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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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    Tell Tale



(2009)イギリス・アメリカ
出演…ジョシュ・ルーカス
レナ・へデイ
ブライ アン・コックス
監督…マイケル・クエスタ
★★★


〔ストーリー〕
 シングルファーザーのテリーは心臓疾患のため、移植手術をうける。テリーの愛娘のアンジェラも先天性の病気をかかえていて、担当する小児科医のエリザベスとはじつは恋仲。
 テリーの手術は成功、術後の経過も順調に思えたころ… ある男の姿を目撃したとたん、不可解な胸の痛みと鼓動、奇妙な幻覚が見えはじめた。これはいったいなんなのか? テリーはしだいにドナーの過去を調べはじめるのだが…


 監督のマイケル・クエスタは、TV界で活躍していた方みたいです。テル・テイル、つまりポーの 『告げ口心臓』 をもとに、このストーリーを思いついたそうです。みなさんもご存知かと思われますが、心臓は記憶する部分があるのです… もっといってしまえば、人間の身体のあらゆる部位は記憶する能力があるのでは? と、最近の進んだ研究者たちは考えているようです。

 物語は、シングルファーザーのテリー(ジョシュ・ルーカス)が心臓の移植手術をうけることからはじまります。テリーのひとり娘も先天性のむずかしい病気をかかえていて、担当する医師のエリザベス(レナ・へデイ)とはひそかにいい雰囲気。テリーはシングルファーザーでもいい男なので、美人の女医さんから好意をもたれちゃうんですね。

 術後の経過も順調、ときどき病院に通う日々がつづくのですが、ある朝のこと。急患がやってくる騒ぎの場に居合わせて、そこに駆けつけたひとりの警備員を目にすると… 心臓がドキドキと脈打ちはじめ、激しい痛みに襲われ、不可解な光景が見えるようになってしまいます。
 直感的にあの男には見おぼえがある、知っている(?!?)と感じたテリーは、その後何度か男に接触するのですが… そのたびに、尋常ないくらい心臓が高鳴り、恐怖をおぼえてしまいます。

 気になったテリー、さっそく医師に相談するのですが、よくあることだととりあってもらえません。医師が席をはずしたすきに、ドナー記録を盗み見ると、相手は女性だったということがわかります。しかもこの女性、殺害されていたのでした…!!

 こういう内容って、ぜったいつぎは犯人探しがくると思いますでしょう?
これ、ちがうんですよ。そこがちょっと新しいかなと思いました。ドナーの心臓はテリーの心臓でもあるから、彼女の痛み、恐怖も共有してしまうんですね。その結果、起こる悲劇とは…??

 どうも見おぼえのある女優さんだなーと、思ってましたら、エリザベス役のレナ・へデイは「ターミネーター/SCR」の母親を演じていた方でした。それから、テリーが相談する刑事さんはブライアン・コックスが演じています。

 結末に賛否両論があるようなんですが、わたしはこういう展開は新しくておもしろいかなと思いました。
 あと、ラストの拷問シーンはうひゃあ~ ということになっています。こういうシーンって、なんでもはっきり見えちゃえばいいってもんでもないんですよ! 見えないからよけい、想像しすぎてこわくなっちゃう… 最近どうも、こわがりになってますかね?
 地味ながらも良作です。


 









テリーとエリザベス。










なんでおかしなものが
見えるんだ??











刑事のヴァン役のブライアン・コックス。










たいへんなことが起きて
いるんだよ!!










ついには殺人事件が起きて
しまいます。







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    The Collector


(2009)アメリカ
出演…ジョシュ・スチュアート
アンドレア・ロス
監督…マーカス・ダンスタン
脚本…パトリック・メルトン
マーカス・ダンスタン
★★★☆



〔ストーリー〕
 前科者のアーキンは妻と別居、ひとり娘のハンナが恋しくてたまらない。しかし、娘をひきとるためには金が必要。思いあまったアーキンは親切な上司マイケルの家に侵入して、盗みを働こうとするが… しかし、そこには先客がいて、家のなかにはありとあらゆる危険な罠が仕掛けられていた!!


