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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Laid To Rest



(2009)アメリカ
出演…ボビー・スー・ルーザー
ケヴィン・ゲージ
ショーン・ウォーレン
監督…ロバート・ホール
★★☆


〔ストーリー〕
 ふと女性が目を覚ますと、そこは真っ暗闇。狭くて身動きもできない。ここはどこ? わたしはだれ? 彼女はパニックに陥り、必死に暴れまわると、閉じこめられていた棺桶が横転して… なんとか脱出に成功する。そこはどうやら葬儀屋らしく、解剖された遺体が安置されていた。周囲を歩きまわっていると、責任者らしき老人がやってくる。扉のガラス越しに助けを求めると、老人は了解して鍵をあけてくれようとする。その背後に、髑髏のマスクをつけた奇怪な殺人鬼があらわれた!!


 人気特殊効果のロバート・ホールの監督作品です。かなり活躍されている人なんですけど、まだすっごく若い方だったんですね。関連作品のほとんどがホラーでして、ピンからキリまでありますが、いちばん最近のものだと、「The Crazies」「ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖」1973)のリメイクとか。若いのに才能もある… もう、いうことないじゃないですかー!

 この作品、じつはDVDの配給会社だったアンカーベイ製作なんです。もともとホラーに強く、マニア受けしそうな強力なラインナップばかりとりそろえていて、ついには映画製作にも乗りだすように。そこで記憶に新しいのが、「Hatchet」「ハチェット」2006)ですね。ええー、たしかに、マニア受けしそうな作品でした! 「ハチェット」も気持ちがいいほどゴアしてましたけど、今回は特殊効果マンが監督ですからね~。
さらにその上をいく、立派なスプラッタ映画に仕上がっています。

 ストーリーは、簡単にいってしまいますと、記憶喪失の女性がヒロイン、彼女をつけ狙う髑髏マスクの殺人鬼との血みどろのハラハラ追いかけっこです。

 主人公の女性(ボビー・スー・ルーザー)が目を覚ますと、なぜか棺桶の中。彼女は後頭部に怪我をしていて、自分がだれなのか、どうしてこんなことになったのかも、思い出すことができません。どうにか棺桶を脱出、葬儀屋のなかを歩きまわっていると、管理人の老人がやってきます。彼に扉の鍵をあけてもらおうとするのですが、突然あらわれた髑髏マスクの殺人鬼によって、殺害されてしまいます! キャア~!! 髑髏マスクが手間取ってる間に、すきを見て葬儀屋も脱出。命からがら助けを求めて町をさまようのですが…

 この町というのが、なんとも都合のいいことに、郊外の隔絶された田舎町でして、人気もすくなく、当然警官もすくなくて、殺人鬼と彼女を助けた男たち(ケヴィン・ゲージ、ショーン・ウォーレン)とのバトルが繰りひろげられるわけなんですが… さっさと車に乗って逃げればいいのに~ なんて、つっこんではいけません。それをいわれたら、元も子もないですから!!

 まー、こういっちゃなんですけど、さすがはアンカーベイ、やはりマニア受けしそうなホラーですよ。派手なことはやってますけど、「ハチェット」同様、ストーリーとしてはぎりぎりなところでしょうか。

 ですが、スプラッタシーンはさすがにすごいです。いまのスプラッタって、ほんとうにリアルにできているんですよね。とくに、〇〇切断シーンなんか、あまりのリアルさにおののいてしまいました。あと、オープニングもやたらかっこいいです。ホラーマニアの心を一気につかめるように、うまいことできています。

 殺人鬼がインパクトがあって、この作品も「ハチェット」同様に続編が作られるかもしれません… あっ、それはないですかね… いえいえ、わかりませんね。このマニア一本狙いなアンカーベイ・シリーズは、正直目が離せないです。

 









髑髏マスクが
イカス~!!
カメラマニアの
殺人鬼。










遺体安置所には、
老婆の死体が!!








記憶喪失のヒロイン、
ボビー・S・ルーザー。







狙った獲物は逃がさ
ない!
どこまでもヒロインを
追いかけてきます!!







キャー、
金髪美人の運命や、
いかに?!!







