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(2007)アメリカ
出演…ウィル・スミス
アリス・ブラガ
チャーリー・ターハン
ダッシュ・ミホック
監督…フランシス・ローレンス
★★★
〔ストーリー〕
2012年、人類が死滅した地球でただひとり、科学者ネヴィルが生き残る。ネヴィルは孤独と戦いながら、愛犬サムとともに日々を過ごし、無線に希望を託して交信をつづける。そして夜になると、やつらが活動をはじめるのだった…!
リチャード・マシスンの 『地球最後の男』 の三度目の映画化、「アイ・アム・レジェンド」です。この作品、ウィル・スミスがミスキャストなのかどうか、そればかりが気になっていたんですが、結果からいいますと、
ちっともミスキャストではありませんでした!
ウィルの演じるネヴィル、とてつもなくシリアスです。
この作品の再度映画化の話を聞いたとき、地味なものになるのではと予想したんですが、半分当たっていました。そもそも、登場人物が極端に少ないのですから、ス
トーリーに起伏を持たせることはややむずかしいかと思われます。
ウィルのネヴィルは、そんな中でも、緊張感と悲壮感をつねにしょってます。孤独感がひしひしと伝わってきます。全体のムードとしては重いほうなんですが、それでもギリギリ娯楽作に踏みとどまっているのは、主役がウィルだから! たぶん、この人ではなく、もっと演技派の役者さんなんかを使ったりしたら、重苦しすぎてアメリカ人にはまったくウケないのではないかと思います。
そうしたわけなので、荒廃したニューヨークなんか、とても雰囲気よく作っているわりには、「28 Weeks Later」(2007)のような絶望感はありません。愛犬サムの存在が、映画のなかでも観客にとっても、唯一の救い。
さて、肝心のモンスター(「ダークシーカー」と呼ばれてます)ですが、個性がなくて残念です! (…そういえば、「30 Days Of Night」(2007)でも、その点が不満だったような…) 原作では、ネヴィルが杭を持ってヴァンパイア狩りをするんですが、そういったシーンもいっさいナシ。
“究極の孤独に陥ったとき、人はどう反応するか” という、いくぶん難解なテーマに焦点を当てた結果、エンタテイメント性が薄くなってしまったようです。
が、現代版「地球最後の男」も、けして悪くないです。
男と犬一匹でここまでひっぱるのも、そう簡単なことではないですしね。
結末も、いかにも予想通り。でも、こういうものが求められているアメリカって、逆に危機的状況なのかも…??
なにが大切って、食料確保がいちばんの問題!
ネヴィルはかなり前向きに生きてます。鹿狩りをしたり、トウモロコシなどを育てて
みたり。
シェパードって、すごく頭いいんですね。
サムはネヴィルのたったひとりの友だちで、
頼りになる相棒。
夜がくるまえに、戸締りも厳重に
しなくてはいけません。
ときおり思い出される、家族との
記憶。精神を病んでいくウィルの
演技に注目。
(2005)アイルランド/イギリス
出演…サマンサ・マンバ
デヴィット・レオン
タイグ・マーフィー
監督…ステファン・ブラッドリー
★★☆
〔ストーリー〕
高校生のネイサンは、ガールフレンドのジェシカとのちょっとしたいきちがいから、自分はフラれたと勝手に思いこんでしまう。自室で酔って自殺の真似事をしていると、アクシデントが発生、ほんとうに死んでしまう。だが、美術修復をしている母親のグレースが、教会の地下で見つけた黒魔術の本を使って、ネイサンを甦らせてしまうと…
タイトルからはちょっと想像がつかないような(?)、爽やかな青春・ラブホラーです。
全編いかにもブリティッシュな佇まいと、ティーンなロックが溢れていて、こんなのもアリかなあー、と、妙に楽しめた一作です。
主人公のネイサンを演じるデヴィット・レオンくん、期待の新人です。美形です。かなりイイ感じです。これからもっと、活躍してもらいたいですねー♪
その彼女のジェシカ役に、アイルランド出身の歌姫サマンサ・マンバが出ています。
フレッシュないいコンビですね。さて、このカップルに思いもしない悲劇が降りかかってしまいます。
ようは、甦ったネイサンがゾンビ化、パーティーの途中で、いつも絡んでくるいけすかないヤツを噛んじゃうんですが、この人が本格的なゾンビとなってしまいます。
ここからティーンもののゾンビ映画となるんですが、メイクも控えめなので、楽しめるのはラブな部分だけかな… と思っていたら、後半からいっきにゴア描写が加速します。
このゴアも、派手なことをしているわりにはポップな雰囲気で楽しいです。
いちばんの特徴は、十代の男の子たちの姿を等身大に描いているところですね。
恋愛に悩む姿もよし、ステレオのボリュームをあげて自殺のマネなんて、いかにも自己陶酔っぽくて、十代の甘酸っぱさとほろ苦さがよく出ています。
ネイサンの友人のディグ(タイグ・マーフィー)やヘンリー(ローレンス・キンラン)にしても、これまたいかにもモテない高校生を演じていて、いつもふたりでつるんでたり( …それにしても、高校生でアイスキャンディーを舐めてるのは、さすがに恥ずかしいですぅ~!)。
ネイサン狙いのビッチな女の子の登場も、ムフフ…♪な展開でおもしろいです。ゾンビ映画なのに、嫌悪感はほとんどなし。
この新しい組みあわせをもっと追求したら、「Shaun Of The Dead」(「ショーン・オブ・ザ・デッド」2004)のような佳作が生まれるかもしれませんね!
