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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   『16の殺人ファイル』


原題『Proclaimed in Blood』
(1995)
ヒュー・ミラー:著
加藤洋子:訳
新潮文庫


〔ストーリー〕
 グラスゴーの中心街で、鉄柵に串刺しにされて撲殺された高級娼婦の遺体が発見された。被害者の爪のあいだから採取した物質を分析した結果、植物の組織であることがわかり…
 過去半世紀に世間を騒がせた殺人事件をレポートし、かすかな痕跡をもとに事実を積み重ねて、事件解決に貢献する法科学者たちの活躍を描く。おもしろいです。


 絶版になっているようなんですね、この作品。
ハイ、結論からいってしまいます。傑作です。未読の方は、ぜひとも手に入れましょう。“事実は小説より奇なり” というのは、まさにこういうことなんですね。

 タイトルにもあるとおり、現実に起こった 「16の殺人事件」 の模様が描かれているんですが、結論にいきつくまでの科学者たちの、ほとんど執念ともいうべき捜査手順にはうなってしまうこと確実です。こんな細かい努力の積み重ねによって、結論を導きだしていたんだ、と、感心してしまうことうけあい。たぶん、大ヒットドラマ「CSI」シリーズをどれかひとつでも観たことがあるという方なら、わかっていただけるんじゃないでしょうか…… 現代殺人において、「証拠」 というのは不可欠なんですよ。それが科学的であればあるほど、実証されやすいわけです。

 また、事件の詳細が紐とかれることによって浮かびあがる、複雑な人間関係というのも、ときに哀しかったり、やるせなかったり…
人が人を殺すには、それなりの動機があったり、まったくの思いつきだったり…

 それにしても、ノンフィクションでありながら、この密の濃さはどうですかっ!
ミラーの筆致もじつに淡々としたもので、事実だけを客観的に述べているぶん、現実に起こった殺人の寒々しさというのが余計に際立っています。それにしても、この16件の悲劇すべてが、腕のある人にかかると立派な長編になってしまいそうなところが…… いえいえ、これは下世話な話ですか。

 ミラーはこの後も、「殺人データ・ファイル」(1998)(新潮OH!文庫)という続編を出版しています。こちらも大傑作の部類に入るものですので、お見逃しのないように。






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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

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