個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、
小説のレビューなどをポツポツと…
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No Man's Land:
The Rise of Reeker
(2008)アメリカ
出演…マイケル・ロバート・ブランドン
マイケル・ムーニー
デズモンド・アスキュー
監督…デイヴ・ペイン
★★☆
〔ストーリー〕
1978年、若い警官マクアリスターは、ある日砂漠で血のついたタイヤホイールを発見する。そこから荒野にぽつんと建つ小屋を発見、なかに入ってみると、連続殺人鬼の恐怖の拷問部屋となっていた!! 殺人鬼はすぐに逮捕され、ガス処刑されることになるが…
そして、現在。パトロール中にダイナーに立ちよった息子のデュプティと、かつての手柄を立てたマクアリスター。彼らは偶然カジノ強盗を発見、緊迫した事態を迎えることになる。しかし、銃撃戦よりもおそろしい事態が彼らを待っていた…!!
〈ゴーストハウス・アンダーグラウンド〉の2本目です。
タイトルでどうしてネタバレしているのかなー、なんて無邪気に疑問に思っていましたら、デイヴ・ペインというこの監督さん、「Reeker」(2006)を撮った方だったんですね。なるほど~、あの作品のプロローグ的な映画だったんですね、と、かなり遅ればせながら気づいたわたくし… 鈍くてすいません。。。
「Reeker」を観た方ならわかるかと思いますが、すっごくくっさい死神が出てくるお話です。それで、この映画を観てみると、なぜそんなにくっさいのかがわかります。
死神となるシリアル・キラーのマイケル・ロバート・ブランドンのオープニングが、なかなかクール。こういう殺人鬼って、いいですよねー。見た目はふつうのセールスマンなんですけど、かかわったが最後、ぜったい殺られちゃうアブナイ空気プンプンです。それで、拷問大好き、死体損壊大好き、生首蒐集ももちろん、ようするに、彼の小屋じたいが腐肉の臭いでくっさいんですね。ですから、彼自身はガスマスクをつけながら作業したりしてます。
偶然小屋を発見したマクアリスター警官(デヴィット・スタンブラ)によって殺人鬼は逮捕され、ガス室送りとなるのですが…
そして、現在。かつてのマクアリスターは保安官(ロバート・パイン)になっていて、息子のデュプティ(マイケル・ムーニー)も警官です。彼らがダイナーで休憩をとっていると、カジノ強盗の3人組の無線が入ります。そのカジノ強盗、運よく目の前にいるではありませんか!!
ここでお約束の銃撃戦に突入するのですが、強盗たちもそうやすやすと捕まるわけもなく、ウェイトレスのマヤ(ミルチャ・モンロー)を人質にとって車で逃げようとします。ですが、オイルが洩れていることに気づき、「そこから離れろ!!」 デュプティたちは注意するのですが、これもお約束の引火、車は爆発して強盗犯のひとりのカルロス(ウィルマー・カルデロン)が焼死してしまいます…
残った犯人のビンキー(デズモンド・アスキュー)とアレックス(ステイーヴィン・マーティンス)、ダイナーの従業員、デュプティたちは、それぞれ現場から逃げようとしたり、応援を求めたりするのですが… なぜか無線が入らなくなります。そして、周囲を見えない壁に閉じこめられているではないですか!!
…とまあ、こんな内容なんですが。
ここからさきも、例のお約束な感じです。最初に「Reeker」のプロローグ的な作品だと書きましたが、やっていることがまったくおなじなんですね(笑)。えーと、わかりやすい入門編? アイデアのかけらもないなー、なんて、いわないでください… たしかにそうなんですけど、解決の仕方がきっちりしていまして、こういうきれいなかたちのホラーはわたしは好きです。物語の前半に「あれ、なんだったの?」とか、ちょっとしたナゾとかが、ラストできっちり説明できる構図になっています。
あと、宣伝文が 「残酷描写の目白押し!!」 みたいなノリなんですけど、ぜんぜん残酷ではないです。といいますか、これもやっぱり、ホラーというよりファンタジーですね。そう思って観てみますと、納得できるかもしれません。
「Reeker」の続編のわりには消化不良の部分もあるんですけど、それでもおもしろいかと思います。死神がもうちょっとガンガンいってくれていたら、楽しいホラーになったんですけどねー。あ、それじゃ、「ファイナル・デスティネーション」みたいになっちゃいますか。それはそれでいいかと思いますが。
ガス室送りになって
も、不敵な笑みを浮か
べる殺人鬼。
強盗犯のひとり、
ビンキーとマヤ。
はれ…??
見えない壁が
あるよ!!
アリソン役の
ヴァレリー・クルス。
血の手形が示す
意味とは…?
くっさい死神登場!!
お約束の
どっかーん♪
The Rise of Reeker
(2008)アメリカ
出演…マイケル・ロバート・ブランドン
マイケル・ムーニー
デズモンド・アスキュー
監督…デイヴ・ペイン
★★☆
〔ストーリー〕
1978年、若い警官マクアリスターは、ある日砂漠で血のついたタイヤホイールを発見する。そこから荒野にぽつんと建つ小屋を発見、なかに入ってみると、連続殺人鬼の恐怖の拷問部屋となっていた!! 殺人鬼はすぐに逮捕され、ガス処刑されることになるが…
そして、現在。パトロール中にダイナーに立ちよった息子のデュプティと、かつての手柄を立てたマクアリスター。彼らは偶然カジノ強盗を発見、緊迫した事態を迎えることになる。しかし、銃撃戦よりもおそろしい事態が彼らを待っていた…!!
〈ゴーストハウス・アンダーグラウンド〉の2本目です。
タイトルでどうしてネタバレしているのかなー、なんて無邪気に疑問に思っていましたら、デイヴ・ペインというこの監督さん、「Reeker」(2006)を撮った方だったんですね。なるほど~、あの作品のプロローグ的な映画だったんですね、と、かなり遅ればせながら気づいたわたくし… 鈍くてすいません。。。
「Reeker」を観た方ならわかるかと思いますが、すっごくくっさい死神が出てくるお話です。それで、この映画を観てみると、なぜそんなにくっさいのかがわかります。
死神となるシリアル・キラーのマイケル・ロバート・ブランドンのオープニングが、なかなかクール。こういう殺人鬼って、いいですよねー。見た目はふつうのセールスマンなんですけど、かかわったが最後、ぜったい殺られちゃうアブナイ空気プンプンです。それで、拷問大好き、死体損壊大好き、生首蒐集ももちろん、ようするに、彼の小屋じたいが腐肉の臭いでくっさいんですね。ですから、彼自身はガスマスクをつけながら作業したりしてます。
偶然小屋を発見したマクアリスター警官(デヴィット・スタンブラ)によって殺人鬼は逮捕され、ガス室送りとなるのですが…
そして、現在。かつてのマクアリスターは保安官(ロバート・パイン)になっていて、息子のデュプティ(マイケル・ムーニー)も警官です。彼らがダイナーで休憩をとっていると、カジノ強盗の3人組の無線が入ります。そのカジノ強盗、運よく目の前にいるではありませんか!!
