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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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  『フィーヴァードリーム』

原題 「Fever Dream
1982
ジョージ・R・R・マーティン:著
増田まもる:訳
創元推理文庫

〔ストーリー〕
 事故で持ち船を失った船長のアブナーのもとに、ミシシッピ川を船旅したいという美青年、ジョシュア・ヨークがあらわれる。彼はそうとうな資産家らしく、報酬も法外で、壮麗な蒸気船〈フィーヴァードリーム号〉を用意していた。ジョシュアの素性や動機を不審に思うものの、〈フィーヴァードリーム号〉にすっかり魅せられたアブナーは、その申し出を承諾してしまう。だが、彼はまだ知らなかった。ジョシュアの正体も、ほんとうの目的も…


 ジョージ・R・R・マーティンの 『フィーヴァードリーム』 です。
上下2巻にわかれてまして、けっこう読みごたえのある内容なんですが、これがまた、燃えるんですねえ~!!

 ようは 「吸血鬼もの」 なんですが、この作家さん、〈ナイトヴィジョン・シリーズ〉(…あらかじめ決められた枚数内で、好きなものを書いていいっていうシリーズです)なんかでも、『皮剥ぎ人』 (文庫本のタイトルは『スニーカー』で、S・キングのクレジットになってます)なんて中編を書いてます。こちらはなんと、「狼男もの」。これがまた、突出した出来でサイコーにおもしろいんです~!
 
 古典作品をほどよく原題風にアレンジして、なおかつ、登場人物が魅力的 エンタテイメント性もかなりのレヴェルの高さです。本作品も、ただのヴァンパイアものではないですよ。

 1950年代のアメリカを舞台に、ミシシッピ川を蒸気船に乗って旅する美形吸血鬼と無骨な船長アブナーの物語。まるで 『トム・ソーヤーの冒険』 のような、爽やかでワクワクする冒険譚と、男と男の友情がメインとなっています。

 ジョシュアなんですが、名前からもわかるとおり(← キリストをもじってます)、善玉の吸血鬼です。自分で作った血のワインを持って、ほかの吸血鬼たちを呼びよせようとします。ミシシッピ川を下るのはそのためなんですね。てっとり早く同類を見つけようという手段なんです。彼は過去の苦い経験から、人間を襲わなくても生きていけるんだと、自らをして証明しています。
 
 これに対抗するのが、ダモン・ジュリアン(← 悪魔っぽい名前ですね)。極上の美人奴隷をわざわざ高額で買いとって、愉しみながら餌食にするという、とんでもない吸血鬼です。もちろん、ジョシュアとは正反対の堕落的タイプ。
 
 とにかく、アブナー・マシューの存在がイイです。ちょっと古いタイプの男性なんですが、不恰好で不細工なくせに、とんでもなく魅力的で愛らしい! 気にいっているセリフのひとつに、「あんなでぶで、いぼだらけのヤツはほかにいない!」なんて、いわれ
ちゃうシーンがあります。アブナーはそんなふうに、気取らない感じの男なんですね。こんな人、大スキー!!

 だから当然、ジョシュアとも仲よしになっちゃいます。男の中の男マシューに、高潔なヴァンパイアも惚れちゃうんですね
でも、ふたりは吸血鬼とフツーの人間。そこにはけして越えられない壁があって、当然切ない宿命も待ちかまえているのです…

 ラストはかなりジーンときて、盛りあがっちゃいます。まだ読んだことがないという方、ぜひぜひ、盛りあがっちゃってみては!






     

