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個人的にグッときたホラー映画(べつの意味でグッときたホラー映画も)なんかや、 小説のレビューなどをポツポツと…
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   Peacock



(2010)アメリカ
出演…キリアン・マーフィー
エレン・ペイジ
スーザン・サランドン
監督…マイケル・ランダー
★★★☆

〔ストーリー〕
 小さな町の銀行員として働くジョンには、ある秘密が。彼には「エマ」という女性人格があり、ひとりふた役を演じていたのだ。しかし、エマの存在はだれにも秘密のはずだったのだが… ある朝、列車の脱線事故により、近所の人々に目撃されてしまう。おまけに、新聞の写真にまで撮られてしまい…


 ホラーではないんですけどね。キリアンが女装する映画だったので、つい。

 今回は簡単にいきます。さて、キリアンですよ。女装ですよ! こういう役って、若いころにもやってましたもんね。やっぱりあの美貌ですからー、みなさんキリアンに女装させたくなるんです!!

 お話は、悲しい子供時代からはじまります。ジョン(キリアン・マーフィー)は母親に虐待されて育ったため、二重人格になってしまいました… そのもうひとつの人格が、エマ。母親が亡くなったいま、ジョン/エマは生家にひとり暮らし。その町の銀行員として働き、穏やかな生活を送っていました…

 ジョン/エマの共同生活は、まずエマがお洗濯! 朝食! ランチ! と、新妻のようにルンルン作ってあげて、その後ジョンにもどります。すると、ジョンはにっこり満足しながら、エマが用意した朝食を食べる。このとき、エマはメモなんかも用意していて、なんかほんとに新婚カップルのように楽しそう。こうやって、彼の精神の均衡は保たれていたのです。

 彼らの家は大きな板柵に囲まれていて、そのむこうには列車が通っていました。ある朝のことです。エマが洗濯物を干している途中、突然の大きな物音と衝撃が!! ショックで気を失ってしまい、目覚めたときには… 柵は壊れ、近所の人々に囲まれちゃっていました!! エマの存在は秘密だったはずなのに、ご近所さんたちは、ジョンがいつの間にか結婚していて、しかもこんなキレイな奥さんがいたのか!と、沸きたってしまいます。

 さあ、困った! 焦るジョン。じつは、人格が入れ替わっているあいだ、お互いに記憶がありません。そのため、エマのときになにがあったのか、ジョンは感知できないのです… 当然ジョンはおびえます。困惑しちゃいます! なんだか知らないが、すごいトラブルに巻きこまれてしまった~!!

 ジョンが無口で人ぎらいなのにたいして、エマは人好きで性格も穏やか。上院議員に立候補しようとしている市長(キース・キャラダイン)、妻のファニー(スーザン・サランドン)は、この事故を政治的に利用しようと考えます。エマが魅力的で若い女性だからこそ、新聞に掲載された写真で女性票を獲得しようというんですね。エマは彼らに興味をもち、やがてはファニーの積極的な女性擁護にもひかれていきますが…

 ここで、またしても問題発生! 今度は三歳くらいの男の子を連れた、若い娘マギー(エレン・ペイジ)がやってきます。マギーはジョンにお金を貸してほしいと頼むのですが、ふたりの関係は…??

 ひとことでいうなら、しんみり味わい深いスリラーです。でも、二重人格に苦悩する青年ジョンがすごくよく描かれていて、映画じたいのクオリティも非常に高いのです。脚本の妙もあるのでしょうが、キリアンて、演技うまいほうなんですね!! これは彼のはまり役といってもいいんじゃないでしょうか~

 エマになったときのキリアンがまったく違和感がなく、マギー役のエレン・ペイジも悪くない。エレン・ペイジ、最近よくいろんな映画に出演されてます。脇役もスーザン・サランドン、ビル・プルマン、ジョシュ・ルーカスと固められております。
 キリアン・ファンも、そうじゃない方も、一応この映画はチェックしておきましょう。はあ、しかしキリアンて、ほんとにきれいな顔なんだから~、もー!!!













