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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Deadgirl

(2008)アメリカ
出演…シャイロ・フェルナンデス
ノア・セガン
キャンディス・アコーラ
監督…マーシャル・サルミエント
ガディ・ハレル
★★★


〔ストーリー〕
 高校生のリッキーは、悪友JTとつるむ日々。クラスメイトのジョアンに好意を抱いているけれど、彼女にはボーイフレンドのジョニーがいた。ある日、学校をさぼって近所の廃病院に忍びこむリッキーとJT 。酒を飲み、バカ騒ぎして遊んでいると… 突然獰猛な犬に襲いかかられてしまう! あわてて逃げこんだ部屋には、なんと女性の遺体がベッドにくくりつけられていた…!!


 まぎらわしいタイトルが非常に多いのですが、こちらは 〈トロント映画祭〉 でかなりの好評を得たホラー作品。ティーンズ・ホラーなんていうから、ゴキゲンなスプラッタかと思ってましたら… ぜんぜんちがうじゃないですか~っっ!!

 …なんというんでしょう、無軌道な若者たちの暴力と性衝動が、ちょっとケッチャムの 『隣の家の少女』 を彷彿させるんですよ。といっても、あれほど冷酷でも無慈悲でもなく、たしかにショッキングな内容なんですけど、これが驚くほど青春映画していまして、これはすごいな! と、素直に感動してしまいました。

 監督のマーセル・サルミエントとガディ・ハレル、画像検索すればわかると思いますが、かなり若いです。どうりでこんな瑞々しい青春ホラーが撮れちゃうわけでして… ちなみに、役者さんとしても通用しそうなルックスをしています。女子の人気を集めそうですねー

 上記の説明だけでは、いったいどんな内容なのか想像つきにくいかと思われますが… この作品にかんしていえば、わかっていても、わからなくても、たぶんどっちもおなじだと思います。とりあえず、すごく先が読みにくい映画です。それゆえに、新味があってすばらしいのです。

 主人公のリッキーを演じるのは、シャイロ・フェルナンデス。JT(ノア・セガン)という友人がいて、同級生のジョアン(キャンディス・アコーラ)にほのかな恋心を抱いています。そんなごくフツーの退屈な高校生たちが、ある日授業をさぼって、近所の廃病院に忍びこんでいると…ちょっとしたアクシデントから、女性の死体を発見してしまうではないですか!!

 この女性、裸でベッドにくくりつけられていまして、ビニールがかぶせられています。あわてるリッキーは、「放っておこう!」 と、すぐさま逃げ腰に。「きっと殺人鬼の隠れ家なんだ! 早くここから出ようよ~!!」

 しかし、JTがおそるおそる触れてみると、この女性、なんとまだ息があるではないですか… そして、JTのつぎの危険なひとことが…「彼女、きれいだと思わないか?」

 こうして、異常事態を発見したにもかかわらず、彼らは自分たちだけの秘密にしてしまうのです。そして、JTはしだいにその女性に興味をおぼえるようになり…

 …うーん、つづきを書きたいんですけど、書くわけにはいきませんよね!!

 これだけの説明でも、かなりな陰険&意地悪ストーリーのように思われますが、中身はびっくりするほどそうじゃありません。まず、リッキーとJTの人物造形がリアルで、すごく身近に感じられます。高校生なんて、しょせん学校と自宅の往復の世界、同世代の友人たちしかいないわけですよ。そんな狭い世界で、不調をきたす事態がすこしずつ起こりはじめて…でも、なぜか実感が湧かず、自分の力でどうすることもできない。あああ、なんて青春なの!!

 “デッドガール” の正体なんですが、はじめからわかっていても、きっと楽しめるかと。そうすると、彼女の存在自体が、なんとリッキーたちの現状でもあるんだな~と、理解できちゃうんですねー。

 かなりおもしろい作品なんですけど、このもどかしさ、思いどおりにならない自己嫌悪や無軌道さなんかがまた、なんともいえないビタースウィートでせつなくなるんですけど、結末のオチだけはないほうがよかったような…?