ここでお約束の銃撃戦に突入するのですが、強盗たちもそうやすやすと捕まるわけもなく、ウェイトレスのマヤ(ミルチャ・モンロー)を人質にとって車で逃げようとします。ですが、オイルが洩れていることに気づき、「そこから離れろ!!」 デュプティたちは注意するのですが、これもお約束の引火、車は爆発して強盗犯のひとりのカルロス(ウィルマー・カルデロン)が焼死してしまいます…
残った犯人のビンキー(デズモンド・アスキュー)とアレックス(ステイーヴィン・マーティンス)、ダイナーの従業員、デュプティたちは、それぞれ現場から逃げようとしたり、応援を求めたりするのですが… なぜか無線が入らなくなります。そして、周囲を見えない壁に閉じこめられているではないですか!!
…とまあ、こんな内容なんですが。
ここからさきも、例のお約束な感じです。最初に「Reeker」のプロローグ的な作品だと書きましたが、やっていることがまったくおなじなんですね(笑)。えーと、わかりやすい入門編? アイデアのかけらもないなー、なんて、いわないでください… たしかにそうなんですけど、解決の仕方がきっちりしていまして、こういうきれいなかたちのホラーはわたしは好きです。物語の前半に「あれ、なんだったの?」とか、ちょっとしたナゾとかが、ラストできっちり説明できる構図になっています。
あと、宣伝文が 「残酷描写の目白押し!!」 みたいなノリなんですけど、ぜんぜん残酷ではないです。といいますか、これもやっぱり、ホラーというよりファンタジーですね。そう思って観てみますと、納得できるかもしれません。
「Reeker」の続編のわりには消化不良の部分もあるんですけど、それでもおもしろいかと思います。死神がもうちょっとガンガンいってくれていたら、楽しいホラーになったんですけどねー。あ、それじゃ、「ファイナル・デスティネーション」みたいになっちゃいますか。それはそれでいいかと思いますが。
ガス室送りになって
も、不敵な笑みを浮か
べる殺人鬼。
強盗犯のひとり、
ビンキーとマヤ。
はれ…??
見えない壁が
あるよ!!
アリソン役の
ヴァレリー・クルス。
血の手形が示す
意味とは…?
くっさい死神登場!!
お約束の
どっかーん♪
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Hush
(2008)イギリス
出演…ウィリアム・アッシュ
クリスティン・ボトムリー
クレア・キーラン
監督…マーク・トンデライ
★★★
〔ストーリー〕
車で移動しながら、サービスエリアのポスターを貼りかえるザックスと恋人のべス。深夜も遅く、ふたりはささいなケンカをしてしまう。怒ったべスはアイマスクをつけて眠りにつき、ザックスひとりが運転していると… 足下の荷物をとろうとして、あやうく車線をはみだしそうになる。ちょうど後方からきたトラックがクラクションを鳴らしながら追い越し、はずみで荷台のドアがほんのすこし持ちあがると… 全裸で檻に入れられた女性が悲鳴をあげていた!!
イギリス映画です。痛快なサスペンスの登場です。
監督のマーク・トンデライは、これが初の監督作となっているようです。
あらすじをご覧のとおり、これは姿の見えない殺人鬼がテーマ、猫と鼠の追いかけっこです。
むかしからこういう映画って、よくありますよね。そして、なぜか高速道路が舞台というパターンが多いです。車の運転て孤独なものだし、すぐ近くを走っているドライ
ヴァーがどんな人なんだろうとか、気になりだしたらこわいかもしれません。
そんな現実的な恐怖を描いたストーリーなわけですが、これがわかりやすいくらい王道していまして、「Wolf Creek」(2005)みたいになっているのかなー、と思っていましたら、ヒッチコックのようでした!
主役のザックスを演じるのは、ウィリアム・アッシュ。アッシュつながりで、UKバンドのフロントマンのティムにちょっと顔が似ています… なんていったら、だいたい感触がつかめるでしょうか。いくぶん気弱そうな、ぼんやりした優男といった雰囲気です。
ザックスはサービスエリアのポスターを貼りかえる仕事をしながら、深夜に車で移動中。助手席にはガールフレンドのべス(クリスティン・ボトムリー)がいます。ふたりはささいなことから口ゲンカをしてしまい、べスは彼を無視して眠ってしまいます。そんなとき、ちょっとしたアクシデントが。
車が車線を飛びだしかけ、追い越してきたトラックがはずみで荷台のドアをあけると… なんと、全裸の女性が悲鳴をあげているではありませんか!! しかも、彼女は檻に入れられているようなのです。「なに? いまのはなんだよ??」 ザックス、茫然! トラックはドアをしめ、なにごともなかったかのように走っていきますが…
…こんなとき、自分ならどうするだろうとか、いろいろ考えちゃうのですが… 映画として見た場合、まっとうな解決法ではおもしろくなりませんよね。そのあたりが多少イライラするかもしれませんが、サスペンスとしてはなかなかの出来。そして、殺人鬼の不気味さと正体不明さが、結末までひっぱるんですよねー。
ザックスがいかにして孤独となってしまい、顔の見えない殺人鬼と対決することになるのか… 気弱なザックスくんの運命や、いかに?!
ストーリーのほとんどが彼の活躍(…といいますか、本人の能力以上のがんばり?)に費やされていまして、観客はザックスに感情移入しながら、応援したり、叱咤していくわけです。そして、敵に対抗できるアイテムはたったひとつだけ。(どんなアイテムかは、みなさんも考えながら観てくださいね~)
主人公は平凡な男性ですから、当然腕っぷしが強いわけでもなく、運が彼に味方をするわけでもなく、運悪く災難に巻きこまれてしまった結果、踏んだり蹴ったりの状況がつづくんですが(笑)。あまりにいたぶられすぎちゃうので、「この人、結末までもつのかなあ?」 と、わたしはハラハラしながら観てしまいました。
真新しいことはありませんが、低予算で巧みに練られた息もつけないサスペンス。
緊張感もたっぷりで、けっこうおもしろいですよー♪
べス役のC・
ボトムリー。
あやしいトラック発見!
