個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、
小説のレビューなどをポツポツと…
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Kill Theory
(2009)アメリカ
出演…パトリック・フルーガー
リアーナ・ダジヒ
テディ・ダン
監督…クリス・ムーア
★★☆
〔ストーリー〕
大学生の仲良しグループの男女8人が、そろって卒業旅行に出かけることに。彼らがむかったさきは、郊外の静かな森の別荘。みんなで新たな門出を祝い、酒を飲んで、テレビゲームをしたり、恋人同士でいちゃついたりと、それぞれのんびりくつろぐ彼ら… しかし、そこに予期せぬ訪問者を迎えることになるのを彼らはまだ知らなかった…!!
クリス・ムーアの最新作です~
最新作といっても、監督作はこれがはじめてだったんですね。非ホラーだと、「アメリカン・パイ」(1999)や「夏休みのレモネード」(2001)とか、ホラーだと、「Joy Ride」(「ロード・キル」2001)や「Feast」(「フィースト」2005)なんかの製作に携わってきた方です。
上記のあらすじからもわかるとおり、若者たちが人里離れた場所に集結、ここに殺人鬼が登場しまして、この殺人鬼、大学生たちと血祭りにあげるかと思いきや、あるゲームをするようにもちかけてきます。ゲームのルールはいたって簡単。仲間を殺し、最後に残った勝者だけを助けてあげよう、というもの。
キャラクターもいたって平凡、旅行とくればカップルは必ずいちゃつくし、モテないくんもいるし、なんだかB級ホラー臭がプンプンただよっていて、日本でもヒットしました「スクリーム」や「ラスト・サマー」的なノリのお手軽ホラーだとばかり思っていたんですが、ね、これがなんと…
んま~、えげつないこと、えげつないこと!!
オープニングから殺人鬼が登場するまでが、余計な枝葉を飛ばしてサクサク進んでいくので、ぜったいノリノリ・ホラーだと思ってたんですけどね… いえ、ある意味ノリノリなんですけど、初心者むけかと思うと、そうでもなかったりする意外性があります。
まあ、コンセプトからして、「あなたの恋人、友人を信じられますか?」ですから、それを考えると、ある程度想像がつく内容ではないかと思います。とりあえず、全体的にどんな感じかと申しますと、
わりとエグイ!
まともに観てしまうと、オエーとなる絵をふくんでいます。
あ、それから、血糊が粘っこいです!
スピーディーです!
以上!
…というように、そこそこ楽しめる仕上がりになっていまーす(笑)。殺人鬼がまた不気味なんですが、正体をあらわすまでが電話やトランシーバーの音声のみなので、いまいち盛りあがらず…
非常に短い時間内を駆け足で進んでいる感もあって、もうすこしじっくりキャラクターたちの動きを描いてもよかったんじゃ…? という気が、しないでもありません。生意気書いてすいません。
わーい、
旅行だ、旅行だ♪
アンバー役の
リアーナ・タジヒ。
マイケル役の
P・フルーガー(左)。
捕まっちゃったニコール
(ステフィー・ウィッケン)
の運命は…!!
殺人鬼をチラッと
だけご紹介!
頭の刺青がコワス…
(2009)アメリカ
出演…パトリック・フルーガー
リアーナ・ダジヒ
テディ・ダン
監督…クリス・ムーア
★★☆
〔ストーリー〕
大学生の仲良しグループの男女8人が、そろって卒業旅行に出かけることに。彼らがむかったさきは、郊外の静かな森の別荘。みんなで新たな門出を祝い、酒を飲んで、テレビゲームをしたり、恋人同士でいちゃついたりと、それぞれのんびりくつろぐ彼ら… しかし、そこに予期せぬ訪問者を迎えることになるのを彼らはまだ知らなかった…!!
クリス・ムーアの最新作です~
最新作といっても、監督作はこれがはじめてだったんですね。非ホラーだと、「アメリカン・パイ」(1999)や「夏休みのレモネード」(2001)とか、ホラーだと、「Joy Ride」(「ロード・キル」2001)や「Feast」(「フィースト」2005)なんかの製作に携わってきた方です。
上記のあらすじからもわかるとおり、若者たちが人里離れた場所に集結、ここに殺人鬼が登場しまして、この殺人鬼、大学生たちと血祭りにあげるかと思いきや、あるゲームをするようにもちかけてきます。ゲームのルールはいたって簡単。仲間を殺し、最後に残った勝者だけを助けてあげよう、というもの。
キャラクターもいたって平凡、旅行とくればカップルは必ずいちゃつくし、モテないくんもいるし、なんだかB級ホラー臭がプンプンただよっていて、日本でもヒットしました「スクリーム」や「ラスト・サマー」的なノリのお手軽ホラーだとばかり思っていたんですが、ね、これがなんと…
んま~、えげつないこと、えげつないこと!!
オープニングから殺人鬼が登場するまでが、余計な枝葉を飛ばしてサクサク進んでいくので、ぜったいノリノリ・ホラーだと思ってたんですけどね… いえ、ある意味ノリノリなんですけど、初心者むけかと思うと、そうでもなかったりする意外性があります。
まあ、コンセプトからして、「あなたの恋人、友人を信じられますか?」ですから、それを考えると、ある程度想像がつく内容ではないかと思います。とりあえず、全体的にどんな感じかと申しますと、
わりとエグイ!
まともに観てしまうと、オエーとなる絵をふくんでいます。
あ、それから、血糊が粘っこいです!
スピーディーです!
以上!
