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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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            The Reflecting Skin




1990)イギリス
出演…ジェレミー・クーパー
ヴィゴ・モーテンセン
リンジー・ダンカン
監督…フィリップ・リドリー
★★★


〔ストーリー〕
 五十年代のアメリカ、アイダホ州の田舎町。七歳の少年セスは、町外れの邸宅にひとりで住む未亡人・ドルフィンに興味を持ち、吸血鬼ではないかと疑いはじめる。おりしも近隣の町では、子供の殺害事件が連続して起きていた。とうとうセスの友人が行方知れずになったとき、警察はセスの父親に容疑の目をむけるが…


 ブリティッシュ・フェスティバルでも上映された「柔らかい殻」、ご覧になった方も多いんじゃないんでしょうか。
 詩的でうつくしい田園風景のなかで、少年の虚構と幻想が繰りひろげられます。
と書くと、「El Espiritu de la Colmena」「ミツバチのささやき」1973)みたいなファンタジーを想像してしまいますが、そこはさすがイギリス映画、

ひねくれてるねえ~っっ!!

 冒頭でカエルをぱんぱんに膨らませてから、小石で打ち破くシーンはショッキングです。
無邪気な子供だからといって、ナメてはいけません。いや、無邪気だからこそ、自分の欲に忠実で、ときにはケモノのようになるのでのす。 
で、その結果の破壊力なんて、大人顔負け。

 画面はひたすらアメリカの幸福だった黄金時代、一面金色に輝く小麦畑、広い青空を映しだしますが、その背後には連続殺人、セスの兄のキャメロンの被爆といった暗い影が忍びよっています。

 そして、平穏な風景の下に隠されていた狂気が噴出する瞬間…!
ほんとうにおそろしいものはどこにあるのか。
後味は非常に、非常に悪いですが、イギリス人の描く世界観ってこんなに皮肉なんだと、ねじくれかえってるんだと、納得できると思います。

 舞台となる田舎町もどこか現実離れしていて、虚構が入り混じってるよう。
もともとこの監督は、子供の悪意が紡ぎだす世界をリアルに描こうとは思ってなかったのかもしれません。

あと、双子のおばちゃんが無意味にコワいんだけど、なんだったんだ!  






セスと兄のキャメロン。
モーテンセンはこの後、
「ロード・オブ・リング」
アラゴルン役で大人気に
なりました。





ミレーの絵画みたいな田園風景
の中で育って、幸せになれそうな
気もするんだけどなあ…










未亡人・ドルフィンを演じるのは、
リンジー・ダンカン。






キャメロンは、ドルフィンの
繊細で謎めいた魅力に
惹かれるようになりますが…







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           The Changeling

 

1980)
カナダ 
出演…ジョージ・キャンベル・スコット
トリッシュ・ヴァン・デヴァー
メルヴィン・ダグラス
監督…ピーター・メダック
★★★★


〔ストーリー〕
 不運な事故で妻子を失った作曲家のジョンは、悲しみを忘れて仕事に没頭するために、人里離れた屋敷に移り住むことに。だが、その屋敷は「人を拒む」 と評判で、ジョンもさまざまな怪奇現象に見舞われるようになる。
 ジョンは友人クレアとともに、屋敷の過去の調査に乗りだすが…?


 邦題は 「チェンジリング」 です。
派手な演出やグロテスクなシーンがひとつもないにもかかわらず、傑作と評されている作品群とひけをとらないとの、呼び声が高い名作。
また、鈴木光司氏の 『リング』 が、この映画に触発された作品であることも有名です。

 愛する家族を失ったジョンを演じる、名優ジョージ・C・スコットの抑えた演技がとにかく光ってます。
やさしくて哀しいピアノの音色が、静かに胸に染み入るんですよ~。
この哀しくて穏やかな世界にずっと浸っていたい… そんな気分にさせておいて、じわじわ恐怖が忍びよってきます。

 でも、この幽霊はぜんぜんこわくありません。
おそらく、ジョンのとらえ方と心境がそのまま画面に反映しているからですね。
怪奇現象の正体を見破ろうというよりも、なんとかしてあげたいというジョンの姿勢に、こちらも自然と傾いてしまいます。

 幽霊屋敷を歩きまわるようなカメラワークも、抜群によろしいです。
どこかになにかが潜んでいるのではないかと思わせる長まわしのカットに、こっちも息を止めてしまいます。アジアン・ホラーにありがちな、下手すると笑っちゃうわざとらしさがまったく感じられないんですね。( …こういうとこ、もっと見習ってほしいですね!)

 前半はオカルト・テイストで進みますが、後半からミステリーに。
真相を知りたいという欲求でワクワクさせてくれます

 それから、有名なアノのシーンは、いまとなってはよくお目にかかる手法ですが、これほどの戦慄を無理なく成功させたものはなかったのではないでしょうか。
のちのホラー全般に多大な影響を与えた傑作です。必見!