湖畔でひとりランチ…
こんなうしろ姿を見せられた日には~、うしろからギュッとしたくなっちゃいますよ、どーしたって!!








無口で気むずかしい
ジョン。







美人妻エマ。
わたしより、
キレイですから!!









市長の奥さんにも
気に入られちゃうし~









これまた薄幸そうな娘、
マギー。









閉ざされた扉の
むこうには…??







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   La Horde


(2009)フランス
出演…ジーン・ピエール・マーティン
エリック・エブアニー
クロード・ペロン
監督…ヤニック・ダアン
ベンジャミン・ロシェ
★★★


〔ストーリー〕
 ゴミ山のなかに拘束され、拷問をうけた警官の遺体が発見される。彼の同僚ジミネスをはじめとした部下たちは、復讐を誓う。そして数日後… 秘密裏で同僚を殺害したマフィアのアジトをつきとめた彼らは、覆面をかぶって突入を開始する。目的はもちろん、みな殺しにするため。しかし、その夜はなにかが起きようとしていた…!!
 

 ゾンビ+クールなガンファイト!!
 製作総指揮は、「Frontiere(s)」「フロンティア」2007)「ヒットマン」でおなじみのグザヴィエ・ジャン。

 邦題「ザ・ボード/死霊の大群」、なんだかすごいことになってますが。こーれーがー、期待どおりのおもしろさでした!! フランスホラーはとにかく、キレ味が抜群ですよね。
 
 物語は、ひとりの警官の遺体が発見されるところからはじまります。彼は裸で、両手はうしろに縛られたまま。おそらく拷問をうけたすえの殺害でした。これを発見したのは、同僚のジミネス(オーレリアン・ルコワン)という警官でして、彼は激しい怒りに燃えて、部下たちを巻きこんで報復活動を計画するのです。

 この部下たちに、ケゼム(ジーン・ピエール・マーティン)、オーロラ(クロード・ペロン)をはじめとする約4名。ギャングのアジトは廃ビルのような建物の上階にありまして、ジミネスたちは覆面をかぶって侵入します。殺すことが目的ですから、本部には秘密の勝手な行動だったのです。

 が、いよいよアジトに奇襲攻撃をかけるというところで~、意味ない(!)ガッツを見せたい管理人のオッサンに邪魔され、相手に気づかれてしまいます。せっかくの奇襲攻撃もおじゃん。反対に追撃されて、あっという間に全員つかまってしまいました~

 マフィアたちに仲間の何人かを殺されちゃったところ… なにかが起こっちゃった!! それがなんなのかはよくわかりませんが、お待ちかねのゾンビ襲来です!! 異常事態におそれおののく彼らは、ちんけな争いなんかしてる場合じゃねーし! と、互いに手を組むことにするのですが… すでに建物内は、ゾンビでいっぱいなのでしたーという、オープニングであります。

 そういえば、「フロンティア」だって、よくあるお話でした。それを圧倒的なカタルシスにもっていく力技とか、すごかったですよね。今回は、ゾンビにクールなガンアクションをくわえました、んで、カタルシスなドラマにも持っていきます、といった欲張りな内容です。どっちかというと、ゾンビよりドンパチのほうが活躍しちゃってるでしょうか。でも、スピード感があって非常におもしろかったです。

 マフィアたちの面々も異常にカッコよくて、リーダーのアド(エリック・エブアニー)、弟のバール、あと気障なグレコ(ジョー・ピスティア)がよかったです。武器は一応あるんですけど、肉弾戦になるときもありまして、人間って追いつめられるとけっこう戦えるものなんですね! 警官隊では、主役のケザンはもちろん、女性警官のオーロラが勇ましくてがんばっていました。