 こ~れ~は~~
とーんでもなくおもしろい… じゃなくて、こわすぎた!!!
わたし、こんなこわい思いをしたのはひさしぶりです。
いまだにドキドキなトラウマがつづいています。

 マーカス・ダンスタン、パトリック・メルトンはともに「ソウ」シリーズの脚本をつとめていて、「フィースト」三部作も書いた方たちです。で、ダンスタンが今回満を持してメガフォンをとったわけなんですが、これがシャレにならないほどこわい出来になってまして、とにかくびっくりしました。

 まず、タイトルがありきたりですよね。日ごろからあまりチェックしているほうではないので、あやうくスルーしそうになったのですが、よく見たらこれ、「ソウ」 コンビじゃん…! ということで、これはひょっとすると、ひょっとすると~? などと、期待しながら観たのですが…

 期待以上の出来にひいひいいいっぱなし! たぶんこれ、大衆むきでないかもです。「ソウ」 がおもしろかったから、またあんなスリルが味わいたいの… なんて思ってる方には、ぜったい無理かと思われます。それ以上のスリルどころじゃない残虐性、悪意がありまして、いや~、ほんとこわかった!

 ストーリーはとっても簡単、ケチな小悪党のアーキン(ジョシュ・スチュアート)がいろいろと追いつめられて、とうとう自暴自棄になって上司の家に盗みに入っちゃう! しかーし、そこには彼が想像もしないほどおそろしい先客がいたのです… そんなお話。
 
 トレイラーをご覧になっている方も多いと思うんですけど、屋敷じゅうにいろんな仕掛けが施されていまして、おっ、やっぱり 「ソウ」 っぽい? なんて印象をうけるんですが。あのー、「ソウ」のときは、よくそんな仕掛け考えついたな~、あらあら、すごーいって、感心したり、そりゃ無茶!! と、苦笑いしたりする現実離れしたパターンだったんですけど、こっちはそんな生やさしいものではないです。

 とにかく痛い! そして、激しすぎる!!

 アーキンが盗みに入った家は上司のマイケル(マイケル・ライリー・バーク)、妻のヴィクトリア(アンドレア・ロス)、十代の先妻の娘のジル(マデリーン・ジーマ)、幼いシンディ(ハーレイ・パロス)の4人暮らし。シンディはひとなつこくてかわいくて、ちょうどおなじ歳ごろのひとり娘ハンナ(カーリー・スコット・コリンズ)を思い出し、憂鬱になっちゃうアーキン。別れた妻のリサ(ダニエラ・アロンソ)とは一応連絡をとりあっているものの、復縁できる見こみはなさそうです。なにより、この現状を変えるためには金が必要なのダー!

 そんな簡単な思考経路から盗みに入っちゃうんですが、そこは一度入ったら二度と出られない、恐怖のお屋敷になっていました~、ひい~

 これだけでもう、にわかホラー・ファンがくいつきそうな内容ですけど、新感覚のスリラーどころじゃなく、ハンパなくこわいんですよ。あの、オープニングから、どうも様子がおかしいぞ? とは思ってたんですけど、たとえるなら、ハネケ監督の「Funny Game」「ファニーゲーム」1997)(← オリジナルのほうね)みたいなテンションになってます。
 内容はぜんぜんちがうんですけどね。テイストもまるきりちがうんですけど。でも、残酷性とか、観客を挑発しているところとか、似ているかなと思います。あと、悪意要素もたっぷりふくまれております。猛毒注意!

 すっごくおもしろいし、はじまったら最後まで緊張しまくり、かたときも息がつけない快作なんですけど、正直これはこわすぎた…! もうちょっと得点を高くしてもよかったんですけどね~、あのー、わたし小心者ですから…
 なんですが、この監督さんは2作目もぜひホラーを撮ってほしいなと思います。だってわたし、悪趣味ですから!!










ホラー史上最大の
超不幸男、
アーキン!!









