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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   Cat's Eye


(1985)アメリカ
出演…ジェイムズ・ウッズ
ケネス・マクミラン
ドリュー・バリモア
キャンディ・クラーク
監督…ルイス・ティーグ
★★★


〔ストーリー〕
 S・キングの短編をオムニバス映画化。一匹のネコが見ていた、さまざまな怪異と人間模様、というかたちをとる。
〈第1話 Quitter's Inc.〉
 煙草をやめたいと思っていたリチャードは、友人から〈禁煙挫折者救済有限会社〉を紹介される。そこでは、100パーセント禁煙に成功することができるというのだが…
〈第2話 The Ledge〉
 元テニスプレーヤーのジョニーは、マフィアのボス・クレスナーの若妻と道ならぬ恋に。ふたりで逃げようとするが、ジョニーだけ捕まってしまう。すると、クレスナーは、あるゲームをしないかともちかける…
〈第3話 The General〉
 さまざまな場所を放浪してきたネコは、少女・アマンダに拾われる。だが、彼女を狙う不気味な影があった…!


 ネコ好きにはたまらない映画、「キャッツ・アイ」です。
動物を映画に登場させた場合、演技(…といいますか、偶然のたまもの?)や表情なんかが、ある程度見ものになると思うんですけど、この作品に登場するネコちゃんは、「いったいどうやって撮ったの?」と、訊きたくなってしまうくらい、頭イイです~。かわいいです~。とってもエライ子です~!!

 内容のほうは、キング・ファンにはお馴染みの短編、『禁煙挫折者救済有限会社』と、『超高層ビルの恐怖』が元ネタになっています。3話だけ、書き下ろしのオリジナル。1、2話はブラックな笑いを誘うシニカルなストーリーですが、3話はスーパーナチュラルが全開のダーク・ファンタジーです。

 脚本をキング本人が担当しているだけあって、関連キーワードがオンパレードの、けっこう好き放題な内容になっています(笑)。まず、序盤、われらが主人公のネコちゃんが追いかけられちゃうのが、泥だらけのセントバーナード(…『クージョ』 ですね!)。そして、走りまわる彼らを危うく轢きそうになる赤いプリマスは、もちろん、『クリスティーン』

 ネコって、“見えないもの” が見えたりとか、不思議な察知能力がある、というイメージが強いですよね。この作品でも、そうしたネコの魅力がぞんぶんに発揮されています。個々のストーリーは一見バラバラな印象を受けますが、主役のネコの存在感もあって、わりとまとまりのあるオムニバスになってます。

 まず、〈1話目〉… 喫煙者の罪悪感や、それでも吸ってしまう中毒性なんかが、これでもかと強調されていておかしい。ラストもイヤ~な人間性が出ていて、ゾクッとする作品。
 〈2話目〉は、原作よりアクションてんこもり、けっこう手に汗握る展開です。マフィアのドンことクレスナーを演じるケネス・マクミランの、悪者っぷりがステキ…
 ドリュー・バリモアが登場する〈3話目〉では、ネコちゃん大活躍! (ここで登場するゴブリンなんですが、セットのほうを巨大化して撮ったとのこと)、おかげで、じっさいにそこにいるような錯覚を受けます。また、母親を演じるキャンディ・クラークが寝室で読んでいるのは、『ペット・セメタリー』!!
 
 作品ひとつひとつのバランスもよく、後味のよい終わり方も好きです。そして、この作品を観たあとには、必然的にネコが飼いたくなってしまうかも…?







スモーカーのリチャード(ジェ
イムズ・ウッズ)。友人の
勧めもあって、禁煙しようと
思いつき…






いかがわしい会社と契約
を結んでしまいます。




間男ジョニー(ロバート・
へイズ)は、クレスナー
(ケネス・マクミラン)に
半ば強制的に、ゲーム
するよう命令されて…





デッド・オア・アライブな
賭けが、スタート!!
あぅ、あぅ、マジすか…」





ついに運命の出会い!
やさしい少女アマンダに
拾われるネコですが…
(ドリュー、かわいい!)