ザックス、
下に隠れてみたり!
横に隠れてみたり!
警官に捕まってみたり!
はひ~、
この体勢は苦しいよ…!!
(2008)イギリス
出演…ウィリアム・アッシュ
クリスティン・ボトムリー
クレア・キーラン
監督…マーク・トンデライ
★★★
〔ストーリー〕
車で移動しながら、サービスエリアのポスターを貼りかえるザックスと恋人のべス。深夜も遅く、ふたりはささいなケンカをしてしまう。怒ったべスはアイマスクをつけて眠りにつき、ザックスひとりが運転していると… 足下の荷物をとろうとして、あやうく車線をはみだしそうになる。ちょうど後方からきたトラックがクラクションを鳴らしながら追い越し、はずみで荷台のドアがほんのすこし持ちあがると… 全裸で檻に入れられた女性が悲鳴をあげていた!!
イギリス映画です。痛快なサスペンスの登場です。
監督のマーク・トンデライは、これが初の監督作となっているようです。
あらすじをご覧のとおり、これは姿の見えない殺人鬼がテーマ、猫と鼠の追いかけっこです。
むかしからこういう映画って、よくありますよね。そして、なぜか高速道路が舞台というパターンが多いです。車の運転て孤独なものだし、すぐ近くを走っているドライ
ヴァーがどんな人なんだろうとか、気になりだしたらこわいかもしれません。
そんな現実的な恐怖を描いたストーリーなわけですが、これがわかりやすいくらい王道していまして、「Wolf Creek」(2005)みたいになっているのかなー、と思っていましたら、ヒッチコックのようでした!
主役のザックスを演じるのは、ウィリアム・アッシュ。アッシュつながりで、UKバンドのフロントマンのティムにちょっと顔が似ています… なんていったら、だいたい感触がつかめるでしょうか。いくぶん気弱そうな、ぼんやりした優男といった雰囲気です。
ザックスはサービスエリアのポスターを貼りかえる仕事をしながら、深夜に車で移動中。助手席にはガールフレンドのべス(クリスティン・ボトムリー)がいます。ふたりはささいなことから口ゲンカをしてしまい、べスは彼を無視して眠ってしまいます。そんなとき、ちょっとしたアクシデントが。
車が車線を飛びだしかけ、追い越してきたトラックがはずみで荷台のドアをあけると… なんと、全裸の女性が悲鳴をあげているではありませんか!! しかも、彼女は檻に入れられているようなのです。「なに? いまのはなんだよ??」 ザックス、茫然! トラックはドアをしめ、なにごともなかったかのように走っていきますが…
…こんなとき、自分ならどうするだろうとか、いろいろ考えちゃうのですが… 映画として見た場合、まっとうな解決法ではおもしろくなりませんよね。そのあたりが多少イライラするかもしれませんが、サスペンスとしてはなかなかの出来。そして、殺人鬼の不気味さと正体不明さが、結末までひっぱるんですよねー。
ザックスがいかにして孤独となってしまい、顔の見えない殺人鬼と対決することになるのか… 気弱なザックスくんの運命や、いかに?!
ストーリーのほとんどが彼の活躍(…といいますか、本人の能力以上のがんばり?)に費やされていまして、観客はザックスに感情移入しながら、応援したり、叱咤していくわけです。そして、敵に対抗できるアイテムはたったひとつだけ。(どんなアイテムかは、みなさんも考えながら観てくださいね~)
主人公は平凡な男性ですから、当然腕っぷしが強いわけでもなく、運が彼に味方をするわけでもなく、運悪く災難に巻きこまれてしまった結果、踏んだり蹴ったりの状況がつづくんですが(笑)。あまりにいたぶられすぎちゃうので、「この人、結末までもつのかなあ?」 と、わたしはハラハラしながら観てしまいました。
真新しいことはありませんが、低予算で巧みに練られた息もつけないサスペンス。
緊張感もたっぷりで、けっこうおもしろいですよー♪
べス役のC・
ボトムリー。
あやしいトラック発見!
ザックス、
下に隠れてみたり!
横に隠れてみたり!
警官に捕まってみたり!
はひ~、
この体勢は苦しいよ…!!
Tourist Trap
(1979)アメリカ
出演…チャック・コナーズ
ジョスリン・ジョーンズ
ロビン・シャーウッド
監督…デヴィット・シューモーラー
★★★
〔ストーリー〕
2台の車で旅行中の若者5人組。ウッディの車のタイヤがパンクしてしまったために、彼は仲間を残してスタンドへむかう。ウッディがもどってこないうちに、今度はジェリーの車が故障してしまう。ジェリーはその場で修理をはじめ、モリー、アイリーン、ベッキーの女性3人は近くの池で遊ぶことに。そこへ、気のいい中年男性スローセンがやってくるのだが…
ついに、「デビルズ・ゾーン」を鑑賞してしまいました!!
キングの 『死の舞踏』 でこの映画が必見リストに載っているのを見たとき、「どんな映画なんだろう…?」と、興味津々だったのですが… ちょっと調べてみますと、カルト・ホラーの扱いになっていることがわかります。
監督のデヴィット・シュモーラーは、わたしも大好きな「Puppet master」(「パペット・マスター」1989)、それから、やはりカルト・ホラーに分類されているであろう、「Crawlspace」(「クロール・スペース」1986)を撮った方です。メイン・スト
リートでないことは明白なんですが、この“自分の撮りたいものだけ撮ってやる!” という意気込みやアイデアなんかは、並みのホラー作品よりずっと優れています。そして、ホラーマニアが愛さずにはいられない魅力が、いっぱいに詰まっているんですよ!
ストーリーは、一見よくあるスラッシャーのようですが、驚くなかれ、これは〇〇を武器にしているのです。(← って、はじめからなんのことかわかんないですね!)
あまりに奇想天外に思えながら、これがなかなか、ホラーとしてのリアリティをじゅうぶん備えています。オープニングがとくにすばらしいんですよ。
ウッディ(ケイス・マクダーモット)という青年がタイヤを転がしながら、さびれたスタンドにむかうんですが、そこにはだれもいません。困ったな、どうしよう… 「だれかいませんかー?」 そのとき、あれ、人の声がした? と、思ったら、それはなんとマネキンでした。けっこうヤヴァいマネキンです。マネキンって、デパートで見るぶんにはふつうですけど、場ちがいなところで見るとこわいですもんね。と、そのヤヴァいマネキンが、突然動きだして彼に襲いかかってきて…!!
