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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Lesbian Vampire
     Killers



(2009)イギリス
出演…マシュー・ホーン
ジェイムズ・コーデン
マイアナ・バーリング
監督…フィル・クレイドン
★★☆


〔ストーリー〕
 恋人のジュディにフラれてしまったジミーと、仕事をクビになったフレッチ。冴えない男ふたりでパブで飲みながら、気分転換にハイキングにいこうと提案。ダーツが投げたさきは、吸血鬼カーミラの伝説が根深く残る、クレイグウィッチという町だった…


 ハッピーなセクシー・おバカ・ラブストーリー… じゃなかった、ヴァンパイア・ホラーの新作です。

 さて、原作となっている 『吸血鬼カーミラ』 ですが、説明するのもなんですけど、アイルランド人作家のレ・ファニュの代表作のような短編です。あと、『緑茶』 なんて有名な作品もあります。どちらもホラー小説好きの方には必読の品です。

 カーミラを題材にした映画というと、イングリット・ピットが悩ましい「The Vampire Lovers」「バンパイア・ラヴァーズ」1970)、レズビアンなムードに窒息しちゃいそうになる(!)「Et mourir de plaisir」「血とバラ」1960)があります。本来は、そんなにスーパーナチュラルな内容ではないんですけど(…原作を読めば、おわかりいただけるかと思います)、耽美的でホモセクシャルな要素が隠れているのはわかりますね。

 当時はそれほどおおっぴらに指摘できなかったと思いますが… まあ、たぶん、ジェイムズの 『ねじの回転』 を同性愛と小児性愛の物語だ、と断言できないくらい、上品な作品としてとらえられていたんじゃないでしょうかね?

 …話がすこし逸れてしまいましたが、そのカーミラが、今度はイギリス産ですよ、バカ・コメ・ホラーですよ! と聞いただけで、ふーん、たぶん、テンポのよい出来なんだろうなと期待してしまいますよね。

 はい、そのとおりなんです! イギリスって、どうしてこういうユーモア・ホラーを撮るのがやたらうまいんでしょうね?

 物語は、主人公の青年ジミー(マシュー・ホーン)が、恋人のジュディ(ルーシー・
ギャスケル)にふられるところからはじまります。ジミー青年は堅ブツぽく、服装もいまいち、優柔不断、つまりはイケていないんですね。そして、友人のフレッチ(ジェイムズ・コーデン)はというと、ぽっちゃりおバカさんです。これまたイケてません。ついでに、仕事をクビになってしまいます。
 
 ツイていないとパブで嘆くふたりは、なぜか「ハイキングにいこう!!」と、名案(?)を思いつきます。でたらめで地図に投げたダーツが刺さった場所は、フォークスのクレイグウィッチという町でした…

 セクシーなヴァンパイア・コメディということなんですが、それほどセクシーでも、はめをはずしているわけでもありません。一応おバカ映画になってるんですけど、すごく上品なラインに沿って物語が進む感じ。レズビアンなヴァンパイアたちが美女ばかりでして、それだけでも楽しいんですが、ジミーたちが知りあうカワイ子ちゃん軍団の登場もうれしいです。あと、牧師(ポール・マクガン)の娘もかわいいです。

 ジミーをふったジュディですが、すったもんだがありまして、結局彼を追いかけることになります。ということで、期待通りに美女がわんさか登場してくれていまーす

 あんまり書くほどの内容はないんですけど、キュートで楽しい気分になれること請けあいのハッピーな映画です。この程度のセクシーさなら、ご家族と一緒にご覧になっても全然支障はありません!












ジミー(左)と
フレッチ。










バンで旅する美女軍団









美女吸血鬼エヴァ
(ベラ・
フィラトーヴァ)。









甦ったカーミラ
(シルヴィア・
コロカ)!









ロッテ(左マイアナ・
バーリング)に迫る
危機…!!













〈レズビアン・
ヴァンパイア・
キラーズ〉、結成!!