ママ(キャンディ・クラーク)
は、大のネコ嫌い。ゴブリ
ンがアマンダを狙うのを、
ネコの仕業と思いこんで
しまいます…







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   In The Mouth 
       of Madness


(1995)アメリカ
出演…サム・ニール
ジュリー・カーメン
ユルゲン・プロホノフ
ジョン・グロヴァー
監督…ジョン・カーペンター
★★★☆


〔ストーリー〕
 保険調査員のトレントは、カフェで新しい仕事の話をもちかけられている途中、突然斧を持った男に、「サター・ケインの本は読んだか?」と訊かれ、襲われる。じつは、世間では人気ホラー作家サター・ケインの新作発売の延期をめぐり、各地でさまざまな暴力沙汰が起きていた。
 トレントに依頼された仕事というのも、ケインにまつわるもの。失踪した彼を探しだして、原稿を手に入れてほしいを出版社から依頼されたのだ。トレントはさっそく、書店に並ぶケインの本を入手するのだが…


 「マウス・オブ・マッドネス」です。
この作品、ひさしぶりに観なおしたんですが、ほんとにおもしろいですよね~っ!!
そして、観なおしてみたからわかったことなんですが、ちょっとしたジョークや〈クトゥルー〉用語が満載の、その手のファンにはたまらない内容になっていました。

 まず、タイトルによく注目してみましょう。「In The Mouth Of Madness」… 英語読みすると、「Innsmouth Of Madness」(インスマウスの狂気)! ←( 『インスマウスの影』 と、『狂気の山脈にて』 をもじっているのですねー)。
また、トレントに調査を依頼する出版社が〈アルケイン〉社 ←(〈アーカム〉社のもじり)だったり、“ピックマンのホテル” が登場したりします。

 モンスターも当然のことながら、「旧支配者」なんですけど、ストーリーはどちらかというと、キングっぽいねじれ構造の現代風スリラー。

 (ホラー界の演技派)サム・ニールが演じるトレントは、冷笑的な凄腕保険調査員。典型的な「ホラー小説なんて、時間のムダっしょ!」という合理重視人間なんですが、しょっぱなから事件に巻きこまれてしまいます。なんと、トレントを襲った「男」というのは、目下の話題の人物、サター・ケインの代理人でした。代理人は、ケインの最新作の原稿を読んだために、アチラの世界にイってしまったらしいと、しみじみ語る出版社の社長さん。イロっぽい秘書のおネエさんは、「だって、キングよりもすごいんだから…」と、ケインをベタ褒めです。

 当然のことながら興味が湧いたトレントは、ケインの本を買いあさって読んでみることに。すると、奇怪な悪夢や幻覚を見るようになり、「こいつは本気でヤヴァイ本かも…」と、恐怖におののきつつも、そこはやっぱり合理的人間、表紙に隠された地図を発見しちゃいます。その地図は、ケインが作中に登場させた「ボブの町」でした…!

 先の展開が読みにくく、わかったあとも、「そうきたか!」 というオドロキの連続ですばらしいです。また、大御所の大御所にたいするオマージュ作というだけあって、登場人物のセリフもイカしてます。ホラーの知識を吸収することができちゃんですねー。

 最後に、ちょっとしたお遊びの指摘を。
冒頭、トレントが入れられる部屋の番号は、「9番」 (←〈ナイン・インチ・ネイルズ〉のトレント!)… それから、病院で流れる曲は〈カーペンターズ〉 (← 監督の名前は?)… などなど。まだまだあるかもしれません。ただ、初見の方はストーリーについていくのが精一杯で、こんなジョークを探している暇はないかも!











コーヒーを飲みながら、仕事
の話をするトレント。 
典型的な志村うしろ系ですね。










秘書のリンダを演じるジュリー・カーメン。
アヤシイ魅力を振りまいてます。











「ボブの町」に到着すると、「なにもかも本
で読んだとおりよ!」と、しだいに均衡を
失っていくリンダ。









“ピックマンのホテル”のオバ
チャン… なにやら不気味な
触手が出てますよ!!







← あらら、とうとうイってしまいました!
(サム・ニールって、ほんとこういう役
似合いますよねー)、
さて、彼になにが起きたんでしょう??