 脱出を図ろうとビルの階段をおりていく途中で、音がへんな方向から聞こえてくるときがありまして、(ヘッドフォンで聞いたらこわさ倍増!!)でも、こういうお化け屋敷的なこわさって、ほんのちょっとしかないんですよ。そこが、個人的には惜しかったかなと思いました。
 
 ほんとによくある話なんですけど、テンポもよく、最後まで観ちゃうのはあっという間です。ゾンビファンにも納得の出来だと思います。あと、画像を選んでいて思ったのですが、こんなにかっこよかったかな?(笑)











ゲームみたいなオープニング。すんごい絵柄になっておりますが…
 








うぎゃー!!









わきゃー!!








超クール!!
ギャングのアド。








ビルの外はゾンビで
いっぱい!!









男は黙って戦え!!
1対300人くらい
でしょうか~~!!!







   Splice



(2009)カナダ/フランス/アメリカ
出演…サラ・ポーリー
エイドリアン・ブロディ
デルフィーヌ・シャネアック
監督…ヴィンチェンゾ・ナタリ
★★★


〔ストーリー〕
 製薬会社の科学部門をつとめるクライブとエルサ夫妻。彼らの研究は、動物のDNAをかけあわせて新しい生物をつくりだし、そこから未知のたんぱく質を採取して医療に役立てようというもの。だがある日、ふたりは人間と動物のDNAを混在させるという、タブーを犯してしまう。受精卵は成長をはじめ、想像もしなかった生物が誕生するのだが…


 「CUBE」(1997)のヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最新作!
 配給元は、〈ダークキャッスル〉!!

 超話題作なんですが、これだけ感想を書きにくい作品はめずらしいかもしれません。
 主演のエルサにはサラ・ポーリー、クライブ役には「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディです。

 ストーリーは、クライブ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)の科学者夫婦が未知の生物の誕生をめざすところからはじまります。近未来、医療の発達にともない、もっと革新的な治療法はないかと人々は模索していました。そこで、動物同士のDNAをかけあわせて、新生物をつくりだす。この新生物から、いままでにない構造の酵素を抽出して、医療に役立てようというもの。彼らの研究には莫大な出資がかけられていて、会社からも期待されていたのです。

 この新生物、哺乳類っぽいナメクジ(?)みたいな生きものなんですが、研究もようやく軌道にのりはじめました。しかし、上司とのささいな意見の食いちがいから、エルサは人間のDNA(つまり、自分の!)と、動物のDNAをかけあわせることはできないかと、ためしてしまいます。もちろんこれには協力者も必要で、ラボを共有している夫のクライブ。そそのかすのがエルサというところから、そういった意味あいもふくまれているんでしょうか。

 この超新生物、水槽のなかで順調に成長をつづけます。ほかの研究者たちにはひたすら隠して(…じつは同僚に、クライブの弟くんがいるのですが)、ある日水槽の様子がおかしいことに気づきます。ふたりは様子を見ようとして、エルサが腕を伸ばしたら噛みつかれてしまった!! クライブは彼女を助けようとして、水槽を割ってしまうのですが…

 …とまあ、くわしい説明はここまでにしておきます。
 まず、思ったのが、遺伝子ホラーの佳作「〇〇」(← ネタバレする勇気がありません、すいません!)と、最終的なテーマがまったく同一ということ。で、こちらははなから、あらゆるタブーに挑戦してやろうという、コンセプトなんだと思います。

 お話としては斬新なんですけど、この、タブーを犯してやろう! という意気ごみが先走りすぎちゃったかな? 感がありました。なぜなら、主人公ふたりのバックグラウンドがあまり描写されず、リアリティもなく、そのため非常に感情移入しにくい。たぶん、感情移入する内容ではないと思うのですが、どうも、「他人に起こった不思議なお話」 姿勢に徹しているんですよ。

