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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Skjult



(2009)ノルウェー
出演…クリストファー・ヨーネル
セシリー・A・モスリ
カリン・パーク
監督…ポール・オイエ
★★★


〔ストーリー〕
 母の死をきっかけに、19年ぶりに故郷へ帰ったカリ。実家は町はずれにある廃屋のような屋敷で、いい思い出なんてひとつもない。彼は母を好きではなかった。実家の整理をしていると、突然奇妙な幻覚に襲われるカリ。赤いボールを拾って地下に転がすと、ボールは勝手にもどってきて…??


 たぶん、こういう感じの結末を迎えちゃうんだろうな~ と、考えながら観ていましたら、結末でどうしようもなく悲しくなってしまいまいた。こちらも、〈アフターダーク・ホラ・フェス〉の一作。

 ノルウェーの作品です。なんか、見おぼえのある方が出ているなと思ってましたら、「Naboer」「ネクスト・ドア」2006)に出演していた男優さん、女優さんだったんですね。えっとですね、ありがちな内容なんですけど、悲しい余韻がいまだにつづいています。英語タイトルでは「Hidden」になっています。

 オープニング、とある悲劇のシーンからはじまります。ひとりの少年がドライブ中に車を降りて、小用を足しにいきいます。オシッコを我慢できなくなっちゃったんで、じゃあ、両親たちはここで待ってるから、あっちの茂みでしてきなさい、そんなところへ、べつの少年がやってきます。彼はなにかから逃げている(?)様子でして、道路に飛びだしたとたん、トラックに轢かれそうになってしまい…!!

 このトラックは少年を轢かずに、路肩で停まっていた車をはねてしまいます。それで、オシッコが終わった男の子がふりかえったときには、両親は火だるまに…

 それから19年後。
 カリ(クリストファー・ヨーネル)という男性が、ひとり暮らしの母親の死をきっかけに故郷にもどってきます。母親はずいぶんまえから病院でお世話になっていたようなのですが、彼は一度も見舞いにきたことがありません。故郷にもどってきたのだって、書類上の手続きで仕方なく、といった雰囲気です。できれば、故郷は彼にとって忘れていたい存在だったのですが…

 職員のサラ(セシリー・A・モスリ)と仲よくなって、自宅に帰ってみるカリ。このあたりから、びっくらかしやら不意打ちやら、あの手この手を使ったこわいシーンが挿入されます。あの、大きな音とかわたし苦手なんですけど、何度もやらされてると、さすがにビクッ! となるシーンとかありました。不可解な現象に悩まされるカリ。当然そんな場所に寝泊りできなくて、ホテルに宿泊することに。ここで、ホテル従業員の美人(カリン・パーク)と出会います。なんだか神秘的な美人です。

 母の死、過去の惨劇が忘れられないカリ。あの少年、両親を目の前で失ってしまったピーターはどうなったのだろう? じつは、ピーターはショックで森に迷いこみ、そのまま滝に落ちて行方不明になってしまった、地元の人間はそんなふうに考えていたのです。そして、カリの帰郷にあわせたかのように、おそろしい事件が起きてしまいます…

 こういうホラーって、観なれているひとにはめずらしくもなんともないです。はい、正直にいいます、そんな感じの内容です。ですが、いくら観なれていても、やっぱり結末が気になっちゃうし、最後まで観ちゃう。それにしても、この結末は悲しすぎる~
 ヨーロッパ映画って、こういう情感豊かな結末とか余韻とかが、特徴的なんだと思います。しんみりした味わい深さがこの作品の見どころ。
 
 ということで、ラストのラスト、あれっ? やっぱりどっちだったの?? ということになってるんですが、この映画は結末がどーのこーのという作品ではないのです。
 こういうじんわりした悲しみ、せつなさみたいなものは、アメリカ映画にはあんまり見られないんですよね。なかなかの良作です。









「Naboer」コンビ、
カリとサラ。










絵になる美人!
(カリン・パーク)







不気味なお人形の山…









すっごく不気味な実家…








鏡に映る過去の亡霊は?







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    Lake Mungo



(2009)オーストラリア
出演…タリア・ザッカー
マーティン・シャープ、
デヴィット・プレジャー
監督…ジョエル・アンダーソン
★★☆


〔ストーリー〕
 オーストラリアのサウスウェールズ州にある、ムンゴ国立公園湖畔。そのダムで、地元の少女アリスが行方不明になる。警察の必死の捜索により、やがて遺体を発見。悲しみにくれる両親、弟のマシュー。だが、マシューの撮った写真にアリスらしき人影が映っていたことから、遺体は別人ではないかと疑念をいだくのだが…?


