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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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  Stake Land



(2010)アメリカ
出演…コナー・パオロ
ニック・ダミチ
ダニエル・ハリス
監督…ジム・マイケル
★★★


〔ストーリー〕
 近未来のアメリカ。ひとびとの大半がヴァンパイアと化した世界で、家族を失った少年マーティンはある男と出会う。彼にヴァンパイアと戦うすべを教えてもらい、ともに協力しながら、生存者たちだけで暮らせる楽園をもとめてさまようことに。途中、獣の皮をかぶった男たちに追われる女性を助けることになるのだが…


 監督は、「Mulberry Street」「ネズミゾンビ」2006)のジム・マイケル。さすが「ネズミゾンビ」の監督さんです、ヴァンパイアというか、ゾンビというか、ゾンビというか…
それで、ゾンビっぽいヴァンパイア版の「ベストキッド」みたいです!!

 期待していた以上におもしろかったので、快心のオススメ作なのです~。
 本国でも、かなり評判いいみたいなんですよね。この手のものを「感染系」としますと、事後の話、終末論のほうが映画としての選択肢がまだまだ残っている。まず、個人のお話に掘り下げることができます。あと、いろいろなドラマを生みだすことができます。こういう作品があるかぎり、感染系はまだまだおもしろいものが作れるなと、安心しましたー

 物語は、世界人口の半数以上がヴァンパイアと化したアメリカ。主人公の少年マーティン(コナー・パオロ)は家族を失い、ひとり途方に暮れていたところ… とある、寡黙なおいさん(ニック・ダミチ)と出会います。このおいさん、小柄なんですけどめちゃくちゃ強いです!! それに、瞬発力があるよね!! マーティンを危機からあっという間に救っちゃって、ついでにいろんな戦う手段を教えてくれます。おいさん、おいさーん!!! おいさんに出会えてよかったよ!!

 ふたりはさまざまな自衛手段を講じながら、車で旅することになります。生存者たちだけで暮らせる楽園がどこかにあるはずだと、希望を胸に… そしてある日、獣の皮をかぶった連中に追われる中年女性(ケリー・マクギリー)を救うことになります。彼女が自宅を離れられないのは、とある事情があったのですが…

 家族のいないマーティンは、しだいに彼女に母性を感じはじめてしまう。旅の仲間は三人になったわけですが、道を進むたびまた、新たな問題と強敵があらわれることに…!!

 わかりやすくいっちゃうと、ヴァンパイア版「ベストキッド」のロードムービーです。あ、「Carriers」「フェーズ6」2009)っぽいですよね。雰囲気もよく似てます。ただし、あっちがまじめな終末論なら、こちらは楽しいエンタメ・ドラマ。最初、あまりに「ベストキッド」臭が強すぎて、狙いすぎでなんか乗れなかったんです。マーティンの独白もおセンチすぎちゃって、これ、マジメに観なきゃいけないのかな…? いや、これどう考えたって、笑っちゃうとこだよな、と(笑)。でも、途中から登場人物が増えていくと、ちゃんとおもしろくなっていきます!

 終末論は個人のドラマを活かせる内容だと思うんですけど、やはり派手さも必要です。ハイ、ちゃーんと派手になっております! ヴァンパイアがほんとにゾンビっぽくて、ヴァンプ+ゾンビのいいとこどりしただけ? 早い話がそれなんですが(笑)、動きの速いやつはけっこうこわいです。ダッシュ系はぜったい勝ち目がないので、キャー、こわいようと、お家でDVDで観るのがベストです。

 おいさんがすごく頼もしくて、感染世界でどうやって生きのびていけばいいか、ためになる豆知識もたくさんあります。みなさんも、もしものときのために勉強しておきましょう。グロはありませんが、ストーリー展開が早いので、あっという間に終わってしまいます。

 おいさんは最後までカッコつけすぎちゃって、そんなに男にならなくてもいいのに… おいさん、おいさーん!!!
で、共演者たちで撮った写真を見てみますと、おいさんよりも、ほかの役者さんのだれよりも、監督さんがいちばんでかくて目立っています… か、かんとくー!!!