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この作家さん大好きなんです。
これは数ある吸血鬼小説の中でも極上
の一品です。取り上げて下さってありがとう!おっしゃる通りマシューがいいんですよね。「ミシシッピー河流域で最も醜い男」ですもの。これが美男子でジョシュアとヤオイみたいな関係になったら、作品の
価値は激減です。ジョシュアが誕生の際に
母体を殺してしまう吸血鬼の宿命をなんとかしようと奮闘する所が切ない。
「サンドキングス」が復刊した時速攻で
ゲットして家宝にしました。
奈良の亀母 2008/01/03(Thu)20:23:04 編集
亀母さん♪
亀母さんとは、思いっきり好みがかぶってしまいますね♪
わたしもこの作家さん、大好きなんです~!
「サンドキングス」もよかった。
なにより、口あたりのいい娯楽に徹しているのが、すごくイイと思います。
あと、SFでもいくつか邦訳されてるんですよね…
たぶん、もう絶版になっちゃっているだろうから、これからコツコツ地道に手に入れようと思ってます。
ななみ 2008/01/03(Thu)22:40:31 編集
マーティン様のことを話せるなんて!
七王国の玉座などのファンタジーもいいですが、またSFも書いて欲しいと思っていたら「タフの方舟」シリーズが出ましたね。
慇懃無礼とはまさにタフのこと。
「皮剥ぎ人」は銀と鏡の輝きに彩られた
美しくも怖い話でした。ヒロインが足を砕かれるところが痛そう。
奈良の亀母 2008/01/04(Fri)22:56:05 編集
亀母さん♪タフといえば…
猫好きですね~。
じつはわたし、ファンタジーは読んだことがないんですよ。
苦手分野(?)といいますか、でも、マイケル・ムアコックを読んでみて、なんだ、すごいおもしろいじゃないー! と、けっこう感動しちゃいました。
先日も大きな書店にいって、ロバート・E・ハワードを買いこんできたばかりです。
マーティンのファンタジーも、ぜひぜひ読みたいです~!!
ななみ 2008/01/05(Sat)22:24:52 編集
無題
重版本の表紙は、これなんですね。
初めて見られました。
私が探していた時は、丁度絶版の時で、ネットで古本探して取り寄せました。
復刊されたのは嬉しいんですけど、私の出費はどうしてくれんの…みたいな複雑な心境でした。
GATECRASHER URL 2008/02/15(Fri)03:57:35 編集
GATECRASHERさん♪♪
そうなんですよね、持っていると、「復刊しないでー!!」と、なりますが、持っていないと、ぜひ復刊してほしい…(わたしは、持ってないことのほうが多いです)(悲)…
でも、いくぶんそっけない?感じですよね。↑
やっぱりオリジナルの表紙のほうが、ずっと魅力的だと思います。
ななみ 2008/02/15(Fri)21:05:36 編集
マイケル・ムアコック
マイケル・ムアコックという作家名に反応してしまいました。最近復刊されていますが、昔はなかなか手に入らずに古本屋を探しまくりました。販売されているムアコックの文庫は大半持っています。
個人的には「エルリック・サーガ」が好きですがななみさんは何を読まれたのですか?
クロケット 2008/02/29(Fri)00:10:13 編集
ムアコック!
「グローリアーナ」を読みました。
大半をお持ちだとは、さすがクロケットさん!!
なかなか新刊をまとめて買う余裕がないんですが、
古本屋でチビチビ発掘しています。
「エルリック・サーガ」も読みたいです~~~。
ななみ 2008/02/29(Fri)23:24:35 編集
エルリック・シリーズ
エルリック・シリーズはムアコックの中でも一番のお勧めです。生まれながらにして、アルピノで赤い目をもつメルニボネ王国の皇子エルリックは人の魂をすする黒の剣ストームブリンガーを持たないと生きられないが、この剣は敵ばかりでなく、近親者の命をもうばっていく・・・。剣を憎みつつも、その剣がないと生きられないという運命に翻弄される斜陽をたどる一族の皇子のダークファンタジーです。
ムアコックの作品の面白さは、別の次元(作品)の英雄たちが、作品の中でお互いに集う(リンクする)シーンがあることです。
クロケット 2008/03/07(Fri)23:19:36 編集
クロケットさん♪
あらすじに目を通しただけでも、すっごく読みたいです!!
ダークファンタジー、大好きです。リンクものも、一度はまると楽しいですよね~。
ななみ 2008/03/08(Sat)00:07:55 編集
日本で最新刊でも34年前の作品。
マーティン様の「星の光、いまは遠く」ゲット!
タフの方舟と同じ訳者の方で下巻のラストに用語集付いています。「一千世界」の歴史や星、種族が詳しく書かれていて思わず「サンドキングズ」を引っ張り出して詳細をつき合わせてしまいました。
「スターレディ」の舞台であるジスロックが小さな人工惑星だったなんて初めて知りました。この用語集は作者公認なのかしら?1983年のホラー作品が翻訳される予定だそうですが、某社ってどこよ!クトゥルー熱が吹き飛んでマーティン作品読みたい病がぶり返してしまいました。
奈良の亀母 2011/06/16(Thu)20:11:46 編集
天才の域に近づけそうな…
>亀母さん
マーティン様の『星の光、いまは遠く』、うらやましいですです~、わたしも早くゲットしたい!!