 〈アフターダーク・ホラー・フェス〉の一作です。レイク・ムンゴというのは実在する場所でして、神秘的な場所として観光客も多く訪れるそうです。

 オーストラリアの映画なんですが、流行のモキュメンタリーでして、リメイクも決定しています。ちなみにリメイクでは、通常のドラマとして製作されるもよう。とりあえず、アメリカ人はこういうモキュメンタリー・タッチが大好きなんだというのはわかりました。

 ええと、物語は16才の少女アリス(タリア・ザッカー)の失踪からはじまります。
アリスは明るくて、だれからも好かれるかわいい女の子。弟のマシュー、両親の4人で暮らしています。そんな彼女が行方不明になってしまい、やがてムンゴ湖底から腐乱死体を発見。うぎゃー!! 両親、かわいそう… 弟のマシューは趣味で写真を撮ってまして、そこに姉らしき人影がいるのを発見。ついでに、家のなかに設置したカメラにも、あやしい人影が映っちゃってます。

 これは姉ではないのか? そう思って、両親は埋葬した遺体を堀りおこすのですが… DNA鑑定をした結果、やはりアリスでした。ということは、亡霊? 彼女はなにか、わたしたちにいいたいことがあるのではないか?

 こんな感じで、ニュース映像や家族、友人、近所のひとびとなどの証言が挿入されて、淡々とひとつの事件を追っていく、という物語。
 トレイラーを見るかぎりでは、Jホラーっぽい印象が強いんですが、あんまりJホラーしてません。というか、ゴーストもそれほど出てきません。

 視点が多角的で、さほど強調された事件も起こらず、たぶん、こういうのが苦手なひとはかなり苦手なんじゃないかと思います。
 でも、ちょうどわたしは体調が万全だったせいか(?)最後までちゃんと観れましたよ!(← 自慢するほどのことでもありませんが…)

 個人の好みもあるんでしょうけど、ちょっとまえに観た「Paranormal activity」「パラノーマル・アクティビティ」2009)より気持ち悪いかなと、思っちゃいました。もちろん「パラ~」より、お金もスタッフもたくさん使ってます。まあ、気持ち悪いのはほんの一瞬なんですけどね。なんだか煮えきらない内容なんですけど。

 えーと、あんまり書くこともないので、今回はこのへんで簡潔に終わらせていただきますが…
 この作品は、こわがらせてやる~! 系のゴースト映画ではなくて、心理学的解釈のできる作品です。
 アイデアはいいんですけど、うーん、もうちょっとそのアイデアを、複雑でおもしろいほうにいかしてほしかったです。リメイクとなると、これよりずっと派手な内容になると思います。それこそJホラーになりそうな予感がしますが。











不思議な雰囲気をもつ
ムンゴ湖畔。









パパのラッセル。









弟のマシュー。







友人のケイル。
観光客が、いっぱい落書き
を残してますね。









おなじく友人の
メラディス。







    Pig Hunt



(2008)アメリカ
出演…トラヴィス・アーロン・ウェイド
ティナ・ホーング
ハワード・ジョンソン・Jr
監督…ジェイムズ・アイザック
★★★


〔ストーリー〕
 サンフランシスコの青年ジョンは休日を利用して、恋人のブルックス、友人のベン、クィンシー、ウェインを連れて、カリフォルニア州メンドシーナへハンティングに出かける。そこはハンティング中に亡くなった叔父の農場があり、“ピッグフット” と呼ばれる、伝説の巨大イノシシの存在があった。農場近くではワイルドな男たち、ヒッピー風の若い娘たちがいるのだが…?


 ここんところ快調つづきでして、ここらでひと息入れる意味もこめて、コテコテのB級ホラーでも観てやろう! と、鑑賞をはじめたのですが… これが予想外におもしろくて、困ったことにまたまた高得点になってしまったのであーる。

 なんか、「Host」「グエムル/漢江の怪物」2006)のチームが似たような映画を撮ったらしいんですが、こっちからさきに観ちゃいました。
 コテコテのコメディかと思ってましたら、わりかししっかりした作りのアクション・ホラーでした。ゴアもいい感じで炸裂しております。