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    Susuk


(2008)マレーシア
出演…ダイアナ・ラファー
アイーダ・ネリナ
アドリン・アマン・ラムーレ
監督…ナイム・ギャリリ
アマー・ムハンマド
★★★



〔ストーリー〕
 とあるのどかな田舎町。湖のほとりで遊んでいたふたりの少年が、全身の皮膚を剥がれた女性の遺体を発見する…!!
 そして、場所は変わって深夜の病院。看護婦のソラヤは、スタッフたちに内緒で入院患者に歌をうたって聞かせている。じつは、彼女の夢は歌手として成功すること。しかし、才能はあっても環境に恵まれていないソラヤは、暴力的な夫を持つ姉家族など、さまざまな問題を抱えていた。そんなとき、同僚女性が歌のコンテストに優勝、その華々しい様子がテレビで放映されるが…


 つい最近観たボリウッドの「13B」(2009)が思いのほかおもしろかったので、調子に乗って、今度はマレーシア・ホラーに手を出してしまいました。これがまた、おもしろいの、よくできているのって!! うれしくなってしまって、レビューで~す。

 これまで、メイド・イン・ホラー先進国な映画しか観てこなかったんですけど、諸外国のホラーも出来がいいものがあるんですね。こんなに優秀だったとは思いもしませんでした。

 ごく最近、「Hisss」(2009)というボリウッドの新作が話題になっていますが、タイトルがちょっと似てますよね。マレーシア映画かあ… マレーシア・ホラーといわれても、だれもがぴんとこないはず。でも、毎年たくさんの旅行者が訪れる国なんだから、当然商業ベースの映画産業が成り立っているわけで… そこで、ホラーが製作されていても、全然おかしくないわけで。

 マレーシアといいますと、マレー系、イスラム系、中華系、インド系といった、「複合民族国家」 なんですよね。言語も入り乱れています。そのため、文化的に発展しにくい状況でもあるんですが、ここから大量の映画が作られる理由にもなっているようなんです。
 民族や宗教が統一されていないことは、やはり映画が発展するうえでの障害にもなります… が、そこに偶然おもしろいものが生まれちゃうのも事実なんです。

 アジアン・ホラーというと、どうしても、呪いとか、幽霊とか、過去の因縁とか~…、ジメッとした、抽象的な恐怖が描かれることが多いんですが。この作品もそんな内容なんですけど、複雑な国家を象徴してるみたいに、いろんなベースが組みこまれているのがまずおもしろいかも。

 冒頭、湖のほとりで、全身の皮膚を剥がされた赤むけの女性遺体が出現!!
 ギャ~、なんかまるで、フルチ監督みたい! と、思っていましたら、舞台は変わって深夜の病院。ヒロインの看護婦、ソラヤ(ダイアナ・ラファー)の登場です。
 じつはダイアナ、スターを夢見る女の子。カマル(ガムビット・サイフラウ)というやさしいボーイフレンドもいるのですが、姉の夫はDVだったりと、シリアスな問題も抱えています。そして、歌をどうしてもあきらめることができません。

 もうひとりのヒロインは、スターのスザナ(アイーダ・ネリナ)。スザナの側にはいつも、デュクン(アドリン・アマン・ラムーレ)という不思議な男性がいます。どうやら彼は、彼女のことを守っているようなのですが…

 呪い系かも、といってしまいましたが、よく考えてみたら呪いではないですね… えっと、個人的な呪いではないです、という意味です。
 オープニングがフルチっぽくて、舞台が病院に移って、やっぱりアジアンか~… などと思っていると、急にジャーロっぽくなってみたり! 殺害シーンがスタイリッシュに工夫されています。これは見るからに、アルジェントの影響が色濃いです。あと、無駄に鳥の羽根が舞ってます。けして嫌いじゃありません!

 ストーリーが思っていた以上に複雑でして、こういうのは欧米ホラーにはなくていいですよね。残念なのは、メイクがあまりに稚拙すぎ。ナイフでブスブスやってみたり、生首をもいでみたりと、けっこうがんばってるんですけど… ここさえ気合が入っていれば、かなりおもしろいホラーになったと思うんですけど。
 ですが、こういうストーリーは好きです。ホラー好きにも納得の内容だと思います。












ヒロインのソラヤ
(ダイアナ・ラファー)。







花びらを浮かべた
浴槽で、身を清める
美女…
このあと、なにが?









歌手のスザナ
(アイーダ・ネリナ)。









スザナとデュクンの会話
に出てくる、「ススク」
の意味とは?












この男性がススク
なのでしょうか…??