 もしかしたら好みの問題かもしれませんが、そのままきれいに完結していたほうが、衝撃度と余韻が強かったのではないかと思うんです… なんていうのは、やはりわたしの独断と偏見ですね、すみません。











リッキー役のシャイロ・
フェルナンデス。







JT役のノア・セガン。











ジョアン役のキャンディス・
アコーラ。








デッドガールの運命
は…?!?









衝撃の結末は…!!!







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(1988)カナダ
出演…デイヴィット・ヒューレット
シンシア・プレストン
テリー・オクィーン
監督…サンドール・スターン
★★★


〔ストーリー〕
 医師の父、継母と四人で暮らす裕福な家庭の幼い兄妹、レオンとアーシュラ。父親は診療室に 「ピン」 という名の人体模型を持っていて、腹話術を使い、やってくる子供たちをこわがらせないように工夫していた。レオンとアーシュラも 「ピン」 とときどき会話をするが、妹のアーシュラは、父が声音を使ってピンを演じていると気づいていた… しかし、継母とうまくいかず、友人もいないレオンのほうは、全面的にピンを信じるようになっていき…


 最近になって、再評価の動きが高まっているようなので、それに乗ってわたしもレ
ビューしてみました。邦題では、「サイコ・シンドローム/僕だけを見て」 になっています… うーん、この邦題がまた、なんか泣かせますよねー。

 “人形に心を奪われてしまうホラー” というと、似たようなもので、アンソニー・ホプキンスの「Magic」「マジック」1978)が、まず有名ではないかと思います。あれは腹話術でしたが、こちらは人体模型。おなじく、等身大タイプの人形ホラーというと、「The Fear」「ザ・フィアー」1995)なんてのもありました… まあ、この作品は、人形の不気味さというより、あまりに “人間が演じすぎ” ていて、だんだん悲しくなってしまうダメダメ・ホラーなんですが…。。。

 監督のサンドール・スターンは、くわしいことはよくわからないのですが、なんだか「悪魔の棲む家」シリーズにずっとかかわっている方のようです。ほかにも、TVドラマやミステリ、サスペンスなど、幅ひろくB級映画を撮っている方です。

 わたしはこのレビューを書くにあたってはじめて知ったのですが、なんとこれ、原作があったのですね~。アンドリュー・ネイダーマンといったら、「The Devil's Advocate」「ディアボロス/悪魔の扉」1997)の原作も書いた人ではないですかっ! 今度ぜひチェックしたいと思います。
 
 …さてさて、サイコもの、テリー・オクィーン出演ホラー(「The Stepfather」「W ダブル/ステップファーザー」1988)もチェック!)ということで、この作品も知名度は低いですが、じつは隠れた一品なのです。
 ストーリーは、孤独な少年が父の腹話術で人体模型を友人と思いこみ、ついには生涯のパートナー(ヘンな意味じゃないですよ!)としてしまう… そんな奇怪なお話なのですが、これがじつに、丁寧につくられているドラマでして、ラストが近づくにつれてしんみり泣かせるんですね~。

 医師のフレッド(テリー・オクィーン)は前妻を亡くし、いまは後妻と息子のレオン(スティーヴン・べドナスキ)、アーシュラ(ケイティ・シングラー)の四人で暮らしています。オクィーンの演じる医師は厳格なパパ、ときどき 「ピン」 という人体模型を使い、幼い兄妹ふたりに道理を示そうとします。

 この人体模型の 「ピン」 というのが、理科室によく置いてあるのとはちょっとちがう、えーと、なんといいますか、半透明のプラスティックに覆われているお人形さん… ということで、ちょっと “ぬめっとしてる” といいますか(笑)、表情も悲しく見えたり、ときには笑ってるように見えたり、なんか不気味。でも、人形なの。でも、人みたいなの! という、まさにうってつけの人体模型さんなのです。

 子供が純真でなにごとも信じやすいという特質にくわえて、レオンはねじくれた性格でもあって… という、サイコお決まりのパターンなのですが、そこに至ってしまうまでの経緯が悲しい。家族がおかしくなってしまうのに、なにが原因かって、やっぱり 「コミュニケーション不足」 がいちばんじゃないですか!!