   『ミステリー』


原題:『Mystery』
(1989)
ピーター・ストラウブ:著
芹澤恵:訳
扶桑社文庫
 
   

〔ストーリー〕
 カリブ海の小さな島ミル・ウォークに暮らす少年トム。祖父のグレン・アップショウは島の有力者、家は富裕だが、両親は不仲で、情緒不安定な母はアル中だった。ある日、ふとした好奇心から、祖父が追いかえした浮浪者風の男の住む場所にいってみようと思いつく。だが、そこで地元の不良少年たちに目をつけられ、逃げる途中で彼は車に轢かれてしまうのだが…


 あまりにも好き♪♪♪ すぎて、まともな感想を書けるかどうか(?)すこし不安なんですが、ついに登場させてしまいました、 ピーター・ストラウブです!

 ストラウブというと、『ゴースト・ストーリー』 だよ! という人が大多数かもしれません… もしかしたら、最新作の 『ヘルファイア・クラブ』 だよ! という方もいるかも。かくいうわたしも、どちらも大好きなんですが、今回はどうしてもこの作品を紹介したいと思いました。

 ストラウブの本をどれか一冊でも読んだことのある方なら、もうご存知だと思いますけど、この方の本はきわめて文学的です。高尚です。洗練されています。

 ここで、ホラーに “高尚さ” は必要なのか? という疑問が出てきてしまいそうですが、ストラウブにかぎっていえば、まったくの違和感なしです。
だって、ジェイムズだってホーソーンだって、幽霊小説を書いているじゃありませんか。ようは、文学肌の作家さんたちが、そこに及び腰になっていたということなんですね。そして、「文学的なホラーでも十分売れるノダ!」 ということを、はじめて証明してみせた作家さんでもあります。

 物語は、トムが高校生になってから本格的にスタートします。複雑な家庭環境で育ったトム、一風変わった雰囲気を持ち、周囲には溶けこまず、ちょっと陰がある不思議な青年… おかげで、ホモっ気のある先生が興味を覚えちゃいます。が、ほかにも興味を抱いた人がいました。幼馴染みの美少女サラと、トムのむかいの豪邸に住む、やっぱり変わり者の老人ラモント・フォン・ハイリッツ。

 このラモント老人、名前のとおり、ただの変わり者ではありませんでした。若いころは、すっごく有名な「素人探偵」だったのです。そして、トムとラモントが手を組んで、未解決の事件に乗りだすと… なんと、巨大なナゾに繋がってしまうという… (ううーん、これ以上は、もうなにもいえません!!)

 とにかく、キャラクター描写が知的なほどすばらしく、会話も完璧、ちょっとした心情や情景描写もサイコー、構成なんか、ほんとに凝っています。これぞプロの技です。ため息がでちゃうほどです。(…わたしのいちばんのお気に入りは、ラブ・シーンだったりします)← ここは惚れますよ~

 また、この作品は〈ブルー・ローズ〉三部作の一冊でして、これのほかには、ベトナム帰還兵のミステリものの 『ココ』、おなじくサイコものの 『スロート』 があります。ちなみに、〈ブルーローズ〉三部作とは、アンソロジー 『カッティング・エッジ』 に収録されている 『ブルー・ローズ』 という短編からはじまる一連のミステリ小説です。(…内容は微妙に繋がっていないようで、微妙に繋がっています…!)←  こちらは、ニューロティック・ホラーの最高峰ですので、絶対読み逃しのないように!!






 

    Cry Wolf


(2005)アメリカ
出演…ジュリアン・モリス
リンジー・ブース
ジャレッド・パダレツキ
ジョン・ボン・ジョヴィ
監督…ジェフ・ワドロウ
★★★


〔ストーリー〕
 問題児のオーエンは、父親の意向で新しい高校に転校することになった。転校初日の夜、ルームメイトのトムに誘われて講堂にいくと、ドジャーをはじめとする〈うそつきクラブ〉なるメンバーたちが待っていた。
 彼らに早く溶けこみたいオーエンは、転校の前日に起こった殺人事件をもとに、殺人鬼をみんなででっちあげようと提案する。悪ノリした彼らは、それをメールで全校生徒に送るのだが…


 学園サスペンスの良作です。
注: あくまでサスペンスですので、ゴリ押しのホラーな部分を期待したい方は、あしからず…!