これ以上はあまりくわしく書けませんが、この冒頭から、いっきにひきこむ魅力が満載なんです。
…まあ、みなさんのご想像通り、マネキンだらけの部屋は「House of Wax」(「肉の蝋人形」1953)のようですし、殺人鬼の気色悪いマスクは、まんまレザー
フェイス。残酷描写も(いまの基準からすると)控えめなんですけど、この控えめさがまた、現実味を後押しする結果になっているのはたしかなようです。
「デビルズ・ゾーン」の恐怖は、人形の不気味さ、気持ち悪さのひとことに尽きるかと思うのですが、被害者に焦点をあてていないぶん(そのため、テンポは弱冠鈍くなっていますが… テンポ? このさい、そんなこと関係ありません!)、犯人にたいする造形がすばらしい。キングがこの作品を好きだといった理由がよーくわかります。説明不足のように思えて、映像でちゃんと説明しているんですよね。
それから、旅行者がよくある田舎の殺人鬼に襲われるというパターンよりも、なぜこちらのほうがリアリティがあるように感じてしまうのか…?
やはり、核の部分がしっかりしているからではないでしょうか、などと、わたし個人はこの手の作品が大好きなので、ベタ褒めしてしまいますが。世間一般には、マネキンのこわさが定評なんでしょうね。
だって、人形の口が急にパカッとひらいたり、顔もすんごくこわいし、集団でケタケタ笑ったりするシーンなんかは、即物的(ナイフでブスッとやったりするやつとかね)でないぶん、ぞくりとくる恐怖ですもんね。子供が観たら確実にトラウマになりそうなおそろしさです。悪夢体験というのでしょうか… こういうのを、まさしく “クリーピー” (気色悪っ!!)って表現が的確なんだと思います。
ヒロインのモリーには、ジョスリン・ジョーンズ。友人のベッキー役に、「チャーリーズ・エンジェル」のターニャ・ロバーツも出演しています。絶対絶命、逃げ場なしの状況に追いこまれた若者たちがとった行動とは…??
ちなみに音楽は、デ・パルマ作品でお馴染みのピノ・ドナッジオ。このドナッジオの音楽がまた、優秀すぎてイカシすぎています。これはほんとに必見ホラーの一本に数えられると思います!
モリー(右ジョスリン・
ジョーンズ)と
アイリーン(ロビン・
シャーウッド)。
池で水遊び
していると…
好色おじさん
スローセン
(チャック・コナーズ)
登場!
ひいぃぃ、
囲まれたよっ!!
このシーンは本気で
こわいぃぃ…!!!
(1979)アメリカ
出演…チャック・コナーズ
ジョスリン・ジョーンズ
ロビン・シャーウッド
監督…デヴィット・シューモーラー
★★★
〔ストーリー〕
2台の車で旅行中の若者5人組。ウッディの車のタイヤがパンクしてしまったために、彼は仲間を残してスタンドへむかう。ウッディがもどってこないうちに、今度はジェリーの車が故障してしまう。ジェリーはその場で修理をはじめ、モリー、アイリーン、ベッキーの女性3人は近くの池で遊ぶことに。そこへ、気のいい中年男性スローセンがやってくるのだが…
ついに、「デビルズ・ゾーン」を鑑賞してしまいました!!
キングの 『死の舞踏』 でこの映画が必見リストに載っているのを見たとき、「どんな映画なんだろう…?」と、興味津々だったのですが… ちょっと調べてみますと、カルト・ホラーの扱いになっていることがわかります。
監督のデヴィット・シュモーラーは、わたしも大好きな「Puppet master」(「パペット・マスター」1989)、それから、やはりカルト・ホラーに分類されているであろう、「Crawlspace」(「クロール・スペース」1986)を撮った方です。メイン・スト
リートでないことは明白なんですが、この“自分の撮りたいものだけ撮ってやる!” という意気込みやアイデアなんかは、並みのホラー作品よりずっと優れています。そして、ホラーマニアが愛さずにはいられない魅力が、いっぱいに詰まっているんですよ!
ストーリーは、一見よくあるスラッシャーのようですが、驚くなかれ、これは〇〇を武器にしているのです。(← って、はじめからなんのことかわかんないですね!)
あまりに奇想天外に思えながら、これがなかなか、ホラーとしてのリアリティをじゅうぶん備えています。オープニングがとくにすばらしいんですよ。
ウッディ(ケイス・マクダーモット)という青年がタイヤを転がしながら、さびれたスタンドにむかうんですが、そこにはだれもいません。困ったな、どうしよう… 「だれかいませんかー?」 そのとき、あれ、人の声がした? と、思ったら、それはなんとマネキンでした。けっこうヤヴァいマネキンです。マネキンって、デパートで見るぶんにはふつうですけど、場ちがいなところで見るとこわいですもんね。と、そのヤヴァいマネキンが、突然動きだして彼に襲いかかってきて…!!
これ以上はあまりくわしく書けませんが、この冒頭から、いっきにひきこむ魅力が満載なんです。
…まあ、みなさんのご想像通り、マネキンだらけの部屋は「House of Wax」(「肉の蝋人形」1953)のようですし、殺人鬼の気色悪いマスクは、まんまレザー
フェイス。残酷描写も(いまの基準からすると)控えめなんですけど、この控えめさがまた、現実味を後押しする結果になっているのはたしかなようです。
「デビルズ・ゾーン」の恐怖は、人形の不気味さ、気持ち悪さのひとことに尽きるかと思うのですが、被害者に焦点をあてていないぶん(そのため、テンポは弱冠鈍くなっていますが… テンポ? このさい、そんなこと関係ありません!)、犯人にたいする造形がすばらしい。キングがこの作品を好きだといった理由がよーくわかります。説明不足のように思えて、映像でちゃんと説明しているんですよね。
それから、旅行者がよくある田舎の殺人鬼に襲われるというパターンよりも、なぜこちらのほうがリアリティがあるように感じてしまうのか…?
やはり、核の部分がしっかりしているからではないでしょうか、などと、わたし個人はこの手の作品が大好きなので、ベタ褒めしてしまいますが。世間一般には、マネキンのこわさが定評なんでしょうね。
だって、人形の口が急にパカッとひらいたり、顔もすんごくこわいし、集団でケタケタ笑ったりするシーンなんかは、即物的(ナイフでブスッとやったりするやつとかね)でないぶん、ぞくりとくる恐怖ですもんね。子供が観たら確実にトラウマになりそうなおそろしさです。悪夢体験というのでしょうか… こういうのを、まさしく “クリーピー” (気色悪っ!!)って表現が的確なんだと思います。
ヒロインのモリーには、ジョスリン・ジョーンズ。友人のベッキー役に、「チャーリーズ・エンジェル」のターニャ・ロバーツも出演しています。絶対絶命、逃げ場なしの状況に追いこまれた若者たちがとった行動とは…??