    Imago Mortis



(2009)イタリア/スペイン/アイルランド
出演…アルベルト・アマリア、
オナ・チャプリン
レ ティシア・ドレラ
監督…ステファノ・ベッソー二
★★★☆


〔ストーリー〕
 撮影技術と歴史を学ぶブルーノ。ある日、構内をカメラ片手に歩いていると、突然大きな物音がして… 青年が降ってきたではないか!! しかも、その青年はあきらかに死んでいるにもかかわらず、起きあがってブルーノに手を伸ばそうとする…! その日から、青年の亡霊という幻覚に悩むようになるブルーノ。地下のフィルム倉庫で見つけた古いフィルムを映写していると、その青年が映っているのを発見する。
 ブルーノはガールフレンドのアリアナを連れて、フィルムに映っていた洞窟に出かけてみることにするのだが…


 たぶん、チェックしていらっしゃる方も多いんではないかと思います。以前からかなり話題になっていました。内容もすごくおもしろくて、興味深いんですよね。ヨーロッパのアカデミックな雰囲気と、緻密なゴシック&知的さがたまらない、ホラー・ミステリーの登場です。

 こういうノーブルな佇まいのホラー・ミステリというと、世界的なベストセラーとなった、ウンベルト・エーコの「Le Nom de la Rose」「薔薇の名前」1986)とか、レベルテの「The Ninth Gate」「ナインスゲート」1999)とか、最近では、パトリック・ジュースキントの「Perfume: The Story of a Murder」「パフューム/ある人殺しの物語」2006)の映画化とか… わりとたくさんありますよね。この作品も、そんな系統にくくられそうな、すごく上質のオカルちっくなミステリーなんです。

 まず、ストーリーがかなりいいですよね。写真技術が発明されるよりずっと以前の1600年代のこと、とある科学者が、画像再生技術にとりつかれて “禁忌の法” に手を出してしまいます。それというのは、「死者の眼球を使って、網膜に残された最後の映像を実体化しよう」 というもの。

 主人公の青年ブルーノを演じるのは、アルベルト・アマリア。
ブルーノは大学で映写技術とその歴史を学んでいて、自ら写真を撮るのも大好き、クラスメイトにはアリアナ(オナ・チャプリン)というかわいいガールフレンドもいます。

 ある日、カメラを片手に構内を歩いていると、突然空から青年が降ってきたではないですか!! キャ~、な、なに? 自殺??  しかし、青年は即死しているにもかかわらず、起きあがってブルーノにむかってこようとします。ショックをうけるブルーノ!! と、思ったら、ただの幻覚だった…?
 
 しかし、その日を境に、おそろしい亡霊につきまとわれるようになってしまいます。ぼくは変なのだろうか? なぜ、ぼくの前にあらわれる…??

 大学の地下のフィルム倉庫でおなじような悪夢に襲われたブルーノは、やがて、青年が映っているフィルムを発見します。ためしにアリアナとその場所にむかってみると、古い木箱を発見。木箱を持ち帰ったブルーノとアリアナは、「タナト・スコーピア」という、なにやら聞きなれない、不吉な映写技術を知ることになるのですが…

 前述した作品郡のように、つぎつぎ事件が起こる! という、派手な内容ではないんですが… こういう真新しいプロットが出現してくると、うきうきしてしまいますよね~。西欧ミステリ独特の雰囲気もとてもよく、品のよさとグロテスクさをいい状態で保っている感じがあります。アメリカン・ホラーに馴れた目で見てしまうと、よけいにおもしろく感じてしまうかもしれません。  

 ついでに、これに原作はなく、監督のステファノ・ベッソーニとスタッフたちが共同で書いたようです。スタッフも監督も、ナイス・ジョブ!!

 またまたついでに、世間的には、オナ・チャプリンとジェラルディン・チャプリンの母娘共演が話題になっているようですが、わたし的には、市川純さん(アキ役)と、小橋賢児さん(オズ役)の出演が非常にうれしかったです。おふたりとも、フランス語(← わたしが観たのは吹き替え版ですね、すみません)がとても上手でした。













ブルーノ役の
A・アマリア。








亡霊につきまとわれる
ようになるブルーノ。
(?なぜ?なぜ?)
…ひーん、こわいよ!










アリアナ役のオナ・
チャプリン。










オルシニ女史(ジェラル
ディン・チャプリン)。










無垢な少女の瞳は、
なにを見る…?



恐怖の 〈タナト・グラファー〉 の館へようこそ…!!!