甦ったネイサン(デヴィット・レオン)
は、身体の異常に気づきます。
ジェシカ役のサマンサ・マンバ。
アギレラのつぎは彼女というのは、
ホント…?
こんなカワイイ女の子たちも出てたり
して。とにかく画面がハイスクールし
てて、ウキウキ楽しい気分になれま
す!
感染者第一号です… あらら、よく見る
と、メイクがけっこうキモイですねー!
(2005)アメリカ
出演…ジョイ・ヘルナンデス
デレク・リチャードソン
エイゾール・グジョンソン
監督…イーライ・ロス
製作…クエンティン・タランティーノ
★★★☆
〔ストーリー〕
オランダのアムステルダムをバックパッカーで旅行中の大学生、パクストンとジョ
シュ。途中、アイルランド人のオリーが仲間にくわわってから、夜ごとにドラッグとアルコールで浮かれ騒いでいた。ある夜、ホテルの門限を過ぎて閉めだされていると、ドラッグでハイになった男に助けられる。彼がいうには、スロバキアのホステルにいけば、最高の女を楽しめるというのだが…
三池監督も(ついでに、タランティーノも)ちらり出演している、「ホステル」です。
この作品、公開当時からかなり話題になりましたが、前評判ほど残酷な映画ではありません。
ストーリーもきっちり作られていて、たんなる拷問映画で終わっていないところも非常におもしろかったです。
テーマが無防備な旅人を狙う、秘密の「拷問クラブ」ということで、かなりゴアゴアな内容を期待していたんですが、これが見事に裏切られました。 …いえ、標準からすると(?)、たぶんゴアゴアなほうだと思います。でも、「Cabin Fever」(「キャビン・フィーバー」2002)で突拍子もない才能の片鱗を光らせたイーライ・ロスが監督で、プロデュースがタランティーノとくれば、ただのグロテスクな映画で終わるはずがありませんよね。
前半、主人公の青年たちの享楽ぶりがこれでもかと強調されるんですが、これもまた描き方がソフトです。「男って、アホですねー!!」 と、世の女性たちが妙に納得してしまうようなダメダメっぷりなんですが、けっこう楽しい。ごくフツーの若者たちが、いつの間にかのっぴきならない状況に追いこまれていく過程が、丁寧に描写されています。
いちばんのポイントは、主人公たちの恐怖と悲劇をおもしろおかしく描いておきながら、心のどこかで「 …うんうん、こんなこと、どっかにありそう!」と、頷かせてしまうような、リアリティを突いた点ですね。だって、海外旅行で痛い目に遭った人なんて、めずらしくもないはず。この映画はそんな現実的な恐怖を、見事な娯楽作にしてしまったところがすごいんだと思います。
前半と後半の対象もよくできていると思います。
わたし的には、子供ギャング団の存在がけっこうお気に入りでした…♪
世間知らずのジョシュ(左デレ
ク・リチャードソン)と、パクス
トン(ジョイ・ヘルナンデス)。
これからおっかない罠が待ち
うけているとはね~!!
スロバキア美人と知りあえて、
ラッキー♪ と、思ったのも束の間…
…捕まっちゃいました!!