OPに挿入される
意味深シーン。
これはいったい…??








はれ?
なんか様子がおかしいよ?









窓が割れないのです
よー、ひい~










つかまっちゃうと、
えんらい目に遭わされてしまいます!!
とにかく逃げてー!!
 


 



    The Hills Run Red



(2008)アメリカ
出演…タッド・ヒルゲンブリンク
ソフィー・モンク
ジャネット・モンゴメリー
監督…デイヴ・パーカー
★★☆

〔ストーリー〕
 スラッシャー・ムービーの伝説の名監督・コンキャノンは、「ヒルズ・ラン・レッド」 という作品を撮影中に、出演者ともども行方不明になる。映画は未完のままフィルムも消失、予告編だけが残り、コアなホラーファンのあいだで話題になっていた。映画学科の学生タイラーは、友人のラロ、セリナとともに、「ヒルズ・ラン・レッド」 の真実に迫ろうとする。そして、監督のひとり娘のアレクサの居所をつきとめるのだが…


 ごく凡庸なよくあるスラッシャー… のはずでしたのに、困ったことに、これが思いのほかおもしろかったんです 〈ダーク・キャッスル〉史上、もっとも過激で残酷なホラーなんて文句がつけられておりますが。

 そういえば、わたしは 〈ダーク・キャッスル〉 作品をすべて観ているわけではありません。未公開作品もけっこうありまして、でも、一応大手ですから、作品基準はそれなりに高い。ですから、こんなありきたりのストーリーでもスプラッタに力が入っていたりして、なかなか見ごたえがありました。ぜったい飽きちゃうかと思ったんですけど、いったん観はじめたらあっという間に終わっちゃったです。

 物語は、映画学科の学生タイラー(タッド・ヒルゲンブルグ)が伝説のホラー映画 「ヒルズ・ラン・レッド」 の予告編を発見するところからはじまります。この映画、撮影途中で監督や出演者が不可解な失踪をとげてしまい、未完のままフィルムも行方不明になっていました。で、その予告編だけが残されていて、コアなホラー・マニアのあいだでは話題になっていたんですね。ネットの動画サイトにあちこちアップされて、タイラーはすっかり心を奪われてしまいます。

 この問題の映画の中身なんですが、“ベビー・フェイス” という殺人鬼がとにかく老若男女を殺しまくる!! という、これまた単純明快ストーリー。皹の入ったお面をかぶってまして、すっごく不気味です。つまり、いかにもホラー映画のモンスターらしい殺人鬼なのです。

 タイラーは友人のラロ(アレックス・ウェインダム)、ラロの恋人のセリナ(ジャネット・モンゴメリー)に協力を頼んで、監督のひとり娘アレクサ(ソフィー・モンク)に接近を試みます。アレクサはストリップダンサーでして、麻薬中毒者でもありました。タイラーは無理やり彼女をベッドに縛りつけて、彼女の薬抜きの手助けをするかわりに、「ヒルズ・ラン・レッド」 のことを聞かせてほしいと頼むのです。そして4人は、映画が撮影されていた森へ出かけるのですが…

 もうここまでで、ほとんどの方はつぎの展開がわかっちゃうかと思います… はい、そうでーす。そのまんま、なんのひねりもありません!

 ですが、途中からやたらテンポがよくなっちゃいまして、ゴアもいい感じにゴアゴアしてますよー “ベビーフェイス” が気持ち悪くって、ステレオタイプの誇張されたモンスターになっているのもいいですね。オープニングがなかなか不気味でショッキングです。あと、セリナとアレクサが美人でして、ふたりのヒイヒイこわがる顔もよかったです。やっぱり美女はヒイヒイいわないと! 殺害方法もえげつないんですよねえ。

 えっと、あんまり書くことはない作品なんですけど、とりあえずおもしろかった! ということです。でも、ラストがほんとそのまんまなのは、芸がないというか、尻きれとんぼというか… まあ、ゴアとモンスターを楽しむスラッシャーだからいいか!!
 ホラー・ファンなら観て損のない出来だと思います。



 









メイキングに残る、
監督の最後の姿。










そのひとり娘のアレクサ(ソフィー・
モンク)。
じつは、素顔のほうがかわいかったり。









タイラーは友人を誘い、
ドキュメンタリー制作を
試みるのですが…









ほんとに出ちゃった!!
これがベビーフェイス!