ゾンビみたいなヴァンプ。
これでダッシュ系とくれば、
逃げ場なんてありません!








あああ、
食われちゃった!!!










少年です。










おいさんです。









ベルは妊娠中!








おいさん、
おいさーん!!!







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  Source Cord



(2011)アメリカ
出演…ジェイク・ギレンホール
ミシェル・モナハン
ヴェラ・ファーミガ
監督…ダンカン・ジョーンズ
★★★★



〔ストーリー〕
 目覚めるとそこは、移動中の列車のなか。彼のまえには、かわいい美人が坐っている。「あなたの言葉、そのとおりだったわ。ありがとう、ショーン」。でも彼は、ショーンじゃなくてコルター。ショーンてだれ? この美女は? パニックに陥ってトイレにむかうと、鏡に映るのは見ず知らずの男の顔だった… この男がショーンなのか? そのとき、爆発音が起こってあたりは炎につつまれた…!!!


 監督のダンカン・ジョーンズが、「Moon」「月に囚われた男」2009)のダンカン・ジョーンズだったと知って、軽いショックに襲われたわたくしです。ま~じ~ですかっ!! 神は二物も三物もあたえちゃって… きーっ、くやしいっ!!(← 興奮してすいません!)

 でも、この作品を観た関係者の方なんかは、それに近い感情を抱いた人がいたかもしれませんね(笑)。わたしの大好きなタイム・トラベルもの、ジェイク・ギレンホールとくれば、観ないわけにはいかないではないですか。それで、前評判どおりのおもしろさで、これまた興奮気味です。前作「月に~」を観た方ならわかっていただけるかと思いますが、リアリティのある哀愁をふくんだSF映画が得意な人みたいです。派手さはないのですが、あとからじわじわ、よく味わってみたらすばらしい作品でした。

 お話は、ギレンホール演じる男コルターが、列車のなかで目覚めるところからはじまります。どうやら、シカゴの列車のようです。どうしてこんなところにいるんだろ? そして目の前には、笑顔のすてきな美人(ミシェル・モナハン)が。美人は彼を「ショーン」 と呼びますが、まったく身におぼえがありません。
ここ、どこですか? というか、あなたはダレですか…??

 冷静になろうと、トイレに立つコルター。すると、鏡に映った自分を見て、ふたたびびっくり! ぜんぜん知らない男が映ってるー!! はっとなって、札入れのなかをたしかめてみると… たしかに、身分証明書にはショーンの名前があります。これ、だれ?? おれ、どうなっちゃったの???

 追ってきた美人はクリスティーナといって、「シェーンどうしたの? ねえ、どうしたの?」と、心配そう。事情を説明しようとしたら、どっかーん!!! すごい爆発音が。そして一瞬にして、あたりは火の海につつまれてしまうのです…

 と、ここまでがタイム・トラベルのお話。
ここでようやくわれにかえったコルター、自分は多面体のシェルターのような場所にとじこめられいます。目の前には、モニタ画面と、そこに映るべつの美女(ヴェラ・ファーミガ)。どうやらコルター、タイム・トラベルの実験中で、過去にあった列車爆発事件の現場に飛ばされていたんですね。で、「どう? 証拠はつかんだ?」「爆発物がどこにあるのか見つけてきてちょうだい!」と、また理由を訊くひまもなく、無理やり飛ばされてしまう… すると、最初の列車のシーンにもどってる。

 このくりかえしで、すこしずつヒントを得ていくことによって、列車爆破事件のナゾに迫っていく、というのがおおまかなストーリーです。
コルターの入ってるシェルターですが、最初アイソレーション・タンクかと思わせて、どんどん大きくなっていきます。ここにもまた、ナゾの一部が~

 こういうタイム・ワープもの、過去にもどるお話って、たいていせつない内容になってしまうのが必然みたいです。過去はけして変えられないからなのか… それなので、この作品も非常にせつなくて悲しい。途中から、お願い、ハッピーエンドにして!って、何度も思っちゃいました。結末がまた、泣けてしまうのです… その涙が、悲しいからか、感動的なのかは… 観てのお楽しみなのです!!