 主人公のジョン(トラヴィス・アーロン・ウェイド)、アジア系美女のブルックス(ティナ・ホーティング)、友人のベン(ハワード・ジョンソン)、クィンシー(トレバー・ブロックス)、ウェイン(ラジ・シャア)を連れて、亡き叔父さんの農場にむかいます。そこには伝説の巨大イノシシ “ピッグフット” 別名「切り裂き魔」 がいて、どうやら叔父さんはそいつに殺されちゃったらしいのです。

 おまけに、その近辺の森には見るからに危なそうなワイルドな男たち、ヒッピー風のナゾの森ガールなどもいます。森ガールといっしょの黒人男性は、おなじ黒人のくせにベンをNからはじまる単語で呼んだり。車のガラスに血を塗りつけて、妙なマークを書かれちゃったりします。とりあえず、森にはヤヴァイ人たちがたくさんいると。

 で、キャンプを張った翌朝、ジェイク(ジェイソン・フォスター)とリッキー(ニック・タイガス)という兄弟たちに会います。ふたりとも、これまた危なそうな男ですが、人のいいクィンシーのおかげでなんとか仲よくなって、んじゃあ、みんなでピッグフット狩りでもするか! そんな展開になります。

 まず、ピッグフットがなかなか出てきません。馬食っちゃったり、人食っちゃったりするんですが、姿はいっこうに見せず。マダー? ピッグフット、ねえマダー? と、思っていると、クィンシー、今度は大麻を発見! ジェイクとリッキーは大喜び。さっそく袋をひろげて採取するのですが…

 ここで、妙に正義感のあるジョン、ふたりを止めようとして、とんでもないことになっちまいます。ここから物語が急展開、あれ、ピッグフットは? といいますか、森ガールはどうしたの? などと思ってる間に、マッドマックス顔負けのハイテンションな展開に。荒っぽい男たちを怒らせると、こわいんですねえ。

 …とまあ、こんな感じでして、はっきりいって本作はイノシシ映画ではないです。イノシシ狩りに出かけた善良な連中が、とんでもない目に遭っちまった!! そんな感じの内容でした。
 といっても、キャラに感情移入するようにできているので、それなりに恐怖もあって、リアルなこわさと哀れさを感じてしまったり。ピッグフットが登場するのは、ほんとに最後の最後です。

 最後のラスボスがこんな弱点でいいのかっ! というくらい、あっけなく退治できちゃうんですが… そこにいたるまでの起伏がよかったです。タイトルからは想像つきませんが、良質なアクション・ホラーですね。
あ、森ガール集団もちゃんと出てきますよー

 ということでして、今回もたいへん満足な結果となっちゃいました。
これはきっと、「グエムル」チームとはぜんぜんべつの作品になっていると予想しましたが…?










ジョン役のトラヴィス・
アーロン・ウェイド。









危ない男ジェイク。
この兄弟にかかわった
ばっかりに~!!










見るからにやばそうな
オジサンたちです。









スプラッタ!!
スプラッタ!!









えと、
森の妖精でしょうか…?







    Necromentia



(2009)アメリカ
出演…レイトン・マシューズ
チャド・グリムス
サンティエゴ・クレイグ
監督…ペアリー・レジナルド・テオ
★★★

〔ストーリー〕
 床屋の主人のヘイゲンには、気味の悪い秘密が。死んだ妻の遺体といっしょに暮らしていて、いつか彼女をよみがえらせようと本気で信じていた。ある晩、トラヴィスという男が無口な相棒を連れてやってくる。トラヴィスはヘイゲンの秘密を知っていて、「おれなら彼女に会わせてやれるよ」 と、いうのだが… 半ば疑いながらも、彼らについていってしまうヘイゲン。そこで彼を待っていたのは…??


 評価がいまひとつでして、警戒しながら観たのですが、けっこうよかったです。なんでこんなに評価が低いんだろう? バーカーの世界観に「ソウ」っぽい拷問をつけくわえました、クラシックなホラーです。

 監督はシンガポールの若手でして、なんでも、これは最初短編として企画されたんだとか。で、資金のめどがついたため、急遽長編として書き直したんだそうです。この監督さん、根っからのホラー好きなんだなというのがわかります。それに、なかなか気合が入っておりますよー。

 オープニングから凝ってまして、血染めのクレジットにきれいな音楽、ゴア描写がこれでもか! とインサートされます。おお、自ずと盛りあがってしまいますよね! んで、ストーリーもやっぱり、バーカーっぽい。