 これは内容じたいにもいえることでして、オープニングからラストまで、ひたすらとらえどころのない雰囲気です。この物語はいったいどこにいこうとしてるんだろう? という、不安定感を楽しむといった方法もあるんですが。

 モヤモヤ感を正直に打ち明けてしまえば、期待していたのに~、ああ~、期待していたのに~。。。

 そのため、ほんとーに感想が書きにくーいです(笑)。あのですね、好ききらいというより、理解しがたい(??)映画の部類かもしれないです。結末も、悪趣味なジョークみたいになっちゃってるんですよ。前述しましたSFホラーの描き方のほうが、明確でわかりやすかったです。ちなみに、そっちのほうがわたしはずっと好みでした。

 エルサとクライブがつくりだした超新生物は女の子でして、ドレン(デルフィーヌ・シャネアック)と名づけられます。ふたりには子供がいないから、自然と情が湧くようになってしまい…でも、ドレンは成長するにつれて、自我を持つようになり…

 こういう遺伝子ホラー系って、クリーチャーになっちゃうことが多いんですが、この作品はそれとまったくちがいます。あんましホラーもしていません。そこが敗因だったのでしょうかね??

 「CUBE」を越える(もしくは同等)の作品は、もう観ることができないのでしょうか… ナタリ監督!!
 ついでに、日本公開があやぶまれる声もちらほらと聞こえてきているようです。だいじょうぶでしょうか。











クライブとエルサ夫妻。









新生物誕生!!








成長もすごく早いのです。
これも、よくあるパターン
ですよね(笑)。








ついに、おそれていた
ことが~!!!










どんどんレディに
成長してしまい…







   Cheun



(2010)タイ
出演…アーラック・アマラスパシリ
チャッチャイ・プレンパニット
ジェシカ・パサパン
監督…コンギアット・コムスリ
★★☆



〔ストーリー〕
 猟奇的な殺人事件が多発。担当する刑事シンは、事件と関連しているとしか思えない、ある精神病者の告白を聞く。それは、赤いスーツケースが登場するというトラウマだった。遺体はすべて、赤いスーツケースに入れられて遺棄されていた…
 シンは特例として、この精神病者の犯罪者・青年タイを捜査に協力させることにする。タイは少年時代を過ごした故郷へと、数年ぶりに帰還するのだが…


 「アート・オブ・ザ・デビル」シリーズの監督さんの最新作。
 これもまた、ずいぶん迷ったんですよ~、
途中まではすっごくよかったんです。でも、結末がなあ~、あーららなことになっちゃった。

 本国の映画協会では、監督賞を受賞されたそうです。それで、なるほどなとうなずけるほど、ハイセンスな映像のオープニングです。そうなんですー、この作品、前半(3分の2くらい?)までは、かなーりおもしろい。タイ映画って、ぜんぜんばかにできなくなっちゃったなというくらい、レベルもあがってきております。

 ストーリーは、バンコク市内を中心に、猟奇殺人事件が発生するところからはじまります。
 事件内容はかなり残酷でして、犠牲者を徹底的に痛めつけてから、赤いスーツケースに詰めこんで遺棄するというもの。この犯人、赤いレインコートを着用しています。犠牲者も無差別に選んでいるようで、まったく手掛かりがありません。

 事件を担当することになった刑事シン(チャッチャイ・プレンパニット)は、とある有力な情報を耳にします。それは、精神犯罪者ばかり集めた施設で、ひとりの青年が事件に関連すると思われる告白をカウンセリング中にしていたのです。青年はタイ(アーラック・アマラスパシリ)という名で、彼のトラウマには赤いスーツケースが出てくるのでした…

 ここまでの導入部がほんとうにすばらしく、殺人シーンもショッキング、それぞれのキャラクターの登場の仕方も申しぶんなくカッコいい。もしかしてこれは、傑作では?? などと、期待しちゃいました。
 監督のコンギアット・コムスリは、ごく最近活躍をはじめた方なんですよね。でも、この作品の観るかぎり、おそろしくこなれていて、腕もたしかなようです。これはもう、世界にじゅうぶん通用しちゃうレベル。タイ映画って、いつからこんなにハイセンスになったんでしょう? いたく感動しました。