…というように、そこそこ楽しめる仕上がりになっていまーす(笑)。殺人鬼がまた不気味なんですが、正体をあらわすまでが電話やトランシーバーの音声のみなので、いまいち盛りあがらず…
非常に短い時間内を駆け足で進んでいる感もあって、もうすこしじっくりキャラクターたちの動きを描いてもよかったんじゃ…? という気が、しないでもありません。生意気書いてすいません。
わーい、
旅行だ、旅行だ♪
アンバー役の
リアーナ・タジヒ。
マイケル役の
P・フルーガー(左)。
捕まっちゃったニコール
(ステフィー・ウィッケン)
の運命は…!!
殺人鬼をチラッと
だけご紹介!
頭の刺青がコワス…
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Whoever Slew
Auntie Roo?
(1971)イギリス
出演…シェリー・ウィンタース
マーク・レスター
クロエ・フランクス
監督…カーティス・ハリントン
★★☆
〔ストーリー〕
大金持ちのフォレスト夫人は、クリスマスに孤児院の子供たちを家に招くことを毎年楽しみにしていた。じつは、彼女は過去に愛する娘を事故で亡くしていた。クリスマス会に招待されるのは健康そうな、礼儀正しい子供たちで頭数がかぎられていたが、どうしても参加したいクリストファーとケイティの兄妹は、こっそり車のトランクに忍びこんでパーティーに参加することに成功。しかし、楽しいクリスマスをむかえるはずが、フォレスト夫人のある秘密を知ってしまい…
ほとんどレビューを見かけないようなので… といいますか、あまり知られていない作品なようなので、あえてレビューしてみました。邦題では、「だれがルーおばさんを殺したか?」になっています。
ニューロティック・サスペンス、それと、似たようなタイトルの映画としてすぐに思いつくのが、ロバート・アルドリッチ監督、ジョン・クロフォードとベティ・デイヴィスの狂気がおぞましい「What Ever Happened to Baby jane?」(「何がジェーンに起こったか?」1962)なんですが…
こちらの脚本を担当したのが、ヘンリー・ファレル。おなじくヘンリー・ファレルつながりで、「What's The Matter With Hellen?」(「ヘレンに何が起こったのか?」1971)なんて作品もありました。本作品は、この映画の監督をつとめたカーティス・ハリントンなんです。ちょっとややこしいことを書いてしまいましたが、同年にこんな似たような作品も残していたんですね。そして、カルトな雰囲気がただよっています。感触もとても近いと思います。
邦題が似通っていることからもわかるように、おそらくアルドリッチの成功と才能に刺激された映画界が、60年代後半から70年代前半にかけて、良質な、ある一定の様式美をそなえたホラー・サスペンスを量産していた時期があったのですが、カーティス・ハリントンもそんな監督さんのひとりです。「Devil Dog: The Hound of Hell」(「地獄の犬/さけび」1978)なんて奇抜なタイトルを、みなさんも一度は目にしたことがあるのでは?
ストーリーは、『ヘンゼルとグレーテル』 の童話をモチーフにしています。孤児院の幼い兄妹・クリストファーとケイティが、ヘンゼルとグレーテルに代わって主人公となるのですが、グリム童話はみなさんも知ってのとおり、じつはじつは、残酷でおそろしい内容が多いもの! 彼らが迷いこんでしまったフォレスト夫人のお屋敷には、どんな秘密が隠されているんでしょう…?
ニューロティックも暗にほのめかす程度、サスペンスな部分もじつにひかえめですが、登場人物のだれひとりとして信用できない人間(!)として描かれているところが、鑑賞し終わったあとになんともいえない、複雑な余韻を残します。そして、タイトルの意味をじっくり考えてみてしまうかも…
目立ってすぐれているとはいいませんが、もうすこし評価されて、注目を浴びてもいいような作品… そんな気がします。カルト映画に強い人には、先刻承知の作品なんでしょうけれど。
クリストファーと
ケイティ。
フォレストおばさん
(左S・ウィンタース)
は、大の子供好き
なのですが…
じつは、あやしい交霊術
にはまっています。
それから…
クリスマスの翌朝…
ケイティがいなく
なっちゃった!
こわいよ~、
おばさん!!
Auntie Roo?
(1971)イギリス
出演…シェリー・ウィンタース
マーク・レスター
クロエ・フランクス
監督…カーティス・ハリントン
★★☆
〔ストーリー〕
大金持ちのフォレスト夫人は、クリスマスに孤児院の子供たちを家に招くことを毎年楽しみにしていた。じつは、彼女は過去に愛する娘を事故で亡くしていた。クリスマス会に招待されるのは健康そうな、礼儀正しい子供たちで頭数がかぎられていたが、どうしても参加したいクリストファーとケイティの兄妹は、こっそり車のトランクに忍びこんでパーティーに参加することに成功。しかし、楽しいクリスマスをむかえるはずが、フォレスト夫人のある秘密を知ってしまい…
ほとんどレビューを見かけないようなので… といいますか、あまり知られていない作品なようなので、あえてレビューしてみました。邦題では、「だれがルーおばさんを殺したか?」になっています。
ニューロティック・サスペンス、それと、似たようなタイトルの映画としてすぐに思いつくのが、ロバート・アルドリッチ監督、ジョン・クロフォードとベティ・デイヴィスの狂気がおぞましい「What Ever Happened to Baby jane?」(「何がジェーンに起こったか?」1962)なんですが…
こちらの脚本を担当したのが、ヘンリー・ファレル。おなじくヘンリー・ファレルつながりで、「What's The Matter With Hellen?」(「ヘレンに何が起こったのか?」1971)なんて作品もありました。本作品は、この映画の監督をつとめたカーティス・ハリントンなんです。ちょっとややこしいことを書いてしまいましたが、同年にこんな似たような作品も残していたんですね。そして、カルトな雰囲気がただよっています。感触もとても近いと思います。
邦題が似通っていることからもわかるように、おそらくアルドリッチの成功と才能に刺激された映画界が、60年代後半から70年代前半にかけて、良質な、ある一定の様式美をそなえたホラー・サスペンスを量産していた時期があったのですが、カーティス・ハリントンもそんな監督さんのひとりです。「Devil Dog: The Hound of Hell」(「地獄の犬/さけび」1978)なんて奇抜なタイトルを、みなさんも一度は目にしたことがあるのでは?
