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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   The Evil Dead


(1981)アメリカ
出演…ブルース・キャンベル
エレン・サンドワイス
べッツィ・ベイカー
ハル・デルリ
監督…サム・ライミ
★★★★


〔ストーリー〕
 休暇に森でキャンプしようと、古びた貸別荘にやってきた5人の若者たち。だが、異変は当初から起こっていた。霊能力のあるシェリルは、気がつくとスケッチブックに不気味な顔を描いてしまう。森から気味の悪い声がする。その夜、地下室のはねあげ戸が音を立てて開き、驚いたスコットとシェリルの兄・アッシュが降りていくと、「死者の書」という書物とテープレコーダーを発見する。なにも知らない彼らは、“死霊を呼びだす呪文” が録音されたそのテープレコーダーを再生してしまうのだが…!!


 サム・ライミ監督の最強最高のスプラッタ映画、「死霊のはらわた」です。

 「スパイダーマン」
シリーズで一躍名を馳せたいまでこそ、巨匠の原点として語られることができるんですが、公開当時はほんっとーに、“ホラー好きの人にしか理解できない作品” というレッテルでした。マニアむけでした。アングラでした!

 ストーリーも、いかにも単純なアレです。山奥にホイホイ出かける5人の若者たち。見るからにアヤシイ別荘に泊まっちゃいます。 そして、アヤシイ書物を発見! アヤシイテープレコーダーも発見! ホイホイ再生しちゃう。そんで、死霊が甦っちゃう!!

 ライミ監督のただものではないところは、こんなわかりやすーい簡単なお話のなかに、その何十倍、いや、何百倍はあろうかというエネルギーをマジで注ぎこんじゃったところだと思います。26年も前の作品なんですが、観る者を強引に引きずりこむパワフルさには、圧倒されること必至。だから、「自主制作映画の可能性を示した作品」 なんて、いわれているんですね。 

 死霊に憑りつかれてしまうと、ゾンビのようなおっかな~い形相になってしまうんですが、これを完全に倒すには、身体をブツ切りするしかないという荒っぽさ。まさに切り株っ!! 内容だけ書いてみると、かなり陰残なシーンのように思われますが、ヘンなテンションのうえ、監督自身が異常にノリノリ(!)なので、ホラーなのかコメディなのか、(正直)よくわかんないけどすごい迫力! という場面になっています。

 また、アクロバティックなカメラ・アングルも暴れまくりです。 失踪する唸るカメラがまず、インパクトありましたよね。音も非常におもしろいです。凝ってます。さらにはアニメーションまで多用しちゃって、“やりすぎちゃった” どころじゃない、過剰なまでに過剰なグロテスク描写が、恐怖や驚愕を狙っているというより、やっぱり笑わせようとしているのか?! というおもしろさです。いえ、おかしいです!!

 「死霊のはらわた」シリーズは、この後も「Evil DeadⅡ」(1987)「Army of Darkness」(1992)とつづくんですが、(もちろん、主役はアゴ男ことブルキャン~!)、先へ受け継がれるほど、コメディさが増していきます。ある意味、まったくべつの映画になっちゃってます(笑)。スケールはもちろん、続編2作のほうが大きいんですけど、やはり1作目がいちばんアクが強いです。これぞライミ印です。うーむ、ただものではありません…! この作品が当初アングラ扱いされた理由は、作品そのものが持つ異端なパワーだったんでしょうね、おそらく。

 低予算でも、オリジナリティがなくても、才能と想像力があればここまでできちゃうの という、すばらしい見本になっている一本です。





山奥の呪われた別荘にやってきた、おバカな5人衆!
左から、アッシュ(ブルキャン)、恋人のリンダ(べッツィ・ベイカー)、アッシュの妹の
シェリル(エレン・サンドワイス)、友人のスコット(ハル・デルリ)、スコットの恋人の
シェリー(セイラ・ヨーク)。








(まだ初々しい?雰囲気の)
ブルース・キャンベル!








愛するリンダも死霊に憑りつか
れてしまい… アッシュ、切断
することができるのか??