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    Fortress


(1986)オーストラリア
出演…レイチェル・ウォード
ショーン・ガーリック
マーク・エイデン
監督…アーチ・ニコルソン
脚本…エヴェレット・デ・ロッシュ
★★☆


〔ストーリー〕
 小さな町の小学校教師サリーは、生徒のシドとトミー兄弟の家に下宿をしている。ある朝、いつものように3人で登校して、9人の学年がちがう子供たちと授業をはじめていると… 突然仮面をつけた男たちが教室に乱入、ショットガンを振りまわして、
サリーたちに外の車に乗るように命令するのだが…


 オーストラリアのケーブルテレビ用に製作された作品です。邦題では、「リトルソルジャー/奇跡の砦」なんて、やたらすがすがしくて感動しそうなタイトルがつけられていますが… これは知る人ぞ知る、異色スリラー・ドラマ。オーストラリアもけっこう過激なんですね~ と、妙にうれしくなってしまいました。
 
 監督のアーチ・ニコルソンは初耳ですが、脚本がなんと、「Long Weekend」「ロング・ウィークエンド」1978)「Patrick」「パトリック」1978)「Razorback」「レイザーバック」1984)などの一風変わった作品で知られる、エヴェレット・デ・ロッシュなんですよ。こう聞けば、ああ、単純なサスペンスでは終わらないなと、かすかに期待してしまいますよね。ちなみに「ロング・ウィークエンド」は、最近リメイクされたばかりです。早く観たいですねー!

 ヒロインの教師サリーには、モデル出身の長身美人、レイチェル・ウォード。華々しい活躍はしていませんが、個性女優としていまでも人気があります。

 サリーは小さな田舎町の唯一の小学校教師。生徒のシド(ショーン・ガーリック)とトミー(マーク・エイデン)の家に下宿しています。なんだか古きよきアメリカの田舎町の典型ですね。なんにもないところですけど、一応教師としての敬意は払われている、みたいな。サリーが通う学校の生徒たちは、学年もそれぞれ、男女あわせて9人しかいません。そんなのんびりした雰囲気の教室に、突如として乱入者がやってきます。

 乱入者の男たちは4人いて、全員動物の仮面やサンタの仮面(← リーダーです)をつけていまして、手にはショットガンを持っています。彼らはいちばん歳下の男の子を人質にとり、サリーをふくめて生徒全員を誘拐してしまいます。そして、車に揺られてたどりついたさきは…

 ストーリーの前半が、洞窟のなかにとじこめられてしまった子供たちとサリーの命がけの脱出劇、後半になると… ウフフ これはなかなか、ひねくれています。この手の(ある意味普遍的な)テーマは現代にもじゅうぶん通用する内容だと思いますので、いま観てもまったく古びた感覚がありません。
 それから、お国柄の特色というのもあるのでしょうが、子供たちの描写が妙にリアルです。気まずいシーンもいくつかあります。ほんとにこれがテレビドラマだったんですか? というくらい、まず家庭的な内容ではないですね。
  
 エヴェレット・デ・ロッシュというと、わたしは前述した3作品しか観たことがないんですが、この作品を観てひどく興味が湧いてしまいました。高知能を持った猿の恐怖を描いた「Link」「リンク」1986)もおもしろそうですし、「Snapshot」「ヌードモデル危機一髪」1978)なんて、ステキなタイトルのサスペンスもあるんですが。やはりこれらも、ストレートな作品ではないみたいです。











サリー役の
R・ウォード。








「ウオラァ! さっさと
乗らんかい!!」









どうやって脱出する
んでしょうか…??








なんとか民家まで
歩いていくのですが…








「先生、
早く逃げてー!!」







     The Haunting in
      Connecticut



(2009)アメリカ
出演…ヴァージニア・マドセン
カイル・ガルナー
アマンダ・クルー
監督…ピーター・コーンウェル
★★★


〔ストーリー〕
 長男のマットの癌治療のため、診療所に近いコネティカット州に居を移す決心をしたキャンベル一家。妻のサラ、夫のピーター、子供はマットのほかに長女のウェンディ、幼いメアリーとビリーという大所帯だったが、手ごろな価格の広い屋敷を見つける。そこは以前葬儀屋だったのだが、家族はそれを承知のうえで引っ越しする。マットは絶望的になるまいと健気に振る舞う。しかし、奇怪な幻影が見えるようになってしまい、しだいに精神的に追いつめられて…!!