用済みの遺体を処理する係。
このシーンも、不思議と残酷さ
をあまり感じさせません。
(1980)アメリカ
出演…ウィリアム・ハート
ブレアー・ブラウン
ボブ・バラバン
チャールズ・へイド
監督…ケン・ラッセル
★★★
〔ストーリー〕
生理学者のエドワードは、父の死以降、信仰心をなくしていた。なぜ信仰の厚い人も、死に怯えなければならないのか…。自己探求から “生命の根源” を精神的トリップで探ろうと、「先祖の花」と呼ばれるメキシコ・インディアンの強力なドラッグを使用して、硫酸マグネシウム溶液に浸かるという実験を行う。だが、細胞の記憶をたどるうちに、思いもよらない副作用が起きてしまい…
究極のドラッグ・ムービーと話題を呼んだ、「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」です。原作は、パディ・チャイエフスキーの同名小説です。
「アルタード・ステーツ」とは、変性意識状態のこと。わかりやすくいえば、意識の拡大、ヒッピーが好んで行っていた自己認識(?)です。もちろんこれは、薬物なしでも到達することができます。たとえば、禅とかね。
この映画の重要なアイテムとして、アイソレーション・タンク(防音・断熱された室内に設置して、音感・触覚・視覚・聴覚を制限し、比重の重い溶液に浸かり、無重力状態をつくりだす)が登場するんですが、なんと、このアイソレーション・タンクを開発した脳外科医がモデルとなっています。
(クーンツの 『十二月の扉』 にも出てきましたね。あの少女の場合、精神が肉体を離れて凶暴な怪物となってしまうんですが)、この作品の主人公、エドワードの場合は、先祖返りを起こしてしまいます。
そもそも、“人間の精神”とはなにか? そこから導きだされる、“人間そのもの” とはなんなのか? こんな問題提起から物語がスタートするんですが、哲学的なのは最初のうちだけ。エディの見る幻覚を、様々な手法を使って表現しているんですが、目もくらむようなグロテスクな映像の連打には、ひたすら圧倒されてしまいます( …ちょっとまえに、「ポケモン・ショック」なんてありましたよね。あれより強烈なので、弱い方はじゅうぶん注意してください!)。
先祖返りしたエドワードが○○になってしまうくだりは、まるで古典作品のようですが、物語はここで終わらず、さらなる暴走をはじめます。これが本人のみならず、周囲の人間にまで影響を及ぼすというのも興味深い展開です( …もちろんすべて、CGもワイヤー・アクションもなし! これがいま見ると、なかなか新鮮でおもしろいです)。
ケン・ラッセルって、こういうサイケデリックな映画を得意としている人なんですね。
着想がとにかくとてもおもしろいので、味つけしだいでは、とんでもない傑作になるのではないかと思いますが…
強力なドラッグによって、
幻覚症状を起こしたエディ
(ウィリアム・ハート)が
見たものは…
…鮮やかなオレンジの花畑、
正装してテラスに座る自身。
このショット、すごいトラウマでした…
いま見ても、かなり強烈!!!
死に怯える父親と、燃える十字架
の悪夢…!!
エディを抱くエミリー(ブレアー・ブラ
ウン)。彼はこのさき、どうなってしま
うんでしょう?!?
Hellboy
(2004)アメリカ
出演…ロン・パールマン
ジョン・ハート
セルマ・ブレア
ルーパルト・エヴァンス
監督…ギレルモ・デル・トロ
★★★★
〔ストーリー〕
第二次大戦末期、ナチスの科学施設で悪魔的な計画が進められていた。怪僧ラスプーチンの指揮の下に、魔界に通じるワームホールが開けられるが、駆けつけたアメリカ軍と超常現象専門のブルーム教授が首尾よく阻止する。だが、ワームホールから異形の赤子(ヘルボーイ)が生み落とされていた…
60年後、成長したヘルボーイは特殊能力をもつほかのエージェントたちとともに、FBIの怪奇事件担当の〈超常現象捜査局〉で働いていた…
ギレルモ監督も大ファンだという、マイク・ミニョーラ原作のアメコミ「ヘルボーイ」の映画化です。
監督のアツい、アツい愛情が伝わってくる力作です。観終わったあとに、「ああ、おもしろかった!」と、心から満足できる上質の出来でもあります。
なにより、作りが丁寧!
アメコミものって、なんだか勢いに乗せられて、騙されて興奮しちゃう(?)ようなタイプが多いんですが、ギレルモ監督はちがいます。この人、ほんっっとに、この映画を撮りたかったんですねー!