こんなゾンビも登場します。
コワいというより、どこか
ユーモラスですね









コマ撮りの腐敗していくゾンビが
ナイス! のちに、いろんな分野
(ミュージックシーンなんかに)
多用されてました。







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    Anamorph



(2007)アメリカ
出演…ウィレム・デフォー
スコット・スピードマン
ピーター・ストーメア
監督…ヘンリー・ミラー
★★★


〔ストーリー〕
 死体を手のこんだ方法で飾りたてるという、猟奇事件が発生。事件を追う刑事スタンは、偶然街中で現場に酷似した絵画を手に入れる。その絵画を元に、犯人が使った映写方法を使うと、ガイコツが浮かびあがる仕掛けになっていた…!
 その後もおそるべき殺人が行われ、被害者の遺体を使った “奇怪なアート” が残される。スタンと相棒のカールは、異常者の凶行を食い止めることができるのか…??


 タイトルにもなっている「アナモルフォーズ」とは、美術専門用語です。日本語でいうと「歪像画」、つまり、正面からは歪んで見えるんですが、あるポイントから見てみるとはじめてその正体がわかるという、遠近法を利用した “騙し絵” のことです。

 こうしたミステリー、サイコ・スリラー系のものというと、一時期のラッシュから飽きられてしまった感が強く、本作も、とくに新しい試みはないんですが… 原点回帰といいますか、とてもオーソドックスな犯人&刑事ものです。なにより、主人公がウィレム・デフォーです。渋いっ! 渋いですね~!

 渋くて男前のデフォー様が、クールな刑事役として大活躍するだけでも、画面がキリッと引き締まって見えてしまいます。ステキです。こんな刑事さんがほんとにいたら、絶対ファン・クラブが設立されていると思います。
また、こむずかしい美術用語なんかもついでに勉強できちゃって、気分はちょっぴりアートチックに。ひさしぶりに『ギャラリー・フェイク』でも読んでみたくなりました。

 テーマが“見せる遺体”なだけに、映画な見どころ的にもじゅうぶんおもしろく、興味深いエピソードをつなげていて成功しています。「Se7en」(1995)以降のサイコというと、どれだけ猟奇的に見せるかで張りあっていましたが、こちらは完全な知的ミステリー。
デフォー演じるスタンは、やたら神経質な刑事さん(…買物をするにも、レジに商品を並べる配置にこだわるっ!)なんですが、椅子マニアでもあります。いい椅子って、たしかに惹かれますよね~。で、デフォーと個人的に仲のいい美術商・ブレアに、
ピーター・ストーメア。

 なにしろ犯人が “騙し絵” にこだわる人なので、一見すると死体のひどい状況しかわからないんですが、ナゾを解いたときの「おおっ」という感動が心地いい。一種のマジックのようでもあります。こんなすごい才能があるなら、別分野で活躍したほうが明らかにイイのに… なんて、突っこみながら観てください。

 …ただ、犯人が出現しちゃったとたん、映画的にも気分的にもペースダウンしちゃうのは、やはりサイコ・ミステリの越えられない壁なのか。そうなのかっ!








デフォー様、麗しい~!!
笑顔がステキだったので、つい一枚





デフォー様演じるスタンは、
さっそく証拠物件の絵画を
発見しちゃいます。






相棒のカール刑事を演じる、
スコット・スピードマン。
これまた色男ですねー






デフォー様専任の美術商に、ピーター・ストーメア。
…ということで、今回は渋めの男優さんたちで
攻めてみました~。






第1の死体現場。でも、犯人が
残したカラクリは、これだけでは
ないのです…






こちらは、本作でも使われてい
る、ドイツ人象徴画家ハンス・
ホルバインの「大使たち」
(1533)
人物の足下の不思議な物体が、
じつはドクロ。そのほかにも、
「死」を象徴するリュート
(象徴画では、楽器は 
“弦を切る” という意)などが。







    The Signal


(2007)アメリカ
出演…ジャスティン・ウェルボーン
アネッサ・ラムジー
A・J・ボウエン
監督…デヴィット・ブラックナー/
ダン・ブッシュ/ジェイコブ・ジェントリー
★★★★


〔ストーリー〕
 大晦日の夜、テレビを観ていたベンは、突然画面が奇妙な映像に変わるのを目撃する。恋人のマヤは、そろそろ夫の元に帰らなければいけないと、家に電話しようとするが、携帯電話も通じない。なにかの電波障害だろうか? ベンと別れて地下駐車場にむかったマヤだが、血だらけの男と、背後から迫ってくる不気味な男という、こわい体験をする。だが、アパートに帰りついても、殺気立った空気は変わらなかった。自宅では、夫のルイスが友人ふたりを招いて、映らないテレビを直そうとしているところなのだが…