 






 
なにやらすてきな貯蔵室
になっておりますが。






   
    Bakjwi



(2009)韓国
出演…ソン・ガンホ
キム・オクビン
キム・ハソク
監督…パク・チャヌク
★★★


〔ストーリー〕
 敬虔な神父のユン・サンヒュンは、信仰によってひとびとを救済することに自信をなくしはじめていた。世界に役立ちたいという犠牲的精神から、アフリカで秘密裏におこなわれていたワクチン開発の実験台になる。そこで正体不明の血液を輸血され、身体中がただれてくるという奇病に冒された。吐血が止まらなくなり、とうとう命が燃えつきたと思えたとき…
 半年後、病を克服して歩く神父の姿が。「奇跡のひと」 とあがめられ、彼にお祈りをしてもらえばたちどころに病が治ると噂がひろがる。ある日、癌の息子のために祈ってほしいという母親があらわれた。彼女のそばには、薄幸そうな娘テジュがいた…


 なんだこれ~!!
 ふつうの吸血鬼を想像していたのに、昼メロみたいなドロドロ愛憎劇の、摩訶不思議なヴァンパイア映画でした! 英タイトルは「Thirst」


 わたくしこれ、ポスターから、真面目な神父さんがセクシー・ヴァンパイアにいいよられて、さあ、困った困った!! 的な内容かと思ってたんですけど… ぜんっぜんちがいました。
 いやにドロドロ愛憎劇が入りまじった、昼ドラみたいなヴァンパイアでした。監督さんは、「Oldboy」「オールドボーイ」2003)のパク・チャヌク。そこからなんだか想像つきそうですよね。はい! 想像どおり、なかなか気持ち悪い内容になっています。

 韓国にカトリック信者がどれくらいいるか知りませんが、主人公のガンホを演じるサンヒュンはきまじめな神父という設定。この神父さん、きまじめすぎちゃいまして、「世界のために自分になにができるだろう?」 とか、真剣に考えちゃって、なぜか知りませんが、アフリカの僻地でおこなわれている秘密の人体実験の犠牲になることを決意します。そこで血液を輸血されて、おかしな奇病にかかってしまいます。

 派手に吐血して、意識を失い、研究所の人間もあきらめかけたころ…

 半年後、なぜかサンヒュンは元気に復活。身体じゅうにへんな水泡ができて、ただれちゃうんですけど、日に日に治っていっちゃいます。「彼は奇跡のひとだ!」 と、祖国に帰るとあがめられちゃうサンヒュン。自分の病気を治してほしいと頼まれて、仕方なくお祈りすると… 不思議なことに、彼らはたちどころに元気に! ようするに、アレですよ、アレ。プラシーボ効果ってやつですね。

 でも、サンヒュン自身は自分が治したわけではないとわかっているから、どうも居心地が悪いです。癌にかかった息子を治してくれと、洋品店を営むラ夫人(キム・ハソク)がやってきます。そこには息子のカン・ウ(シン・ハギュン)の妻、テジュ(キム・オクビン)という娘がおりました。

 テジュは不幸な娘でして、洋品店に間借りしていた両親が夜逃げしてしまい、そのまま育てられてカン・ウの嫁にされてしまったのです。そんなですから、ラ夫人にいいようにこき使われているし、夢も希望もない。

 サンヒュンは神父さんですから、彼女に紳士的に接します。やさしくされた経験がないテジュは、これでいっきに燃えあがっちゃう! ふたりの関係はどんどん親密になりますが…

 えっと、2時間以上もある作品でして、あらすじだけ書いてたらきりないかもしれません。ようするに、ヴァンパイアな神父が人妻とできちゃって、あーだこーだ! 思うんですけど、アジアン映画って妙に生々しくて、ともすると気持ち悪くなっちゃうことが多々あります。(← 褒めてます!)それにしても、ヴァンパイアで、人妻とロマンスで、生々しくて、監督がパク・チャヌクとくると…

 いやらしい!! も~う、いやらしいっ!!!