 ちょっとだけネタばらししてしまいますと、タイトルの「ソース・コード」とは、この過去にもどる装置のこと。これは死んだ人間の死ぬ間際の8分間だけ、そこに意識を転送できるというもの。だから、コルターはショーンの死ぬまえの8分間を何度も経験することになるのです。

 いくらリアリティのある仮想現実を体験しているといっても、それはしょせん、過去のこと。だから、起きてしまったことはもう二度と変えられない。変えられないのだけれど、ここにひとつだけ、そのメビウスの輪から抜けだす手段があるのです…!!

 結末の解釈がとてもすばらしくて、わたしはこれを希望の映画と呼びたいです。せつなくて、悲しいけれど、じつに感動的。しかしこの監督さん、なんでこんなにSFに強いんでしょう? なんか、スタッフもいつも優秀な人ばかりそろえてる気がするんですが。











わっ、なにこれ~!!!










…で、ここどこ?










どこなんだよ~??







何度も会う美人は
クリスティーナ。







きみに伝えたいことが
あるんだよ!!







  Kim Bok nam
salinsageonui jeonmal


(2010)韓国
出演…チ・ソンウォン
ソ・ヨンヒ
パク・チョンハク
監督…チャン・チョルス
★★★


〔ストーリー〕
 ソウル市内の銀行に勤めるへウォンは、ある日街中で暴行事件を目撃。しかし、加害者の少年チームから、「証言したらどうなるかわかってるな!」 と、脅されてしまう。仕事もいきづまり、限界を感じてしまった彼女は、休暇をとって祖父の住んでいた孤島にむかうことに。そこには、一時期であれ親しくなった友人のボンナムが待っていた。ボンナムに歓迎されて、都会であったいやなことを忘れるへウォン… が、そこは彼女も知らない過酷な現状が隠されていた…!!


 話題の韓国バイオレンス映画、その①「ビー・デビル」
あ、でも、思ったほどバイオレンスじゃなかったです。なので、ホラー度はやや弱めです。

 韓国映画って、日本映画に通じるものがありますよねー。とくに、暴力描写が! んで、最近は若手の勢いのある監督さんが話題になっているみたいでして、今回はその一本です。なんといいますか、派手さがないぶん、ジトッとした暗いイメージに生々しい暴力が似合いますね!

 お話は、ソウルで働く美人OLのへウォン(チ・ソンウォン)が、暴力事件の目撃者になっちゃうところからはじまります。事件の加害者は不良少年グループで、女の子を暴行したというもの。もちろん犯人たちはすぐに捕まりますが、そこでへウォンの目撃情報が左右することになる。当然少年たちはどうすればいいのかわかっているから、へウォンを脅しにかかります。

 それから、会社に帰れば、なぜかトイレにとじこめられるという嫌がらせに遭遇。ただの偶然だったのかもしれません。が、気分が昂ぶっていたへウォンは爆発してしまいます。もうだめー!!! そこで、休暇をもらって、唯一の郷里でもある、祖父の家があった孤島に気分転換に出かけることにするのですが…

 この孤島には、一時期親しくなった友人のボンナム(ソ・ヨンヒ)が暮らしていました。とても小さな島なので、人口は10人もいません。ボケちゃったおじいさん、意地悪バアさん集団、ボンナムと彼女の夫、幼い娘、夫の兄と、若い連中はたった3人だけ。へウォンは島の暮らしも短かったし、それ以前にボンナムともあまり連絡もとっていなかったので、もっぱら都会で疲れた心と身体を癒そうと、バカンス気分の旅行でした。

 ですが、この島には彼女も知らないおそろしい現実が隠されていたのです…!! という、シリアスなオープニングです。

 田舎暮らし、そこで人口もすくないとなると、まー、ホラー的な意味での想像がついちゃいますが、ボンナムの生活がまさにそんな感じです。たったひとりの若い女性ということで、男たちから性のはけ口にされている。いっぽう、バアさん集団からは奴隷のようにこき使われている。それでも彼女ががんばってこれたのは、遠い都会に暮らすへウォンの存在と、愛しい娘がいたから。

 しかし、ここにほんとうにへウォンがやってくることによって、島でのバランスがいっきに崩れてしまうのです!!