トラックのスリップ事故に
よって、妻子を失って
しまいます。







 
これが問題の幽霊屋敷。







作曲は順調に進んでいる
ようですが…







ジョンとクレアがいきついた
先には??







         Prince Of Darkness



1987)アメリカ
出演…ドナルド・プレザンス
リサ・ブロント
ジェイムソン・パーカー
監督…ジョン・カーペンター
★★★☆


〔ストーリー〕
 ロサンゼルス。十六世紀に建てられた廃墟のような教会で、神父が謎の死を遂げる。大司教ルーミスは、死んだ神父が予知したおそるべき悪の復活を阻止しようと、大学教授バイラックの率いる科学研究チームに助けを求める。しかし、教会地下の礼拝堂でくすぶりつづけていたその力は、いまにも復活のときを迎えようとしていた…!

 
 ジョン・カーペンターの「パラダイム」です。
この作品、じつに勢いのあるB級映画といった感想をもってまして、わたしは大好きです


 邦題では 「パラダイム」 (時代に影響された思想のことですね)になってますが、原題は〈闇の王子〉、これが問題の悪魔のことらしいです。
 で、くだんの悪魔は 緑色のプラズマになって、遥かむかしから円筒状の容器に閉じこめられていたよーなんですが(← …だれが作ったんでしょ?)、永いあいだに力を蓄えたいま、この世界に出てこようとしている… という話を学生たちが科学用語を交えて説明してくれます。が、

なにをいってるのかさっぱりわかりません!
 
 ですが、そこはまあ、カーペンター、なんとなくそういうことなのねと納得させて、いつの間にかお話の中に引きずりこんでしまいます。
おどろおどろした(ちょい古風な)BGMも、カーペンターにとっては得意分野。
ゾンビもどきの 〈闇の王子〉 の手先も、ロメロの影響を受けた(?)かどうかはさておき、なかなか手強いです。
んで、大風呂敷を広げてるわりには、舞台が終始古ぼけた教会内っていうのもツボかも。
ラストで邦題の意味が 「な~るほど」 と、瓦解する仕組みになってます。
 
 トリビアに、ホームレス役にアリス・クーパーが出演してますので要チェック!









ルーミス(D・プレザンス)は、
死んだ神父が遺したおそるべき
秘密にたどりつき…







こちらがホームレス集団率いる
アリス・クーパー。けっこう
さまになってるんですよ。






〈闇の王子〉に身体を乗っとられた
研究チームのメンバーは、
ゾンビ化して…!









はたして彼らは、魔の手から
世界を救うことができるのか??







    Heavenly Creatures


1994)イギリス/ドイツ/ニュージーランド
出演…メラニー・リンスキー
ケイト・ウィンスレット
ダイアナ・ケント
監督…ピーター・ジャクソン
脚本…フランシス・ウォルシュ
★★★★


〔ストーリー〕
 内気な少女ポーリーンの通う女学校に、イギリスからジュリエットという転校生がやってくる。ポーリーンの家は下宿屋を営む低所得家庭、ジュリエットの父親は大学の学長と、まるで異なる世界に住むふたり。だが、親友同士になり、彼女たちだけの密接な世界を築きあげる。周囲の人間はそれを心配し、同性愛ではないかと引き離そうとする。思いつめた二人がとった行動とは…


 邦題は「乙女の祈り」です。
「ピーター・ジャクソンってやっぱり天才だったんだ!」と、世に知らしめた作品です。
 
 1950年代にニュージーランドで実際に起きた事件だそうですが、思春期の少女の純粋さと残酷さが鮮やかに、これでもかと描かれていて見事です。
 彼女たちの妄想世界がまた、じつに真に迫ってて、反吐が出るほどキレイなんですよ~。

 粘土細工の人形が踊りだすところとか、はっきりいって不気味です。ぜんぜん乙女チックではありません。
でも、その不気味さに異様な魅力があって、惹きつけられてしまうんだなー。

 思いこんだら一直線、十代特有の狂気と熱気みたいなものが、ファンタジック(で、どこかオソロシげ)な映像とともに、ラストの悲劇にむかってひた走る。
これがジェットコースターに乗っているようで、どこに連れていかれるのかわからないハラハラ・ドキドキ感がたまらないのです。 

 脚本を担当したのは、ピーターのパートナーでもあるフランシス・ウォルス。
あと、音楽方面でも充実してます。 
プッチーニの「蝶々夫人」が印象的ですね。

 






変わり者のポーリーンは、
学校でもちょっと浮いた存在。








   
ケイト・ウィンスレッド、
若いですねー。
全編こんな感じでレズってます。







下着姿で無邪気に
たわむれてみたり。









彼女たちが下した
決断とは…?!?







         dentity



2003)アメリカ
出演…ジョン・キューザック
レイ・リオッタ
アマンダ・ピート
監督…ジェームズ・マンゴールド
★★★☆


〔ストーリー〕
 豪雨の夜、落ち目の女優・キャロラインの運転手エドは、3人の家族連れの車と事故を起こしてしまう。近くのモーテルに助けを求めるが、電話は不通。積水に行く手を阻まれて、やむなくモーテルに避難することに。
 そこには、おなじようにして集まった10人の男女、元娼婦、新婚夫婦、刑事と囚人などがいた。見ず知らずの彼らは、それぞれなにか秘密を抱えているようなのだが…


 ミステリー好きにはたまらないサイコ・サスペンス映画、それが「アイデンティティー」です!