 こんな映画だったとは思いませんでした!
サンダンス映画祭で話題を呼んだそうですが、まず、コンセプトが変わっています。“エクスキュジート・コープス” 「Exquisite corpse」(…注:ポピー・Z・ブライト嬢の作品ではありませんよ!)と呼ばれる、連作プレー方式で作られています。つまり、最初の監督がある程度まで話を進めると、次の監督がそこから引き継ぐ、というものなんですね。

 コンセプトからカルトしてますから、内容のほうも大衆むけホラーとは一線を画しています。莫大な費用をつぎこんでるわりには、中身もインパクトも薄くなってしまうホラーとはわけがちがうゼ! そんな意気込みが伝わってくる、快作となっています。

 *まず、導入部から事件が起こるまでをマヤの目でスリリングに担当した、デヴィット・ブラックナー監督。

 夫がいる身なのに、ベン(ジャスティン・ウェルボーン)と過ごすマヤ(アネッサ・ラムジー)。切ない三角関係が提示されます。そこへ、TVの奇怪なぐにゃぐにゃ映像が。この正体が「恐怖」とも知らず、外に出たマヤは早くも異変に遭遇します。
アパートに帰ってからも、異変は徐々に拡散していくよう。人々が怒鳴りあっている。ささいなことでケンカをしている。自宅では、やはりおかしな映像しか流さないTVを前に、夫の友人たちが悪戦苦闘しているのですが…

 …と、ここまでは、かなりホラーな雰囲気です。また、あらすじからも連想できるように、ジェイムズ・ハーバートの 『霧』 や、S・キングの 『セル』 のようですね。“狂人電波” に感染した人々が暴れまわり、殺しあい、いちばんこわいのは、ああ~、やっぱり “生きてる人間” でした!! という、お馴染みのパターン。

 *2番手を担当したダン・ブッシュ監督が描いたのは、寝取られ亭主のルイス(A・J・ボウエン)の大活躍!

 ここでいきなり、コミカルなテイストに。(最近の若い監督さんは、ユーモアのセンスがバツグンなんですよね~)、この方もその例に漏れず、おおいに笑わせてくれます。わたしのいちばんのお気に入りは、おひとよしでおバカなクラーク役のスコット・ポイスレス 
 …場面は変わって、突然ガイキチになっちゃった夫を思わず殺しちゃった人妻・アンナの家に移ります。クラークはその隣人さんです。そこへ、とっくにプッツン感染してるルイスが到着。期待通りのひと悶着を起こしてくれます。(ルイスにガソリンを 「シュッ、シュッ!」(← まるでいじめっこ)と吹きつけられたときの、クラークの「あぅ、あぅ…!」顔は必見です~)

 *最後に、マヤを探すベンを主軸にアツいラブストーリーに仕上げた、ジェイコブ・ジェントリー監督。

 ベンと(おひとよしでやっぱりおバカ)クラークは、消えたマヤを求めて街をさまようんですが、周囲は閑散として、まるで「28 ays Later」(2002)の冒頭シーンのよう。はたして、ベンはマヤを見つけて無事脱出することができるんでしょうか…??

 …と、このように、3人の監督が分担してるんですが、ストーリーは見事につながっています。センスと才能のある若手監督さんたちがアイデアを出しあうと、古参の作家さん、(ギャラの高い)脚本家連中なんかより、ずっと新鮮でおもしろいものが撮れちゃうんですねー。わたしはポスターから、勝手にシリアスなパニックものと誤解していたんですが、これぞまさしくカルト映画! という出来でした。そのあたりが、「Night Of The Living Dead」(1968)に通じるものがあるかもしれません。