 この作品も、青年に成長したレオン(デイヴィット・ヒューレット)と、美人になったアーシュラ(シンシア・プレストン)の複雑な愛情、葛藤劇が中心となっています。アーシュラは外の世界に羽ばたこうとするのだけれど、いつまでも子供の世界にとじこもっていたいレオンは、どんどん 「ピン」 に依存するようになってしまい…

 しだいに狂気に冒されていくデイヴィット・ヒューレットの演技がかなり膚寒いです。それから、アーシュラ役のシンシア・プレストンも、ツンとした美人さんタイプで、非常に魅力的でかわいらしい♪  地味ながら、じっくり見せてくれるドラマになっています。

 なかなか手に入りにくい作品のようですが、一見の価値があると思いますので、見かけたらぜひどうぞ。でも、すごく悲しいお話なんですよ。











人体模型の「ピン」。
この通り、ぬめっとしてます!







医師のパパのテリー・
オクィーン。




幼いころのレオンと
アーシュラ。
レオンは 「ピン」 と会話
していると思っている
ようですが…






ショック!!
看護婦さんが、「ピン」を
使って…?!?!






大人になったレオン
(デイヴィット・
ヒューレット)。






とうとう食卓の席に
まで、「ピン」を
座らせるようになって…!!






 
    Ryeong



(2004)韓国
出演…キム・ハヌル
リュ・ジン
ナム・サンミ
監督…キム・テギョン
★★★


〔ストーリー〕
 大学生のジウォンは裕福な家庭だが、父親を事故で亡くし、母は失意に暮れる日々。おまけに、彼女自身記憶喪失というハンデを抱えていた。ボーイフレンドのジュノの励ましを頼りに、記憶をとりもどそうと治療をつづけるジウォン。そんなある日、彼女のまえに高校の同級生だったというユンソがあらわれる。彼女はジウォンの恵まれた暮らしを、「新しい生活を用意してもらったのね」と、皮肉をいい、おなじく同級生だった少女の死を告げる。だが、別れた直後、今度はユンソが不可解な溺死をしたと知らされて…??


 韓国ホラーって、ふだんはなんとなく敬遠してしまうんですけど、なんとなーく、和製ホラーっぽいなとか思ってしまうんですけど、これはなかなかおもしろかったです。2004年の作品なんですよね。そして、アメリカでのリメイクも決定しましたそうで。

 監督さんのキム・テギョンは、これがデビュー作になるようです。デビュー作なんですけど、驚くほどよく出来ています。別タイトルで「Dead Friend」、邦題では「霊/リョン」となっています。

 偏見かもしれませんが、アジアン・ホラーというと、「こわがらせてやる~!!」 という狙いばかりが先走りしすぎちゃって、肝心の内容があぼーんになってしまうことが多いですよね… それでなんとなく、わたしはアジアン・ホラーが苦手だったりするんですが。

 ですが、この作品はお話もしっかりしていておもしろい。非常にドラマチックです。ラストで、あらー、そういうことだったのね~ と、妙に納得してしまいます。アメリカがリメイクに飛びつくのもわかる気がします。

 ストーリーは、ヒロインのジウォン(キム・ハヌル)のやや不安定な生活からはじまります。ジウォンはお金持ちの家のひとり娘、大学では歳上のボーイフレンドのジュノ(リュ・ジン)というやさしい男の子がいます。が、じつは父親を事故で亡くしたばかり。そのショックからか、母(キム・ハサク)は気分屋になってしまい、明かりも点けない部屋でじっとしていて、ジウォンが遅く帰ってくると、「どうしてわたしをひとりにするのよ! わたしをなんだと思ってるの??」 と、責められてしまいます。

 おまけに、ジウォン自身も記憶喪失という深刻な問題を抱えていました。原因はまだはっきりしていないのですが、おそらく父の死から、自己防衛のために記憶を封印しているのでは…? そう考えられていて、医師の治療を根気よくつづけています。
 リフレッシュは、プールで泳ぐこと。右腕に傷跡が2本あるのですが、これがいつ、どうやってついたのかも、彼女は思い出すことができません。

 そんなある日、彼女の通う大学に見知らぬ女性がやってきます。
 彼女はユンソ(ビン)と名乗り、ジウォンとは高校時代の同級生だというのですが… なぜか再会を喜ぶでもなく、おなじく同級生だった友人が死亡したことを告げます。そして、なにかに怯えているようなのですが…??