用語集がついているだなんて、これはもう、ファンにとっては垂涎ものですね。マーティン様の世界観は複雑で入り組んでいるので、用語集で再確認して勉強しなおしたいです。
83年の長編はSFかと思ってたんですが、ホラーだったのですね。これまた非常ーーっに楽しみです!!
わたしもときどき読みかえしているのですが、何度も思うのはうまいなあ、突拍子もないアイデアと、ときどき残酷なほどリアリティ…以前、チェスの名人と聞いたことがあります。マーティン様がクトゥルーを書くと、思弁的すぎてべつの物語に昇華してしまいますから、これまたすごいです。とくに短編集は、何度読んでも至福の時間を味わえてしまいます!
某社ってどこですか?わたしも気になるんですが…
ななみ 2011/06/17(Fri)23:33:25 編集
図書館、夜も開館してほしい。
図書館でマーティン様の洋梨型の男や氷と炎の歌を
借りてホクホクしていたら、復刊されたアンナ・カヴァンの「氷」が置いてあるではあーりませんか。
こういう高価、嵩張る、書店にない本は図書館で借りられると大変ありがたいです。
早速読んでみましたが、どこまでが現実でどこからが幻想なのか分らなくなってきます。
とにかく少女への執着が凄いです。少女といっても
21歳だし既婚なんですが。他人の嗜虐性を呼び覚ますような風にも耐えぬ華奢な美少女。
銀の髪と雪の肌。自分が体脂肪40パーセントの
オバハンなせいか、いまいち作品に入り込めませんでした。彼女さえいれば!というセカイ系はどうもなあ・・・。1967年に書かれたのは時代を先取りしてたんでしょうが。ラブゲームでツンデレしてる間に地球がゴンゴンに凍ってしまってますがな。
奈良の亀母 2011/06/24(Fri)13:07:59 編集
どこでもドアがほしいです
>亀母さん
すっかりすっかり暑くなってしまいました~
まだ6月だというのに、バテ気味です。
映画も観れていません。すいません!!
夜の図書館はいいですね!
静かそうだし、涼しそうで居心地よさそうです。広い空間にだれもいなかったりすると、独り占め気分でうきうきしてしまうわたしです。
アンナ・カヴァンという作家さんは、はじめて知りました。あと、セカイ系という言葉を知ったのもつい最近です。
伝説歪曲萌え小説??どんな感じなのか、見当もつきません。でも、おもしろそうです♪
21歳の美少女がツンデレして、世界を凍らしてしまうのですね。バラードの結晶世界の漫画っぽいバージョンみたいです。わたしの近所の図書館にも置いてあるといいんですが。
図書館は便利ですよねー。話題の新刊、ちょっと気になる新作は、図書館でチェック!そこから購入することは、まずないんですけど…そうだ、図書館にいこう!
ななみ 2011/06/28(Tue)22:13:07 編集
華奢という言葉から真逆のタプタプバディ。
この作家さんの小説はサンリオSF文庫に三冊入っていて「氷」だけが復刊されました。仰る通りバラードの結晶世界と手触りが似ています。また裕福な家庭に生まれ母親の圧力に苦しんできた経歴はティプトリーを思い出させます。世界が凍るのは核兵器のためで少女は何もしないのです。セカイ系では戦闘美少女が頑張るのに、この少女はホンマ受身なんです。僻んでしまいますよ、ホント!男の庇護欲をそそるってだけで助けてもらえてよう・・・。未来少年コナンのラナちゃんみたくテレパシーで博士を探してインダストリアの人々を助けるとか、ラピュタのシータみたく滅びの呪文で古代文明を守ったりしないのよ!
ピーチ姫だって助けに来たマリオに感謝の一つもするのに「そばに寄らないで!」「あなたは永遠に私をさいなむことをやめられないの?」ですと・・・。
「ザ・ロード」では我が子を守りたいという父親の愛に感情移入できたのになあ。
奈良の亀母 2011/06/30(Thu)20:56:34 編集
わたしも痩せたいです!
>亀母さん
ラノベ(陳腐な人間ですいません)、っぽいSF小説なのでしょうか?
遅ればせながら、つい最近西尾維新さんを読んでみまして、うーむ、デビュー作はそれなりにおもしろかったものの、しかし、あの幼稚な会話はどうにかなりませんのでしょうか…
でも、若い世代に人気なんですよねーって、それももう遅いですか??
世界が凍るのは核兵器のせいだったんですね。佐々木淳子さんの『ダーク・グリーン』みたいな、不思議能力少女が登場するかと思ってました…
受身ゆえに、自己中なヒロインといったら、まず思いつくのが『王家の紋章』のキャロル!!ついでに、ピーチ姫もさらわれすぎ~(笑)。たまには自己防衛してください~
『ザ・ロード』も、おもしろそうですよね。父性愛はわたしの永遠の追及テーマなのです!
先週は忙しくて、図書館にいけませんでした…今週さがしてみるつもりです。
そろそろ綾辻行人さんの『アナザー』と、佐藤友哉さんの『デンデラ』を借りられそうな気がするんですが…
ななみ 2011/07/04(Mon)22:01:45 編集
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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

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