 シン刑事はなんか、よくある汚職刑事(?)のようでして、イケナイ人たちともつながりがあります。事件をいっこうに解決できないまま、ついには上司の息子までもが犠牲になっちゃった! これはもう、なりふりかまわず捜査にあたるしかありません。そこで、“赤いスーツケース” というキーワードをもとに、精神病棟にいたタイ青年を潜入捜査にあたらせるのです。このへんからもう、むちゃくちゃな展開なんですが。

 タイ役のアーラックも、シン刑事のチャッチャイも男くさくて存在感アリアリ。やっぱり撮り方がうまいのでしょうかね? 突然凶行に走るシーンとか、妙にリアルで暴力的でした。

 それで、このまんま猟奇スリラーのお話になっていくのかな? と思っていたら、タイが故郷に帰るところからちがう感じになっていきます。タイ青年、少年時代の思い出を回想していくと… そこに、赤いスーツケースのトラウマの原因となった、とある人物のことを思い出すのです。それは無邪気な少年時代の、かけがえのない記憶なのですが…

 海外では異常に評価が高いんですが、日本人からすると、あれれな結末かもしれません。いえ、結末じたいは悪くないんです。ただ、あんまりとっぴもない発想なんで、どーしてもマンガちっくになっちゃった。
 ストーリー的にもやたら重い内容でして、(最近のタイ映画、重いのばっかりですよね!)この、重いなら重いなりに、ラストまでシリアスさを貫いてほしかったかですかね。

 ちょっとネタばらししてしまいますと、キャラの感情を吐露することに終始した結末でして、それがどうにもこうにも、メロドラマ風っぽい。前半部分のテンションの高さ、あの猟奇性はどこにいっちゃったんだ!! というくらい、ふつーのドラマになっちってます。最後の最後で、そんなにいい人ぶらなくても~~~、監督…

 でも、映画のあり方としては上質の部類に入るかと思います。

 導入部、前半部分はとにかく最高!! 主演のアーラックもよかった!!
結末は… 人によって好みがわかれるかもしれません。わたしはなんだかなーと、不服になっちゃいましたが。さて、みなさんの評価はどちらに?












渋いチンピラ、
シン刑事。









アブない青年、
異常者タイ。










つぎつぎと、おそろしい
殺人事件が…!!










捜査に協力するという条件
のもと、晴れて自由の身と
なったタイですが…











タイがたどりついた、
驚愕の真実とは…??







   Hierro



(2009)スペイン
出演…エレナ・アナヤ
ミリアム・コレラ
アンドレ・ヘレラ
監督…ゲイブ・イバネス
★★★


〔ストーリー〕
 シングルマザーのマリアは、水族館に勤めている。ある日、五歳の息子ディアゴとともに、船に乗って島にむかう途中… 日ごろの疲れから眠ってしまった彼女は、ディアゴが消えていることに気づく。船中捜したが息子は見つからない。とうとう島の警察が動きだし、ディアゴは船から落ちたのではないかと推測されたが… 3ヶ月後、海からあがった遺体は別人だった…


 なんてことはない、スリラーだったのですが。出来が非常によかったので、レビューしたいかなと思いました。
 視覚効果マンの監督第2作め。スペイン・ホラーは味わい深いものが多いんですが、この作品もそんななかのひとつ。

 物語は、シングルマザーのマリア(エレナ・アナヤ)と五歳の息子のディアゴの日常からはじまります。マリアは水族館に勤めていて、そのため泳ぐのが得意です。同僚に、友人のジュリア(ミリアム・コレラ)がいます。

