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『廃墟ホテル』
原題 『Creepers』
(2005)
デヴィット・マレル:著
山本光伸:訳
ランダムハウス講談社文庫
〔ストーリー〕
地方都市アズベリーパークのかつての栄華の名残となった、〈パラゴン・ホテル〉。それはピラミッドのような建物で、ホテル・オーナーの大富豪カーライルには数々の謎があった。地方探検者を自認する 「クリーパー」 と呼ばれる違法侵入者たち… 大学教授のコンクリン、元教え子のビニー、リック、コーラたちに取材するために、取り壊し寸前の 〈パラゴン・ホテル〉 に同行することになった記者のバレンジャー。だが、そこには、忌まわしい過去と現在が秘められていた…!!
あまりのおもしろさに、徹夜本になること必至!!
マレルの最新ホラーでーす。
デヴィット・マレルというと、そうでーす、〈ランボー〉シリーズの原作者さんなんです。シリーズ1作目の 『一人だけの軍隊』 なんか、キングがベタ褒めして、自らの創作教室のテキストにも使っていましたね。そのほかにもミステリー、まあ、どちらかというと、冒険小説のイメージが強いかと思いますが…
ですが、わりとホラーも書いてるんです。世界幻想小説賞を受賞した 『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』 (『ナイトフライヤー』 所蔵)は、必々読のノヴェラです。たぶん、ホラーとしては5本の指に入っちゃうノヴェラなんじゃ…? まだ読んだことがないという方は、探してでも読んでください。
あと、『トーテム』 なんて、変わり種の人狼ものもありました。愛息のマシューを
たった15歳で病気で亡くしてしまった悲しい実話 『蛍』 は、文芸作品としても高い
評価をうけています。
そんな大御所マレルが、地方探検者 「クリーパー」 …つまり、廃墟に違法に潜りこむ人たちのことなんですが、その人たちを題材にとった超おもしろいホラー・ミステリがこちら。じっさいに、クリーパーという人たちはたくさん存在していて、ウェブで検索すれば、彼らのHPを見ることができます。
物語は、記者のバレンジャーが 「クリーパー」 と接触するところからはじまります。バレンジャーが取材することに成功したのは、変わり者教授のコンクリンをリーダーとする、元教え子でコンクリンを慕うビニー、リック、コーラの4人組のクリーパーたち。
彼らが目指すさきは、大富豪カーライルが残した〈パラゴン・ホテル〉。このホテルが、外観がピラミッドのようにエキゾチックながら、内装はすべて20世紀初頭に限定していたという、時間にとり残されたような不思議な空間です。なにより、カーライル自身が奇妙な経歴の持主でした。血友病のため、外出することがままならず、おまけに広場恐怖症で独身だったというカーライル。彼はホテルを閉鎖するまで最上階のペントハウスに暮らし、閉鎖してからもずっとそこに住んでいました… そして、ホテルを守るという偏執にとりつかれて、固い鎧戸をとざしたまま。
う~ん、地方探検、巨大な廃墟、謎の大富豪のオーナー、鎧戸… と、ホラー要素なロマンが詰まりまくっています! これだけでもう、ウッキウキしてしまいますよね♪
構成は、各章ごとに1時間ずつ経過していくんですが… 警察に通報されたり、だれかに目撃されたりしないようにと、コンクリン教授は午後10時から探検をはじめます。まあー、ただでさえ不気味な場所を訪問するのに、夜にスタートですよ。余計おもしろい… じゃなかった、こわいじゃないですか!
不気味な廃墟ホテルに忍びこんだクリーパーたちと、バレンジャー。そんな彼らに、思いもしない恐怖が襲いかかってきます。そして、ホテルに秘められた過去が徐々にあきらかになるにつれて…!!