 ヘイゲン(サンティアゴ・クレイグ)は床屋を経営、二階で死んだ妻のエリザベスと暮らしておりました。ヘイゲンさん、やばいです。妻の死体を愛おしげに洗ったり、なんかやばい施術をしたりして、完全にアブナイ人になってます。彼は死んだ妻が忘れられず、彼女が復活することを信じて、そんなことをくりかえしているんですね。

 と、そこへ、トラヴィス(チャド・グリムス)という若者がやってきます。トラヴィスいわく、「あんたの奥さんをよみがえらせる方法を知っている」。そんなバカなと思いつつも、アホなヘイゲンさんはついていってしまいます。

 で、見事に騙されちゃいまして、麻酔薬をブスッとな!背中をひんむかれて、なんか、地獄の門にむかう切符だとかいう、奇妙な魔法陣を背中に刻まれてしまいます。これによって、死者の世界に入ることができるんだとか、なんとか、なんとか!

 この魔法陣、上記のポスターのようにウィジャ・ボードっぽいです。痛々しいです
ね~、たいへん盛りあがってまいりました! さて、無事地獄の門にたどりつくことができたヘイゲンさんは…?

 それから場面は変わって、11ヶ月前のトラヴィス。
 トラヴィスはじつは、貧しいうえに障害者の弟トーマスを養っているという、泣けるお兄さんでした。生活を守るために、かなりヤヴァイ仕事に足をつっこんでいます。
 トラヴィス自身限界にきていて、へんなトリップを起こしたり、自傷行為に走っちゃったり。その自傷行為が地獄の番人をひきよせちゃいまして、全身灰色の男・モーヴィアス(レイトン・マシューズ)があらわれちゃいます。んで、モーヴィアスいわく、「地獄の門にすべての答えがあるよ」と。

 ストーリーはこの通りクラシック、ホラー好きのひとにはたまらないゴシック調。くわえて、ゴア描写がちいとキツイ。あの、肝心なところはそれほどでもなくて、余計(?)な部分でしつこいです。お姉さんの拷問シーンとか、トラヴィスの自傷行為とか。

 でも、ところどころでセンスのよさを発揮されてまして、トーマスの狂気の世界とかよかったです。トーマス、兄が仕事に出ているあいだは点けっぱなしテレビの前に座らされていました。しかしそのテレビ、しばらくまえから砂嵐。それによって、彼は気が狂っちゃったんだなー、それとも、そこを悪魔につけいられちゃったのか? そういうことがわかります。

 わたしはこの手のうさんくさいホラーは大好きなので、むずかしいことを考えずに素直に楽しめました。ひとつ難点をあげるとすると、ヘイゲンのキャスティングですか… 「ええー、それ、無理!」ということになってるんですよ… はあ、もうちょっと(ry
 よって、イイ男が出てくるのは終盤のモーヴィアスのみ。これが3人イイ男だったら、評価も高くなったんでないの? というのは、下世話な意見ですね、すみません。

 クリーチャーも気合の入ったお金のかけ方でして、(そのぶん、地獄の番人がアレですが)、オチもありがちながらまたよし。
 いかにもなホラーぽい、ホラー映画です。ちいとキツイゴア描写さえ留意しておけば、じゅうぶん楽しめるんじゃないでしょうか。










OPからキてます!!








トラヴィスに脅されちゃう
ヘイゲン。







美女に迫る恐怖の
拷問!!



 




ナゾの男、モーヴィアス
の正体は??








ナイスなクリーチャー
登場!!!








    Blood River



(2009)アメリカ
出演…アンドリュー・ハワード
テス・パンザー
イアン・ダンカン
監督…アダム・メイスン
★★★

〔ストーリー〕
 コロラドの砂漠を横断中のカップル、サマーとクラーク。サマーは妊娠中で、ふたりは幸せいっぱい。途中、ヒッチハイクの男性を見かけるが、クラークは警戒して無視してしまう。そしてモーテルにたどりつくと、そこにはさっき追い越したはずのヒッチハイカーが。しかし、ふたりはそれに気づかず、不気味なヒッチハイカーはモーテルの女主人に近づくのだが…?