    Plague Town



(2008)アメリカ
出演…ジョスリン・デクロスタ
エリカ・ローデス
ジェームズ・ワーク
監督…デヴィット・グレゴリー
★★★


〔ストーリー〕
 アメリカ人のモノハン一家が、父親の恋人のアネット、長女のボーイフレンドのロビンを連れて、アイルランドを旅行中。この旅行は崩壊しかけていた家族の親密さを深めるためのものだったが、長女のジェシカと妹のモリーはケンカばかり、ロビンも頼りなく、ちっとも楽しい気分になれない。ジェシカとロビンがふたりで抜けだしていちゃついている最中に、最終のバスが発ってしまう始末。
 日も暮れ、途方にくれた5人はやがて、ドアをあけたままの車を発見することになるのだが…


 ひい~、なんなんですか、これはっ!
 こわいです、やたらめったらこわいですぅ~っ!!

 おおまかなあらすじから、
「能天気な旅行者が奇形一家に襲われて、ウギャー!!」 な、お約束展開になることを予想していたのですが… じつはこれ、アメリカ映画なんですけど、舞台がアイルランドなんですよね。そこらへんから、だいぶ趣きが異なってきています。即物的、おおげさなカリカチュア奇形のウギャー!! ではなくて、憂鬱な田園風景がなんともいえない、すこし文学色のある不気味ホラーなんですね。

 監督のデヴィット・グレゴリーは、関連作品があまりにも多すぎるので、調べるのをあきらめました… ええと、「悪いけ」のドキュメンタリーを撮った方のようです。あと、パッと見ホラー作品が多いようです。タイトルも見たことがあるのもあるんですけど、ほとんどが詳細不明です… (そこで、どなたかくわしい方がいたら、ぜひ教えてくださいませ~)

 ストーリーは、アメリカ人旅行者が不気味な町 「プレーグ」 にたどりついてしまい、そこで奇形の人たちに襲われる、というよくある内容なのですが。

 ですが、こう、よくある “根アカな奇形さん” ではないのですよ。もちろん、“食糧確保のため、うんぬん~” でもありません。すこし以前に鑑賞しました、トム・シャンクランドの「The Children」(2008)と雰囲気がよく似ています。それにしても、不気味さではこちらのほうが確実に上ですねー。

 ヒロインのモリー(ジョスリン・デクロスタ)は、家族と一緒にアイルランドを旅行中。父親のジェリー(デヴィット・ロンバード)は恋人のアネット(リンゼイ・ゴランソン)、姉のジェシカ(エリカ・ローデス)はボーイフレンドのロビン(ジェームズ・ワーク)を連れて、お互いの親睦を深めるつもりが、なぜか彼女だけのけ者気分に。そこから姉妹ゲンカへと発展してしまい、気分は最低。おまけに、享楽的なジェシカとロビンのせいで、バスに乗りおくれてしまいます。

 なんにもない田舎町に置いてきぼりにされてしまった5人組。日も落ちて、途方に暮れて道をてくてく歩いていると… ドアをあけっぱなしの車を発見します。キーはついていません。と同時に、モリーは林のなかに不気味な人影を発見!! 「殺人鬼みたいなやつがいる!」 しかし、ジェシカは彼女をバカにして、家族のだれも本気にしてくれません。そこへ、林の奥から不気味な声が…

 下の写真をご覧になっていただけるとわかるかと思いますが、こんな感じの奇形さんなので… ね、けっこうこわいでしょう? テンションのあがるこわさではなくて、不気味なおそろしさがありますよね。

 まず、奇形の子供たちが家族を襲ってくる動機というのが、純粋に 「悪」 だからなのか? それとも、健常者に嫉妬しているから? そのあたりの曖昧さがまた、非常に気持ち悪くておさまりどころも悪いです。

 どうせならあっさりやってくれればいいんですけど、じわじわ痛めつけられる悲惨さったら、もう~、ひどいのなんのって…!!!
 気分が悪くなることも確実なのですが、こういうこわさもぜひチェックしていただきたいと思います。あと、お食事中にご覧になることは、なるべく避けたほうがいいかと… 個人的には思いますが。(あああ、あのシーンはほんとに、気色悪かった…!)













モリー(左)とジェシカ。








一見ふつうの女の子に
見えますけど…
あれっ、
なんかちがう?









…やっぱりなんか
ちがう?









ひいぃぃ、
いっぱい集まって
きた!!









ポスターの女の子。
インパクトありすぎ。
その目はこわすぎ!