 ユンソとはそのまま別れるのですが、その直後に、今度は彼女が不可解な状況下で溺死したという報せをうけてしまいます…!!
 彼女の死を皮切りに、悪夢にうなされ、少女の幻を見るようになるジウォン。自分の過去に、いったいなにがあったのか? 知りたいけど、知りたくない… こうしてジウォンは、死亡したという同級生の家を訪ねてみることにするのですが…

 …とまあ、ざっくばらんに説明してしまいますと、こんなお話なんですが。
Jホラーお得意の 「呪いの連鎖系」 です。ですが、その手のホラー作品よりもちゃんとしたドラマになっていまして、ストーリーも明確でおもしろいです。

 記憶喪失のヒロインが過去に怯えながら、真実をつきとめていく… そこに、ときどき 「貞子さん」 のような呪いが入りまして、薄気味悪い盛りあげ方もよろしい。結末近くでは、不覚にも涙ぐんでしまうシーンもあります。ですがっ! それだけでは終わらないんですねー、それが、この作品のいいところ ちょっとだけネタばらししてしまいますと、これはホラーとミステリの融合作品なんですね。

 こんなにおもしろいのに、レンタルには置いてないみたいです。リメイクの出来も気になるところですが、まずはオリジナルを観ていただきたいなー、というのが、わたしの本音です。
 あと、幽霊がさほど誇張されていないのが、個人的にはよかったですね。この程度の自然さが、いちばん気持ち悪いと思うんですが。











ジュノ(リュ・ジン)と
ジウォン(キム・ハヌル)。







ジウォンは奇妙な幻覚を
見るようになり…









かつての仲良しグループ
のひとりは、精神病院に
いた!!







ひいぃぃ、
とんでもない
ことに~!!









ヒイ~ッ!!!
なんか出てきた!!








水にまつわる、
ジウォンの忌まわし
い記憶とは…?!







    Drag Me To Hell



(2009)アメリカ
出演…アリソン・ローマン
ジャスティン・ロング
ローナ・レイヴァー
監督…サム・ライミ
★★★☆


〔ストーリー〕
 銀行の融資係として働くクリスティンは美人で性格もよく、成績も優秀。おなじ銀行員の恋人のクレイは御曹司で、身分のちがいが唯一の悩みだった… そんなある日、彼女の受付窓口にミセス・ガナッシュという老婆がやってくる。老婆はローンの返済期限の延長を頼みこんできて、あまりに必死な様子に、クリスティンは一度は検討してみると答えるが… 上司に相談して、結局は断ることに。しかし、このことが老婆の怒りを買ってしまい…!!


 なにがこわいって~、逆恨みほど、おそろしいものはないわけでして~!!
サム・ライミの新作です。かなりこわいんですけど、妙に笑えるホラーです。

 サム・ライミが原点回帰して撮ったホラーということですが… なんというんでしょう、思っていたよりも、ずっとまともな映画でした。
 えーと、テーマが 「呪い」 というと、まっさきに思いつくのが、キングの 『痩せゆく男』。設定とキャラが変わっただけで、こちらの作品もおなじように進みます。海外の呪いって、こういうイメージなんでしょうかね? それとも、キングの影響力がよほど強いのか。

 ストーリーは、銀行の融資係として働くクリスティン(アリソン・ローマン)のもとに、醜悪な老婆(ローナ・レイヴァー)がやってくるところからはじまります。このローナ・レイヴァー演じるミセス・ガナッシュが、とにかくキチャない! ばっちい! とんでもない理由で逆恨みするうえに、やたらめったら強い!!

 老婆はお金に困っている様子で、ローンの返済期限を延ばしてほしいと、クリスティンに頼みます。彼女の必死な様子に、クリスティンは心を動かされて、上司に相談してみるのですが… でも、結局は断ることに。すると、今度は土下座までしちゃって、スカートにキスしてくるではないですか!! ひえー、「やめてください!」 びっくりして、思わず守衛を呼んでしまうと、老婆は呆然としながら、「よくも恥をかかせたわね…」(← って、自分から土下座したんじゃないですか~!)