ちなみに音楽は、デ・パルマ作品でお馴染みのピノ・ドナッジオ。このドナッジオの音楽がまた、優秀すぎてイカシすぎています。これはほんとに必見ホラーの一本に数えられると思います!
モリー(右ジョスリン・
ジョーンズ)と
アイリーン(ロビン・
シャーウッド)。
池で水遊び
していると…
好色おじさん
スローセン
(チャック・コナーズ)
登場!
ひいぃぃ、
囲まれたよっ!!
このシーンは本気で
こわいぃぃ…!!!
Putevoy obkhodchik
(2007)ロシア
出演…アレクサンダー・ヴィスコヴィスキー
スヴェトラーナ・メトキア
オレグ・カーメンシュチーコヴ
監督…イゴール・シャヴラック
★★☆
〔ストーリー〕
パホーモフをリーダーとする、銀行強盗を企てた青年四人組。計画は成功したかと思えたが、撃たれた瀕死の行員が非常ベルを押し、警官が駆けつける。実行犯の3人は裏口から外に逃げ、あらかじめ決めておいた手順で、使われなくなった古い下水道に逃げこむ。そこで4人目の仲間が迎えにくるはずだったのだが… その下水道には、おそろしい殺人鬼が潜んでいた!!
英題では、「Trackman」。ポスターを見ると、あらら~、殺人鬼がすっかり姿をあらわしちゃってますねー。
えーと、サム・ライミの立ち上げた〈ゴーストハウス・アンダーグラウンド〉というDVDレーベルがあるんですが… やはりスルー作品ですから、〈アフター・ダーク・フェス〉のようには盛りあがらず、いまいちパッとせず、作品のラインナップを見てみても、地味な感じのものが多いんですが…
それでなんとなく、ノー・チェックだったんですけど、ストーリーをちゃんと読んでみると、おもしろそうなのもいくつかあるんですよね。
海外の評価もいまいちなんですが、「Frayed」(2007)の例もあるし~… ということで、手はじめに、この「Trackman」を選択してみました。これがけっこう、悪くなかったです。
ロシア映画というと、「Nochnoy Dozor」(「ナイト・ウォッチ」1999)の出現で、ずいぶん注目されるようになりました。それまではぜんぜん馴染みが薄く、いまいち入りにくかったんですけど、この作品を観て、「ロシアもおもしろいじゃーん!」と、感心した方も多いはず。
個人的な感想としましては、ホラーというより、ファンタジーよりの作品が好まれているみたいなんですが、こちらの作品もホラーよりファンタジー。残酷描写すくなめの、どこかで見たことがあるパッチワーク作品みたいなものでしょうか。
オープニング、カフェで銀行強盗の計画について話しあう、青年2人組み。3人で銀行を襲い、1人が脱出の手引き役です。すべては計画通りにうまくいくかに思えましたが… 気の早いコーチャ(トーマス・ムスカス)が引き金をひいてしまい、あたりは血の海に。負傷した行員は最後の抵抗とばかり、非常ベルを押してしまいます。
そこでリーダーのパホーモフ(アレクサンダー・ヴィスコヴィスキー)、それぞれ人質(男性1人、女性2人)をとるようにいい、目星をつけていた下水道にむかいます。下水道に入ると、用意していた爆発物で大きな落下物を落として、痕跡消滅! さあ、あとは地図を頼りに、4人目の仲間と落ち会うだけでよかったのですが…
ポスターを見ていただければわかりますが、不気味なマスク、凶器が “つるはし” とくると、これはどう考えても「My Bloody Valentine」(「血のバレンタイン」1981)を意識していますよね。設定はなんだか、「Creep」(「0:34/レイジ33フン」2004)みたい。そして、殺人鬼は目玉を蒐集するのがお好き…♪ うーん、これも、どっかで見たような。
全体としてはどこかで見たホラーのよせ集め、殺人鬼のインパクトも弱いんですが、冒頭の銀行強盗のシーンはスピード感があってよくできてます。それから、最初は犯人たちをこわがっていた女性行員(カーチャ、オルガ)が、トラックマン(殺人鬼)が登場することによって、お姫さまみたいに犯人によりそう姿もよかったかも。
ロシア映画って、センスがいいときはすごくいいので、今後もがんばってほしいな、ということで、甘めの採点です。あと、オチはもうちょっと、ガツンときたほうがいいと思います。正直悪くなかったので、あともうすこし観てみましょうか…
廃墟好きにはたまり
ませんよねー♪
危険な下水道!!
殺人鬼のお部屋。
なにやらステキな器具
が置いてあります。
強盗犯のひとり、
イルクート
(オレグ・カーメン
シュチーコヴ)。
パホーモフとカーチャ。
あれ?
なにかが芽生えそう?
カーチャ、
危うし!!!
(2007)ロシア
出演…アレクサンダー・ヴィスコヴィスキー
スヴェトラーナ・メトキア
オレグ・カーメンシュチーコヴ
監督…イゴール・シャヴラック
★★☆
〔ストーリー〕
パホーモフをリーダーとする、銀行強盗を企てた青年四人組。計画は成功したかと思えたが、撃たれた瀕死の行員が非常ベルを押し、警官が駆けつける。実行犯の3人は裏口から外に逃げ、あらかじめ決めておいた手順で、使われなくなった古い下水道に逃げこむ。そこで4人目の仲間が迎えにくるはずだったのだが… その下水道には、おそろしい殺人鬼が潜んでいた!!