 1980年代にコネティカット州で、スネデカーという一家にじっさいに起こった事件をもとにしているんだそうです。ドラマにもなっていまして、その反響が大きかったのか、とうとう映画化されました。実話幽霊奇譚の本にも紹介されているんですが、こちらはなんと、レイ・ガートンが執筆しています。(翻訳されないかなー!)
 
 実話もの、引っ越しさきに “悪しきもの” がとり憑いていた… というストーリーというと、まず思いつくのが「The Amityville Horror」「悪魔の棲む家」1974)でしょうか。あの作品も、実話うんぬん…~ という話がありました。それに、ずいぶん長いことシリーズ化もされています。

 「悪魔の棲む家」が受け入られやすかったのは、たぶんホラーがどうこういうよりも、せっかく大金を払って手に入れた家がとんでもない代物だった! という、シャレにならない一大悲劇の叙事詩になっているからだと、わたしは勝手に思っているんですが…

 だって、そりゃ~、ショックですよ。手抜き工事よりもひどいんですもん! 新しい家に越してきたのはいいけれど、お金は失くすは、子供はやたらケガするは、夫婦ゲンカは絶えないは、窓枠に手を挟むはで… しまいには、家が燃えちゃうんでしたっけ? 「この家族、火災保険にはちゃんと入っていたの?」と、わたしなんかハラハラしてしまったんですが。

 それで、この作品もそんな王道「幽霊屋敷」を連想させるはじまりなんですが、あらすじにも書きましたように、ちょっとばかしホラーではありません。家族に病人がいて、その彼を中心に複雑な事情やさまざまな苦労、それらをなんとか乗り越えようとする一家の姿が描かれるのでありますが…
 …と思って観ていると、やっぱりおどろおどろしいホラーだったりもします。あれ? いったいどっちなんだ!! そんな中途半端さがなんとも愛しい、一般受けしそうな良心的ホラー映画です。わたしは好きです。

 母親のサラには、ヴァージニア・マドセン。こんなきれいなお母さん、現実にはなかなかいないですよねー、などと文句をいいながら観ましょう。サラとピーター(マーティン・ドノヴァン)夫妻はある決断を迫られていまして、それは息子のマット(カイル・ガルナー)が癌に冒されていて、治療をつづけるためにもコネティカットに引っ越す必要がありました。
 そして彼らが見つけたのは、家族6人が住むにはじゅうぶんな広さと快適さを備えた古い家。値段もびっくりするほどお買い得です。理由は以前、葬儀屋として使われていたとのこと。夫婦はそんなことはまったく気にせず、その家に決めてしまいます。

 ですが、引っ越し当日から、マットが不気味な幻覚を見るようになってしまいます。はじめは家族もマット本人も、病気によるストレスからくる神経症だと思っていたのですが… 家に巣くっていた “悪しきもの” は、その程度の嫌がらせでは満足しませんでした!!

 全体としての印象は、起承転結がはっきりした、どこか懐かしい雰囲気のホラー映画です。が、ホラー好きのあなたが期待して観てしまうと、いくらかもの足りないかもしれません。かといって、家族のドラマを期待して観ていたわたしにも、やっぱりいくぶんもの足りなかったです。
 結論としては、どちらかに焦点を絞ったほうがよかったのでは?… ですが、映画としては良質な出来で、結末はなかなか迫力があるように作られています。ちょっとネタばらし! 楳図かずおさんみたい!!













美人すぎるお母さん、
ヴァージニア・マドセン。










死の恐怖と戦うマット
(カイル・ガルナー)。










ウェンディ役の
アマンダ・クルー。









マットの様子は
どんどんおかしく
なってしまい…!!