ストーリーは、『ヘンゼルとグレーテル』 の童話をモチーフにしています。孤児院の幼い兄妹・クリストファーとケイティが、ヘンゼルとグレーテルに代わって主人公となるのですが、グリム童話はみなさんも知ってのとおり、じつはじつは、残酷でおそろしい内容が多いもの! 彼らが迷いこんでしまったフォレスト夫人のお屋敷には、どんな秘密が隠されているんでしょう…?
ニューロティックも暗にほのめかす程度、サスペンスな部分もじつにひかえめですが、登場人物のだれひとりとして信用できない人間(!)として描かれているところが、鑑賞し終わったあとになんともいえない、複雑な余韻を残します。そして、タイトルの意味をじっくり考えてみてしまうかも…
目立ってすぐれているとはいいませんが、もうすこし評価されて、注目を浴びてもいいような作品… そんな気がします。カルト映画に強い人には、先刻承知の作品なんでしょうけれど。
クリストファーと
ケイティ。
フォレストおばさん
(左S・ウィンタース)
は、大の子供好き
なのですが…
じつは、あやしい交霊術
にはまっています。
それから…
クリスマスの翌朝…
ケイティがいなく
なっちゃった!
こわいよ~、
おばさん!!
Ce que mes yeux
ont vu
(2007)フランス
出演…シルヴィー・テステュー
ジャン・ピエール・マリエル
ジェイムズ・ティエレ
監督…ローラン・ド・バルティヤ
★★☆
〔ストーリー〕
18世紀のフランスの画家ワトーの絵に描かれている “後ろむきの女性” に興味を持ち、彼女の正体を突きとめようとする美術史専攻の学生リュシー。しかし、指導教授のデュサールは彼女の熱意に寛大ではなく、あからさまに反対されてしまう。ある日、いきつけのカフェで聾唖の青年ヴィンセントと知りあい、彼の無垢で謎めいた雰囲気にすこしずつ惹かれていくリュシー… 彼女は自分から宣言した期限内に、ワトーの絵に秘められた謎を解明しようとするのだが…
ここで紹介するには、あまりに高尚すぎる内容かな~… などと、一瞬躊躇してしまったのですが、個人的にはかなりよかったので、レビューさせていただきます。英題では、「What my eyes have seen」。18世紀のフランスで活躍した、ロココ調の宮廷画家ジャン・アントワーヌ・ワトーの作品群をめぐる知的ミステリーです。
ヒロインのリシューを演じるのは、シルヴィー・テステュー。わたしはまったく知らなかったのですが、フランスでも有名な女優さんらしいです。まあ、こういってはなんですが、小柄で、非常に知的な雰囲気をただよわせながら、どこか頼りなげで子供っぽくて… ざっくばらんにいってしまうと、「性的魅力」が皆無な女性といった感じでしょうか~(笑)。フランスの女優さんというと、こんな感じの方がわりと多いような気がするんですが、あちらではそんなタイプの女性がモテるんでしょうか? シルヴィーもこの例に洩れず、華奢で少年ぽい魅力がなかなかステキです。
リシューは世間のイメージを地でいくような、硬派な美大生。情熱もあり、向上心も人一倍あるのですが、家賃を滞納していて、舞台俳優の姉のところにしょっちゅう頼りにいきます。そんな彼女が目をつけたのが、ルイ15世のお抱え画家だったワトー。彼の絵には、“後ろむきの女性” がいくつも登場してきます。「彼女はいったい何者だろう? ワトーとどんな関係があったのか?」 リシューがこの疑問に多大な関心をよせたところから、物語がスタートします。
ぶっちゃけ、ストーリーに目立った起伏はなく、むしろ地味な内容なのですが、日本人にもあまり馴染みの薄いワトーという画家の世界が見事に描かれていて、気づいたら夢中になって観てしまいました。印象派の画家とは両極端に位置するような、曖昧な、ときに官能的で、まるで夢の世界を描いているような作品の数々を画面いっぱいに見せられていくうちに、自然と引きこまれていってしまうことは確実。うーん、これは、きっとワトーの魔力が一枚噛んでいますね。
指導教授のデュサールを演じるジャン・ピエール・マリエルがまた、気取ったインテリながら、ひそかに若い魂に嫉妬する執念深さを醸しだしていておもしろいです。フランスの美術界というと、こんな男性が必ずいそうですね。
それから、聾唖の青年ヴィンセント(ジェイムズ・ティエレ)とリシューの穏やかながら情熱的なひとときも、いかにもフランス映画の撮り方をしているなーと、感じました。余計なセリフが省かれているっていうんでしょうか、目と目で、表情で語りあう…! 彼らのささいな心情にも集中できていいですね。
あとで調べてみてわかったのですが、このヴェンセント役のジェイムズ・ティエレ、なんと、あのチャールズ・チャップリンのお孫さんなんだとか!!
なーるほど、いわれてみれば… たしかにそんな雰囲気があります。ご自分でもサーカス団を持っていて、なんだか舞台に立つ方に特有の、表情の奥深さが顔に滲みでていますよね。
ホラーではありませんが、じゅうぶんミステリアスで興趣深い作品です。ローラン・ド・バルティヤの監督デビュー作にして、88分というタイトなまとめ具合も気に入りました。たまにはこんな高尚趣味の映画に浸ってみてはいかがでしょう…?
リシュー役のシルヴィー・
テステュー。
ワトーの
「後ろむきの女性」に
興味を抱くようになり…
専任教授のデュサール
は、なぜかリシューの
研究に難色を示します。
聾唖の大道芸人
ヴィンセント
(ジェイムズ・ティエレ)。
笑っているのに、
同時に哀しく見える
のはなぜ…?