 最近快作つづきなので、ここらでちょっと冒険してみようかと思います。
まずは、ひそかなホラー界の新鋭(← 勝手に決めました!)、アダム・メイスンの新作スリラー。

 たぶん、ほとんどの方は知らないと思いますが、メイスン監督は「Broken」「JIGSAW/デッド・オア・アライブ」2006)「The Devil's Chair」「悪魔の椅子」2006)と、たてつづけにホラーを撮って、一部のマニアからチラチラ話題になりはじめているイギリス人監督さんです。で、今回は配給会社がアメリカ。メイスン監督、ちょっぴり出世しましたー、やったね

 「悪魔の椅子」 はそのブッ飛んだストーリーから、ホラー心をいっきにわしづかみされてしまう内容でした。で、「悪魔の椅子」 でも主演をつとめたアンドリュー・ハワードが、今作でも主演。このコンビ、ホントいい仕事するんですよ。

 ストーリーはいたって簡単。
とあるカップルが砂漠を横断して旅行中。妻のサマー(テス・パンザー)は妊娠中、クラーク(イアン・ダンカン)もゴキゲンで車を飛ばしています。と、そこへ謎のヒッチハイカーのハワード登場! ハワードの役名は「ジョセフ」、じつはこの名前にも深い意味があるんですねー。

 サマーは彼を乗せようとしますが、クラークは警戒して無視。そのまま走り去ってしまいます。そして途中で辿りついたモーテルには、追い越したはずのハイカーが??
 でも、ウキウキ気分のふたりはまったく気づきません。ハイカーのほうも、どうでもいい様子です。彼はモーテルの女主人を口説きはじめるのですが…

 翌日、モーテルの女主人は不在。不審に思いながらも、カウンターに鍵を置いて出発するクラークとサマー。と、ここで運命の歯車が狂いだしてしまうのですね~、見事に事故って、クラークは怪我をし、妊娠中だというのにサマーといっしょに炎天下のなかを歩きつづけることになります。

 やがて、見捨てられたゴーストタウンに到着。だれも住んでいないし、水もありません。パニックになって泣きだしてしまうサマー。「だいじょうぶ、ぼくを信じるんだ!」 と、なんの根拠もなく慰めるアホなクラーク。
 でも、そこにはじつは住人がいたのです。それがきのう無視した、ハイカーのジョセフでした。

 ジョセフはじつはけっこう親切な男で、サマーの身体を気づかい、とりあえずひと晩過ごして、翌日になったら車をとりにいこうという話になります。
 最初は警戒心満々のクラークでしたが、サマーはすっかり彼のことを気に入った様子。なんだか彼がお腹に手をかざしただけで、彼女の気分も爽快になってしまったのです! やがて3人は打ち解けた仲になります。そして、静かな夜が明けるころ…

 たぶん、かなーりひいき目入っちゃってるかと思います。でも、結論として、この監督さんはやっぱりイイ!!
 スリラーと書きましたが、ジョセフが直接暴力を振るうわけではなく、夫婦に心理ゲームをしかけるんですね。で、彼がなんでそんなことをしているのかというと…??

 「悪魔の椅子」でも、その迫力に一発でノックアウトされてしまったんですが、アンドリュー・ハワード、やっぱりいい役者さんです! とくべつハンサムでもないのに、どのシーンでも妙にきまっちゃうんですよ。ちょっと、若いころのイングランドおじさんに似ていますかね? でも、おじさんよりアクが強い方かもしれません。わたくし、ふだんは文学系美青年好きなんですけど、この方は表情ひとつとっても魅力的  とくに、カメラにむかって意識的に微笑むシーンなんか、

 惚れてまうやん~!!!

 というくらい、妙にクセのあるカッコよさがあります。だれがなんというと、ステキな役者さんだと思います。もうですねー、このひとが出ているだけで、いい画面になってしまうからなんでもいい! そう思えるくらいの存在感があります。

 でも、一応ストーリーのほうも、しっかりしたものになってますよ。ストーリーがどうのこうのというより、この監督さんは、もともと気迫で見せる作品を作るのが得意なひとみたいです。よって、ハワードにつられて、テス・パンザーも、イアン・ダンカンも、かなり切迫した演技を見せてくれます。

 とてもクールでイカした映画でした。この作品も、レンタルになるといいんですけ
ど~、といっても、めったに置いてないレンタルになりそうですけど…
この調子だと、「Luster」(2009)も非常に楽しみです!








荒野をさまよう
カップル。







あれ?話してみると、
ジョセフはけっこう
いい男。






ジョセフの部屋には、
壁一面にナゾの
写真が…?






なあ奥さん、いいだろう!
と、いっているわけでは
ありません!








んで、キレちまったクラークは!!