ベン役のジャスティン・ウェル
ボーン。ほぼ無名の役者さん
ですが、カッコイイですね~。







嫉妬深い夫・ルイス役の
A・J・ボウエン。
この方もかなりの芸達者です。






マヤ役のアネッサ・ラムジー。
ナゾの電波にあっさり洗脳され
てしまう人と、そうでない人が
いるのも、現代人のリアリティ。






唯一の正常者は…
「なんだよぉぉう、
 こっちくんなよぉぉう!!!」






マヤを探して三千里の
ベンとクラーク(右)。
頭にアルミフォイルなどを
被せて、一応自衛手段を
とってみたり~(笑)。







    Love Object


(2003)アメリカ
出演…デズモンド・ハミルトン
メリッサ・サージミラー
ウド・キアー
リップ・トーン
監督…ロバート・パリジ     
★★★


〔ストーリー〕
 冴えないビジネスマンのケネスは、孤独な生活を送る独身男性。隣人のラドリーが女性を連れ帰ってくるたびに、指をくわえて覗き穴から覗き見したり、壁に耳を押し当てて室内の物音を聞いていた。そんなある日、リアルなラブドール(ダッチワイフのことです~)を提供するというチラシを発見。さっそく、インターネットで注文してみることにするのだが…


 ポスターから、勝手にサイコものだと思いこんでました。 いいえ、たしかにサイコものなんですけど、わりとイタイほうの… なんといいますか、滑稽で哀しいお話です。でも、ラストはなぜか爽快な気分(?)に浸れるという、だいぶ変わりものの作品をご紹介します。これは愛の物語なんですねー。ピュアな純愛物語ですね

 主人公のケネスを演じるのは、「Wrong Turn」(2003)「Ghost Ship」(2002)でお馴染みの、デズモンド・ハミルトン。わたしは、「クライモリ」の印象が圧倒的に強いんですけど、あの作品の彼とくらべると、だいぶ体重を落とした感じで、ぐっと細身になっていて、かえって若く見えます。

 「細身でイケメンのデズモンドが、なんでラブドールを買う必要があるんだ!!」 と、男性陣から文句がいわれそうですが、キモい人がキモいお人形と戯れながら、ウヒヒヒヒヒ… って、ほんとにキモいだけじゃないですかー!
 「イケメンのくせに、つたないモテない男ぶりが微笑ましいな~」 と思いながら、余裕をもってご覧になりましょうね。

 さてさて、恋人のいないケネスくんは、毎日がやる気の起きない、つまんない。隣室に住むステキなオジさま・ウド・キアーが若い美女をお持ち帰りするたびに、「いいなァ、ボクにもあんな彼女がいたらなァ…」と、惨めな気持ちになっていました。そこへ、会社の同僚がいたずらで忍びこませたアヤシイ広告を発見。写真のリアル・ドールに目を奪われた彼は、ほいほいアクセスしてしまいます。

 このリアル・ドールというのが、顧客の要望に応じてくれるという設定らしく、「目はなに色が好き? …緑ね、いいわ~、アーン♪」「髪の毛は? …ブロンドね、ステキよ~、アーン♪」「…つぎは脚よ~、アーン♪」(← アンアンいいすぎ)などなど、憧れの女性・同僚のリズ(メリッサ・サージミラー)に似せて作っちゃいます。

 そして、念願の恋人がご到着。人形に “ニッキー” を名前をつけて、ドキドキな生活がスタートします。

 私生活が充実しだすと、仕事もどんどんうまくいっちゃうケネス。ついには専用のオフィスまで与えられて、リズを秘書にしちゃいました! そして、リズともいい仲に…
すると、当然ニッキーが黙っていませんでした。「用済みになったからって、アタシを捨てるっていうの~??」と、ニッキーの復讐がはじまります! ひいぃぃぃ、女の執念はコワいのよ~!!

 中盤までが非常にテンポがよくて、後半になってから、「やっぱり、ありがちなサイコで決着しちゃうのかなあ…?」と、思っていたら、うれしいひっくりかえしなども。(こういう意地悪な結末は… 個人的にはスキ)…そして、不可思議な爽快感に包まれて、気がついてみたらジ・エンド(← なんでやねん! と、お思いの方、ほんとにそんな気分になっちゃうんですよー、なぜか…)

 主演のふたり、デズモンドとメリッサ・サージミラーが、とにかくがんばりすぎてておもしろいです。笑えます。ふたりの熱演ぶりに、あっけにとられてしまう場面が多々ありました(笑)。それから、ロココ趣味のオジさま・ウド・キアーの存在が妙にカワイらしい キアーは優雅な独身貴族を演じているんですが、ケネスの部屋からアヤシイ物音が響いてくるたびに、「?? なに? アレはなんの音かしら?」 と、怯える姿がけっこう萌えてしまいます。

 「8MM」(1999)みたいなアンダーグラウンドで淫靡な雰囲気はないんですが、デズモンドの体当たりな演技を楽しむのもよし、アナタの知らないイケナイ世界に足を踏み入れてみるのもよし、とりあえず、非常におもしろかったです。



 
 






サイコな根暗男を演じるには、爽やかすぎ~~!! 
な一枚を、あえて抽出








とうとう届きました!