映画の中にも登場するワトー作
『道化師ジル』。
足下の動物に注目。
彼が作中の人物とどんな関連があるのか…
もう、おわかりですよね!
ont vu
(2007)フランス
出演…シルヴィー・テステュー
ジャン・ピエール・マリエル
ジェイムズ・ティエレ
監督…ローラン・ド・バルティヤ
★★☆
〔ストーリー〕
18世紀のフランスの画家ワトーの絵に描かれている “後ろむきの女性” に興味を持ち、彼女の正体を突きとめようとする美術史専攻の学生リュシー。しかし、指導教授のデュサールは彼女の熱意に寛大ではなく、あからさまに反対されてしまう。ある日、いきつけのカフェで聾唖の青年ヴィンセントと知りあい、彼の無垢で謎めいた雰囲気にすこしずつ惹かれていくリュシー… 彼女は自分から宣言した期限内に、ワトーの絵に秘められた謎を解明しようとするのだが…
ここで紹介するには、あまりに高尚すぎる内容かな~… などと、一瞬躊躇してしまったのですが、個人的にはかなりよかったので、レビューさせていただきます。英題では、「What my eyes have seen」。18世紀のフランスで活躍した、ロココ調の宮廷画家ジャン・アントワーヌ・ワトーの作品群をめぐる知的ミステリーです。
ヒロインのリシューを演じるのは、シルヴィー・テステュー。わたしはまったく知らなかったのですが、フランスでも有名な女優さんらしいです。まあ、こういってはなんですが、小柄で、非常に知的な雰囲気をただよわせながら、どこか頼りなげで子供っぽくて… ざっくばらんにいってしまうと、「性的魅力」が皆無な女性といった感じでしょうか~(笑)。フランスの女優さんというと、こんな感じの方がわりと多いような気がするんですが、あちらではそんなタイプの女性がモテるんでしょうか? シルヴィーもこの例に洩れず、華奢で少年ぽい魅力がなかなかステキです。
リシューは世間のイメージを地でいくような、硬派な美大生。情熱もあり、向上心も人一倍あるのですが、家賃を滞納していて、舞台俳優の姉のところにしょっちゅう頼りにいきます。そんな彼女が目をつけたのが、ルイ15世のお抱え画家だったワトー。彼の絵には、“後ろむきの女性” がいくつも登場してきます。「彼女はいったい何者だろう? ワトーとどんな関係があったのか?」 リシューがこの疑問に多大な関心をよせたところから、物語がスタートします。
ぶっちゃけ、ストーリーに目立った起伏はなく、むしろ地味な内容なのですが、日本人にもあまり馴染みの薄いワトーという画家の世界が見事に描かれていて、気づいたら夢中になって観てしまいました。印象派の画家とは両極端に位置するような、曖昧な、ときに官能的で、まるで夢の世界を描いているような作品の数々を画面いっぱいに見せられていくうちに、自然と引きこまれていってしまうことは確実。うーん、これは、きっとワトーの魔力が一枚噛んでいますね。
指導教授のデュサールを演じるジャン・ピエール・マリエルがまた、気取ったインテリながら、ひそかに若い魂に嫉妬する執念深さを醸しだしていておもしろいです。フランスの美術界というと、こんな男性が必ずいそうですね。
それから、聾唖の青年ヴィンセント(ジェイムズ・ティエレ)とリシューの穏やかながら情熱的なひとときも、いかにもフランス映画の撮り方をしているなーと、感じました。余計なセリフが省かれているっていうんでしょうか、目と目で、表情で語りあう…! 彼らのささいな心情にも集中できていいですね。
あとで調べてみてわかったのですが、このヴェンセント役のジェイムズ・ティエレ、なんと、あのチャールズ・チャップリンのお孫さんなんだとか!!
なーるほど、いわれてみれば… たしかにそんな雰囲気があります。ご自分でもサーカス団を持っていて、なんだか舞台に立つ方に特有の、表情の奥深さが顔に滲みでていますよね。
ホラーではありませんが、じゅうぶんミステリアスで興趣深い作品です。ローラン・ド・バルティヤの監督デビュー作にして、88分というタイトなまとめ具合も気に入りました。たまにはこんな高尚趣味の映画に浸ってみてはいかがでしょう…?
リシュー役のシルヴィー・
テステュー。
ワトーの
「後ろむきの女性」に
興味を抱くようになり…
専任教授のデュサール
は、なぜかリシューの
研究に難色を示します。
聾唖の大道芸人
ヴィンセント
(ジェイムズ・ティエレ)。
笑っているのに、
同時に哀しく見える
のはなぜ…?
映画の中にも登場するワトー作
『道化師ジル』。
足下の動物に注目。
彼が作中の人物とどんな関連があるのか…
もう、おわかりですよね!
Dying Breed
(2008)オーストラリア
出演…ミラ・フォークス
リー・ワネル
ネイサン・フィリップス
監督…ジョディ・ドワイアー
★★☆
〔ストーリー〕
動物の生態学を研究しているニーナは、タスマニアでも貴重な種類のタスマニア・タイガーの現状を調べるため、恋人のマット、友人のジャックとレベッカの4人で調査旅行に出かける。じつは、ニーナの妹のルースが8年前におなじ地で旅行中に溺死しており、彼女の追悼旅行の意味もかねていた。だが、島にはおそろしい秘密が隠されていて…!!