 意識的に口愛シーンが多く、とーってもいやらしゅうございました。いちばん新鮮だったのは、サンヒュンが恥ずかしがって、男のくせに膝をとじちゃうシーンですかね。お好きなひとにはたまらないかと。わたしも好きです。ああ、でもこれがもっとイイ男だったらかなり(ry

 サンヒュン神父はいつまでも偽善者ぶってて煮えきらないですが、テジュを演じるキム・オクビン吹っきれててがよかったです。かわいい顔していろんなことしてくれますよー うそ泣きするシーンがグッときました。そのあとの豹変ぶりもいいです!
 
 「オールドボーイ」 のときも気持ち悪い映画撮るひとだなあと、思ってたんですけど(← でもこれ、日本の漫画が原作なんですよね?)、こちらはさらに輪をかけまして、気持ち悪いことになっています。一応ジョークも入ってますけど、わたしはちっとも笑えませんでした。これ、英語圏のひとが観たらどんな感想をもつんでしょう? 興味あります。

 このとおり、途中まではドロドロ・ドラマでたいへんおもしろく観れるんですけど、結末になって、急に “ふにゃ~” っと脱力しちゃいます。どっかで見たような、そんなありきたりの結末ですか… それでいいんですか。フツー、ここまできたら、ひらきなおるのが人間じゃないかと思(ry

 でも、いままでにないドラマ性を持ったおもしろいヴァンパイア映画でした。サンヒュン神父のいい子ぶりっ子にはやきもきしますが、テジュのキレかかった演技がよかったです。
 冗長さとラストの脱力さえなかったら、傑作の部類に入っていたかもしれません… 非常に惜しい!












煮えきらない神父の
サンヒュン。








かわいい顔して、かなりの
悪女!! 人妻テジュ。 










夫のカン・ウは、
おバカで純粋。















この図の詳細は、本作を観てのお楽しみということで~
でも、これよりもっと露骨なシーンもあるんですよ。
わたしはぜんぜん笑えませんでした… 生々しすぎるっ!







    Case 39



(2009)アメリカ・カナダ
出演…レネー・ゼルウィガー
ジョデル・フェルナンド
イアン・マクシェーン
監督…クリスチャン・アルバート
★★★


〔ストーリー〕
 福祉施設の児童相談所で働くエミリーの仕事は、虐待のうたがいのある家庭から子供を救いだすこと。39番目に彼女が担当することになったのは、貧しい家に両親と暮らすリリスという少女。いたいけなく、純粋な彼女は、いつもなにかにおびえている様子。エミリーは彼女の家をたずね、両親から話を聞くことする… しかし、ふたりは不気味な雰囲気で、エミリーはなにか問題があると直感をするのだが…


 じつはわたし、まだ「Orphan」「エスター」2009)は観ていないんですよ。一応内容は知ってるんですけどね…その「エスター」そっくりなプロットに、たぶん、こっちは公開がむずかしいんじゃないかと思います。「Silent Hill」「サイレント・ヒル」2006)「Tideland」「ローズ・イン・タイドランド」2004)の美少女、ジョデル・フェルナンドちゃんが出演しています。

 「Pandorum」(2009)がとんでもなくおもしろかったので、期待しながら観ちゃったのですが、あれ? こっちはわりとふつうな出来でした。まあ、チャイルド・ホラーって、簡単そうに思えてむずかしかったりするみたいなんですけどね。こちらは “虐待” という深刻なテーマをとりあつかっているものの、あんまりそっち方面にストーリーが進みません。そこがちょっと残念でした。