ついに原因をつきとめる
ため、交霊会をはじめる
のですが…







     Butterfly Effect 3: 
       Revelation



(2009)アメリカ
出演…クリス・カーマック
レイチェル・マイナー
ケヴィン・ヨン
監督…セス・グロスマン
★★☆


〔ストーリー〕
 15才のときに火事で両親を失った青年サム。以来、妹のジェナとともにふたりだけで暮らしてきた。サムには特別な力があって、自己催眠によって意識を過去にさかのぼることができた。その能力を駆使して、未解決の殺人事件の犯人をつきとめ、知人のグレン刑事に情報を提供していた。ある日、高校時代の同級生のメレディスがサムを訪ねてくる。彼女は当時のサムのガールフレンドだったエリザベスの日記を持っていた。だが、エリザベスを殺害した犯人は逮捕されたはずだった… サムは刑務所に収監されている犯人に面会にいくのだが…
 

 続編嫌いのわたしが観てしまった、「The Butterfly Effect」「バタフライ・エフェクト」2003)の3作目!! これが素直におもしろいと思える出来でした~

 監督さんのセス・グロスマンは日本では馴染みの薄い方ですが、人間ドラマを撮ってきた人らしく、この作品もホラー・ミステリを絡めた謎解きドラマ。続編てばかにしていましたけど、けっこうおもしろいものなんですね。

 主演のクリス・カーマックは、「The OC」で有名になった方だそうです。画像検索すると、やたらと筋肉質な写真が多くてびっくりしました(しかも、つねに上半身裸)… ですが、この作品ではそれほどムキムキしていないです。ご安心してください

 「バタフライ・エフェクト」というと、主人公(なぜかいつも男性)が過去にさかのぼって、そこで物事を変えてしまったために巻き起こる珍騒動を描くお話なんですが…
 ええーと、ちょっと説明の仕方がまちがっていますか。わたしは2作目は観ていないんですが、こちらの作品も1作目同様、主人公が過去にもどった結果、現在がどんどん変動していってしまうというのはおなじです。

 ただ、あらすじにも書きましたように、サムの場合ははじめから自分の能力を理解していて、能動的になっています。この点がいままでにはなかったかも。それから、
「超能力者の悲劇」というのでしょうか、授かってしまった力ゆえの複雑な葛藤もあります。

 15才のときに火事で両親を失い、妹のジェナ(レイチェル・マイナー)と暮らしてきたサム。ジェナは火事のときにサムに救ってもらった経験から、全面的にお兄さんを信頼しています。だからサムが “ジャンピング”(過去にもどること)するとき、ジェナは大切なパートナー。サムの身体に異変が起きないか、つねに見守っていてくれます。

 ある日同級生の訪問をきっかけに、ガールフレンドを殺されるという悲劇を思い出し、心を揺さぶられてしまうサム。とうとうエリザベス(サラ・ヘイベル)を殺害した憎っくき犯人と対峙するのですが、でも犯人からは、「おまえが真犯人なんだろう! おれは十年間もこんな場所に閉じこめられているんだ… おまえこそ、ここにいるべきなのに!!」と、逆ギレされてしまいます。

 それまではこわくて、エリザベスが殺される過去を覗けなかったサム。当然、そんな場面は見たくないですよね。それでも気になってしまい、真相をたしかめようと、
ジェナの助言も聞かずに過去にもどってしまいます。ここで、エリザベスに目撃されて接触してしまったために、変動現象が起きてしまい…!!

 この変動をネタバレしてしまいますと、連続殺人事件に発展してしまうのです。そして、今回は「故意に未来を変えよう」と行動を起こさなくても、過去の人間と接触しただけで思いもしない変化が起きてしまいます。オリジナリティはないんですけど、これが続編じゃなかったら、たぶんもうすこし評価が上がったのでは? というくらい、ラストまでひっぱる牽引力があります。

 もちろん、犯人探しのおもしろさもあるんですけど、“サム=超能力者” にしたところがよかったかもしれません。それと、殺害シーンは1作目のせつなさと甘さがどこにいっちゃったんだ? というくらい、手を抜いておりません。いいですねー

 1作目を越えることはさすがに無理がありますが、単品として観るぶんには、これはこれでじゅうぶん楽しい娯楽作だと思います。タイムトラベルのお話って、いつも複雑な結末を迎えることが多いですが、この作品はちょっとこわすぎるかも。いいえ、悲劇かも…
 これにて、今回の〈アフター・ダーク・ホラー・フェス〉は打ちどめ。














筋肉質な色男
サム役のクリス・カーマック。









妹のジェナ
(R・マイナー)。






ジェナとサムは協力し
あって、殺人事件を
解決に導くのですが…








色男だから、放っと
いても美人が寄って
きます。









美女に迫る電動
ノコギリの恐怖!!!









ついに突きとめた
犯人のアジトは…?!