ドキドキ、ワクワク…!!
(この後のおサルさんの
ような振る舞い
には、大人
なアナタは目をつぶって
あげましょう…







梁などを組んで、上から
吊るしてワルツを踊って
みたり~



ついに現実の女性・リズとデート!!
(最初からこうしたほうが、ぜったいてっとり早い… なんて、いっちゃダメー!!)







    Paperhouse


(1988)イギリス
出演…シャーロット・バーグ
エリオット・スピアーズ
グレン・ヘッドリー
ジェンマ・ジョーンズ
監督…バーナード・ローズ
★★★


〔ストーリー〕
 母親のケイトとふたり暮らしの11才のアナは、夢見がちな少女。父親は仕事が忙しくてほとんど別居状態、ろくに顔も憶えていないというありさまだった。反抗期ともあいまって、いつも画用紙に絵を描いては、空想の世界に浸っているアナ。すると、彼女が描いたとおりの「家」が夢のなかに出現して、しばしば意識不明を引き起こすようになってしまうのだが…


 カルト映画第二弾、知る人ぞ知る、「ペーパーハウス/霊少女」です。(…しっかし、どうにかなりませんかねー、この痛すぎるサブ・タイトル~!)

 「霊少女」となっていますが、もちろん霊は出てきません。あらすじを読んで字のごとく、「エルム街の悪夢」シリーズを、もっとずっと心理学要素の強いものにした、イギリスの田園風景がいかにもな、ダーク・ファンタジーといったところでしょうか… 思春期の少女特有の憧れや不安、おそれなどが(あざといながらも)ぎこちなく表現されていて、一度観たら、なんとなく忘れられない映画です。
 
 また、ちなみに、本作でデビューを飾ったバーナード・ローズ監督は、この4年後に「Candyman」(1992)という傑作を生みだす逸材なのでした。

 夢を媒体にした心理スリラーということで、当然フレディのような多次元的なホラーを期待したんですけど、そこはイギリス、地味です。です。文芸です。ひたすら寒々としていて、ジメっぽいです(笑)。

 まず、ヒロインのアナを演じるシャーロット・バーグが、少年かと見まがうほど色気は皆無。ということで、文芸映画してるわりには、その方面の見どころはいっさいなかったり~と(笑)。
 
 周囲の風潮に流されないアナは、つねに “我が道をゆく” タイプ。画用紙に 「こんな家があって、こんな男の子が住んでいて…」と、描いていくと、彼女の夢の中でほんとにそのまま出現してしまいます。
この「家」 というのが、アナの描いたとおりなので、家具の大きさや、バランスがおかしかったりと、じつに不気味な佇まい。丘の上にぽつんと建っている姿は、まさしくシュールレアリズムです。

 夢の「家」 に遊びにいくようになると、アナはナルコレプシー(場所や時間に関係なく、眠りに落ちてしまう病気)になってしまいます。また、最初に夢の「家」 の住人の少年・マークの足を描かなかったため、彼は足が不自由に。そして、マークがいうには、「ここは危ないよ。こんなところにいちゃいけない!」。

 精神分析な意図がアリアリで、そのへんがいくぶんしらけるんですけど、この作品も80年代ホラーに共通する、妙な「見せる力」があります。
監督が好きなものを撮れるいい時代だったんだなーと、あらためて実感。









ヒロインのアナ(シャーロット・
バーグ)。
まるで男の子のようです。








夢のなかの少年マーク
(エリオット・スピアーズ)。







こちらが夢の「家」。あくまで
子供の描いた鉛筆画が元
なので、ぎこちなくて不気味
です。








アナたちを襲う「破壊者」
正体は…!?!