ロン・パールマンのヘルボーイのインパクトもさることながら、ほかのクリーチャーたちのヌルヌルッとした質感なんか、CGなんだけどよく出来てます。細部にこだわってるのがよくわかるんですね。地下鉄の戦闘シーンなんか、すごく計算された構図でテンポよく進むので、まばたきするのが惜しいくらい。
キャラクターがとにかくユニークで、ヘルボーイ(通称レッド)はふだん外出できないため、猫に囲まれて(一度でいいから、やってみたいですねえ!)淋ししさをまぎらわしてるところなんか、いじらしい。また、相棒にインテリ半魚人でサイコメトラーのエイブ(通称グリーン)、レッドが恋するファイアスターターでキレイどころのリズがいます。
敵が「ナチス」というのも単純な構図ですが、その敵が「世界の破滅をもくろむ」(よくあるパターンですね)というのも、意味不明ですが、このさいよしとしましょう。
後半からは、インディ・ジョーンズのような冒険部分も入ってきます。
ラスボスの迫力もすごっ!! この世界観はとにかく、うつくしくておもしろい。
ロン・パールマン( …いい役者さんですね! 「Der Name der Rose」(「薔薇の名前」1986)の汚れ役もよかったですが、「La Cite des enfants perdus」(「ロスト・チルドレン」1995)の無垢なクジラ捕りがお気に入りです)の暴れっぷりに超ゴキゲンになれるんですが、人間の成長物語にもなってたりしてね。個人的には、“きのうの敵はきょうの友” みたいな逸話が好きです。
それから、エンドロールのあとにもちょっとした“おまけ” が入ってるから、見逃してはいけませんよ♪
レッドはネコ好き、葉巻好き、リズ命のやん
ちゃなモンスター。
右手が石なので、バカでかい。
コンプレックスはツノ(毎日電動やすりで
削ってます)。
ラスプーチンと行動をともにする、
ナチスの残党クロエネン。やたら
強いです。
マスクの下にはオソロシイ秘密
が…!
〈超常現象捜査局〉に配属されて
きた新人、ジョン・マイヤーズ。
すっごく頼りにならなそう(笑)。
調査局を離れてしまったリズ
(セルマ・ブレア)を、レッドは
説得しようとしますが…
こちらが地下鉄での戦闘シーン。
アクションのさまざまなエッセンス
が、目まぐるしく凝縮されてます!
(2002)イギリス
出演…キリアン・マーフィー
ナオミ・ハリス
ミーガン・バーンズ
監督…ダニー・ボイル
★★★☆
〔ストーリー〕
動物実験をくりかえしていた薬物研究所に、愛護団体が強行潜入。危険なウィルスに感染した猿を解き放ってしまう。
場面は変わって、無人の病院で目覚めたバイク・メッセンジャーのジム。混乱しながらも廃墟と化したロンドンをさまよい歩いていると、怪物のように凶暴化した人たちに追われることになり…!
「28日後…」です。
この作品の主役、未知のウィルスに感染した人たちなんですが、一般的にはゾンビと捉えられているようです。ゾンビでもいいと思います。二十一世紀版ゾンビですね。
監督のダニー・ボイルは、「Trainspotting」(1996)や「The Beach」(2000)といった話題作を数々生んできた人です。本作は監督の復活を成功させた、会心の一撃といってもいいですね。
キリアン・マーフィー演じるメッセンジャーのジム、交通事故で昏睡状態になってたんですが、目覚めると、すでにロンドン市民は消えてます。たった28日間で蔓延したウィルスから、とっとと非難しちゃったんですね。このウィルスの名前がまた、すごいです。その名も、“Rage”(怒り)。
非現実と現実味がうまく調合されているのが、本作の魅力だと思います。
ジムやほかの非感染者に襲いかかるレイジは、とんでもなく凶暴でおっかないんですが、仲間を見つけてレイジのいない楽園を探すくだりは、おとぎ話のようにロマンチックです。
イギリスの田園風景をひた走って、木の下で楽しくランチ…♪ なんて、ある意味楽園かも。
でも、この幸せも長くはつづきません。
健全な人間がいるかぎり、当然本来の “怒り” や “憎しみ” といった感情も発令されるわけです。
ここからかなりシリアスなドラマになってきて、予想もしない展開に。
もともと、感染者の定義も曖昧です。ここから、「殺しあうことが人間本来の姿かもしれない」という、痛烈なメッセージが読みとれます。
なお、エンディングがふた通りあるんですが、どちらもすばらしい結末だと思います。
みなさんはどちらがお好みでしょうか?
このオープニングに、ショックと
不思議な感覚をおぼえた人は
多いはず。
ジム(キリアン)とセレナ(ナオミ・
ワッツ)は、ほかの非感染者を
捜しますが…
“レイジ” の感染力は驚異的!!
あっという間に凶暴ゾンビ化です。
娘のハナと暮らしていたフランク
(ブレンダン・グリーソン)と出会い、
マンチェスターを目指しますが…
この作品で、中性的な魅力を世に知らしめた
という、キリアン・マーフィー♪♪
(う~ん、やっぱりイイです!!)
ちなみに、悪役のキリアンもけっこうステキ
なんです。
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独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
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