 エミリー(レネー・ゼルウィガー)は福祉施設につとめるソーシャルワーカー。彼女の仕事は虐待の疑いがある家庭をたずね、悲劇が起こらないように子供たちのサインを発見すること。彼女が39番目に担当したのは、リリス(ジョデル・フェルナンド)という美少女だった。

 リリスは愛らしく、賢そうで、ひと目で彼女に心を奪われてしまうエミリー。両親のエドワード(カラム・ケイス、レニー)、マーガレット(ケリー・オマリー)は態度がおかしく、あきらかになにかを隠している様子。家を訪ねたエミリーは、ふたりの挙動不審さとリリスのおびえた様子に、彼らからもっとくわしく話を聞こうと、施設に話しあいの場を持ちます。

 すると、上司の前だととたんに態度がガラリと変わり、快活に、ひとあたりよく話すエドワード。エミリーはリリスがかわいそうで、守ってあげたくて、両親が目をはなしたすきに彼女から話を聞こうとします。やっとリリスが真実を話してくれそうになった、そのとき… エドワードがもどってきて、無言の圧力をかけちゃいます。結局リリスは黙りこんでしまいます。

 それでも彼女が気になるエミリー、学校帰りを待ち伏せて、電話番号をわたします。「なにか困ったことがあったら、すぐに電話をかけてきて!」 そして、その夜彼女から連絡が。エミリーの予測どおり、おそろしいことが起きようとしていたのです…!!

 ジョデル・フェルナンドちゃんは幼いと同時に、妙に大人っぽい表情をするときがあって、不思議な魅力の子です。リリスの役にはぴったりだと思うんですけど、思ってたほど彼女の個性が発揮されていないような? もっとはっきりいっちゃうと、彼女をもってきたことに頼りすぎているようなー?

 こういうのって、つぎにあのひと、そのつぎのあのひとと、犠牲になるキャラクターが決まっちゃってるので、たとえば殺害方法を工夫したり、残虐度をあげたりと、多少工夫しないとそれほど盛りあがらないんですよ。「The Omen」「オーメン」1976)の首チョンパはすごかったでしょう? あれくらいインパクトがないと!!

 エミリーの恋人にカウンセラーのダグラス(ブラッドリー・クーパー)、相談役の刑事さんにマイク(イアン・マクシェーン)。かわいくていたいけなリリスが徐々に不気味になっていくのはおもしろいんですけど、正体がいまいちなあ~ あ、でも、ラストはわかりやすくて好みなんですけどね

 たぶん、インパクト度では 「エスター」 に負けちゃってるかと思いますが、ちょびっと大人になったジョデルちゃんを見れただけでもよしとしましょうか。












かわいいですねー
大人になったらどんななっちゃうのやら!








こわがらないで、
ほんとのことを話して
いいのよ!









不気味な両親…
彼らのねらいは??









この子だけはぜったい
守るんだから!









ぎゃー!!
つかまった母親の顔が
たいへんなことに!!








    Trick 'r Treat



(2008)カナダ・アメリカ
出演…ディラン・ベイカー
アンナ・パキン
ブライアン・コックス
監督…マイケル・ドハーティ
★★★☆


〔ストーリー〕
 ハロウィンの夜につぎつぎ起こる怪異!!お祭り騒ぎに沸きたつ小さな町を舞台に、5つのストーリーが同時進行でおこなわれるオムニバス… というか、グランドホテル形式のホラー。

 
 評判がすこぶるいいにもかかわらず、時期をのがしてしまったのか? あるいは、目玉となる売りがなかったから? DVDスルーになってしまった作品です。しかーし、たぶん、多くの方がチェックされてると思いますが、これはおもしろーい。

 プロデューサーが、「X-メン」シリーズでお馴染みのブライアン・シンガーです。「The Usual Suspects」「ユージュアル・サスペクツ」1995)は、とんでもなくおもしろかった…! あの作品で、ケヴィン・スペイシーが人気者になったんですよね。わたしはガブリエル・バーンのファンになりました。