 学園サスペンスものというと、まっさきに思いつくのが「Scream」(1996)なんですけど、さすがに「スクリーム」のようなホラー映画のお約束をことごとくひっくりかえすという、傑作なワザは編み出せないわけでして…
その後の作品が出るたびに、“「スクリーム」みたいな~” という感想からはじまっちゃうわけです。ですが、この作品はそのなかでも、けっこう健闘しているんじゃないかな? という、小技が効いた良質サスペンスとなっています。

 主人公のオーエンくん(ジュリアン・モリス)は、見た目は非常にかわいらしくて素直そうなんですが、超がつくほどの問題児。なにか騒ぎを起こすたびに学校を転校していましたが、(どうやら、パパの力で面倒なことは回避してきたようです)、とうとう全寮制の学校に入れられてしまいました。
と、ここで出会うのが、リンジー・ブース演じる、ちょっとナゾめいた雰囲気の美少女ドジャー。

 じつは、ドジャーは〈ライアーズ・クラブ〉という、ちょっとした組織のメンバーで、そこではささいなゲーム遊びが展開されるんですが、こういうの、ほんと映画っぽくて(作りモノぽいってことですよ)、高校生っぽくないよな~ と思っていたのは、はじめのうちでした。

 海外の学園ものなのに、なぜか既視感のある風景。(これはこの映画だけにかぎったことではないんですけど)、制服とか、小道具なんか、思いっきり日本の学生を参考にしてるんですよねー。それだけなら、“日本の高校生をマネっこした映画” になるんですけど、主人公のオーエンが転校生、新しい場所に馴染めなくて焦ってしまうという心理が、非常に感情移入しやすい設定を生みだしているんです。
 
 また、ストーリー展開の重要な役割を果たす携帯電話、パソコンなんて、ちょっと
脇道に逸れれば、いま問題視されている等身大の高校生のリアルな生活そのまんま!(← このあたりがナイス

 まだまだ新顔扱いのオーエンくんは、学校近くで起こった殺人事件をもとに、殺人鬼をみんなで作りだそうと提案します。「〈ウルフ〉と名づけたその殺人鬼は、さまざまな方法でひとりずつ〈うそつきクラブ〉のメンバーを殺害してくのでした~…」 という筋書きまで作って、調子に乗ってメールで公開してしまう… すると、なんと、ほんとにその〈ウルフ〉が出現してしまうではあーりませんか!

 結末はほとんど「Saw」(2004)を意識した演出です。構成や音楽、役者さんの演技、などなど、どれをとっても丁寧で非常に心地よい仕上がり。
もちろん、「ソウ」とくらべることはできませんけど、結末にいくまでの道のりがとてもスムーズで、十分楽しめる娯楽作となっています。









オーエン(左)と、ルーム
メイトのトム(ジャレッド・
パダレツキ)。











美少女ドジャー(リンジー・ブース)。
「Wrong Turn」(2003)「Dawn Of The Dead」(2004)
で、憶えているという方も多いのでは。






教師のリッチ。
この作品を観終わるま
で、彼がボン・ジョヴィだ
とは、まったく気づきませ
んでした~!








← こんな殺人鬼を創造しちゃうわけです。
で、キャピキャピ盛りあがっちゃうと。



こちらが〈うそつきクラブ〉のメンバー。なかには高校生ぽくないコ(笑)も混じって
いますが、そのへんはまあ、ご愛嬌で…







   Sleepaway Camp


(1983)アメリカ
出演…フェリッサ・ローズ
ジョナサン・ティアーステイン
カレン・フィールズ
クリストファー・コレット
監督…ロバート・ヒルツィック
★★★


〔ストーリー〕
 郊外のキャンプ場で、双子の兄妹・ピーターとアンジェラは、父と一緒に湖でヨット遊びを楽しんでいた。が、そこへ無謀運転のモーターボートが突っこみ、大惨事となってしまう… 8年後、生き残ったアンジェラは、叔母のマーサの家に引きとられていた。義兄のリッキーとともに、サマーキャンプに参加することになったアンジェラ。しかし、事故のショックから心を閉ざすアンジェラは、他人とうまく意思疎通することができず…