 ある日、ディアゴと連れだって、小さな島にむかうことになったマリア。しかし、日ごろの疲労のためか、つい居眠りをしてしまい… 気づいたときには、ディアゴの姿はありませんでした。船中を捜し、しだいにパニックに陥りはじめ、地元の警察、レスキュー隊も出動してきて…

 それでも、ディアゴは見つかりません。そしてその夜、捜索願いのポスターが刷られたのでした…

 こんな感じの、非常に重いスタートです。子供が急にいなくなっちゃう、これって、超普遍的な恐怖ですよね。ディアゴくんはほんとうにかわいい子なので、こんな天使みたいな子が突然いなくなっちゃったら、わたしだったら生きていけないかもしれません…

 絶望と失意と後悔のなか、およそ3ヶ月後。
 地元の刑事のアントニオ(アンドレ・ヘレラ)から、海から遺体があがったと連絡が入ります。ちょうど年齢的にも、ディアゴと一致するそうなのです。マリアはジュリアにつきそってもらい、遺体を確認するためにふたたび島にむかうのですが… しかし、その死体は別人でした。納得のいかないアントニオは、DNA検査をするために、3日間島に残っていてほしいというのですが…

 まず、特殊効果の経験が豊富な監督さんだということで、映像が凝っています。マリアは息子を失ってから、精神が不安定になってしまい、さまざまな幻覚を見るようになるのですが… このあたりが、ホラー・スリラーといわれているゆえんでしょうか。ゆらゆら不安定な水のシーンが何度も挿入されます。

 でも、物語じたいは非常にシンプルでして、たぶん映画を観なれている人だったら、結末も自ずと導きだされてしまうんじゃないかと思います。それでも、最後までひっぱる牽引力があるんですねー。やっぱり不滅の恐怖をあつかっているからでしょうか。幻覚シーン以外に、ホラーっぽいところはほとんどないんですが。だけど、これはリアルな恐怖になっているんです。

 タイトなまとめ方もすごくよかったです。マリアははたして、息子をとりもどすことができるのでしょうか…??  
 結末で、前半に登場したある動物が、ふたたび登場するのですが… これが、彼女の心情もあらわしているのです。










楽しい旅行になる
はずが…








マリアは不安定に
なっていき…






さまざまな幻覚を
見るようになって
しまいます。






ふたたび、
問題の島へ。







この島にはどんな秘密が
隠されているのでしょう…?








   Macabre



(2009)シンガポール/インドネシア
出演…ジュリー・エスティール
シャリーファ・ダーニッシュ
アリオ・バーユ
監督…キモ・スタンボーエル
ティモ・ティヤハヤント
★★☆


〔ストーリー〕
 アジーは身重の妻、妹のラディヤ、男友だち3人を連れて深夜に車で移動中、突然若い女性を発見する。女性は雨に打たれ、途方に暮れている様子。友人のひとち、エコはいい恰好をしようと、女性に家まで送ると申しでる…そしてたどりついたさきは、静かな場所に建つ邸宅。マヤと名乗った女性は美人の母親、ハンサムな兄を紹介して、お礼に夕食を勧めるのだが…


 けっこう勢いのあるホラーを聞きまして、さっそく鑑賞。
 わたしの感想では、インドネシア&シンガポール産の「テキチェン」「屋敷女」といったところでしょうか~

 …ということでして、本格的なゴアゴア映画です。監督さんのふたりもまだ若いお兄ちゃんたちで、話題を集めているもようです。こういうのって、最近流行ってますよねー。欧米ホラー、とくにフランスホラーにつづけ! とばかり、アジア諸国ががんばっています。といいますか、まるきり模倣なんですけどね。でも、後半からの展開がけっこうおもしろくて、最後まで観ちゃったです。