 崩れるといっても、もともと非常にあやうく、危険なバランスを保っていたのですがね。うーんと、あまり書くとネタばらしになるので、気を使いますが… ボンナムの心の動きに注目です。少女時代の回想シーンが、ふたりの関係をよくあらわしていると思いました。都会育ち、美人でかわいくて、きれいな服を着たへウォン。たいするボンナムは、いつも日に焼けていて、汚い恰好で、髪もぼさぼさ。愚鈍で純朴すぎる。同世代の少女がいないぶん、ボンナムにはヘウォンが天使みたいに見えちゃったということでしょう。

 また、ここで島の少年たちも登場するんですが、このシーンがなにげにいちばんこわかったかもです~
ヘウォンの噂を聞きつけたらしく、興味津々、たくさん集まってくると、棒でスカートめくりしようとする。ヘウォンは無邪気に、「ヤダ、やめてよ!」 なんて笑ってますが、ボンナムが顔色を変えて立ちはだかります。「逃げて!!」

 隔絶した世間て、それだけでもこわいですよね~… 女の子はとくに危険なんです!!
よくいいますけど、「女性の文化」というのは薄氷の上になりたっているようなもので、そこに豊かさ、余裕がなくなってしまうと、あっという間に地に落ちてしまうもの。ボンナムの存在は、その地に落ちた女性そのものなのです。

 へウォンが帰郷したあと、とあることをきっかけに、島の大虐殺へと発展するんですが… あんなひどいことをされたんだから、もうちょっとガッツガッツやってくれてもいいのに!! などと思ったわたしは、多少アブナイ人でしょうか。でも、最後の口技(まさに口技!)がなかなかよかったです レロレロ~のあとに、〇〇とな!! 器用な殺し方だなと思いました。器用さは身を助けますね。

 最後の最後に、ちょっとした真相があきらかになったりします。それで、大虐殺のきっかけというのもあきらかになってしまうんですが… こういうテーマって、なんか身におぼえがあるような、ないようなで、ラストにすこし悲しくなりますね…
結局そうやって、人は弱い存在を忘れていっちゃうものなのですよぅ~、 そんなことしちゃダメって、わかっていても。

 かなり暗くて残酷な内容のわりには、映像としてみるとさほどダメージはうけないので、初心者の方でも平気かなと思います… たぶんですけど!!








美人銀行員の
ヘウォン。






暴行事件の
目撃者になっちゃった!!









島暮らしのボンナムは、
過酷な現状でした…









ボンナムの娘と仲よくなる
ヘウォン。







少女時代のヘウォンと
ボンナム。










やったろかっ!!!!






  Black Swan



(2010)アメリカ
出演…ナタリー・ポートマン
ヴァンサン・カッセル
ミラ・クニス
監督…ダーレン・アロノフスキー
★★★★


〔ストーリー〕
 NYシティ・バレエ団のニナは、元バレエダンサーの母と二人三脚でスターを夢見るバレリーナ。今季の舞台品目は〈白鳥の湖〉、しかし、実力に伸び悩むニナは、主役を逃してしまうのではないかと焦心する。元プリマの控え室から彼女の私物を盗みだし、彼女の口紅をつけて、演技監督のトマスに迫ることに。これが功を奏して、見事プリマの座を射止めることになるのだが…
ニナを待っていたのは、純真な「白鳥」と王子を誘惑する「黒鳥」のふた役を演じなければならない、いままでにない難役だった…


 やっと観ました、「ブラック・スワン」
ありきたりな表現で申しわけないんですけど、おもしろかったー!!!