   Evilspeak



(1981)アメリカ
出演…クリント・ハワード
R・G・アームストロング
ジョセフ・コーテス
監督…エリック・ウェストン
★★☆


〔ストーリー〕
 全寮制の士官学校の奨学生クーパースミスは、IQは高いがいじめられっこ。周囲はお金持ちのお坊ちゃんばかりで、両親のいない彼はいつもひやかしの対象だった。そんなある日、構内に建つ教会の地下室を罰として掃除するようにいいわたされて、秘密の隠し部屋を発見する。その部屋のラテン語で書かれた古い書物に、心惹かれたクーパースミスは…


 「デビルスピーク」の登場です~~。
注:一般的には、「Carrie」(1976)の男子版という浸透度が高いんですが、あくまでイメージ的なものですので、あしからず!

 …そうなんです、ついに観てしまいました、「デビルスピーク」。
なんでも、主演のクーパースミス(…わたしはずっと、クーパー・スミスだと勘違いしてました!)…あらため、クリント・ハワードは、ロン・ハワードの弟さんなんだそうです。そうですよ、あのロン・ハワードですよ! みなさん、知ってましたか? 「Splash」「スプラッシュ」1984)や、「Cocoon」「コクーン」1985)なんて、わたしは大好きでした。最近のものだと、「The Da Vinci Code」(2006)なんて、ありますよねー。

 お兄さんが大活躍なのに、弟さんは… イエイエ、別方面で大活躍!!

 そんなクーパースミス、あらため、クリント・ハワードの魅力がたっぷり詰まった(…うれしくない?)映画がこちらなんです。そうなんです、これはクーパースミス、あらため、クリント・ハワード(← しつこい)ファンのための映画なんです。だから、内容が薄いとか、いまいちイジメがぬるいとか、いっちゃいけません!

 いじめられっこのクーパースミス、一応気にかけてくれる友だち(…黒人という設定なんですねー)や、やさしくしてくれる人(…流れ者の料理人)もいるんですが、まわりはみんな敵ばかり。金持ちのお坊ちゃんといえば、生意気でお高くとまった連中ですよ。これ、必須事項ですよね。はては、同級生ばかりか、教師まであからさまにえこひいき。牧師は生理的にクーパースミスを嫌っていて、校長の秘書はクーパースミスから本を盗むという、とことん堂の入った嘗められよう。

 かわいがっていた子犬まで殺された日には、そりゃ、ブチ切れしちゃいますよねー、それで、わたしたちはそんなクーパスミスの復讐劇をゆっくり堪能できるというわけです。見どころは、やはり、ラストの空中浮遊でしょうか。

 二番煎じは明白なんですけど、けっこう迫力があります。このころの映画って、なまじ器用でなかっただけに、へんな迫力というか、熱がこもっていて、観る者を夢中にさせる不思議な力があるみたいです。
イマドキの映画ばかり観ている人には、そこが新鮮に映るんじゃないでしょうか…?(映画って、好きなものを撮れる時代があったんですよ~!)

 それにしても、クーパースミスの本名が 「スタンリー・クーパースミス」 とわかっただけでも、よかったです…
それから、お兄さんの映画にはけっこう出演されてるんですねー(マジメな役で)。あと、(続編と誉れ高い?)「Ice Cream Man」(1995)も観てみたいですっ!








ついでなので、クリント・ハワードの歴史などをつくって
みました。
← まず、〔幼少期〕。
(ピンボケしてますが)、うーん? これはこれで、親戚の
オバチャン連中にはカワイイといってもらえそうな…







← つづいて、〔少年期〕。
子供らしさは出ていますが、のちの「いじめられっこ」
要素が開花する雰囲気が…







← そして、〔現在〕。
うわあ、やっぱりキモいっ!! 
最高です、最高ですよ、クリント・ハワード~!!





(…あ、肝心の映画の説明忘れちゃう
ところでした
頭だけはバツグンなクーパースミス
は、コンピューターを使って「悪魔を
呼び出す方法」を解読していきます。







ついに降臨!
悪魔というと、西洋ではなぜかブタ
が「使い魔」らしいです…






目玉の空中浮遊です!
「積年の恨みで、バンバンぶっ
た切ったるで~~!!!」








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ななみといいます
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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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