ジャック・ケッチャムのせいなのか、アジャ監督のせいなのかわかりませんが、こちらももはや、不動の地位を築きそうなホラーです。都会からやってきた若者集団が、文明とはかけ離れたとある場所で、現地のカニバリズムと遭遇!! みたいな~
考えてみればこの設定って、なにかと作る側にもお得ですよねー。とりあえず、舞台を選ばないから、砂漠のどまんなかでも、森の中でも、郊外の一軒屋だっていい。そこに無邪気な若者たちを用意して、奇形メイクを施した殺人鬼を登場させればOK! あ、もちろん、メイクなしのフツーのおっちゃんでもOKです。(そういう場合は、エログロ趣味も入ってきちゃうのでしょうか…)
“都会人 V.S 僻地の食欲旺盛な人たち” の構図は、それが純粋に「食材を得るため」という目的だからおもしろいわけで、いってみれば、どちらが正しいのか観ている側にも判断しにくいところだと思います。
それで、この作品もそんなきわどい線引きのなかで、ドキハラの鬼ごっこが展開されるのかな? と、思っていましたら、ちょっとちがっていました。
タスマニアというと、タスマニア・デビルのほかにも、こんな名物があったんですね。その名も、アレクサンダー・ピアス。タスマニアにはセーラ島という流刑地がありまして、19世紀のオーストラリアは、本土には置いておきたくない罪人たちをそこに送っていました。アレクサンダー・ピアスもそのひとり。ですが、彼は複数の仲間を連れて脱獄を図り、無人島にたどりついて食料不足に陥ってしまいます。そこで、彼らが選択した道は…
これが実話というから、人間っておそろしいですよね。しかも、このピアスという囚人、仲間を全員食べちゃってさんざん懲りたと思ったら、二度目に捕まったあとにまた脱獄(!)して、やっぱり連れの仲間を餌食にしちゃっています。カニバリズムというとよく聞くのが、クセになっちゃうの…♪ という、アレですが、アレ、ほんとにあるんですかね?? とてもじゃないですが、信じられません。
話がだいぶ逸れてしまいましたが、この作品は実在の食人鬼ピアスに触発された映画です。冒頭、脱獄を図ったピアスが警官隊に追われているところからはじまります。そして場面は変わって、現代。動物学を研究するニーナ(ミラ・フォークス)たち一行は、タスマニア島を目指すのですが…
単純な鬼ごっこではなく、ちょっとひねりの入った残酷ドラマです。わりとおもしろいです。ゴア描写はおさえめな感じです。あ、わりとオリジナリティもあるかもしれません。それでも、なぜかもの足りないと感じてしまうのは… 登場人物(犠牲者たち)が4人というのが、そうさせるのでしょうか? うーん?
すこし以前に観ましたある映画を想起させるラストなんですが、それを書いてしまうと一発でネタばれになってしまうので、書きません! それから、画像検索しますと、やはりネタばれしているものがありますので、注意してください~
ニーナとマット。
黒髪美人がレベッカ
(メラニー・ファレホ)。
レベッカの恋人のジャック
(ネイサン・フィリップス)。
ちょいアホ。
奇怪な小屋でマット
が見たものは…??
マットを置いて、
スタコラサッサ~(笑)
(2008)オーストラリア
出演…ミラ・フォークス
リー・ワネル
ネイサン・フィリップス
監督…ジョディ・ドワイアー
★★☆
〔ストーリー〕
動物の生態学を研究しているニーナは、タスマニアでも貴重な種類のタスマニア・タイガーの現状を調べるため、恋人のマット、友人のジャックとレベッカの4人で調査旅行に出かける。じつは、ニーナの妹のルースが8年前におなじ地で旅行中に溺死しており、彼女の追悼旅行の意味もかねていた。だが、島にはおそろしい秘密が隠されていて…!!
ジャック・ケッチャムのせいなのか、アジャ監督のせいなのかわかりませんが、こちらももはや、不動の地位を築きそうなホラーです。都会からやってきた若者集団が、文明とはかけ離れたとある場所で、現地のカニバリズムと遭遇!! みたいな~
考えてみればこの設定って、なにかと作る側にもお得ですよねー。とりあえず、舞台を選ばないから、砂漠のどまんなかでも、森の中でも、郊外の一軒屋だっていい。そこに無邪気な若者たちを用意して、奇形メイクを施した殺人鬼を登場させればOK! あ、もちろん、メイクなしのフツーのおっちゃんでもOKです。(そういう場合は、エログロ趣味も入ってきちゃうのでしょうか…)
“都会人 V.S 僻地の食欲旺盛な人たち” の構図は、それが純粋に「食材を得るため」という目的だからおもしろいわけで、いってみれば、どちらが正しいのか観ている側にも判断しにくいところだと思います。
それで、この作品もそんなきわどい線引きのなかで、ドキハラの鬼ごっこが展開されるのかな? と、思っていましたら、ちょっとちがっていました。
タスマニアというと、タスマニア・デビルのほかにも、こんな名物があったんですね。その名も、アレクサンダー・ピアス。タスマニアにはセーラ島という流刑地がありまして、19世紀のオーストラリアは、本土には置いておきたくない罪人たちをそこに送っていました。アレクサンダー・ピアスもそのひとり。ですが、彼は複数の仲間を連れて脱獄を図り、無人島にたどりついて食料不足に陥ってしまいます。そこで、彼らが選択した道は…
これが実話というから、人間っておそろしいですよね。しかも、このピアスという囚人、仲間を全員食べちゃってさんざん懲りたと思ったら、二度目に捕まったあとにまた脱獄(!)して、やっぱり連れの仲間を餌食にしちゃっています。カニバリズムというとよく聞くのが、クセになっちゃうの…♪ という、アレですが、アレ、ほんとにあるんですかね?? とてもじゃないですが、信じられません。
話がだいぶ逸れてしまいましたが、この作品は実在の食人鬼ピアスに触発された映画です。冒頭、脱獄を図ったピアスが警官隊に追われているところからはじまります。そして場面は変わって、現代。動物学を研究するニーナ(ミラ・フォークス)たち一行は、タスマニア島を目指すのですが…
単純な鬼ごっこではなく、ちょっとひねりの入った残酷ドラマです。わりとおもしろいです。ゴア描写はおさえめな感じです。あ、わりとオリジナリティもあるかもしれません。それでも、なぜかもの足りないと感じてしまうのは… 登場人物(犠牲者たち)が4人というのが、そうさせるのでしょうか? うーん?