 アロノフスキー監督は、「Pi」「パイ」1997)がデビュー作だったのですね。「Below」「ビロウ」2002)なんてのもありました。最近だと、M・ロークの「レスラー」(2008)が有名でしょうか。わたしは圧倒的に、「Requiem for a Dream」「レクイエム・フォー・ドリーム」2000)のイメージが強いですね。それで、本作はそれにも通じるところがあります。

 いまさら書くまでもないんですが…
ヒロインのニナ(ナタリー・ポートマン)はバレリーナ。おなじく元バレリーナの母とともに、プリマドンナを目指しています。そして、彼女にもようやくチャンスが… それは、〈白鳥の湖〉の主役に抜擢されること。でも、ニナは臆病で自信がないし、新しく入ってきたリリー(ミラ・クニス)のほうが存在感があって、彼女にプリマの座を奪われてしまうのではないかと焦ります。

 そこで、元プリマのべス(ウィノナ・ライダー)の私物を盗んだことをきっかけに、演技監督のトマス(ヴァンサン・カッセル)に、自分にプリマをあたえてくれないかと訴えます。臆病なニナにしては、非常に大胆な行動です! が、これが見事に成功して、ニナはとうとうプリマに抜擢されるのです。

 ですが、その役とは、純真可憐なオデッセイの白鳥、王子を誘惑する “悪の化身” オーディルと、ふた役を演じわけなければならない超難役でした…!!

 オープニングから緊張感があって、驚いたことに、ごく最初のほうから怪現象が多発しちゃいます(笑)。終始オドオド、おびえる表情のポートマンがまたいいですね~。演技監督役のヴァンサン・カッセルですが、ほんとうに演技監督みたいに見えるので、彼にポートマンが叱責されるたびに、こっちまでなんか「はいぃ、ごめんなさい…!」って気になっちゃいます。

 でもね、オドオドおびえる子羊のなかにだって… ちゃーんと、どす黒い野心が渦巻いてますのよ

 よく「キャリー」っぽいとか書かれてるんですけど、それは結末のことではなく、たんに母娘関係のことをいっているようです。過干渉、過保護な母親って、とくに白人社会から見ると、奇異な目で見られちゃう関係なんですかねー。

 ニナは実力はあるのですが、それは優等生的な実力であって、そんなものは観客は見むきもしない。だから、大見得をきって大役をつかんでしまった手前、どうしても殻を破らなければならない。ライバルのリリーにしろ、過保護すぎる母親(バーバラ・ハーシー)にしろ、つれない演技監督にしろ、すべて打破していかないことには、この大役はこなせない。そこに到達するまでの執着心、すさまじいまでのエゴが、ブラック・スワンにつながっていくのです。

 明確なストーリーをじつに明確に表現した映画で、これはポートマンの代表作になってしまいました! 自分のなかの “悪” をひきださないことには、ブラック・スワンにはなれない… このテーマだけでも、ドキドキしちゃいます!! 役者さんが全員自分の役になりきっていて、おびえるポートマンが変貌していく姿もこわかったです。映画を観終わったあと、ほんとうにバレエの舞台をひとつ観終えたような不思議な気持ちになりました。

 でも、これだけ完全燃焼できちゃえば、芸術家としてはこれ以上ないほど幸福なんでしょうけど…

 バレエが舞台ですから、たびたび鏡が登場します。鏡に映るニナは、「他人からの評価」、「内なる自分」と、つねにふたつの評価を気にしている。そこに苦悩と葛藤、彼女には重すぎる重圧がかかったときに、彼女は…
ポートマン自身も、「白鳥」と「黒鳥」を見事に演じわけていました。まだ観ていない方がいましたら、これは必見です!!









おびえる美女。







鏡に映るあなたは、
いったいだれ?