    The Children



(2008)イギリス
出演…ハンナ・トイントン
エヴァ・バーシッスル
レイチェル・シェリー
監督…トム・シャンクランド
★★★


〔ストーリー〕
 クリスマス休暇を迎えたジョナとエレイン夫妻は、ティーンエイジャーの長女ケイ
シー、幼い妹のミランダ、末っ子の弟ポウリーを連れて友人の家に訪れる。友人のクロエとロビーは郊外の林に囲まれた立派な家に住んでいて、彼らにもニッキーとリアという幼い兄妹がいた。クリスマスを楽しく過ごし、新年を祝う彼らだが… 飼っていた猫がいなくなったことから、子供たちにすこしずつ異変が起こり、信じられない悪夢が彼らを襲う…!!


 おもしろいホラー映画は数あれど~… こわいホラーって、案外すくなかったりしますよね。今回ご紹介しますのは、ひさびさに出ましたよ!! けっこうこわいホラー映画です。

 監督のトム・シャンクランドは、「W Delta Z」「パーフェクトゲーム/究極の選択」2007)を撮った方だったんですね。こちらはサイコ・サスペンス…?でしたっけ。なんか、よくおぼえていません。セルマ・ブレアが出ていた記憶はあるんですが。前半は「Se7en」「セブン」1995)みたいな盛りあげようで、オチがいまいちだったと記憶しています。
 
 そのトム・シャンクランドが、今度はまっこうからホラーに挑んだんですが… これがですね、まさに正統派ホラーになっているんですよ。

 季節は楽しいクリスマス・シーズン。ジョナ(スティーヴン・キャンベル・ムーア)とエレイン(エヴァ・バーシッスル)夫婦は、3人の子供を連れて友人宅にむかいます。長女のケイシー(ハンナ・トイントン)はむずかしい年ごろ、家族と過ごすのが多少うざった
く感じる時期で、携帯電話を手放しません。それから、次女のミランダ(エヴァ・セイ
ヤー)、喘息もちのポウリー(ウィリアム・ホウス)。

 たいして、友人夫婦のロビー(ジェレミー・シェフィールド)とクロエ(レイチェル・シェ
リー)には、ニッキー(ジェイク・ハサウェイ)とリア(ラフィエラ・ブロークス)というかわいらしい兄妹が。

 ロビーとクロエの家は静かな林に囲まれたステキな豪邸で、クリスマスのデコレーションも楽しいし、彼らはハッピーな休日を迎えて、のんびり新年を過ごすことになるはずだったのですが…
 飼っていた猫がいなくなったことをきっかけに、すこしずつ、不気味な空気が忍びよってきます。リアが咳こんで、血のようなもの(?)を吐くのですが、大人はだれもそのことに気づきません。リアばかりでなく、ほかの子供たちもなんだか体調がすぐれない様子。それに、理由もなく暗闇をこわがったり…

 そして、新年をむかえた朝、みんなで乾杯していると、今度はミランダが「気分が悪い」と駄々をこねます。クロエは彼女をやさしくなだめようとして、突然ヒステリックになったミランダに攻撃されてしまうのですが…!!

 この作品を観てまず思ったことは、過去の傑作と呼ばれる類の作品を忠実に踏襲しているな、ということです。前半は平和な映像ばかりがつづくんですが、そんななかにも、どことな~く危険な雰囲気がじわじわ感じられて… さあ、いよいよ、くるぞ、くるぞ…!! という緊張の高め方も、いかにも王道の手法なんですよね。それでいて、とても成功しています。

 寒空と森閑とした林をバックに何度も家のシーンが登場するあたり、どことなく「The Shining」「シャイニング」1980)と彷彿させます。それから、幼い子供がおそろしい殺人鬼に変貌するというストーリーというと、こちらもキング原作の「Pet Sematary」「ペットセメタリー」1989)とか。「ペットセメタリー」は悲しくてこわい映画でした。あの作品でも、あんな小さな子にどんなふうに演技指導したのだろうと、感心してしまったのですが、こちらの作品もすごいです。

 愛らしいはずの子供がだんだん不気味に見えてくるのは、メイクのせいもあるんで
しょうけど、恐怖感情を生みだす流れがうまくできていて、なかなかおそろしい。それから、やはり雪原に血は映えますね! 真っ白い雪に鮮血がぱっと染みこむシーンは、ありがちでも印象的です。ナゾの感染症にかかってしまった子供たち、すこしずつ狂気に冒されはじめて…?!