素顔のハワード。
知的な雰囲気のひとなんですね。







   The Disappeared


(2008)イギリス
出演…ハリー・トレッドウェイ
グレッグ・ワイズ
ロス・リーミング
監督…ジョニー・ケヴォーキアン
★★★


〔ストーリー〕
 更正施設からやっと自宅に帰ることを許された、青年マシュー。自宅には疲れた様子の父がひとりだけ。じつは、およそ一年前に彼らは幼い弟のトミーの行方を失っていた。監視カメラに自宅のアパート前の公園で遊ぶトムの姿が映っていたきり、彼は忽然と姿を消してしまっていた。罪悪感に駆られ、父親ともうまく接することができないマシュー。だが、父が録画していたトム捜索のテレビ番組を観ていると、突然トミーの呼びかける声が聞こえてきて…??


 これ、ずっと観たかったんですよー、超王道なシックスセンス・ホラー!

 なんだか、〈ハリポタ〉 のいじわるっ子(トム・フェルトンくん)が出演しているということで、話題になってるようなんですが、期待どおりのきっちりした映画でした。トレイラーからもわかるとおり、かなり丁寧に、実直に撮られている作品です。

 監督のジョニー・ケヴォーキアンは、これが長編第一作目となるようです。最近とみに思うんですけど、いまのひとって、ほんと器用な方が多い! なんだかんだいって、うまいこといい感じに撮れちゃうみたいです。

 冒頭、更正施設から帰宅するマシュー(ハリー・トレッドウェイ)のシーンからはじまります。

 マシューは父の待つアパートに帰るのですが、なんだか浮かない様子。じつは、彼には幼い弟のトム(ルイス・ランペルール・パルマー)がいたのですが、およそ1年前に行方不明になっていました。
手掛かりはなく、父はテレビ出演をしてトムの情報をよせてくれるよう訴えかけたり、いろいろな努力をしたのですが、結局見つかりませんでした。トムが消えた夜、マシューは自宅でパーティーをひらいていて、遊んでくれるようにせがんだトムを無視、そのためトムはひとりで外にいってしまったのです。

 そんな理由から罪悪感に悩まされて、素行も悪くなってしまったマシュー。父のジェイク(グレッグ・ワイズ)も表むきは冷静に振る舞ってますが、かなり焦燥しています。

 帰宅したその日、父の録画していたテレビ番組に目を通すマシュー。そこに映しだされるのは、公園でひとり遊ぶの映像… 悲しみがこみあげてきたそのとき、「マシュー!」と、トムの声が。なんだ? え? 幻覚? しかし、テープを巻きもどしてみると、やっぱりおなじ箇所で声が聞こえます。

 やがて、声ばかりでなく、姿も見えるようになってしまうマシュー。友人のサイモン(トム・フェルトン)、幼なじみのエイミー(ロス・リーミング)に相談したりして、自分はおかしいんだろうか? いや、もしかしたらトムはどこかに生きていて、自分に伝えたいことがあるんじゃないか…? そう考えるようになるのですが…

 正直に申しあげまして、簡単に結末が読めてしまうお話。
それでも最後まで飽きさせないのは、マシュー青年の内面がしっかり描かれているから。

 マシュー演じるハリーくんの表情もいいんですが、イギリスのごくフツーの若者像が描かれていて、とても感情移入しやすいです。たとえば、なんにもない退屈な町だったり、低所得者むけの巨大アパートだったり、いじめっ子軍団だったり(…このいじめっ子軍団がまた、万国共通の憎たらしさでムカつきますよ~)、おなじように退屈している友人、日曜の教会通い… ああ、こういうのって、ほんとにイギリス青年の等身大の生活なんだろうなと、思ってしまいます。ストーリーも骨子がしっかりしていて、結末までひっぱります。

 ほんとうは職探しして、新しい人生をはじめなければいけないのに、トムの事件からなかなか前に進めなくなっているマシュー… 父親とのぎこちない会話シーンもよいですね。

 簡単に予想がついちゃう結末ですが、最後の最後、中盤のとあるシーンが納得できるようになってまして、「ああ、あれってそういうことだったのかー!」と、せつなくなったり。
それから、犯人の動機ですが、物語に登場するある象徴、古い写真などから… なんとなーくですけど、チラリとその理由をほのめかしています。いやな動機だなあ。

 これはよい映画!!
結末がなんともいえない、せつなくてやるせない気持ちになっちゃいます。









マシュー演じるハリー・
トレッドウェイ。








いじめっこ!!
いじめっこ!!








父との会話も気まずい
です…








地下のランドリー室で、
トムの亡霊を目撃!!









エイミーだけは彼の話を
信じてくれるのですが…







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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
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女性
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 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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