 マイケル・ドハティは、シンガーの「スーパーマン・リターンズ」(2006)の脚本をつとめた方です。それで、今回これが監督デビューとなったようです。シンガーがからんでいるだけあって、ひと筋縄ではいかなくておもしろい。邦題では、「ブライアン・シンガーのトリック・オア・トリート」なんてつけられちゃってますが。

 オムニバスといいましても、グランドホテル形式のようになってまして、ひとつひとつのストーリーがちゃんとうまいこと絡みあっている。そのため、オムニバスにつきものの、もたつき感、モヤモヤ感がいっさいなし!これはかなり優秀なオムニバスの部類に入るんじゃないですかね。

 オープニング、夫婦がちっちゃなパンプキンくん(サム)に襲われるところからはじまります。このパンプキンくん・サムを演じる男の子、非常に愛らしくて、のちにのぞきっ子としても登場します。お姉さんの着替えシーンを、「ワオ! ホーリーシット!」とささやくので、すぐわかるかと思います。

 まず、1話目。
 地元の校長のスティーヴン(ディラン・ベイカー)の家に、メタボな少年がお菓子をくすねにやってきます。しかし、運悪く帰ってきたスティーヴンに見つかっちゃいます。「お菓子はひとつって、そこに書いてあったろ!」と、怒られるメタボ少年。そしてさらに運の悪いことに、スティーヴンには刺激的な秘密があったのです…

 2話目。
 メイシー、サラ、シュレイダー、チップの4人のいたずらっこは、一風変わった女の子ロンダを誘って、町はずれの湖にむかいます。ワガママ娘のメイシーが語るには、そこには数十年前、問題児たちを乗せたバスが転落するという悲劇があったそうなのですが…

 3話目。
 ローリー(アンナ・パキン)は姉たちの友人と一緒に、赤ずきんの衣装をつけて仮装パーティーにむかうところ。しかし、姉のダニエル(ローレン・リー・スミス)に挑発されて、今夜運命の相手を見つける決心をすることに。姉たちが森のそばでパーティーをするころ、ひとり町に残ったローリーは、運命の恋人を探そうと歩きまわるが…

 4話目。
 変わりもののいじわるじいさん、ミスター・クリーグ(ブライアン・コックス)は、子供たちを脅しては逆にお菓子を奪っちゃういけない老人。ハロウィン? くだらん! 暖炉で古い写真を燃やしていると、庭のほうから不思議な物音が聞こえてきて…?

 残酷描写は皆無にひとしいんですが、なかなか罰あたりで不道徳的なシーンもてんこもりでして、楽しいですよー

 なにより、一見ばらばらに思える物語がひとつにつながっていくことは、これ、オムニバスのいちばん大事なこと!ひとつひとつのお話も楽しいし、意外な結末も待っていたりして、すてきなハロウィン気分が味わえます。い~な~、お菓子の山とか、ジャック・オ・ランタンとか、子供でなくたってわくわくしちゃいますよ! クリスマスなんかよりも、ハロウィンが日本に定着すればよかったのに…

 アンナ・パキンが登場するとのことだったんですが、わたくし、最初に彼女が画面に出てきたときに気づきませんでした。いえ、変わらず美人さんなんですけど、あんなにかわいかった娘が、いつの間にかすっかり大人になっちゃって… そんな感じです。どのお話も基準値が高く、楽しいんですけど、とくに狼男のストーリーがイカしております。

 クレジットがコミック・ブックスになっていて、「Creepshow」「クリープショー」1982)を意識しているのは明白なんですが、これはひょっとすると、「クリープ」より質が高いかもしれません?
 ラスト、サムの正体がちゃんと説明できるようになっています。これはだれが観ても楽しい気分になれるオススメ作です!









ローリー(左)は姉の挑発
に乗って、恋人を探す
ことに…











メタボ少年と、
スティーヴン。








ハロウィンの日、この町
にはとある悲劇が
ありました…











ランタン頭のサムくん
の正体は…??















メイシーたちはロンダを誘いだしますが…







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(いちおう)プロフィールです
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ななみといいます
性別:
女性
自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
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