 こういうことって、現実にもよくありますよねー。とくに客商売なんかは、こんな理不尽な理由から恨みを買ってしまうことが多々あるわけでして… 
 クリスティンの場合も、この事件が原因で、とーんでもなくおっそろしい呪いをかけられちゃうわけです。この呪いというのが、すごく強力でして、じっさいにこんな目に遭ったら、確実にチビッちゃうと思います。それくらいこわいです。ですが、その呪い以上にこわいのが、やはり老婆!

 どんな容態なのか簡単に説明してみますと、片目が白内障にかかってまして、入れ歯のはずなのにガタガタの歯並びで、デモンズみたいな黄色い爪を伸ばしてて、見るからに邪悪なオーラがただよってます。それで、力も強いし、打たれ強い! 不死身なんじゃない? というくらい、何度でも起きあがってきます… あ、呪いをかける以前に、こんなプロレスシーンがあるんですね。というのも、呪いをかけるのに、「ある必要なこと」 があるんですが… あ、んまり書かないほうがいいですか。
 
 ヒロインのクリスティンを演じるアリソン・ローマンが、かわいくて美人で性格もよくて、不運な災難が降りかかってしまうキャラがよく似合っています。恋人のクレイに
ジャスティン・ロング、クリスティンに力を貸す占い師のラムにディリープ・ラオ。

 さすがライミ監督、映画としての完成度が高いです。きっちりしてます。オープニングもショッキングだし、盛りあげ方もうまいし、クライマックスもそれなりに興奮するんですけど… でも、なぜにこんなに笑えちゃうのか? やはりライミ監督だからか!

 …まあ、とりあえず、みなさんもご覧になって判断してみてください。このバアさん、ほんとすごいんですよ。こんな強かったら、お金がなくても暮らしていけそうですが… それをいっちゃおしまいですか。それから、交霊術のシーンに登場する〇〇がまた、笑えます。でも、かなりこわいお話ですよ。



 
 







クリスティンを演じるアリソン・ローマン。
美人薄命といいますが…







ひいぃぃ、これ以上大きな
画像を載せられません。
すみません。
ごめんなさい。
こっち見ないで。







あーっと、
ガナッシュ選手、
うしろをとった!









今度はガナッシュ、
寝起きを襲います!!










恋人のクレイと。
やさしく相談に
乗ってくれますが…



占い師のラム。クリスティンの手相から、なにを知るのか…??







                

おひさしぶりです、ライミ監督。
もっとホラー撮ってください。
あ、コメディでもかまいません!  






    Peur(s) du noir

(2007)フランス
監督…ブラッチ
チャールズ・バーンズ
マリー・ケイルー
ピエール・ディシウロ
ロレンツォ・マットーティ
リチャード・マクガイア
★★☆

〔ストーリー〕
 さまざまな恐怖をモノクロ世界で表現した、フランスのオムニバス・アニメーション。


 以前から気になっていたんですよ、この作品。
英題では、「Fear(s) of tne Dark」 になっています。
 トレイラーを見るかぎり、なんか白黒世界がいやにおそろしげで、鉛筆画っぽい感じとかもよくできていて、おもしろそうだし、わりとこわい映画なんじゃないのかな? などと、期待していたんですが…

 正直、そうでもないんですよねー、これは。ホラーいうより、アートな感じです。それで、大人むけなわりには、いまいち底が浅くて肩すかしを食らっちゃうような内容です(笑)。まずは恒例のストーリー説明からさせていただきます。

〈第1話〉
 4匹の獰猛な犬を連れた老人。彼は手綱を引きひき、荒野を歩いている。と、ひとりの少年がいた。なにを思ったか、老人は犬の手綱を放してしまい…!!

