なんですが。。。20代のダミアンはどんな感じだったんでしょうね? なんだかすごーく惜しい気がしますが…




 









 13才になったダミアン。
 制服姿がりりしいですねー
 ちなみに大天才だったりもします。






 リチャード役のウィリアム・
 ホールデン。ペック同様、
 ダミアンが悪魔であること
 をなかなか認めません。





 おせっかいな記者は、この後
 とんでもないことになってしま
 います…!





 博物館長のチャールズ
 (ニコラス・プライア)は、
 ブーゲンハーゲンが
 遺した短剣を発見。






 ひいいぃぃ、氷の下
 に~!!!




 ネフ軍曹(ランス・ヘンリク
 セン)は、ダミアンに聖書
 を読むように勧めるの
 ですが…








     Vikaren



    (2007)デンマーク
    出演…パプリカ・ステーン、ヨナス・ヴァンドシュ
         ナイダー、ウーリッチ・トムセン、エマ・
         ユエル・ユステセン
    監督…オーレ・ボールネダル
    ★★☆


〔ストーリー〕
 宇宙から謎の飛行物体が漂着、あらわれた奇怪な発光物体は、近くに暮らす鶏卵農家の妻に寄生してしまう… 一方、小学6年生のカールは、交通事故で母親を亡くしたばかり、塞ぎこんでクラスメイトたちともうまく馴染めずにいた。そこへ、病気になった担任の代わりにと、ウーラと名乗る女性教師がやってくる。ウーラの不可解なきびしい授業、狂った言動に、子供たちは不信感を抱いて親たちに相談するのだが…


 注: 邦題では「パラサイトX」となっているんですが、(また、日本版ジャケが思いっきりホラーしているんですが)、この作品はホラーではありません。よって、「The Faculty」「パラサイト」1998)的なことはいっさい期待しないよーに!

 オーレ・ボールネダル監督というと、「Nattevagten」「モルグ」1996)「Nightwatch」「ナイトウォッチ」1998)。どちらもかな~りなホラーな題材ながら、その不思議と “のほほん” とした雰囲気から、わたしは勝手にのんびり屋さんホラーを撮る人、と思っています(笑)。今回もまた、ステキに能天気な映画です。子供です。SFです。侵略モノです。パチモンな邦題がつけられちゃってますが、けっこう皮肉のきいた内容となっております。

 カール少年(ヨナス・ヴァンドシュナイダー)は、交通事故で母親を亡くしたばかり。幼い妹と父親のジェスパー(ウーリッチ・トムセン)の3人暮らし、自分の世界に入りこんで、髪を短く刈りこんじゃったりと、ちょっと病んでしまいます。お約束の意地悪っこなクラスメイトたちからも、からかわれたり。そこへ、病気になった担任教師の代わりにと、ウーラと名乗る女性教師(パプリカ・ステーン)がやってきます。この教師、当然人間ではありません。ナゾの宇宙生物にパラサイトされちゃってます。

 “先生はエイリアン” というと、わたしはゲイアン・ウィルソンの短編、『代理教師』『ナイト・ソウルズ』所蔵)をすぐに思い浮かべてしまったんですが、まさにそんな感じの、なかなかインパクト大な先生になっていました。パプリカ・ステーンの演じるウーラは奇っ怪で、いってることは超ヘンだし、意味不明のスパルタをするし、たまにアチラの世界にイっちゃうしで、子供たちは初日そうそう、「ヤッヴァーイ!」と身の危険を感じるわけです。親に話します。そりゃ、コワいもんねえ。

 しかし、敵もさることながら、集まった親たちにたいして泣き落とし作戦! なんか、妙な色気も使ってみたり! なんか、妙な銀色の球体に手をかざして、「教育省のお偉いさん」 を作りだしちゃって、あっさり説得してしまいます。ですが、カールはそのすべてを目撃してしまうのでした…!!

 カールの訴えによって一致団結した子供たちと、エイリアン先生の戦いがメインとなっているのですが、このエイリアンが地球にやってきた目的というのが、愛を知るためだというのが、いかにもボールネダル監督らしいです。つまり、彼らの惑星では 「愛」 という概念がなく、そのため争いが絶えなくて、愛の溢れる地球に学びにやってきたんですね。といいますか、手っ取り早く○○しちゃおうか、と。

 ホラー要素はほぼ皆無なんですが、妙に懐かしい侵略ホラー・テイストもあったりして、ラストまで楽しく観ることができました。パプリカ・ステーンのハイテンションな演技もよかったです。映画自体は明るくハッピーなものなんですが、画面がやけにひんやり見えるのは、これはヨーロッパ映画の特徴なんでしょうね。