英題では、「Trackman」。ポスターを見ると、あらら~、殺人鬼がすっかり姿をあらわしちゃってますねー。
えーと、サム・ライミの立ち上げた〈ゴーストハウス・アンダーグラウンド〉というDVDレーベルがあるんですが… やはりスルー作品ですから、〈アフター・ダーク・フェス〉のようには盛りあがらず、いまいちパッとせず、作品のラインナップを見てみても、地味な感じのものが多いんですが…
それでなんとなく、ノー・チェックだったんですけど、ストーリーをちゃんと読んでみると、おもしろそうなのもいくつかあるんですよね。
海外の評価もいまいちなんですが、「Frayed」(2007)の例もあるし~… ということで、手はじめに、この「Trackman」を選択してみました。これがけっこう、悪くなかったです。
ロシア映画というと、「Nochnoy Dozor」(「ナイト・ウォッチ」1999)の出現で、ずいぶん注目されるようになりました。それまではぜんぜん馴染みが薄く、いまいち入りにくかったんですけど、この作品を観て、「ロシアもおもしろいじゃーん!」と、感心した方も多いはず。
個人的な感想としましては、ホラーというより、ファンタジーよりの作品が好まれているみたいなんですが、こちらの作品もホラーよりファンタジー。残酷描写すくなめの、どこかで見たことがあるパッチワーク作品みたいなものでしょうか。
オープニング、カフェで銀行強盗の計画について話しあう、青年2人組み。3人で銀行を襲い、1人が脱出の手引き役です。すべては計画通りにうまくいくかに思えましたが… 気の早いコーチャ(トーマス・ムスカス)が引き金をひいてしまい、あたりは血の海に。負傷した行員は最後の抵抗とばかり、非常ベルを押してしまいます。
そこでリーダーのパホーモフ(アレクサンダー・ヴィスコヴィスキー)、それぞれ人質(男性1人、女性2人)をとるようにいい、目星をつけていた下水道にむかいます。下水道に入ると、用意していた爆発物で大きな落下物を落として、痕跡消滅! さあ、あとは地図を頼りに、4人目の仲間と落ち会うだけでよかったのですが…
ポスターを見ていただければわかりますが、不気味なマスク、凶器が “つるはし” とくると、これはどう考えても「My Bloody Valentine」(「血のバレンタイン」1981)を意識していますよね。設定はなんだか、「Creep」(「0:34/レイジ33フン」2004)みたい。そして、殺人鬼は目玉を蒐集するのがお好き…♪ うーん、これも、どっかで見たような。
全体としてはどこかで見たホラーのよせ集め、殺人鬼のインパクトも弱いんですが、冒頭の銀行強盗のシーンはスピード感があってよくできてます。それから、最初は犯人たちをこわがっていた女性行員(カーチャ、オルガ)が、トラックマン(殺人鬼)が登場することによって、お姫さまみたいに犯人によりそう姿もよかったかも。
ロシア映画って、センスがいいときはすごくいいので、今後もがんばってほしいな、ということで、甘めの採点です。あと、オチはもうちょっと、ガツンときたほうがいいと思います。正直悪くなかったので、あともうすこし観てみましょうか…
廃墟好きにはたまり
ませんよねー♪
危険な下水道!!
殺人鬼のお部屋。
なにやらステキな器具
が置いてあります。
強盗犯のひとり、
イルクート
(オレグ・カーメン
シュチーコヴ)。
パホーモフとカーチャ。
あれ?
なにかが芽生えそう?
カーチャ、
危うし!!!
Non si sevizia un
paperino
(1972)イタリア
出演…フロリンダ・ボルカン
バーバラ・ブーシェ
トーマス・ミリアン
監督…ルチオ・フルチ
★★☆
〔ストーリー〕
イタリアの小さな田舎町。娯楽のない場所でいたずら盛りの少年たちのすることといったら、煙草を吸ったり、知的障害者をからかってみたり。そんな平和な日常のなかで、ただひとり、黒魔術を使って複数の人間を呪う人物がいた…!!
やがて、呪いの効力が発揮されたかのように、ブルーノ少年が行方不明になる。彼の家には身代金を要求する電話が入り、警官たちは犯人とおぼしき人物を逮捕することに成功するが…
「Lo squartatore de New York」(「ザ・リッパー」1982)がおもしろかったので、とうとう「マッキラー」も鑑賞してしまいました!
この作品、フルチ監督のなかで唯一(?)ストーリー性のある映画… そんな定評があるんですけど、けしてそれだけではなかったので、非常に大満足です。あ、ついでに、ジャーロではないです。そこもまた、おもしろくなっている一因ではないかと思います。
フルチ監督自身も、この作品を撮っていたころを自分の最盛期と見なしていたようで、ストーリーもよく練られていて、破綻しているところがちっともありません。そして興味深いのは… まずは、内容のほうから説明させていただきますね~
オープニングがなんとも不気味で、のちの波乱を予期させます。髪を振り乱した女性(フロリンダ・ボルカン)が、素手で地面を掘っているんですが、なんとそこから、幼児の白骨遺体が出てきます…!!
そして、ナゾの人物が黒魔術を行っているシーンが挿入されます。どうやらその人物は、3人の人間を呪いたいらしく、3体の黒い蝋人形に針をずぶり、ずぶり! と、突き刺していくのですが…
舞台となっているのはイタリアの小さな田舎町。あんまり繁盛してなさそうな売春婦(歳食ってるし、でぶだし)が車でやってくるような、なんにもないところです。そこへ、いたずら好きの悪ガキ3人組、ブルーノ、アントニーノ、ミケーレが登場。彼らは知的障害者のジョゼッペという男性をからかったりするのですが…
けれど、その晩ブルーノは行方不明になってしまいます。身代金を要求する脅迫電話までかかってきて、警察はこれは誘拐事件だと判断、捜査を開始します。しかし、記者のアンドレア(トーマス・ミリアン)だけは、身代金の額に疑問を抱き、単純な事件ではないと考えます。
この作品の見どころはなんといっても、ふたりの女優さんの存在にあります。ひとりは、金持ちの道楽娘パトリツィアを演じる、バーバラ・ブーシェの思いきったヌード!
パトリツィアはあるスキャンダルのために、ミケーレ少年の家に身を寄せているのですが、まだ子供っぽい男の子をつかまえて、全裸で誘惑するってのはどうですか。これはイタリア人の夢なんですか。
きれいな裸体をこれみよがしに見せつけながら、「どう? わたしに触ってみたい?」なんてからかう、悪い大人のオンナ… やっぱり男性の夢なんでしょうねえ。
たいして、もうひとりは、タイトルにもなっているマッキラー。呪術師の妻で、(おそらく、以前精神障害を患っていたと思われる)マッキラーを演じるのは、フロリンダ・ボルカン。冒頭の幼児の遺骨を掘っていた女性は、このマッキラーだったのですね。そして、マッキラーがだれかを呪うたびに、殺人事件が起きてしまうのです…!!
いくら丁寧に練られているといっても、犯人はすぐにわかってしまうんですが… それでも、この雰囲気とか、独特の間といいましょうか、残酷さと陰残さのなかにも詩的な断片がありまして、結果としてフルチの最高作という評は頷けます。伏線もかなりよくできているんですよ。とくに、前半の細かいシーンや、配役にもじつは深い意味があったりしましてね…♪
前半はサスペンスタッチで進み、中盤から鬼のような残酷描写でフルチ色全開!! それから、殺害されるのが子供ばかりというのも、めずらしいホラーかもしれません。
イタリアの白い家並みがどこまでもつづく風景、田舎町だからこそ起こるおそろしい群集心理といったテーマもふくまれていて、そういう意味では、もっともリアルなフルチ作品かも?