 とうとう観てしまいました、「サマーキャンプ・インフェルノ」です。

 すんごい邦題になっていますよね~。。。 この作品、一般的にはほとんど知られていないようですが、ホラー・ファンにはなぜかウケがいいです。そして、(これまた一般的にはほとんど浸透していない)、「Mil gritos tiene la noche」「ブラッド・ピーセズ」1982)とおなじくらい、一部伝説的な(?)作品のような扱われ方もしています。「どういうところが伝説的なの?」 という、ウブな初心者の方のために。

 まー、サクッとぶっちゃけてしまいますと、どちらの作品もラストの強烈なオチがインパクト大なのです!

 ストーリーは、いたってよくある感じのスラッシャーです。
叔母さんの家に引きとられたアンジェラ、叔母さんの息子のリッキーと兄妹のように育てられていました。ふたたびキャンプ・シーズンの到来、ふたりでキャンプ場にいくことになるんですが、「夏」、「キャンプ」、「子供たち」という定番要素が、まさしく80' なアメリカをしていて笑ってしまうほどです。

 アメリカでは夏休みというと、必ずなにかのサークルに参加するのがお約束みたいです。この映画では、そんな “アメリカンな子供たちの様子” をつぶさに観察することができます。
いろんな場所からやってきた子供たち、年齢もさまざま、親元を離れてちょっとした軍隊のような生活です。アメリカの人たちは、思春期からこんな体験を積んでいくのですから、だから、恥ずかしがり屋さんがすくないんですねー。

 ファッションも80' していておもしろいです。まず、男子のパンツが短っ! シャツも短っ! (← いま見ると、異常なほどぴちぴち短いパンツ、ぜったいセクハラだと思うんですけど!)、キャンプに参加する年齢設定も、じつに現実的。そういえば、「The Burning」(1981)でも、見るからに子供!という、あどけない子たちが、平気でザクザク殺されちゃってましたもんね~。

 アンジェラは無口なうえに、相手の顔をジッと見つめるというクセがあります。それだけならまだしも、好みの男子とは気軽に会話するという、典型的な「あのコ、男のまえだと態度変わるよね!」です。
これじゃ敵をつくって当然です。すると、アンジェラをいじめたり、からかったりした子(まれに大人も含まれます)が、次々と無残な方法で殺害されていくのです…!!

 一見すると、ラストのオチのみに集中してしまう作品ですが、テンポがよく、殺害方法もバラエティに富んでいるので、なかなか楽しいです。いちばん楽しいのは、こんなに死者が続出しているのに、それでも中止されないのどかなキャンプ生活でしょうか… (← かなりシュールな雰囲気が出ています…)

 アンジェラを守ろうとするニッキー少年が、ひたすらカワイくて勇ましいです
いじめ女子ジュディの、がんばっているお色気も見逃せません。
アンジェラに好意を持つポールとの淡い恋のやりとりだけ切りとると、まさに青春映画。ということで、ラストのオチがなくても、これはこれでポイントの高いホラーになりそうな気が… しないでもありませんけど…









リッキー(ジョナサン・ティアース
テイン)と、アンジェラ(フェリッサ・
ローズ)。リッキーは責任感のあ
るお兄ちゃんしてて、とても頼も
しいコです。





アンジェラに興味を持つポール
(クリストファー・コレット)。
ティーンな恋愛模様がカワイイ
んですけど…






キャンプ場の管理人のメル
(マイケル・ケラー)。
ちょっと強迫観念症入ってます。






ビッチないじめっ娘のジュディ
(カレン・フィールズ)。アンジェ
ラとポールがいちゃいちゃする
と、嫉妬の炎がメラメラ~ッ!







    Dek hor



(2006)タイ
出演…チャーリー・タライラット
シラチク・シエンサーン
チンタラ・スカパタナ
監督…ソンヨット・スックマークアナン
★★★


〔ストーリー〕
 そろそろ夏休みも終わり、同級生と会うことを楽しみにしていた12才の少年・トン。だが、父親が突然将来のためにと全寮制の学校を変えてしまう。生活の変化にとまどい、父親の身勝手さに怒りを感じ、周囲から浮いてしまうトン。そんなとき、ビチンと名乗る少年がやさしく声をかけてきてくれて…


 あまりの出来のよさに、思わずレビューしてしまいました。英語名では、「Dorm」になっています。
 さて、タイ映画です。少年ものです。タイ映画というと、どうも過激なものが多いという印象があったんですけど、偏見でした… じつは、こんな素朴で心の温まるステキな映画も撮っていたんですね(笑)!