13B
    13B



(2009)インド
出演…マダヴァン
ニートゥ・チャンドラ
ラヴィ・バブ
監督…ヴィクラム・K・カマー
★★☆


〔ストーリー〕
 建設会社に勤めるマノハルは、美人の妻のプリヤ、母親、兄家族や妹たちと一緒に、総勢8名で広いアパートに引っ越してくる。そこは生活水準も上質な暮らし、彼らの部屋番号は「13B」。夢の生活を手に入れ、これからは家族全員で過ごせると思っていたマノハルだったが…すこしずつ、おかしな現象が起こりはじめる。そこには決まって、「13」、「B」という暗号があらわれるのだが…??


 「新感覚スリラーのボリウッド」 だと評判だったので、観てみることにしました。
もしかしたら、リメイクされる可能性があるかもしれないです。もしかしたら、なんですけどね…

 さて、みなさん、インド映画ですよ。インド映画というと、どうしても、“すごーく長い” というイメージがわたしはあったのですが~

 この作品もそのご多分に洩れず、全編146分(!!)もあるんですよ。なぜそんなに長いのかというと、単純に展開の進みがおそいというのもあるんですが、ワンシーンじたいがやたら長かったり、セリフが長かったり、いちばん特徴的なのが、ハッピーなシーン(…たとえば、愛のシーンとか、家族が幸せなシーンとか)になると、なぜか舞台が突然波打ちぎわや、バカンス風景になってしまいまして、そこをひたすら追いかけっこする! 無邪気にたわむれる!! 笑いあう!!

 そして、そんな映像がえんえん流れるなか、甘いメロディや陽気な音楽が歌われたりするのです。そんな、よくワカラン構成が差しこまれるので、余計長くなっちゃうんですねー… (話には聞いていましたけど、おそるべし、インド映画!!)もしかして、トイレ休憩の意味もあるんですかね?

 まあ、そんなおっそろしく長い映画なのですが、内容のほうはそれほどとっちらかっているわけでもなく、これはかなり質のよいホラー・サスペンス。話題になっている理由がよくわかります。

 主人公は、建設会社に勤めるマノハル(マダヴァン)。マノハル一家は母親、妻のプリヤ(ニートゥ・チャンドラ)、兄の家族や弟妹たちをあわせると、総勢8人という大家族。家族全員で暮らすために、高級アパートに引っ越してきます。部屋番号は「13B」。希望に満ちた、幸せな暮らしが待っているはずだったのですが…

 なぜか引っ越した当初から、マノハルのまわりで不可解な現象が起こります。エレベーターが動かない。携帯カメラの調子が悪い。アパートの一室は、どうしても釘を打つことができません。そして、午後1時になると、テレビが勝手に点灯して新番組のドラマが放送されます。この番組が、13チャンネル放送で、どうやらホームドラマのようなのですが…

 「13」、「B」という暗号にどんな意味があるのか? 彼らに襲いかかる怪異の正体はなんなのか? ということに興味を持たせつつ、ちゃんと現代的なホラーに繋がっていくところが非常におもしろいと思いました。
 ちょっとネタばらししてしまいますと、上記の新番組のドラマの内容が、じつは~…、そして、その裏にはじつは~…、だけど、その裏にもまたじつは~…!! という、なかなか凝った内容です。

 精神的に追いつめられていくマノハルの演技もよかったですね。マノハルひとりが危機を察しているのに、家族や友人たちが真剣にうけとめてくれない、そういうのも、ホラーの王道です。盛りあげ方もありきたりなんですけど、すっごく長いんですけど、なぜか不思議なことに、ラストまでいっさいだれることがありません。
 あと、懇切丁寧な展開なので、言葉がわからなくて内容が丸わかりしてしまう!! そんな利点もあります。

 スーパーナチュラル・ホラーの形をとっていながら、オープニングのテレビが製造されるシーンに象徴されているように、べつの意味が隠されていることも自ずと浮かびあがってきます。これはなかなかおもしろいですよ~、手垢がついていないストーリーといいますか、撮り方や音楽なんかも、けっこう新鮮に映ってしまいました。

 エンディング、いちばんインドかなーと思ったのは、今回主役を演じたマダヴァンさん。写真ではふつうの男性ですが、エンドロールが流れだすと、ヒップな格好をしてセクシー美女軍団と悩ましいダンスを踊りながら、ノリノリに歌ってくれます。歌って踊れる、これ、インドのテレビスターの第一条件なんでしょうね。











マノハル(マダヴァン)
とプリヤ
(ニートゥ・チャンドラ)。








携帯カメラで自分を
写してみると…
ひいっ! どゆこと??