ラストシーンがとんでもないことになっていまして、(…これをOPにもってきたのが、「Sette note in neto」(「ザ・サイキック」1977)だそうです)グロテスクだけではない、ただの趣味の悪いホラーでは終わらせないんだから~! 的な余裕や気概みたいなものが、わたしは好きです。「ザ・サイキック」も観てみたいです!
3体の蝋人形の
意味は…??
いたずらっ子、
世にはばかる!
悪い大人代表、
パトリツィア。
マッキラー役の
フロリンダ・ボルカン。
ミケーレ少年に
迫る魔の手!!
神父さんも誘惑
しちゃう
パトリツィア。
(うしろで退屈そうに
してるのがアンドレア)。
フルチ監督にしては
めずらしく(?)
警察が有能で
人間的です。
paperino
(1972)イタリア
出演…フロリンダ・ボルカン
バーバラ・ブーシェ
トーマス・ミリアン
監督…ルチオ・フルチ
★★☆
〔ストーリー〕
イタリアの小さな田舎町。娯楽のない場所でいたずら盛りの少年たちのすることといったら、煙草を吸ったり、知的障害者をからかってみたり。そんな平和な日常のなかで、ただひとり、黒魔術を使って複数の人間を呪う人物がいた…!!
やがて、呪いの効力が発揮されたかのように、ブルーノ少年が行方不明になる。彼の家には身代金を要求する電話が入り、警官たちは犯人とおぼしき人物を逮捕することに成功するが…
「Lo squartatore de New York」(「ザ・リッパー」1982)がおもしろかったので、とうとう「マッキラー」も鑑賞してしまいました!
この作品、フルチ監督のなかで唯一(?)ストーリー性のある映画… そんな定評があるんですけど、けしてそれだけではなかったので、非常に大満足です。あ、ついでに、ジャーロではないです。そこもまた、おもしろくなっている一因ではないかと思います。
フルチ監督自身も、この作品を撮っていたころを自分の最盛期と見なしていたようで、ストーリーもよく練られていて、破綻しているところがちっともありません。そして興味深いのは… まずは、内容のほうから説明させていただきますね~
オープニングがなんとも不気味で、のちの波乱を予期させます。髪を振り乱した女性(フロリンダ・ボルカン)が、素手で地面を掘っているんですが、なんとそこから、幼児の白骨遺体が出てきます…!!
そして、ナゾの人物が黒魔術を行っているシーンが挿入されます。どうやらその人物は、3人の人間を呪いたいらしく、3体の黒い蝋人形に針をずぶり、ずぶり! と、突き刺していくのですが…
舞台となっているのはイタリアの小さな田舎町。あんまり繁盛してなさそうな売春婦(歳食ってるし、でぶだし)が車でやってくるような、なんにもないところです。そこへ、いたずら好きの悪ガキ3人組、ブルーノ、アントニーノ、ミケーレが登場。彼らは知的障害者のジョゼッペという男性をからかったりするのですが…
けれど、その晩ブルーノは行方不明になってしまいます。身代金を要求する脅迫電話までかかってきて、警察はこれは誘拐事件だと判断、捜査を開始します。しかし、記者のアンドレア(トーマス・ミリアン)だけは、身代金の額に疑問を抱き、単純な事件ではないと考えます。
この作品の見どころはなんといっても、ふたりの女優さんの存在にあります。ひとりは、金持ちの道楽娘パトリツィアを演じる、バーバラ・ブーシェの思いきったヌード!
パトリツィアはあるスキャンダルのために、ミケーレ少年の家に身を寄せているのですが、まだ子供っぽい男の子をつかまえて、全裸で誘惑するってのはどうですか。これはイタリア人の夢なんですか。
きれいな裸体をこれみよがしに見せつけながら、「どう? わたしに触ってみたい?」なんてからかう、悪い大人のオンナ… やっぱり男性の夢なんでしょうねえ。
たいして、もうひとりは、タイトルにもなっているマッキラー。呪術師の妻で、(おそらく、以前精神障害を患っていたと思われる)マッキラーを演じるのは、フロリンダ・ボルカン。冒頭の幼児の遺骨を掘っていた女性は、このマッキラーだったのですね。そして、マッキラーがだれかを呪うたびに、殺人事件が起きてしまうのです…!!
いくら丁寧に練られているといっても、犯人はすぐにわかってしまうんですが… それでも、この雰囲気とか、独特の間といいましょうか、残酷さと陰残さのなかにも詩的な断片がありまして、結果としてフルチの最高作という評は頷けます。伏線もかなりよくできているんですよ。とくに、前半の細かいシーンや、配役にもじつは深い意味があったりしましてね…♪
前半はサスペンスタッチで進み、中盤から鬼のような残酷描写でフルチ色全開!! それから、殺害されるのが子供ばかりというのも、めずらしいホラーかもしれません。
イタリアの白い家並みがどこまでもつづく風景、田舎町だからこそ起こるおそろしい群集心理といったテーマもふくまれていて、そういう意味では、もっともリアルなフルチ作品かも?
ラストシーンがとんでもないことになっていまして、(…これをOPにもってきたのが、「Sette note in neto」(「ザ・サイキック」1977)だそうです)グロテスクだけではない、ただの趣味の悪いホラーでは終わらせないんだから~! 的な余裕や気概みたいなものが、わたしは好きです。「ザ・サイキック」も観てみたいです!
3体の蝋人形の
意味は…??
いたずらっ子、
世にはばかる!
悪い大人代表、
パトリツィア。
マッキラー役の
フロリンダ・ボルカン。
ミケーレ少年に
迫る魔の手!!
神父さんも誘惑
しちゃう
パトリツィア。
(うしろで退屈そうに
してるのがアンドレア)。
フルチ監督にしては
めずらしく(?)
警察が有能で
人間的です。
『フェイド』
原題 『Fade』
(1988)
ロバート・コーミア:著
北澤和彦:訳
扶桑社ミステリー
〔ストーリー〕
田舎町に住むフランス移民の少年・ポールは、あるとき自分に姿を消す能力があることに気づく。それは代々彼の一族に受け継がれてきた、とても不思議な力だった。実力者が小さな町を牛耳り、無力な労働者たちは日々の暮らしに不満を募らせはじめるなか、ポールの父親は労働争議の中心的メンバー。しかし、そんな彼の言動や行動が快く思われるはずもなかった…
夭折した作家ポール・ロジェイの残したこの遺稿は、フィクションなのだろうか、それとも…??