 上記のあらすじでは、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、これはまさしく、タイ版「El Espinazo del diabol」「デビルズ・バックボーン」2001)です。
主人公のトンは、幼い弟と両親の4人暮らし。もうすぐ新学期。親しい友だちに会える と、ウキウキしていると、突然両親から厳しい宣告が。な、なんと、トンの希望も聞かずに勝手に学校を変えちゃったというではありませんか! (これって、一種の虐待じゃないですか…?) でも両親は、全部息子のためなんだと、自己満足しきっちゃってます。

 むっつりふてくされたまま、自宅から遠く離れた全寮制の学校に入れられてしまうトン。そこでは、ずらりと無数のベッドが並ぶ巨大なドミトリー(まさしく、「デビルズ・バックボーン」な世界!)がお出迎えです。「ここがあなたのベッドよ」と、学校の規則を教える女校長先生のプラニー。お風呂も共同、食事もみんなと一緒。ホームシックになったトンは、泣きながら夕食を食べちゃいます。

 ここで、寮生活につきものの、いじめっこが出てくるのではとハラハラしながら観てしまったんですが、そういったはいっさいありませんでした(笑)。みんな素直でいい子です。ストーリーも率直です。思うに、この映画を撮った監督さんも、きっとやさしくて毒のない人なんだと思います。
(唯一、お父さんの秘密にヒヤヒヤしてしまいましたが…)← じつはこれが、転校の理由ではないかと疑い、トンは腹を立ててしまいます。

 物語の序盤だけ、ホラー的な雰囲気(…深夜にみんなで怪談話で盛りあがり!)があるんですけど、途中から、方向性がきっちり定まってしまいます。寮生活になかなか馴染めないトンに、ビチンという少年が声をかけてくれます。しだいに仲よくなっていくふたり。でも、トンは知りませんでした。なんと、ビチンくんの正体は…!!

 (…いまのでバレちゃったかな~) まあ、いいか!

 そうです、いくら内容が似ているといっても、ギレルモ監督のような文学性や現実の過酷さ、それを乗り越えようとする人の強さといった能動的要素はありません。でも、だから、なんだっていうんですか! ときには、とことん甘い気分に浸りきったっていいじゃないですかー!

 いってしまえば、よくある地味な少年の日の友情テーマですが、幽霊のあり方や、それをとらえる子供の感性の鋭さが、この作品を支える基盤になっているのではないかと思います。

 また、ちょっぴりアンニュイ(?)な雰囲気のある同級生のひとりで、自宅の前で交通事故が起こったために、毎晩霊現象が起きてしまうと語るところが印象的でした。その子は最初あまりのコワさに、おしっこをちびってしまうのですが、惹きつけられるように、その後も何度も目撃してしまう… 霊現象のほうも、否おうなく起こりつづけてしまう… うーん、これぞ、リアリティじゃないですか!

 ベッドの中でこっそりエッチな本を読んだり、年上のキレイなおねえさんに憧れてみたり、一緒に悪さをしてみたり… だれもが思い出すことのできる、少年時代の純粋な心と、人のためになにかしてあげたいと思う気持ち。これはきっと、“男の子に友だちができる瞬間” を撮った映画なんですね。
爽やかでステキな余韻に浸ってみたい方は、レンタルで見かけたら、ぜひ手にとってみてください









主人公のトンを演じる
チャーリーくん。







「こんな幽霊が出るんだよお」
と、定番の懐中電灯攻撃。








こわい話を聞いたから、やっぱり
眠れなくなっちゃった…(ついで
に、シッコにいきたい…!)








○○役のビチンくん(シラチク・
シエンサーン)。
この子の表情がイイのです!






なにかを隠している雰囲気の
校長先生(チンタラ・スカパタ
ナ)。タイでは有名な女優さん
らしいです。







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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
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女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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