警官の友人のシヴァ(ラヴィ・バブ)。
マノハルと一緒に謎を解明しようとします。









ご近所の盲目の老人も、なに
かを察している様子…?









家族に襲いかかる恐怖の正体
は…? マノハル、
みんなを救えるか!!







    The Horsemen



(2009)アメリカ
出演…デニス・クエイド
チャン・ツィー
ルー・テイラー・プッチ
監督…ジョナス・アカーランド
★★☆


〔ストーリー〕
 妻を失った刑事のエイダンは、思春期の長男アレックス、小学生の弟ショーンと3人暮らし。息子たちと心を通いあわせようと努力するのだけれど、仕事が忙しく、彼らの世話もままならない。そんなとき、不気味な猟奇事件が発生。被害者は吊り具につるされ、壁に赤いペンキで「Come and See」というメッセージが残されていた…


 デニス・クエイドとチャン・ツィー共演のサイコ・サスペンスということで、鑑賞してみたのですが…

 監督は、スウェーデン出身のジョナス・アカーランド。一応、関連作品を見てみたのですが、いまいちどんな内容かわからず…? どうも、青春映画っぽい内容が多いみたいです。あ、それから音楽関係にも強い方です。マドンナとかメタリカとか、U2とかプロディジーとかモービーとか、超有名人が多いですね。そこから予想できるかどうかわかりませんが、ポスターにあるような内容ではないんです。あしからず。

 サイコ・サスペンス、スリラーというと、どうしても過去作品の模倣になってしまい、その衝撃さ、醜悪さなんかをどれだけ超えられるか…? みたいなところに、思いきり力が入ってしまうんですが。こちらの作品は、ぜんぜんそうではないんですよねー。

 まず、殺人犯がぜんぜんこわくないです。あんまり猟奇殺人もしていません。(…あ、ネタばらししてしまいました、すみません~)
 一見不可解な殺人事件が前面に押しだされているようですが、じつはこの作品のテーマは〇〇… という、お話。

 オープニング、ある冬の朝、犬をつれた老人が、木を刈ろうと雪原を歩いていると… 凍った湖面の上で、不思議なメッセージを発見します。赤いペンキで木に 「Come and See」 と書かれているではないですか。そして、その中央には、銀のお盆に蓋がかぶされていて… 

 この中身は見てのお楽しみですが、感覚的には「Se7en」「セブン」1995)とほとんど一緒です。この事件をきっかけに、異常な連続殺人事件が起きてしまい、それがじつは、“黙示録の4騎士” をなぞらえたものだったという… あ~あ、また聖書がらみのサイコですよ。

 正直、こういうのはもう飽きたなーと、思ってたんですけど、デニス・クエイドの熱演がかっこよくて、展開もスピーディーでして、なんだかんだいって最後まで観ちゃいました。でも、前半で結末があらかた読めてしまうんですけどね。そこが非常につめが甘いですね。
 アレックス役のルー・テイラー・プッチもよかったし、たぶんだれも知らないと思いますが、「Wristcutters: A Love Story」(2006)に主演していたパトリック・
フュジットくんが、コーリンという青年役で出演しているんですよ。ウフフ、やっぱりかわいいなあー

 チャン・ツィーが演じるクリステンなんですが、どうも、類型的なキャラに見えてしまいました。この女優さんは健康的な美人すぎて、妖しさが足りなかったのでしょうか…?
 映画としては悪くないんですけど、ホラー好きにはかなりもの足りない内容です。
うーん、丁寧に作られているんですけどねー、もの足りません。
 これとおなじテーマなら、ドイツ映画の「Antikorper」(2005)のほうが緊張感があってよかったかな?










エイダン刑事のデニス・
クエイド。
かっこいいですね~、
戦うお父さん!!









こんな吊り具につる
されるわけです。
かなり痛そうです。









クリステン役の
チャン・ツィー。









アレックス役のルー・
テイラー・プッチ。
これから人気急上昇?









(おまけ)。
ピーター・ストーメア。
最近こんな役ばっかり…









 
さらなる事件が…!!
エイダン刑事、
どうする??







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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