 主人公のカールくん(ヨナス・
 ヴァンドシュナイダー)。







 初日から大爆笑のウーラ先生。
 だれが見てもヤヴァイ人です。






 「先生はモンスター!」という
 子供たちの訴えにたいし、
 怪物の真似をして場を
 和ませるウーラ先生。
 親は能天気すぎ。




ウーラ先生の真の目的とは…?
パプリカ・ステーンはよくある侵略SFものにしては、あまり若くも、うつくしくもない
んですが、妙な色気と不気味さが非人間的でエイリアンしています。







     Paranoid Park



    (2007)フランス/アメリカ
    出演…ケイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、
         ジェイク・ミラー、ローレン・マッキニー
    監督…ガス・ヴァン・サント
    ★★★


〔ストーリー〕
 オレゴン州ポートランドに暮らすアレックスは16才。はじめたばかりのスケードボードに夢中で、ある日友人のジャレッドに誘われて、スケーターの聖地の通称 〈パラノイドパーク〉 と呼ばれる公園にいくことに。しかし、初心者のアレックスたちがプレイできるわけもなく、それでも、プロ級の腕前の人たちのボードを見ているだけで楽しかった。その後アレックスはたびたび 〈パラノイドパーク〉に出かけるようになり、夜は危険といわれているにもかかわらず、ひとりで行ってしまう。そこで年上のスケーターと知り合いになるのだが…


 ホラーではないのですが、今期の外せない注目作ということで、レビューさせていただきます。ガス・ヴァン・サントの「パラノイドパーク」です。

 ガス・ヴァン・サント監督というと、インディペンデント映画を語るうえでは欠かせない最重要人物のひとりですよね。
 「マラノーチェ」(1985)「ドラッグストア・カウボーイ」(1989)「マイ・プライベート・アイダホ」(1991)のポートランド三部作、そして、話題となった「Elephant」「エレファント」2003 コロンバイン高校射殺事件を扱ったものと、「Last Days」「ラスト・デイズ」2005 カート・コバーンの最期の二日間を追ったもの…などなどといった、映画ファンには見逃せない作品を次々発表してきた方です。(…あと、「Psycho」「サイコ」1998)なんてのもありましたね!)

 今回は、ブレイク・ネルソンのヤングアダルトむけの同名小説を映画化しました。そして、「エレファント」と「ラスト・デイズ」の流れを汲みつつ、ガス・ヴァン・サントの映像美もここにきわまれり、ティーンを主人公にしたすばらしい作品に仕上がっています。

 アレックス(ゲイヴ・ネヴァンス)は、高校に通うごくフツーの少年。最近スケボーをはじめたばかり、ボーダーの聖地 〈パラノイドパーク〉で滑ることはクールなので、いってみたいのだけれど、薬の売人がいたり、だれかが刺されたと噂があったり… と、ごくフツーの少年がいくには勇気がいります。そこへ、友人のジャレッド(ジェイク・ミラー)から 「一緒にいってみない?」 と誘われて、出かけることに。当然、初日から滑れるはずもないのですが、他人のプレイを見ているだけでも楽しいのでした…
 
 …と、ここまでが物語のオープニングで、すっかり〈パラノイドパーク〉慣れしてしまったアレックス、夜中にひとりで出かけてしまい、そこで年上のスケーターと知り合って、ひょんなことからある事件に巻きこまれてしまいます。そして、その日を境に彼の日常がガラリと変わってしまうのです。

 アレックスを演じるゲイヴ・ネヴァンスがまた、まったくフツーの少年で、(演技というよりは)ものすごーく自然体なところが、余計に作品の悲劇度を高めています。ストーリーはショッキングで痛々しく、彼が孤立し、心理的に追いつめられていく様子を淡々と描いているのですが、作品自体は不思議と心地よく、むずかしいことを考えなくてもすんなり入っていけちゃう世界観です。
 また、内容はかなり痛々しいのですが、コミカルで愛嬌のあるシーンも多々あり、微笑ましくさえあります。(…でも、現実的に考えると、アレックスはこの先どうなっちゃうんだろう…? というところが、非常に切なーいのです!)

 多感な十代の心情に迫った、新たな傑作の1本だと思います。使われている音楽もかなりよし。個々のシーンの表現力も秀悦。(フツー映画の観点から見れば、描写力、テクニックなど、確実に★★★★です!)…それから、この原作は訳出されてほしいですね~











 カメラ慣れしていないところ(?)
 が、すごく魅力的なアレックス
 (ゲイヴ・ネヴァンス)。







 たいして、すっかりカメラ慣れして
 いる、ビッチなガールフレンド役
 のジェニファー(テイラー・モンセ
 ン)。興味は○○だけさ~!








 友人のジャレッド(ジェイク・ミ
 ラー)と、〈パラノイドパーク〉
 へやってくるのですが…









 深夜の〈パラノイドパーク〉で、
 いったいなにが…?







   
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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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