有名ですね。
すれちがいシーン。







演技監督のカッセル。
この方も器用な
役者さんです!








ライバルのリリーと。










白鳥ははばたくことが
できるのか??







  Seconds Apart



(2011)アメリカ
出演…オーランド・ジョーンズ
エドマンド・エンティン
ゲーリー・エンティン
監督…アントニオ・ネグレテ
★★★☆


〔ストーリー〕
 パーティーの夜、男だけで盛りあがっていた一室で、少年たちがつぎつぎロシアン・ルーレット自殺をするという不可解な事件が起こる。事件を捜査することになったランキンは、パーティーの出席者だった学校の生徒たちの事情聴取をすることに。そこはカソリック系の男女共学の学校で、ランキンはやがて、奇妙な双子にたどりつくのだが…


 すごいっ!!
期待以上のすばらしい出来でして、ちょっと興奮しています!

 勉強不足で申しわけなかったのですが、これって、〈アフター・ダーク・オリジンズ〉の上演作品のひとつだそうです。これはフェスとは別モノなんですが、主に新人発掘を主眼にしているという。まあ、いろんな作品がありまして、(「Husk」「ハスク」2011)「Fertile Ground」(2010)「Scream of the Banshee」(2011)… って、これってサイファイ・チャンネルのテレビ映画じゃないですか! あと、「Prowl」(2010))。で、たぶん〈アフター・ダーク〉としては、この監督さんをいちばんの目玉に押していきたかったんじゃないでしょうか。

 本作の監督さん、アントニオ・ネグレテはラテン系の俳優出身の方でして、なんと誘拐された経験(ナニそれ!!)をもとに、監督デビューされたんだそうです。以前からも注目されていたようで、この作品を皮切りに、いろんな作品が紹介されていくみたいです。

 あと、余談ですが、「Autopsy」「解体病棟」2008)「Night of the Demons」「ナイト・オブ・ザ・デーモンズ」2009)のアダム・ギーラッシュの「Fertile Ground」ですが、うーむ、作品じたいは悪くなかったものの、静かな狂気が蝕んでいく幽霊屋敷モノでした。たいへん悪くなかったんですけど、「解体~」 のハチャメチャぶりを期待してしまうと、あれっ? となってしまうかもしれません。

 物語は、少年たちの不可解な集団自殺事件からはじまります。彼らはパーティーの一室で、仲のいい友人同士で酒を飲みながら盛りあがっていただけなのですが… とあることをきっかけに、突然おそろしい惨劇に。そして数時間後、全員死亡しているところが発見されるのです。

 この奇妙な事件を捜査することになったのは、ランキン刑事(オーランド・ジョーンズ)。ランキンはまず聞きこみにと、パーティー参加者の学校を訪ねます。そこはカソリック系の、日本みたいに制服のある男女共学校。わりかし裕福な家の子たちを集めた学校で、校長のオーエン(ルイス・ハーサム)に許可をとったのち、パーティーに関わった生徒たちの事情聴取をすることに。

 その事情聴取で、事件前におかしな経験をしたようだと語る、とある女生徒の話から、双子の兄弟ジョナ(エドマンド・エンティン)とセス(ゲーリー・エンティン)が浮かびあがってくるのですが…

 お話的には、邪悪な双子が織りなす恐怖譚。そして、主人公の刑事にも深刻なトラウマがあって、ストーリーに深い奥ゆきをあたえています。
たぶん、要約するとなんでもない話なんでしょうが、ランキン刑事の存在感があってとてもよかったです。双子たちもそれぞれ不気味だし、彼らの両親がまた、エキセントリックでとっても不気味なんですが、やっぱりこの映画の主役はランキン役のオーランド・ジョーンズ!

 彼のトラウマの追憶シーンにときどき登場する、不思議な場所がどこなのかわかったとたん… 軽い感動を味わえてしまいます。カット割りもいちいち凝ってて、展開にもひきこまれる。わたしはこういう映画の撮り方をする方が大好きなんですー!