すこし以前に観ましたある映画を想起させるラストなんですが、それを書いてしまうと一発でネタばれになってしまうので、書きません! それから、画像検索しますと、やはりネタばれしているものがありますので、注意してください~
ニーナとマット。
黒髪美人がレベッカ
(メラニー・ファレホ)。
レベッカの恋人のジャック
(ネイサン・フィリップス)。
ちょいアホ。
奇怪な小屋でマット
が見たものは…??
マットを置いて、
スタコラサッサ~(笑)
Dorothy Mills
(2008)アイルランド/フランス
出演…カリス・ファン・ハウテン
ジェン・マーレイ
デヴィット・ウィルモット
監督…アニエス・メルレ
★★★
〔ストーリー〕
ベビーシッター先で、赤ちゃんの首を絞めて殺害しようとした嫌疑をかけられている少女ドロシー。事件が起こったのは、アイルランドの本土から離れた小さな島の寒村。事実関係をたしかめるために、ダブリンの精神科医ジェーンは調査にむかうことにするのだが…
てっきりサイコ・サスペンスものかと思っていたら、いや、ミステリなのかと思っていたら、ホラーでした!! という作品をご紹介です。…といいましても、やっぱりサイコ・サスペンスよりの、どちらかというとミステリ的なホラーなんですけどね。
監督は、17世紀のローマに実在した女流画家の半生を描いた「アルテミシア」(1997)でデビューした、アニエス・メルレ。デビュー作もそんな雰囲気ですけど、この作品も、いかにも女性監督が撮ったという感触が強いです。あ、べつに、フェミニストを刺激しているわけではありません! ですが、ヒロインの細やかな心情や、登場人物の配置、物語の文学性なんか、いかにも女性らしいんですよね。ホラーなんですけど、ドラマ性の高い、ミステリアスなお話といった感じ。
(…個人的には、チャールズ・グラント+ミネット・ウォルターズかな、と)。
主人公の精神科医ジェーンを演じるのは、オランダの人気女優、カリス・ファン・ハウテン。わたしははじめてこの方を知ったのですが、えらい美人で色っぽい方です
ねー。ジェーンは都会の女、トレンチコートを格好よく着こなして、タバコを吸ったりするのですが、彼女がむかった先はまるで時間が逆行したような辺鄙な田舎。村人たちは教会に通い、新参者にたいする態度はけしてやさしくなく、下卑た男たちが彼女をからかい、必要最小限のこと以外はむっつり口を閉ざしたまま。
じつは、村にもうすぐ到着しようかというところで、とあるアクシデントに遭遇しちゃいます。猛スピードで飛ばす若者たちの車にひっかけられて、湖にザッパーン!! それ以外にも、ずぶ濡れでやっとこさ到着すると、バカな男どもにからかわれるし、食堂の2階に部屋を用意してもらったのはいいけど、深夜になるとギターの音がうるさくて眠れないし、なんか暴走してた若者が宿の下にいてこわいし、白眼のバアサンはもっとこわいし…!!
とまあ、いろいろとすったもんだがあるのですが、一方で、謎めいた少女ドロシーとの対話が行われるわけですが…
ドロシー役のジェン・マーレイは、これがデビュー作となるそうですが、なかなかよいです。映画のなかで彼女は薄い金髪と抜けるような白い肌を強調していて、服装もメルヘンチック、どことなく人間離れした雰囲気とエキセントリックな役柄がうまくはまっています。もちろん、ヒロインのジェーン役のカリスは魅力絶大です。彼女はもう、動いているだけでいいです。彼女の持つ年相応の知性と色気と悲しみがまた、ストー
リーに奥ゆきを与えています… なんていったら、やっぱり女性的だからー、とかいわれちゃいますか。
あと、警官のコリン役のデヴィット・ウィルモットもよかったですね。
ものすごーく丁寧に作られていて、伏線も複雑にはられているし、役者さんたちも素晴らしいし、ドラマ性もかなり高いんですけど、いまいち感情移入しにくい作品でもあります… それは結局、「閉鎖されたコミュニティ」というテーマに帰結してしまったから? 内容が複雑なわりには、全体的にあっさり淡白だから? ですが、カリス・ファン・ハウテンを見るだけでも、この作品は鑑賞する価値があると思います。
ジェーン役のカリス・ファン・ハウテン。
べっぴんさんですね~
ドロシー役の
ジェン・マーレイ。
楽しいお誕生日会…
ではありません!!
ジェーンが驚愕しちゃっ
てる理由とは…??
ジェーンと村人たちの目のまえに、驚愕の真実が明かされる…!!