〈第2話〉
 昆虫青年のエリックは、地味で内気な男の子。ある日大学からの帰り道、自宅のそばの森で奇妙な虫を発見する。さっそく壜に入れて持ちかえり、ベッドの下に隠しておくが… 朝になってみると、その虫は消えていた…

〈第3話〉
 とある民家で惨劇が起こる。警察が駆けつけたところ、部屋は血だらけで、床に落ちていた写真には父親、母親、娘の家族3人が映っていた… じつはこの家族は引っ越してきたばかりで、娘は転校先の学校でいじめに遭っていた。

〈第4話〉
 村で行方不明事件が発生。狙われたのは子供ばかりで、とうとう無惨な死体が発見されることに。村人たちはしだいに疑心暗鬼になり、怒りをおぼえ、犯人探ししようと躍起になるが…

〈第5話〉
 激しい吹雪のなかを、とある一軒家に逃げこんだ男。そこはどうやら空き家らしく、男は真っ暗闇を蝋燭をたよりに、家のなかを歩きまわってみる。すると、一冊のアルバムを発見するが…

 1話目だけインターローグになってまして、ストーリーが進むごとに、意地悪じいさんが犬を1匹ずつ放して、その被害者が出る、というお話です。でもこれ、あんまりイン
ターローグにする意味もないような(笑)。それと一緒に、本編とは関係なく、やたら理屈っぽいナレーションがえんえん流れるんですよ。うわー、コレ、もろにフランス色が出ちゃってますよね。なんの意味があるんだろう?

 正直な感想を書きつらねてしまいますと、2話目はもっと猥雑にしてもよかったような。だって、こんなに退屈なんですもん(…すみませんね~、でも、正直な感想です…)、はじめからお子さまは見むきもしないですよ!

 3話目に移りまして、なんと舞台が日本(!!)になっちゃいます。あ~あ、フランスって、どうしてこんなに日本が好きなんでしょう。ヒロインの名前が 「すまこ」 でして、それだけでもイタイのに、やたら誇張された日本イメージのオンパレード、もう笑ったらいいのやら、あきれたらいいのやら… 自虐的な気分で観ましょう。

 4話目になって、すこしまともになりまして、といっても、よくあるお話でした。少年の暮らす村で殺人事件が頻発するんですが、その犯人はどうやら、湿地帯に潜んでいるようなのですが…
 ある日、少年はその犯人の姿を目撃します。しかし、なぜかそれをだれにも告げようとはせず、とうとう怪物退治にひとりの男が乗りこんでくるのですが…

 …うーん、ほんと、ここまでで、正直こんな地味な内容ばかりじゃきびしいかな? と、思ってましたら、最後の話だけなかなかよかったです。それと、この作品がいちばんモノクロ世界をうまく表現していたと思います。けっこうこわいお話です。ホラーという受け売りもいちばん裏切っていないような。

 オムニバスって、いつも思うんですけど、よほど気合を入れてストーリーを練らないと、全体的にぼやけた印象になってしまいますよね。 「モノクロだけで恐怖をあらわす」 という企画じたいは、かなりよいし、おもしろいと思うんですけど、この作品も肝心のストーリーが残念な感じになっちゃっています。

 全体的にラストのお話レベルを保っていたら、もうちょっと押せたんですけどねー… ということで、今回は興味をひかれた方のみどうぞ。











犬を連れたじいさん。
その理由は…?







エリックは森の中で、
不思議な鳴き声を耳
にします。








恋人もできて、
幸せなはずが…







日本といえばろくろ首、
ろくろ首といえば日本!
…なのか?!?









殺人事件が頻発する村。








少年が湿地帯で目撃
したものは…??







ひいぃぃ、
ポットに蜘蛛を
入れる嫌がらせ!!








奇妙な一軒家に
非難した男の
運命は…?







     『廃墟ホテル』



    原題 『Creepers』
    (2005)
    デヴィット・マレル:著
    山本光伸:訳
    ランダムハウス講談社文庫


〔ストーリー〕
 地方都市アズベリーパークのかつての栄華の名残となった、〈パラゴン・ホテル〉。それはピラミッドのような建物で、ホテル・オーナーの大富豪カーライルには数々の謎があった。地方探検者を自認する 「クリーパー」 と呼ばれる違法侵入者たち… 大学教授のコンクリン、元教え子のビニー、リック、コーラたちに取材するために、取り壊し寸前の 〈パラゴン・ホテル〉 に同行することになった記者のバレンジャー。だが、そこには、忌まわしい過去と現在が秘められていた…!!