 みなさんにもこの感動を味わっていただくために、あんまりくわしいことは書きません。ですが、これは全力でオススメしちゃう注目株のホラー佳作なのデス!! この方は、今後もますますご活躍されることでしょう。結末のバッドエンド… でもじつは、ハッピーエンド も、じつに感動的。ああ、ランキン刑事、とても恰好よかったです。











ジョナとセスの
双子の兄弟は…









なにをするにも、
いつもいっしょ。









両親がまた、
変わっています。









ランキン刑事を苦しめる、
過去の記憶とは…







かわいいイヴと、
知りあってしまった
ことから…








この
女性の正体は…!!







  Mask Maker

(2010)アメリカ
出演…ニッキー・デローチ
スティーヴン・コレッティ
アナベラ・カサノヴァ
監督…グリフ・ファースト
★★☆


〔ストーリー〕
 学期も終わって、きょうはジェニファーの誕生日。ボーイフレンドのエヴァンにすてきなプレゼントがあるよといわれて、むかった場所には… なんと、一軒家! じつはエヴァン、中古住宅を購入して、ふたりで力をあわせて改装し、また売りにだそうという魂胆。そこにはいつものメンバー、親しい友人たちもくわわるのですが… 彼らは知りませんでした。そこにおそろしい因縁があることに!!


 これはまあまあおもしろかったです。
過去の因縁、出没する殺人鬼… って、よくあるB級ものなんですがー。

 ヒロインのジェニファー(ニッキー・デローチ)は、学期終わりのきょうが誕生日。BFのエヴァン(スティーヴン・コレッティ)にプレゼントがあるんだといわれて、車に乗せられてむかったさきには… 野っ原にぽつーんと建つ、けっこう不気味な一軒家!! ちょ、それ重いよ! 指輪よりこあいじゃんかよ!!

 でもエヴァン、ちゃんと考えての出費でした。なにも、ここでふたりで暮らしましょーってことじゃなく、この一見ボロそうに見える家を格安で購入して、休みのあいだにせっせと改装、また売りにだしちゃえばいーじゃん? それで、ボロ儲けしちゃえばいーじゃん!! みたいな、ア〇の子が考える道理だったのです。

 だけど、ジェニファーも大人です。よし、ここはとことんつきあってあげよう! と、エヴァンの無茶な計画に賛成することに。これには友人たちも一枚噛んでいて、あとから到着してきます。まあ、楽しそうですよね。若いうちは多少の無茶も必要ですよ。

 そこでキャンプ気分で改装をはじめるんですが、近くの雑貨屋にむかうと、主人の男性(マイケル・ベリーマン)からええ、あの家を買ったんだ~ と、顔色を変えられてしまいます。ほかにも、従業員の男にあからさまに不審がられたり。

 ついでにエヴァン、家に到着してそうそう、裏庭に門があるのを見つけます。門のむこうは雑木林になってるんですが、そこに奇妙な物体を発見。あきらかに人の手によるものと思われる、長い棒に奇妙な動物の顔(?)らしきものがついて… これはいったい、ナニ…??

 殺人鬼が「マスクメイカー」ということで、殺した人間の顔の皮をかぶるのが習性になってます。このマスク、あまりに簡単にびろーん と剥がれちゃうので、まんまゴムっぽくて笑えるんですが、怪力男という設定なのでいいんでしょうか。

 テンポもいいし、後半からのたたみかけも楽しいんですけど、まー、ほんと、よくあるB級ものホラーですよ。まあまあおもしろいんですけど… でも、これだけB級ホラーの設定がそろっちゃうと、さほど盛りあがらないのはなぜなんだっ!!

 でも、けしてハズレ作品ではないのです。
定番設定が気にならない、こういうのはいくら観ても楽しいの!! という方には、よろしいかと。










ヒロインのジェニファー。








子供っぽいんだよ、
エヴァン!







雑貨屋のおじさんは、
けっこう親切。








不気味な包帯男の
正体は…







あ、
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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
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女性
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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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