(2008)アイルランド/フランス
出演…カリス・ファン・ハウテン
ジェン・マーレイ
デヴィット・ウィルモット
監督…アニエス・メルレ
★★★
〔ストーリー〕
ベビーシッター先で、赤ちゃんの首を絞めて殺害しようとした嫌疑をかけられている少女ドロシー。事件が起こったのは、アイルランドの本土から離れた小さな島の寒村。事実関係をたしかめるために、ダブリンの精神科医ジェーンは調査にむかうことにするのだが…
てっきりサイコ・サスペンスものかと思っていたら、いや、ミステリなのかと思っていたら、ホラーでした!! という作品をご紹介です。…といいましても、やっぱりサイコ・サスペンスよりの、どちらかというとミステリ的なホラーなんですけどね。
監督は、17世紀のローマに実在した女流画家の半生を描いた「アルテミシア」(1997)でデビューした、アニエス・メルレ。デビュー作もそんな雰囲気ですけど、この作品も、いかにも女性監督が撮ったという感触が強いです。あ、べつに、フェミニストを刺激しているわけではありません! ですが、ヒロインの細やかな心情や、登場人物の配置、物語の文学性なんか、いかにも女性らしいんですよね。ホラーなんですけど、ドラマ性の高い、ミステリアスなお話といった感じ。
(…個人的には、チャールズ・グラント+ミネット・ウォルターズかな、と)。
主人公の精神科医ジェーンを演じるのは、オランダの人気女優、カリス・ファン・ハウテン。わたしははじめてこの方を知ったのですが、えらい美人で色っぽい方です
ねー。ジェーンは都会の女、トレンチコートを格好よく着こなして、タバコを吸ったりするのですが、彼女がむかった先はまるで時間が逆行したような辺鄙な田舎。村人たちは教会に通い、新参者にたいする態度はけしてやさしくなく、下卑た男たちが彼女をからかい、必要最小限のこと以外はむっつり口を閉ざしたまま。
じつは、村にもうすぐ到着しようかというところで、とあるアクシデントに遭遇しちゃいます。猛スピードで飛ばす若者たちの車にひっかけられて、湖にザッパーン!! それ以外にも、ずぶ濡れでやっとこさ到着すると、バカな男どもにからかわれるし、食堂の2階に部屋を用意してもらったのはいいけど、深夜になるとギターの音がうるさくて眠れないし、なんか暴走してた若者が宿の下にいてこわいし、白眼のバアサンはもっとこわいし…!!
とまあ、いろいろとすったもんだがあるのですが、一方で、謎めいた少女ドロシーとの対話が行われるわけですが…
ドロシー役のジェン・マーレイは、これがデビュー作となるそうですが、なかなかよいです。映画のなかで彼女は薄い金髪と抜けるような白い肌を強調していて、服装もメルヘンチック、どことなく人間離れした雰囲気とエキセントリックな役柄がうまくはまっています。もちろん、ヒロインのジェーン役のカリスは魅力絶大です。彼女はもう、動いているだけでいいです。彼女の持つ年相応の知性と色気と悲しみがまた、ストー
リーに奥ゆきを与えています… なんていったら、やっぱり女性的だからー、とかいわれちゃいますか。
あと、警官のコリン役のデヴィット・ウィルモットもよかったですね。
ものすごーく丁寧に作られていて、伏線も複雑にはられているし、役者さんたちも素晴らしいし、ドラマ性もかなり高いんですけど、いまいち感情移入しにくい作品でもあります… それは結局、「閉鎖されたコミュニティ」というテーマに帰結してしまったから? 内容が複雑なわりには、全体的にあっさり淡白だから? ですが、カリス・ファン・ハウテンを見るだけでも、この作品は鑑賞する価値があると思います。
ジェーン役のカリス・ファン・ハウテン。
べっぴんさんですね~
ドロシー役の
ジェン・マーレイ。
楽しいお誕生日会…
ではありません!!
ジェーンが驚愕しちゃっ
てる理由とは…??
ジェーンと村人たちの目のまえに、驚愕の真実が明かされる…!!
Freakdog
(2008)イギリス
出演…アリエル・ケベル
サラ・カーター
スティーヴン・ディラン
監督…パディ・ブレスナック
★★☆
〔ストーリー〕
医学生のキャサリンとおなじ病院で働くケネスは、どもり癖があり、対人恐怖症気味で、どことなく薄気味悪い青年。しかし、彼女に好意を抱いているようで、こっそり携帯に彼女の行動を録画したりする。ある夜、研修仲間のキム、ショーンたちとクラブでパーティーをひらいて盛りあがろうとしていると、ケネスがやってきて、仲間に入れてほしいと頼む。ショーンは相手にしないが、ケネスは彼が麻薬を手に入れる場面を撮影していた。仕方なくケネスを仲間に招き、ドラッグ・カクテル “フリークドッグ”を飲ませてしまうのだが…
“幽体離脱ホラー” という触れこみのこの作品、まるでクーンツの 『12月の扉』 のようですね。まあ、離脱しちゃった魂が大暴れしちゃうの? それで、「イドの怪物」とか出てきちゃったりするのかしら…! と、ワクワク期待しながら観てしまったのですが、これがですねー、まあ、ごくフツーのスラッシャーしていました。 …スラッシャー? うーん、そのあたりの思いきりのなさがまた、非常にもの足りないんですけど…
ですが、悪くもなかったです。
物語は、ちょっと不気味で哀しいトラウマからはじまります。医学生のケネスくん(アンドリュー・リー・ポット)は、幼いころに貧しかったためか、母親が客引きをしていました。ケネスくんはそれをドアの鍵穴から見てしまうのですが、それに気づいた母親が行為を中断しようとして、客とトラブルに。彼女はひどい暴力をふるわれて、殺害されてしまいます。
大人になったケネスくん、そんな過去が心の傷となってしまったのか、自傷行為やどもり癖、対人恐怖症などといった、ビョーキでアブナイ根暗青年に成長します。当然、モテません。研修仲間も気味悪がって遠まきに。ですが、比較的性格のいい女の子・キャサリン(アリエル・ケベル)が憧れの的で、まるでストーカーのように尾けまわしたりします。
ある夜、キャサリンたちの仲間入りにしたいがために、パーティーにやってきたケネスくん。彼はそこでドラッグ・カクテル “フリークドッグ” を飲まされて、意識不明になってしまいます。研修仲間たちは自分たちの身を案じて、彼を病院前に置き去りにしてしまいます。こうしてケネスくんは昏睡状態に陥ってしまうのですが、キャサリンだけは罪の意識から逃れることができず、独力で彼を蘇生させようと、“ある薬”に手を出してしまうのです…
せっかくの “幽体離脱ホラー” なんですけど、肝心の「離脱の瞬間」が省略されていまして、気がついたら「憑依されちゃっている」パターンです… といいますか、これはたんなる “憑依ホラー” じゃないですか~!! と、騙された感が強いです。。。 ですが、こういうストーリーは、さきがわかっていてもわりかし楽しめておもしろいです。
全体的に思いきり感がいくぶん不足していて、痛いのにしても、不気味なのにしても、もうちょっとはっちゃけてほしかったですね。あと、ケネス役のアンドリュー・リー・ポットは、どうがんばってもビョーキ青年には見えません。ごくフツーの健康的な青年がどもってる感じです。オープニングのインパクトのあるトラウマ・エピソードも、生かす方向性があるとよかったんですけどねー。
ヒロインのキャサリンを演じるアリエル・ケベルがまた、絶世の美女タイプではなくて、ごくフツーのよくいる女の子なんですが、これはこれでアリですね。そのフツーさがまた、ラストに効いてくるんです。そのラストもおそらく、みなさんも、「…うん、そうだよねー」と、納得ずくの帰着の仕方だと思います。イギリスって、やっぱり意地悪なお話が好きなんですね♪
ビョーキ青年ケネスくん
(Aー・リー・ポット)。
ドラッグで昏睡状態に
なってしまうのですが…
身体を乗っとられて
しまうと、いろんな
破滅行為をして
しまいます!