 いくら正統ホラーといいましても、2000年代映画ですから、後半から信じられないことになっていきます。(日本じゃこういうのは撮れないでしょうね~)
“幼い子供 VS. 大人” ですから、当然まともに襲ってもかなうはずありません。そこがまた、邪悪でおそろしいことになっているんですけどね…

 この監督さんはかなりのセンスの持主と見うけられます。ホラー好きなら、とりあえず観るべし!!











左からクロエ、
ロビー、
エレイン。









ケイシーはなにか
を感じとり…?










リアとニッキー。









虚弱体質の
ポウリー。









怯えるクロエ…
なにが起こったの?!!







  
    Slaughter



(2009)アメリカ
出演…エイミー・シエルズ
ルーシー・ホルト
クレイグ・ロバート・ヤング
監督…スチュアート・ホープウェル
★★☆


〔ストーリー〕
 暴力的な元恋人との生活に傷ついて、空虚な生活を送っていたフェイス。ある日、バーで友人のローラと再会、彼女にさそわれて、彼女の実家のアトランタで農場生活をはじめることになる。農場暮らしは快適に思えたが、ローラと共同生活を送る建物のそばに建つ豚小屋はどことなく不気味で、ローラの兄や父親のジョーダンもとっつきにくい人物だった。元恋人が追ってくるのではないかと、悪夢を見るフェイス。たいしてローラは開放的で、街にくりだしては男を連れて帰ってくるのだが…


 はじめにテロップで、「これは実話をもとに作られた映画です」と、出るんですが、あらすじをちょっと一読しただけでも、ああ、(例の)ありきたりな内容かなー? と、勘違いしてしまいそうですが。

 最初にいってしまいますけど、これはホラーではありません。サスペンス・スリラーなんですよね。たしかに “殺人農場” なんですけど、お約束の殺人鬼はぜんぜん登場しません。

 物語は、ヒロインのフェイス(エイミー・シエルズ)の引っ越しからはじまります。都会の生活を捨てて、逃げるように田舎へとむかうフェイス。じつは、以前つきあっていたジミー(ヴァンス・ダニエルス)という男性がいたのですが、これがDV男で、異常に嫉妬深く、彼から逃れるためにもべつの生活がほしかったのです。

 むかったさきは、友人のローラ(ルーシー・ホルト)の実家の農場。そこで穏やかな暮らしができると思っていたのですが、農場にはどことなく薄気味悪い雰囲気があって(これは定番)、豚小屋にはなぜか秘密が隠されているようで?(これまた定番)、ローラの親族たちもどこかよそよそしく…(定番ですよね~)

 ここまで書いてしまうと、「ははーん、そういうことね…!」と、早合点してしまいそうですが、意外なところで裏切られていきます。
 ヒロインのフェイスは痩せっぽちで生真面目で、名前の通り堅実な女の子。たいしてローラは農場育ちのためか、都会や華やかな生活に憧れていて、ファッションにも気を使っています。フェイスと一緒に街にくりだしては、男性を連れて帰ってくるローラ。外見もローラのほうが派手ですから、当然男性は彼女に夢中になるのですが…

 ありきたりなホラーではなく、心理的なショックを与えてやろう、というこの監督さんの意図は買いたいと思います。多少たどたどしいところもあるんですけど、わたしはきらいじゃありません。
 何度も豚のシーンが挿入されるんですが、これが意味するところは? 豚小屋の象徴は…? うーん、狙っているところがわかりすぎるくらいわかってしまうので、だいぶ惜しい作品です。もうすこしくわしい描写がほしかったですかね~ (キャラにもの足りない部分があります)、それから、いちばん惜しいのは緊張感が足りなすぎて、全体的にゆるいことですかね~

 ですが、よくある殺人農場よりはおもしろいと思います。
好きキライがはっきりわかれそうな内容なんですが、この監督さんももしかしたら、もしかすると? 次回作で化けちゃったりして!!
 











オープニング、
フェイスの
身になにが?!









バーでけだるく
くつろいでいると…








好奇心を抑えられない
ヒロインは、たいへんな
目に遭うんですよ!!









(これまた定番!!)
逃げられるか?!!







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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