あんまりおもしろい本なので、この “恐怖” なんですが、どういう種類のものかはいっさい書きません。みなさんもバレンジャーになったつもりで、クリーパーたちに同行しながら、廃墟ホテルの中を探検し、この恐怖が忍びよってくるのをゾクゾクしながら楽しんでください。やはり大御所、ストーリーテラーの水準が異常に高いです。そして、まさしく21世紀ホラーにふさわしい内容だと思います。
ついでに、短編集 『真夜中に捨てられる靴』 もオススメです。この表題作は、『リオ・グランデ・ゴシック』 という別タイトルで、世紀末モンスター・アンソロジー 『999』 にも収録されています。あと、マレルの描く主人公(男性)は、わたしがいまさらいうまでもありませんが、かっこよすぎて魅力的すぎ。著者のスタンスと人柄が出ているんだと思います。
オススメだったら買っちゃおうかな。
アンソロジーはアタリハズレありますよね。キングの『ゴーサム・カフェで昼食を』が載っていたアンソロジーを昔借りて読んだんですけど、今思えば買えばよかったな~と後悔しています。他もなかなか好みの作品が揃ってました。
献辞も良かったです。お母さんを愛してらした
んですね。でも最愛の息子さんを惨い病魔に
奪われた悲しみは一生癒えることは無い。
バレンジャーが変わり果てた奥さんとまみえる
場面は涙無くして読めません。
ホテルの部屋一つ一つにストーリーがあると
思うと、廃墟でなくても怖いような。
カーライル程変わり者のオーナーはいない
でしょうが。
短編集は入りやすいかもしれませんね。ミステリ好きならきっと、おもしろいかと思います。
『ゴーサム・カフェ』はいいですよね!わたしも好きです。異常な愛の物語…みたいな宣伝文句がついてましたが、ただのサイコものだったという…(笑)
でも、いい作品ばかりでした。訳出されているアンソロジーは、どれもレベルの高い作品ばかりです。
亀母さんもお読みになってましたね!
いやー、さすがマレル、こんな話になっちゃうとは、オープニングからはまったく想像つきませんよね。
奥さんもかわいそうでしたが、殺されてしまった人たちもかわいそうでした。
でも、バレンジャーがオトコ前で! かなり盛りあがったです。結末で、なんか奥さん似の女性ともしかして…? みたいな、淡い期待を抱かせるのもよかったです。
愛と哀しみを経験してる人だからこそ、いい作品が書けるんでしょうね。この方は日本でももっと評価されてもいいですよね。
も買ってしまいました。表題作はSFとしても素晴らしいです。スリザーを観た時思い出しました。
「霊廟」というお話が一番ズーンときました。
愛息を失う話はいっぱいありますが、実際に
経験した方の悲しみと絶望は胸に迫ります。
柏なんとか舎からも短編集が出ているとは知りませんでした!
『オレンジ~』 はすばらしいですよね。わたしは菊川近子さんの 『赤い爪あと』 を思い出してしまいました。ゴッホをモデルにしているのでしょうが、これぞ短編ホラー!という、きっちりした内容ですよね。
愛する人との別れを経験した作家さんというのは、やはりしんみりした、経験者にしかわからない悲しいリアルさがあります…
『蛍』も涙なくしては読めませんでした。こんなふうに人生に裏切られても、この方は強い方だなあと、しみじみ… だからマレルの描く主人公は強いんでしょうか? タフだけれど、けして過剰なタフさじゃないし、悲しみを表現するにも端的ですよね。そこが逆に共感を呼ぶんですが。わたしはこの方の端的さが好きです。
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独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
*A Lonely Place to Die
*Super 8
*Insidious
*The Woman
*Rammbock
*Season of the Wich
*Red Rising
*The Violent Kind
*Red White & Blue
*11-11-11
*The Feed
*Nang Phee
*Scream of the Banshee
*Dylan Dog: Dead of the Night
*Misteri Hantu Selular
*The Silent House
*Who Are You
*I Didn't Come Here to Die
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*4bia