はひ~、
ぐ、ぐるじいぃ!!
気がついたら、森の中
を下着姿で放置プレイ、
なんて意地悪も
あります…!
(2008)イギリス
出演…アリエル・ケベル
サラ・カーター
スティーヴン・ディラン
監督…パディ・ブレスナック
★★☆
〔ストーリー〕
医学生のキャサリンとおなじ病院で働くケネスは、どもり癖があり、対人恐怖症気味で、どことなく薄気味悪い青年。しかし、彼女に好意を抱いているようで、こっそり携帯に彼女の行動を録画したりする。ある夜、研修仲間のキム、ショーンたちとクラブでパーティーをひらいて盛りあがろうとしていると、ケネスがやってきて、仲間に入れてほしいと頼む。ショーンは相手にしないが、ケネスは彼が麻薬を手に入れる場面を撮影していた。仕方なくケネスを仲間に招き、ドラッグ・カクテル “フリークドッグ”を飲ませてしまうのだが…
“幽体離脱ホラー” という触れこみのこの作品、まるでクーンツの 『12月の扉』 のようですね。まあ、離脱しちゃった魂が大暴れしちゃうの? それで、「イドの怪物」とか出てきちゃったりするのかしら…! と、ワクワク期待しながら観てしまったのですが、これがですねー、まあ、ごくフツーのスラッシャーしていました。 …スラッシャー? うーん、そのあたりの思いきりのなさがまた、非常にもの足りないんですけど…
ですが、悪くもなかったです。
物語は、ちょっと不気味で哀しいトラウマからはじまります。医学生のケネスくん(アンドリュー・リー・ポット)は、幼いころに貧しかったためか、母親が客引きをしていました。ケネスくんはそれをドアの鍵穴から見てしまうのですが、それに気づいた母親が行為を中断しようとして、客とトラブルに。彼女はひどい暴力をふるわれて、殺害されてしまいます。
大人になったケネスくん、そんな過去が心の傷となってしまったのか、自傷行為やどもり癖、対人恐怖症などといった、ビョーキでアブナイ根暗青年に成長します。当然、モテません。研修仲間も気味悪がって遠まきに。ですが、比較的性格のいい女の子・キャサリン(アリエル・ケベル)が憧れの的で、まるでストーカーのように尾けまわしたりします。
ある夜、キャサリンたちの仲間入りにしたいがために、パーティーにやってきたケネスくん。彼はそこでドラッグ・カクテル “フリークドッグ” を飲まされて、意識不明になってしまいます。研修仲間たちは自分たちの身を案じて、彼を病院前に置き去りにしてしまいます。こうしてケネスくんは昏睡状態に陥ってしまうのですが、キャサリンだけは罪の意識から逃れることができず、独力で彼を蘇生させようと、“ある薬”に手を出してしまうのです…
せっかくの “幽体離脱ホラー” なんですけど、肝心の「離脱の瞬間」が省略されていまして、気がついたら「憑依されちゃっている」パターンです… といいますか、これはたんなる “憑依ホラー” じゃないですか~!! と、騙された感が強いです。。。 ですが、こういうストーリーは、さきがわかっていてもわりかし楽しめておもしろいです。
全体的に思いきり感がいくぶん不足していて、痛いのにしても、不気味なのにしても、もうちょっとはっちゃけてほしかったですね。あと、ケネス役のアンドリュー・リー・ポットは、どうがんばってもビョーキ青年には見えません。ごくフツーの健康的な青年がどもってる感じです。オープニングのインパクトのあるトラウマ・エピソードも、生かす方向性があるとよかったんですけどねー。
ヒロインのキャサリンを演じるアリエル・ケベルがまた、絶世の美女タイプではなくて、ごくフツーのよくいる女の子なんですが、これはこれでアリですね。そのフツーさがまた、ラストに効いてくるんです。そのラストもおそらく、みなさんも、「…うん、そうだよねー」と、納得ずくの帰着の仕方だと思います。イギリスって、やっぱり意地悪なお話が好きなんですね♪
ビョーキ青年ケネスくん
(Aー・リー・ポット)。
ドラッグで昏睡状態に
なってしまうのですが…
身体を乗っとられて
しまうと、いろんな
破滅行為をして
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はひ~、
ぐ、ぐるじいぃ!!
気がついたら、森の中
を下着姿で放置プレイ、
なんて意地悪も
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自己紹介:
独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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