 この映画、なにがおもしろいって、途中で結末が読めても、ちゃんと最後に驚きがもうひとつ用意されてること。 
それできっちりホラーとしても成り立っちゃってるわけです。
このサービス精神には拍手喝采ですね~!!

 役者陣も魅力的な逸材をそろえています。
ジョン・キューザックは演技派だし、アマンダはキュートだし、プルットにいたっては、タイトル以前でネタばれしてるじゃん! って、思ったり…
それでも、完璧に近い出来映えなんですね。

 脚本もいっさい無駄がないし、ラストで簡潔にピタリ! と決まるカッコよさ( …メフィストっぽいと思ったのは、わたしだけでしょうか?)。
もはや、なにもいうことはなしなのです。

 いやー、でも、この程度のトリックなら、けっこう考えつけるよーと思っている、そこのアナタ、こういうプロットは、実際ひねりだそうとしても、なかなかできるもんじゃないですよ~。
 とにかく秀作なので、未見の人はぜひ、ご賞味あれ。









ごくふつうの家族に災難が
降りかかってしまいます。





ローズ(レイ・リオッタ)は
元刑事エドを信頼して、
護送中の殺人犯を
拘束しますが…






エド(ジョン・キューザック)と、
ベガスでコールガールをしていた
パリス(アマンダ・ピート)。







モーテルの管理人まで
怪しくなりだして…?







       Santa Sangre



1990)メキシコ/イタリア
出演…アクセル・ホドロフスキー
ガイ・ストックウェル
ブランカ・ゲッラ
監督…アレハンドロ・ホドロフスキー
★★★☆


〔ストーリー〕
 ナイフ投げの達人でサーカスの団長でもある父と、空中ブランコ乗りのスターの母をもつ少年、フェニックス。ある日浮気をなじられた父が母の両腕を切断、首を掻き切って自殺してしまう。一部始終を目撃していたフェニックスは精神を病み、施設に送られる。
 やがて、成長した彼の前に母があらわれた。彼女は両腕を失っても生きていたのだ。独裁的な母に命じられるままに、フェニックスは女性を殺すようになり…


 ホドロフスキーといえば、「El Topo」「エル・トポ」1970)「The Holly Mountain」「ホーリー・マウンテン」1973)ですね。
「エル・トポ」といったら、ジョン・レノンがフィルムを買い占めたなんて話も。
「Dune」「砂の惑星」1984)にいたっては、「オレは天才」、「オレをただの映画監督だと思うなよ」などとことあるごとに豪語して、降ろされちゃったなんてお茶目な逸話も。

 そのホドロフスキー監督が満を持して撮った 「サンタ・サングレ/聖なる血」、ああ、やっと一般にも理解できる映画を作ってくれたのね、と世間を安心させるとともに、ふたたび大きな話題を呼んだのでした。

 メキシコで実際に起きた事件をもとにしたという触れこみですが、うつくしくも残酷な絵巻の展開に魅了されてしまいます。
まさしく、「過剰にすることで美を追求」 したといった感じ。

 サーカスの風景や小人、刺青女、ピエロといったシュールでエキゾチックな風景も(この雰囲気がまた、いかにも “ラテ~ン”って感じなんですよ!)目を引きますが、施設内のシーンにいたっては、ほんものの障害者の集団をエキストラに使ったりしています。
 
 でも、なんといっても心に残るのは、聾唖の少女アルマとの触れあいシーン。
この場面、泣けちゃうほど純粋でカワイかったりします!
アルマの純粋さだけが、フェニックスの犯行を止めることができるのですね。
たぶんこの映画でホドロフスキーを知ったという人も、多いんじゃないのかな…

 ちなみに、少年時代のフェニックス、青年時代、ポン引き青年を演じるのは、アダン、アクセル、テオと、ホドロフスキーの息子さんたちです。









少年時代のフェニックス。
胸に刺青を入れるシーン
が痛カワイそう~!








 



父のオルゴは、
アバズレ刺青女と浮気中。

 



火をわたしたロープ(!)で、
綱渡りの練習するアルマ。
このコがとっても
いい子なのです





 
両腕を失った母のために、
彼女の手となって食事を
食べさせるフェニックス。








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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

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