 主人公は、アジー(アリオ・バーユ)とラディヤ(ジュリー・エスティーユ)の兄妹。兄には身重の妻のアスリートがおりまして、ふたりは近々海外に移住する予定。なので、アジーは妹のことが心配でなりません。けれど、妹は両親が事故で死んだこと、兄が自分を置いていってしまうといったもろもろで、なんだか頑なな態度しかとれません… ほかに、男友だちの3人(エコ、ジミー、アラム)がいまして、彼らもラディヤのことが好きなんですけどね。

 ラディヤは食堂のウェイトレスをしてまして、アジーは彼女を説得しようと、妻と友人たちを店に連れてきていたのです。そして、ラディヤの仕事もひけたので… 6人は車で街にもどる途中、若い女に遭遇します。この若い女、雨のなかを道路にぽつねんと立っているだけです。

 女性たちやアジーは不審に思うのですが、エコが彼女を気に入ってしまい、「家まで送ってってあげるよ」なんて、気安くうけあっちゃったから、さあ、たいへん! こうして6人は、殺人鬼一家の巣窟へとのこのこ迷いこんでいってしまうのでーす …ああー、なんてお手軽な展開なの。

 観はじめた当初、「正直、そんなにいうほどでもないかな?」 とか、思っていたんですが… 後半から調子づいてきちゃいまして、楽しめるようになっています。この殺人鬼一家、美人のママンのダラ(シャリーファ・ダーニッシュ)をはじめ、美人局のマヤ、無口でハンサムなアダム、もっと無口でメガネなアーマンドの3人の子供たちで構成されております。みなさんもご想像のとおり、絵に描いたよーな残酷殺人鬼一家ですよ。そこに、「屋敷女」テイストが入っていると。

 ゴア描写にそこそこ力を入れているんですが、わたくしの感想としましては、もうちょっとがんばれるんじゃないかな? という感じです。まー、ふつうの人が観たら、すごいなあと思うレベルなんでしょうが…
 でも、もろ欧米ホラーの影響が強くて、真似っこの域を出ていないのも事実なんです。ここからもうひとつ突出するには、派手にいっちゃったほうがよかったんじゃないかな? などと思いました。

 なんですが、殺人鬼一家がそれぞれキャラが立ってまして、それなりにおもしろかったですー
 美人のママンは鳥顔(?)というのでしょーか、ツンとしか顔立ちの美人さんです。それから、無口なハンサムの怪力くん、アダムくんもよかったです。マヤとアーマンドは、もうちょっと活躍してもよかったですかね。あと、彼らがなぜ人を襲うのか? といったヒントも、ときどきあります。美人のママンは大きなかんざしをつけているんですが、これをいつ使うんだろ? ねえ、かんざしマダー? マダー? と、わくわくしながら観ちゃってください!

 顔をボコられ、血まみれになりながら戦うヒロインが健気でした。フツーにおもしろい内容なんですけど、世間の話題になるためには、あともうひと息といったところでしょーか。めげずにがんばってください!!








アジーとラディヤ
兄妹。










美人のママンは
超無敵なので、要注意!!








壁の穴から見えた
光景は…??









妊娠中なのに、たいへんな
ことになっちゃった!!









こりゃ、戦わなきゃ!!
と、
決意したラディヤは…








やるか、やられるかの
壮絶な争いとなって
いきます!!!







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(いちおう)プロフィールです
HN:
ななみといいます
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自己紹介:

 独断と偏見で、ホラー関係(広い意味でのホラーですので、SFやファンタジーなんかもやってます)のレビューを書いてます。コメント大歓迎です。新情報や、こんなのもあるよ!って情報などなど、寄せてくれるとありがたいです。

〈好きかも♪〉
 おにぎり、猫たん、ジャック・ホワイト、ブクオフ、固いパン、高いところ、広いところ、すっげー大きな建造物、ダムとか工場とか、毛玉とり、いい匂い…

〈苦手かも…〉
 かます、説明書、道案内、カマドウマ、狭いところ、壁がすんごい目の前とか、渋滞、数字の暗記、人ごみを横切る、魚の三枚おろし…
ねこじかんです

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