ちらほら映画化の話が聞かれるようになってきましたので、とりあえずレビューしておこうかと思います。
ロバート・コーミア… ロバート・コーミアですよ、みなさん!!
日本だと、ヤングアダルトな作家というイメージが強いですけど、といいますか、「ヤングアダルト = 子供が読む本」 ということになっていますけど、この方の本はぜひとも大人が読むべき内容です。一様にして、思春期の少年たち、彼らの複雑な心理や葛藤を描くのを得意とする人なんですが、子供が読んでもきっと痛いんでしょうね~、大人が読むと、もっともっと痛いです。痛くて、苦い。ビター・スイートというよりは、ビ
ター・ビター・ちょっとスイートな感じです。
コーミアというと、いちばん有名なのが 『チョコレート・ウォー』 なんですけど、これはコーミアの息子さんに起こったじっさいの出来事から着想を得たそう。そういえば、むかし夏休みの読書感想文なんかで、この本を読んでいる同級生が何人かいました。ちなみに続編も邦訳されています。
ひとことでいってしまうと青春小説… なんですけど、そこには十代のれっきとした現実、映画みたいにハッピーエンドにはならないリアルな現実が、そこには存在します。それがつねに、主人公の前に立ち塞がります。その現実というのはコンプレックスだったり、いじめだったり、家族とのあり方だったり、性の問題だったり… と、さまざまなんですが、どんな人も一度は経験したことがあるとリンクするのはまちがいナシ。この痛い共感、せつなさが、ほんとにうまい作家さんなんです、この人は。
それで、本作品なんですが、ちょっとほかの作品とは趣向が変わっていまして、複雑な構図のミステリーとなっています… ミステリー? うーん、このあたりが微妙なんですが、ただの青春ホラーにとどまらず、なかなか凝った仕掛けです。
前半が、姿を消す能力(フェイド)に目覚めたポール少年の冒険、後半からポールの姪のスーザンが主人公となり、前半の物語はすべてポール・ロジェイという作家の遺稿ということが判明します。スーザンも作家志望の女子大生、ポールに憧れを抱いていたのですが、遺稿を読んでショックをうけてしまいます。これは現実なのだろうか、それとも、ただのフィクションなのか…?
そして、紛失していた遺稿のつづきが発見されたとき、そこには驚くべき真実が…!!
超能力、青春とくると、『キャリー』 が頂点ではないかとわたしは思うんですが、こんなにすばらしい傑作もあるんですよ。やはりホラーと青春ものは相性がいいですよね。(…ただ、個人的な感想をいってしまいますと、後半がもうすこし踏ん張ってくれていれば、大傑作になったのにと思うのです!)
ちなみに、コーミアの作品はどれもこれも痛いのですが、『ぼくが死んだ朝』 は、とくに痛くてせつなくて悲しかったです。ヤングな方もアダルトな方も、このズキンとくる痛みはぜったい必要。オススメ!!
原題 『Fade』
(1988)
ロバート・コーミア:著
北澤和彦:訳
扶桑社ミステリー
〔ストーリー〕
田舎町に住むフランス移民の少年・ポールは、あるとき自分に姿を消す能力があることに気づく。それは代々彼の一族に受け継がれてきた、とても不思議な力だった。実力者が小さな町を牛耳り、無力な労働者たちは日々の暮らしに不満を募らせはじめるなか、ポールの父親は労働争議の中心的メンバー。しかし、そんな彼の言動や行動が快く思われるはずもなかった…
夭折した作家ポール・ロジェイの残したこの遺稿は、フィクションなのだろうか、それとも…??
ちらほら映画化の話が聞かれるようになってきましたので、とりあえずレビューしておこうかと思います。
ロバート・コーミア… ロバート・コーミアですよ、みなさん!!
日本だと、ヤングアダルトな作家というイメージが強いですけど、といいますか、「ヤングアダルト = 子供が読む本」 ということになっていますけど、この方の本はぜひとも大人が読むべき内容です。一様にして、思春期の少年たち、彼らの複雑な心理や葛藤を描くのを得意とする人なんですが、子供が読んでもきっと痛いんでしょうね~、大人が読むと、もっともっと痛いです。痛くて、苦い。ビター・スイートというよりは、ビ
ター・ビター・ちょっとスイートな感じです。
コーミアというと、いちばん有名なのが 『チョコレート・ウォー』 なんですけど、これはコーミアの息子さんに起こったじっさいの出来事から着想を得たそう。そういえば、むかし夏休みの読書感想文なんかで、この本を読んでいる同級生が何人かいました。ちなみに続編も邦訳されています。
ひとことでいってしまうと青春小説… なんですけど、そこには十代のれっきとした現実、映画みたいにハッピーエンドにはならないリアルな現実が、そこには存在します。それがつねに、主人公の前に立ち塞がります。その現実というのはコンプレックスだったり、いじめだったり、家族とのあり方だったり、性の問題だったり… と、さまざまなんですが、どんな人も一度は経験したことがあるとリンクするのはまちがいナシ。この痛い共感、せつなさが、ほんとにうまい作家さんなんです、この人は。
それで、本作品なんですが、ちょっとほかの作品とは趣向が変わっていまして、複雑な構図のミステリーとなっています… ミステリー? うーん、このあたりが微妙なんですが、ただの青春ホラーにとどまらず、なかなか凝った仕掛けです。
前半が、姿を消す能力(フェイド)に目覚めたポール少年の冒険、後半からポールの姪のスーザンが主人公となり、前半の物語はすべてポール・ロジェイという作家の遺稿ということが判明します。スーザンも作家志望の女子大生、ポールに憧れを抱いていたのですが、遺稿を読んでショックをうけてしまいます。これは現実なのだろうか、それとも、ただのフィクションなのか…?
そして、紛失していた遺稿のつづきが発見されたとき、そこには驚くべき真実が…!!
超能力、青春とくると、『キャリー』 が頂点ではないかとわたしは思うんですが、こんなにすばらしい傑作もあるんですよ。やはりホラーと青春ものは相性がいいですよね。(…ただ、個人的な感想をいってしまいますと、後半がもうすこし踏ん張ってくれていれば、大傑作になったのにと思うのです!)
ちなみに、コーミアの作品はどれもこれも痛いのですが、『ぼくが死んだ朝』 は、とくに痛くてせつなくて悲しかったです。ヤングな方もアダルトな方も、このズキンとくる痛みはぜったい必要。オススメ!!
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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:
独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。
〈好きかも♪〉
おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…
〈苦手かも…〉
かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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