 あまりのおもしろさに、徹夜本になること必至!!
 マレルの最新ホラーでーす。

 デヴィット・マレルというと、そうでーす、〈ランボー〉シリーズの原作者さんなんです。シリーズ1作目の 『一人だけの軍隊』 なんか、キングがベタ褒めして、自らの創作教室のテキストにも使っていましたね。そのほかにもミステリー、まあ、どちらかというと、冒険小説のイメージが強いかと思いますが…

 ですが、わりとホラーも書いてるんです。世界幻想小説賞を受賞した 『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』『ナイトフライヤー』 所蔵)は、必々読のノヴェラです。たぶん、ホラーとしては5本の指に入っちゃうノヴェラなんじゃ…? まだ読んだことがないという方は、探してでも読んでください。
 あと、『トーテム』 なんて、変わり種の人狼ものもありました。愛息のマシューを
たった15歳で病気で亡くしてしまった悲しい実話 『蛍』 は、文芸作品としても高い
評価をうけています。

 そんな大御所マレルが、地方探検者 「クリーパー」 …つまり、廃墟に違法に潜りこむ人たちのことなんですが、その人たちを題材にとった超おもしろいホラー・ミステリがこちら。じっさいに、クリーパーという人たちはたくさん存在していて、ウェブで検索すれば、彼らのHPを見ることができます。

 物語は、記者のバレンジャーが 「クリーパー」 と接触するところからはじまります。バレンジャーが取材することに成功したのは、変わり者教授のコンクリンをリーダーとする、元教え子でコンクリンを慕うビニー、リック、コーラの4人組のクリーパーたち。

 彼らが目指すさきは、大富豪カーライルが残した〈パラゴン・ホテル〉。このホテルが、外観がピラミッドのようにエキゾチックながら、内装はすべて20世紀初頭に限定していたという、時間にとり残されたような不思議な空間です。なにより、カーライル自身が奇妙な経歴の持主でした。血友病のため、外出することがままならず、おまけに広場恐怖症で独身だったというカーライル。彼はホテルを閉鎖するまで最上階のペントハウスに暮らし、閉鎖してからもずっとそこに住んでいました… そして、ホテルを守るという偏執にとりつかれて、固い鎧戸をとざしたまま。

 う~ん、地方探検、巨大な廃墟、謎の大富豪のオーナー、鎧戸… と、ホラー要素なロマンが詰まりまくっています! これだけでもう、ウッキウキしてしまいますよね

 構成は、各章ごとに1時間ずつ経過していくんですが… 警察に通報されたり、だれかに目撃されたりしないようにと、コンクリン教授は午後10時から探検をはじめます。まあー、ただでさえ不気味な場所を訪問するのに、夜にスタートですよ。余計おもしろい… じゃなかった、こわいじゃないですか!

 不気味な廃墟ホテルに忍びこんだクリーパーたちと、バレンジャー。そんな彼らに、思いもしない恐怖が襲いかかってきます。そして、ホテルに秘められた過去が徐々にあきらかになるにつれて…!!

 あんまりおもしろい本なので、この “恐怖” なんですが、どういう種類のものかはいっさい書きません。みなさんもバレンジャーになったつもりで、クリーパーたちに同行しながら、廃墟ホテルの中を探検し、この恐怖が忍びよってくるのをゾクゾクしながら楽しんでください。やはり大御所、ストーリーテラーの水準が異常に高いです。そして、まさしく21世紀ホラーにふさわしい内容だと思います。

 ついでに、短編集 『真夜中に捨てられる靴』 もオススメです。この表題作は、『リオ・グランデ・ゴシック』 という別タイトルで、世紀末モンスター・アンソロジー 『999』 にも収録されています。あと、マレルの描く主人公(男性)は、わたしがいまさらいうまでもありませんが、かっこよすぎて魅力的すぎ。著者のスタンスと人柄が出ているんだと思います。



 



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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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